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「むちゃくちゃな話に(日銀は)耳をかさないように」=共産党・大門先生にしびれる
平成22年04月13日、参院・財政金融委員会の日銀半期報告。共産党の大門実紀史先生の一言にしびれた人は多かっただろう。国会議事録にアップされたので、発言部分を以下に記したい。個人用メモとして。

「…この間株価がちょっと戻ってきたと。もうのど元過ぎればといいますか、また行け行けどんどんみたいな今日も発言がありましたけれども、日銀に対してもあれやれこれやれと。金を買えですか、金を買えとか土地を買えとか、もうしまいには原油を買えと言い出すんじゃないかと思うぐらい、もうむちゃくちゃな話ですよね。ああいう意見には耳を貸さないようにしてもらいたいというふうに思います。
 やっぱりきちっと、のど元過ぎればじゃなくて、あのときの教訓をきちっと引き出さなきゃいけないと。大体、この間もお話ししたことあるんですけれども、あれやれこれやれと言う人に共通しているのは結構資産家の方が多いですね。自分の資産がかなり目減りした、何でもいいから増やしてくれ、戻してくれと、そんな人が中心に言っていることでございますので、世のため人のためなんて、もうちゃんちゃらおかしい話でございますので、その辺も正確に聞いてもらいたいなと思います。
私は、そういう疑問を持ったときに山口副総裁の講演録を読んで大変興味深かったわけでございます。これ、『ユーロマネー』というのはイギリスの雑誌か何かですかね。これ、講演されたのは去年の九月ということですが、私が読んだのはもうちょっとその後なんですけれども、ユーロマネー日本資本市場コングレスにおける講演ということで、金融危機一年、若干の感想ということで、私は今日はちょっと時間がないので、全部私が紹介するわけにいきませんけれども、特にこの中で山口副総裁が言われている、政策当局と市場参加者との間でこれまでの金融危機から得られた教訓を一つの常識として広く共有することができれば、このインセンティブの在り方が変わって市場参加者の行動の行き過ぎを小さくすることができるというふうなことも書かれておられます。
 とにかく規制とか金融技術だけではなくて、もっと、何といいますか、人間が懲りもせず同じ失敗を繰り返すというか、どうしても欲に目がくらんでしまうというか、こういう部分について非常に示唆に富んだことを言われておりますので、大変私興味を持って読ませてもらいました。
 山口副総裁として、あのような金融危機を二度と繰り返さないためにどういうことが重要かという点を二分ぐらいでしゃべってもらえればというふうに思います」


太字は当方で強調。本来、取材では日銀側の答弁に注目しなくてはならないのだが、大門先生の弁は(日銀のをはるかに)凌駕しており、今回もしびれた。
by bank.of.japan | 2010-04-26 18:45 | 日銀 | Comments(3)
最近の調節事情(自分用メモ)&総裁講演
 たまたま調べ物があったので、ついでに自分用のメモとして最近の金融調節情勢を示すデータを。今年に入ってからの金融調節は、全体として新型オペが増加する一方、その他のオペは減少している。当座預金残高をあるレベル(かなりの幅あり)で推移させる中、新型を増大させると、その他オペは減らさないといけない。まあ、そのしわ寄せ度合いの数字。上から順に1、2、3月の末残(単位億円)。

・新型オペ
 64113
 96198
104194

・新型除く共通担保(概算)
20兆
24兆
20兆弱

・CPオペ(現先)
27362
23539
19867

・国債買い現
36029
40034
30039

 インタバンクの資金需給は財政・銀行券等要因で振れるので、末残比較では波が生じるが、まあ全体としては新型が増えてその他が減る格好。今後もこの傾向が強まると思われる。全体の供給残高一定だと、新型とその他の入れ替えが進む。まだ5兆円もある特別オペはゼロになり、CP買いオペは3000億円ぐらいに墜ちるのかな。新型と非新型(普通の共通担保)でいいんじゃないかな。国債買い現減らすとレポ金利はまだ上がるだろう。意図的に資金偏在を作って、偏在間の市場取引を形成する市場機能維持(見かけ上の)。

