外資系のインベストメントバンカー
は、日常の取材対象としてはやや距離がある存在だが、今日はたまたま会う機会があった。ある案件の説明のために、ある邦銀の方に助言役として付いて来られたのだ。肝心の“ある案件”の説明は「なるほど」と受け止めただけで、いちいち説明しないといけない立場にむしろ同情したくなった。
 興味深かったのはその後のやりとり。投資銀行業務はモラルハザードだろうが、何だろうが、獰猛に収益を狙うものだと思っていたが、各大手行の資本戦略をどう思うか、会計制度をどう思うか、金融行政をどう思うか、公的資金注入をどう思うか、債権放棄の在り方をどう思うか、など何気に聞いたところ、かなり骨のある答えが返ってきたのに驚く。
 「公的資金は本来、生きている銀行に入れるべきじゃない」
 「あの1兆円増資はひどい。しかし、あれを○○○もやったら、今ごろ健在だった」
などなど。
 かなり好感を持ったが、良心的なインベストメントバンカーは悩みが多そう。「“傭兵”が良心を持ってはいけない」とアドバイスすべきだっただろうか。しかし、「対等合併は東西ドイツ統合といっしょだ」と半分冗談で言ったことに、しばらく熟考して「そうですね。でも悪貨で悪貨を買うような例もある」と切り返してきたのには参りました。
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# by bank.of.japan | 2005-01-11 20:58 | Comments(1)
資金ディーラーの市場価値は…
「ジェネレーションY世代」の記事(日経金融)に、「資金ディーラーとして市場で自分の価値を試したい」との抱負を持つ若手行員が紹介されていた。大手銀行のB/Sがオーバーローンで、依然として日々兆円単位の無担保資金を取らないといけない状態なら、それなりに資金ディーリングの技を磨く余地はあると思うが、ゼロ金利で圧倒的量的緩和が行われ、実質的に大手も含めてローン行に転じた状態では取引技術は磨きようがない。インタバンクのフロンティアは短期ALMと中長期ALMの空白地帯であった2年債を、ある大手行がつぶしにいった段階でなくなった、と言われる。若手が「個」を生かせる時代がくればいいとは思うが、少なくとも伝統的金利市場においては当面は技を磨くチャンスはきそうにない。
 もっとも、「商業銀行」とはそもそも個を生かす組織ではないと思われる。リテールに特化すればするほど効率性が求められ、業務はマニュアル化していく公算が大きい。逆説的だが、日本で最も先端的で面白い金融業務に携われ、しかも雇用が安定している「銀行」とは、日本政策投資銀行だと思う。もちろん、本質的な存在意義は別としてだが。
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# by bank.of.japan | 2005-01-11 16:32 | Comments(2)
総裁、NY講演の胸中は…
 複雑であろう、と推測される。開設100周年を向かえるニューヨーク事務所は、日銀マンには海外エリートポストの一つ。歴代駐在参事には井上準之助、前川春雄ら重鎮が連なる。エリート意識の強かった福井氏は当然NYに赴任すると思っていたが、実際は南原氏が駐在。福井氏はパリ事務所に赴任となり、この人事はかなり屈辱的だったのではないか、と言われている。NY駐在参事を経験したうえでの記念講演なら実に感慨深かったかもしれないが、当時の屈辱感が本当なら、この講演は必ずしも気分がいいものではないと想像される。
 ところで、パリ事務所は一時期閉鎖の準備が進められていたが、そうはならなかった。組織の効率運用を目指す日銀としては、海外事務所網については、北京事務所新設に伴って存在意義の低下したパリを閉鎖する方針だったと言われる。拠点の配置方針としてはメリハリのある正しい判断だが、これがなぜひっくり返ったのか。この謎を探ると、「福井日銀」の一面が浮かび上がってくる。この問題、ちょっとタブーなのであまり触れないほうがいい。
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# by bank.of.japan | 2005-01-07 12:31 | Comments(0)
あけましておめでとうございます
遅まきながら、あけましておめでとうございます。
正月は久々に南九州の故郷で過ごした。
家族にとっては田舎は風光明媚な観光地。温泉や料理に感動しきり。
しかし、田舎には表の顔と裏の顔があるもので、自然への憧れだけで住めるところではない。親兄弟・親戚がそろった飲み会での話題は、地元自治の難しさ。叔父は自治会役員を引き受けるらしいが、複雑怪奇な人間関係に悩みは深刻のようだ。これまで大抵嫌になって役を投げ出した人間も多いらしい。
自然だけを相手にすればいいところで、食えなくなれば帰ってもいいとは思うが、あの超濃い付き合いを考えると、ためらうものがある。
田舎の経済的な風景は、年々国道や公共施設が立派になっていくことが象徴している。財政出動、とどまるところを知らない。近くの町長は、核廃棄物処理場の受け入れを表明。地元有力紙の社説は、所得格差を招いたとして小泉改革を批判、金持ち優遇を改める所得再配分を要求していた。
金融政策へのインプリケーションは、財政のマネタイゼーションの強化であろう。それを改めて実感した帰郷であった。冴えない新年である。
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# by bank.of.japan | 2005-01-06 13:37 | Comments(2)
サイトを紹介
年末年始のあいさつをした直後ながらもサイトを紹介。
http://workhorse.cocolog-nifty.com/blog/
「マーケットの馬車馬」さんが手掛ける経済関係のブログ。
経済の話を一般向けに分かりやすく解説するとの趣旨ながらも、量的緩和政策をめぐってリフレ派の方との間で行われた一連の論議は読みごたえあり。
ご本人のコメントを引用させてもらうと、サイトを始めた理由は
「債券市場関係者はほとんど例外なく、国債買えばいいとか、非不胎化介入が有効とかいった議論に強い違和感を持っていると思います。
 私も市場関係者の端くれ(だった者)として、この違和感を何とか代弁、ないしは経済学の言葉に翻訳できないものだろうかと思ったのがそもそもこのブログを始めた最大の理由でした。正直、代弁という点では完全には程遠いと思うのですが、直接マネーマーケットに携わる市場関係者が持っている直感の一部でも説明できていればいいな、と思っています」
とのこと。

