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Friedman on Japan=クルーグマン教授の量的緩和否定論
 メルマガのご案内。今度のテーマは「展望リポートと白川日銀の変身」&「NY連銀の対話」、解説は「リフレ政策の時間差波及の難題」を予定しております。解説は少しwonkish。私の履歴書も続く見込み。お知らせもあります。こちらです。

 表題はクルーグマン教授のエントリーより。

 別なところでフリードマンの主張が紹介され、それに教授が反応したものだが、内容は“流動性の罠”ではベースマネーを増やす(=量的緩和)ことをやっても効かない、というお馴染みのもの。

・フリードマンの主張(かつて日本について書いたこと) 
日銀は公開市場操作で国債を買い、銀行のリザーブを増やしてやれば、ローンなど増えるだろう。そうしてもしなくても、マネーサプライは増えていって、1年やそこらで経済は拡張していくのではないか。

・これに対するクルーグマン教授の見解
 Well, they did that: staring in 2000, the BOJ nearly doubled monetary base over a period of 3 years.
And the money just sat there. Banks did not, in fact, expand loans.
In fact, Japan’s experience is a key element of the case against monetarism.
Just printing notes does not work when you’re in a liquidity trap.
→日銀は実際にそうして3年でベースマネーをほぼ倍増したが、このマネーはリザーブに滞留したままで、銀行はローンを増やさなかった。実際のところ、日本の経験はマネタリズムに反するものだ。流動性の罠ではプリントマネーしても効かない。

補足 プリントマネー(札を刷る)は、札をばらまく、という印象を与えるが、これは「お金をくれてやる」という行為ではない。公開市場操作で国債(ほぼお金に近いもの)を買うのは、銀行に金をくれてやっているわけではない。この点、FRBが国債を買うのも、金をばらまいている(ヘリマネ)わけではなく、金融システム内でリザーブをじゃぶじゃぶさせているに過ぎない。米銀がこのリザーブを元手に投融資を活発化させるかどうかが、つまりポートフォリオリバランスが働くかどうかが鍵を握る。&国債購入で金利が仮に下がり、それで企業・家計が反応して消費をするか、がポイント。
by bank.of.japan | 2010-10-30 00:25 | FRB&others | Comments(1)
The Nipponization of Ben Bernanke
 先般のバーナンキFRB議長の講演に対するクルーグマン教授の批判である。FRBの日銀化を揶揄する一連のシリーズが続いている。デロング教授の批判に相乗りした今回のエントリーは、バーナンキ議長の講演内容が従来よりは緩和に積極的であることは認めながらも、以下のように批判している。

「But with unemployment near 10 percent and headed up, core inflation below 1 percent by most measures and headed down, the Fed is edging toward modest action, while worrying about the risks?」
失業率が10%近くで、さらに上昇する一方、コアインフレは1%を下回る中、FEDは非伝統的政策のリスクを心配しながら、ちょっとした緩和策に漸進しているだけじゃないか。

 で、今回もまた日銀と同列視である。ちょっと違うと思うが。
「What I have always suspected is that the real risk the Fed fears is that it will do unconventional stuff but fail to move the economy, and hence lose face — which was the primary reason the Bank of Japan was so unwilling to act back when Professor Bernanke used to criticize it」
 私が思うに、FEDが恐れている本当のリスクは、非伝統的政策をやることではなく、やっても経済を動かせず、面目がつぶれることじゃないのか。これって、バーナンキ教授が批判していた頃の日銀が緩和を渋ったのといっしょだろう。
→日銀は非伝統的政策(=量的緩和)が効かずに恥をかくのを恐れたのではなく、もともとあまり効かないと思っていたので、漸進主義だった。

クルーグマン教授にはまあどちらでもいいのかもしれない。とにかくすぐやれ、ということだろう。

 個人的には、ゼロ金利下の金融政策は“演技的緩和”を除けば効力は非常に限られるので、FRBの漸進主義的な緩和政策(かつての日銀)はいいのではないか、と思う。バーナンキ議長としては、かつての日銀批判で“ヘリコプター・ベン”との異名もあるので、引き続きヘリマネーやらないことへの批判は受け続けるのだろう。