 白川総裁がニューヨークで講演した。会場は恒例のジャパンソサエティかと思ったが、the Economic Club of New Yorkという伝統あるクラブ。日本人では初めてではないか、という声があった。歴代スピーカーも大物が多い。バーナンキ、トリシェなど。どういう経緯があったのか興味深い。
 講演内容は、白川節の炸裂(相当に気合いが入っている)。何となくだが、コーンFRB副議長のこの間の講演(セントラルバンカーへの課題を述べたやつ)を意識したものではないかと感じた。
by bank.of.japan | 2010-04-23 22:27 | 日銀 | Comments(0)
「日本国債がデフォルトした場合の危機管理について」という田村先生の質問について
 田村耕太郎先生は、その元気で前向きな姿勢は評価しており、頑張っていただきたいのだが、政権与党の先生としては、本日の日銀総裁らに対する以下の質問は状況設定が危険であり、マーケットの地合いによっては今後まずくなるリスクもあるので、簡単に解説したいと思う。

まず質問内容はブログから引用するが以下の通り。

「日本国債がデフォルトした場合の危機管理について。
 論点は幾つかあるでしょう。ただ、ここでも日銀は保有資産の多様化を要するのではないでしょうか。価値の保全と、対応手段の多様化の両面からです。
 また、国債のフォルトの際に、円が信任を失えば、日本企業は海外決済が出来なくなり、即死する恐れがあります。銀行等が保有している国債の残高も大きく、信用不安が急速に進行する恐れがあります。これは、数時間、あるいは数十分で進行するので、事前に充分な検討と、危機管理対策をマニュアル化しておかねばならないと考えます。日銀はそれをやっているのか?やっていないとしたならば、通貨の番人として猛省を求めたい」

 国債がデフォルトするのは、すなわち通貨価値も喪失した状態であり、通貨の番人である日銀はそうならないように番人役を務めている。従って、上記の問題設定は、国家が経済敗戦した際、中央銀行も同様に敗戦するが、それでも敗戦の犠牲者を最小化するリスク管理をせよ、という意味に捉えられる。ご指摘は、例えば民間企業・家計が政府が即死しても生き延びる算段をせよ、というのならまだ分かるが、政権与党(の一員である先生)が経済敗戦に備えたリスク管理を求めると、えっ! 日本経済は即死するの!、とまだ即死していない我々は驚くわけです。
 それから敗戦した中央銀行は、そもそも信用力もなくなっているので、民間金融機関の信用不安を抑えるにしても、供給するお金の価値がないので、どうにもこうにもならんと思われるわけです。言うまでもなく、重要なリスク管理は、敗戦回避のための財政規律(=通貨価値)の維持でありまして、日銀に猛省を求めるなら、敗戦そのものへの猛省であり、即死したときの対応としては、政府は緊急速やかにIMFの支援を求め、我々は預金封鎖・新円切り替えの猛烈なる緊縮に耐えて復興に尽力するのみでありましょう。
 個人的には、そのときは穀物輸入で支払う外貨が枯渇した状態にあると考えられ、企業やら銀行などほっておいて、とにかく国民から餓死者を出さないことを最重要とすべきではないか、と思います。ご指摘のように通貨価値は瞬時に消滅する可能性が高い一方、農業復興には時間がかかりますので、その間のつなぎの食糧確保が重要ではないかと。
 
by bank.of.japan | 2010-04-14 01:06 | 日銀 | Comments(0)
日銀文学はやはり分かりにくいね=「続けている」の含意
 日銀は4月の景気判断を変えた。これまでは「景気は持ち直している」、今回は「景気は持ち直しを続けている」となった。では問題。景気判断は変わらないのか、変わったのか。私は最初、「変わってないな」と受け止めた。でも、各パーツの細かいところが明るめになっていて、表現は変わった(続けているがくっついた)のだから、判断も変わったのかな、と思い、誰かが「半歩前進ですかね」と言ったので、それでいいんじゃない、となった。