リフレ派との対話は宗教論争的なものになりがちで、恐らくこのサイトの読者は「さわらぬ神に祟りなし」との思いを抱いているはず。私は以前バーナンキの批判記事を書いたとき、リフレ派の牙城となっている掲示板でひどい批判にさらされたことがある(わがサイトの宣伝を控えているのも狂信的リフレ派の乱入を避けたい、という思いも多少ある)。それだけに馬車馬さんの金融政策論議には脱帽である。リフレ派との論戦は火に油を注ぐ事態になりかねず、応援が難しいが、特に日銀企画の方々、もううんざりかもしれないが、可能な限りの支援を、と願っている次第だ。
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# by bank.of.japan | 2004-12-30 17:04 | Comments(3)
来年もよろしくお願いします
このブログを始めてわずかな月日ですが、今年閲覧して頂きありがとうございます。年末年始はやや長めに休み、しかも超僻地に帰郷するため、場合によってはしばらく更新ができないかもしれません。遅くとも年明け6日には復活しますので、来年もよろしくお願いします。
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# by bank.of.japan | 2004-12-30 13:58 | Comments(1)
量的緩和の説明責任
について日経金融BOJウォッチャーが取り上げている。
結論は既に山口泰前副総裁が言っている(効果がない、と)。
問題は、デフレ脱却が不透明なうちに結論を言うと、次に景気が悪化したときに演技的にせよ、打てる政策がなくなってしまうことだ。最近会った幹部らは景気はともかく解除条件の達成には懐疑的。福井総裁の任期中は絶望的ではないか、との声すら聞かれる。
 本音を言うのは簡単だが、現実の世界で揉まれていく日銀としては、空虚ではあるが、政策演技するための手段を必要としている。これを前提にすれば、今後検証リポートが出る場合にどのような内容になるかは想像がつく。量的緩和に「何がしかの効果」を認めることだ。
 そのようなものが出た場合、山口氏に感想を聞いてみると面白いかもしれない。根回しされていたら意味がないが…。

 
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# by bank.of.japan | 2004-12-29 11:26 | Comments(2)
世界経済はゴーイングコンサーン
通貨マフィアとして名をはせた偉い人にインタビュー。不均衡を抱えた世界経済の見通しを聞く。結論は「problem is so clear, but solution is so remote」。米国の過剰消費や双子の赤字を始め、各国が抱える構造問題などは今ほど明確になったことはないが、解決はとても容易ではない。従って、現実的にはそれぞれがゆっくり対応していくしか選択肢はない。危うい均衡の経済の宴は「まあ、あと一年ぐらいは続くだろう」とのことであった。そこから先の中長期展望は…、暗い。

追記 偉い人によると、とても強力な輸出製造業の中には1ドル=87円でも利益が出るところがあるのだそうだ。ちなみに当該企業の社内レートはプラス20円程度らしい。凄い…。
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# by bank.of.japan | 2004-12-28 12:56 | Comments(0)
木村氏の行方
 木村剛氏はネットの世界では「キムタケ」と呼ばれ、株主となっている銀行のゴタゴタなど最近は失点が多い。ブログ上でも、ネット界の雄である「切込隊長@山本一郎」氏にも鋭く突っ込まれるなど、旗色は悪くなりつつある。この点、日銀も相当に情勢の展開には注意を払っているのが実情だ。
 個人的には、突っ張った正論を吐いていた昔の木村氏には好感を持っていた。ビジネスへの関わりが深くなるにつれ、発言には違和感を覚えるようになった。日銀内では「剛ちゃん」と呼ばれ、今でも中堅・若手の間では慕う向きが多いが、彼らにしても最近の木村氏には違和感を覚えているはずだ。
 ベンチャーキャピタルに近い金融をなぜ銀行という形でやったのか。預金保険制度を利用して低利の資金調達を行い、それを元手にハイリスクな運用を行うのが実情なら、モラルハザードの感が拭えない。批判されている彼を見るのは、実は残念で仕方がない、というのが本音だ。日銀は心配で心配で仕方がないだろうが…。
 
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# by bank.of.japan | 2004-12-27 20:50 | Comments(4)
政府と日銀が久々に協議
協議は5月21日以来、4回目。福井日銀誕生の際、政府との協議開催は目玉の一つだったが、その後は景気がとりあえず回復傾向をたどってきたため、開催意義は薄れた感が強い。本日も、総裁・副総裁らが雁首そろえて官邸に来た、と聞いて一瞬何事かと思ったが、「例の協議じゃねえか。何だ、まだやってたのか」と存在すら忘れていたほど。首相はもともと経済の込み入った話には関心がなく、最初はともかく、協議を重ねるにつれて雑談が多くなっているようだ。今日もそうだったのだろう。もっとも、来年になって景気が立ち直らないようだと、この手の協議はまた注目の的になるのは間違いない。日銀は春にはIT調整は終わると見込んでいるが、果たしてそうなるのか。そうなればいいが、日銀って運が悪いからなあ…。
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# by bank.of.japan | 2004-12-24 17:54 | Comments(3)


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