 日米中銀、いずれも緩和が漸進主義で、実効性の面では(クルーグマン教授的には)目くそ鼻くそなのだけど、外為市場はこの「くそ」の差に反応してドル安(円高)基調ということだろう。この差による」円高に耐えられない」のなら、中国を見習って堂々と為替操作国を宣言するしかない。金融政策はトリレンマに陥るので、財務省の通貨政策が日本の金融政策となる。それとG7からの脱退が必要となる。
by bank.of.japan | 2010-10-17 17:34 | FRB&others | Comments(4)
メモ 為替操作を簡単&合法的に止めさせる方法&クルーグマン教授の介入論
 介入関係で二つのブログをメモ(少し古いです)。それれぞれ簡単に考察。

・Economist's Viewより
"The Easy and Legal Way to Stop Currency Manipulation" 

 中国に米国債や日本国債を買わせない、という方法。自国通貨を低めにしていると、恒常的な外貨買いが発生する。その運用手段を遮断してしまえば、外貨を買っても運用できないので、外貨買いはなくなる→人民元は上昇する、というロジックであろうか。ただ、迂回して買えるかもしれないし、別な通貨、場合によっては金とかで運用するかもしれない。考え方としては面白いが、実現性はどうなのだろうか。いろいろ抜け穴があるように思える。


・クルーグマン教授より
"A Note On Currency Wars"

 流動性の罠に陥ると、相互に介入しても意味がない、のはそうかもしれない。日銀B/Sと外為特会を連結した上で、米国との相互介入を考えてみる。日本が1兆円相当のドルを買う一方、米国が1兆円相当の円を買う。それぞれ単にアセットサイドがスワップされた形で、負債側でリザーブが増えるが、流動性の罠では金融システム内でマネーがアイドリングしている状況になる。
 アイドリングしてもいいから、何らかの意味があると思えばやったらいいかもしれない、といった程度か。日本は円安になれば利上げ論が出て、円高では緩和論が出る。つまり、それほど為替が重大視される風潮が強いので、中国のようにペッグか、またはバンド誘導で上限・下限で金融政策はトリレンマにする、のがいいのかもしれない。いっそドル化という手もある。少なくとも対ドルで騒ぐ必要はない。自動的にバーナンキが金融政策を担うことになる。
by bank.of.japan | 2010-10-10 00:02 | マーケット | Comments(0)
“包括緩和”を決定=金融緩和のガラケー的発達
 日銀が本日の決定会合で金融緩和を決定。声明文&会見では「包括緩和」と称された。思いつつままの雑感は以下の通り。余裕があればメルマガ(臨時)でポイント的な解説を行う予定です。

・緩和演技としては期待以上。いろいろなパーツを盛り込んできた
・総裁も会見では「教授」にならないように慎重に答弁
・金融市場(金利系)に一番効くのは「時間軸」の強化。(実質)ゼロ金利を永遠なれ…の感
・政策金利はバンド誘導。FRB方式。変動させれば市場機能はちょびっと生きる
・信用緩和部分と量的緩和部分をバーチャル基金化
・幾つかの点で一線を飛び越える
・また43条ですか(そして、ここでも一線越えたところあり)

 総評。外野がうるさいので、幾つかの武器を同時に装備した感があり。しかし、理屈を練って、オペをひねり出すオペレーション能力は相変わらず高度。結果的には、一般の方々にとっては、ロジックが複雑・怪奇化し、まあ金融緩和のガラケー的発達であります。量的緩和と信用緩和を合体した「包括緩和」のネーミングがいまいちなので、『ハイブリッド緩和』っていうのはどうだろうか。新CE2とか?
by bank.of.japan | 2010-10-05 20:28 | 日銀 | Comments(5)


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