 で、白川総裁は会見では「一歩前進」と説明した。変わらないか、変わったか、の質問に戻れば、最初の受け止め方は零点、表現が変わったことに改めて着目した行為は30点、「半歩前進」と誰かが言ったのは75点といったところか。まあ、点数に根拠はないですが。

 景気判断の表現に戻ると、日銀は昨年11月から「持ち直している」を使っている。3月までこれが続いて、今回「持ち直しを続けている」となった。普通の感覚では、ああ、確かに持ち直しが続いてますね、それはそうですね、と思うだけだ。誰も「続けている」がくっつくことで「景気判断が一歩前進した」とは思わない(思った人はいますか?)。なので、国語の問題で「日銀は今回の表現変更で何を言いたいのか」が出されたら、分からんよね。

 ともあれ、「続けている」は「景気判断の一歩前進」を意味するのだが、「続けている」が判断の上方への修正を意味するなら、今後、例えば「回復している」→「回復が続いている」となれば判断の上方修正となるのだが、日銀の人に聞くと「そうするとは決まっていない」のだそうだ。また、同じ表現が何回続くと「続けている」が付くのか聞いたら、「ルールがない」んだそうだ。

 と言うことで、結論としては、日銀文学はやっぱり難しい、でありました。

参考 一応想定問答としては「景気判断を心もち前進させた」という説明を用意していたようだが、総裁は「一歩」と表現した。事務方の想定よりちょっと強めの表現であったらしい。心持ち→半歩とすれば、半歩前進と言ったうちの記者は大正解。まあ、勘でしか意味が分からない表現は悪文だね。
by bank.of.japan | 2010-04-08 21:14 | 日銀 | Comments(3)
最近における中国の不動産価格の上昇について=日銀レビュー
 ツィッターでも紹介したが、上記論文がよくまとまっているのでこちらでも紹介します。
 中国の不動産バブルは1980年代後半の日本と比較されるが、こちらのレビューではむしろマクロ的な状況を考察すると、1970年代に近いとの見解であった。主な論旨は以下の通り。

・不動産取引の実需動向や民間部門のレバレッジをみると、中国の現在の不動産市場は、列島改造論から地価が高騰した日本の1970 年代前半の状況と似ている。
→経済成長の発展段階が日本のこの時期とほぼ同程度であるため。例えば、「一人当たり名目GDP(ドル換算値)をみると、現在の中国は、約3,500 ドルであり、これを過去の日本と対比させると、1973 年の水準(約3,800 ドル)に最も近い」といったことや、成長率の推移、都市部の人口比率などがほぼ同程度であることなど。
 レバレッジについては「中国における債務主体のレバレッジの規模を、金融機関総貸出の対名目GDP 比で
みると、現在の中国は110~120%程度であり、この水準は1970 年代前半の日本に近い」という。

 従って、仮に不動産市場の調整が起きても、70年代の日本がそうであったように短期間で再び上昇する可能性があると考えられる。
 
 当時の日本と中国が異なるのは、地方政府の不動産開発が活発であるほか、外資のホットマネーが流入していることで、これらが今後の不動産動向を見極めるうえでポイントになると考えられることだ、としている。

 このレビューでは言及されていなかったが、人民元が固定化されていることの影響も無視できない。70年代はニクソンショックが起きて、円は大幅に上昇していった。一方、中国の為替は固定化され、その水準は実体経済対比では緩和的であると考えられる。同時に、固定化によって金融政策の自由度は乏しく、窓口指導による不動産融資の抑止力は限られると思われる。この観点も一つのポイントかもしれない。
 
レビューの場所は以下の通り。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev10j03.pdf
by bank.of.japan | 2010-04-01 00:14 | 日銀 | Comments(3)


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