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米経済、「デフレからインフレへ」?&経済天気図=海外ブログより
 海外ブログの巡回で、米経済について「デフレからインフレへ」というのを見つけた。インフレになる要因が挙げられていたので、それらを簡単に検証してみたい。興味ある方はエントリーを直接ご覧頂きたい。
 具体的に挙げられていたインフレ要因は以下の通り。
①終わりのない、抑制なき財政赤字の拡大
②ドル安
③米家計資産が増加に転じた
④拡張する米マネー
 どれも確かにインフレ要因だが、仮にインフレに善し悪しがあるなら、強いて良いのは③であろう。まず、①は確かにインフレ要因ではあるものの、悪性インフレの懸念をはらんでいる。②も似たような側面があり、①と②が同時に発生すると、米金融市場は恐らくはトリプル安となってしまう。よく言われるハルマゲドンのシナリオで、世界経済にとっては最終章でありましょう。起きて欲しくないシナリオである。
 ④は、マネタリーベースの激増であって、これは前にも紹介したクルーグマン教授の指摘にあるように、市場機能の不全に陥ったインタバンクに対するFRBの流動性供給によるものであり、インタバンクに滞留する限りにおいてはインフレ要因とはなりにくい(だから財政出動だとクルーグマン教授は主張している)。
 私は、前回エントリーで紹介したクルーグマン教授の見立てに同意するものであって、需給ギャップがかなり開いている状況ではデフレ圧力が続いていくだろう、と思う。ただ、「デフレからインフレへ」というエントリーが書かれることは、米金融市場にある種のインフレ期待感があることを反映しているのかな、と思った。③がメーンシナリオとなったインフレになるのが望まれるが…。
 The Big Pictureに米経済の現状をよく表している格好の天気図があった。多分、まだこんな感じなのでしょう。
 
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by bank.of.japan | 2009-09-28 20:47 | FRB&others | Comments(6)
雑感を幾つか=エースの話、米利上げ時期、クルーグマン教授など
 このところ溜まっていたネタを雑感的に取り上げたい。

・エースの話 
 14日付の朝日新聞のリーマンショック1年の特集記事。大半はFRBについてだったが、最後の方に日銀の話が。その中で、「(日銀は)7月、信用政策調査という担当を設け、若手エース二人を送り込んだ」とあった。気になったのは、「エース級」という表現。「エース」と「エース級」はまあ違う。前者は一人(&トップ&一番)で、後者はちょっと劣るという感じもある。エースも含めた幅広い言い方でもあるが。「エース級」というのはよく使う表現だが、「俺はエースだ」と思っている人材が「エース級」と評されると気分を害するかもしれない、と思った。なので、私はあまり個別人材の話はなるべく書かないようにしている。誰かをエースorエース級と評することで、別な人を暗に非エースと位置付けることもあるかもしれないから。この手の記事、結構気を使う。当該若手がどう受け止めかは秘密。

・米利上げ時期について
 CalculatedRiskは、FRBは失業率がピークを打って1年半から1年は待つだろうとの前提で、早くても利上げは来年後半、恐らくは再来年だろうとの見方。
 MISH'S Global Economicは上記エントリーを受けたうえで、失業率は再来年にならないと天井を打たず、二番底の恐れもあると悲観的で、まあ当分はないだろうとの見方。マクロビューはクルーグマン教授に同意しているようだ。
 個人的にはMISHの見解に賛同である。

おまけ fedウォッチャーのTim DuyはFRBがタカ派の影響増大で早期解除に向かう可能性を少し憂慮気味だが、この一因になったのは東京市場でも多少話題になったメドレーリポートのようだ。Across the Curveでは、「Smick Medley, that the Federal Reserve Reserve at its upcoming meeting would comment on and discus raising rates sooner rather than later」とか紹介されている。その可能性はかなり小さいように思うのだが…。

・そのクルーグマン教授のマクロ見解
 エントリーはこちら。簡単にまとめると、(テクニカルに)底入れしたかもしれないが、需給ギャップは非常に大きく、まだ財政出動が必要じゃないか、というもの。
 まあ、そうですね。
 
by bank.of.japan | 2009-09-25 21:31 | FRB&others | Comments(3)
貸出市場に対する公的保証の歪みについて=日銀FSRより抜粋(参考)
 亀井大臣は引き続きモラトリアム論を展開しているが、公的保証によって貸出市場はいかに歪められているかについて、日銀「金融システムリポート」(FSR)より抜粋して紹介。市場関係者やアナリスト向け参考まで。場所はこちら

本文19ページあたり。
「(信用リスクと金利設定)
 公的保証付き貸出の増加といった企業金融に対する公的支援の強まりは、借り手企業の信用力を銀行の貸出金利に反映させにくくする効果をもつと考えられる。こうした点を検証するため、以下では、より中長期的視点から、借り手企業の信用力と銀行の貸出金利との関係を分析する。
 過去の長期的な信用コスト率と貸出金利との関係を、銀行のクロスセクションデータから確認すると、両者の間には有意な相関はみられない(図表2-25)。また、企業の債務返済力を債務償還年数で測り、これと借入金利子率との関係をみると、債務償還年数にはばらつきが観察される一方、借入金利にはほとんどばらつきがない(図表2-26)。2000 年代入り後、中小企業においてはこの傾向が顕著になっていることが窺われる。これらの分析結果は、金融機関が企業の信用リスクに応じた金利設定を、全体として行ってこなかったことを示していると考えられる。
 その背景の1 つとして考えられるのが、1990 年代末以降、中小企業向け貸出を活性化する目的で導入された各種の金融対策である。この影響を考察するため、中小企業向け貸出に占める公的保証付き貸出の占める比率を業種別に確認すると、債務償還年数が長い業種やデフォルト率の高い業種では、公的保証比率が高い傾向がある(図表2-27、2-28)。
 公的保証は民間金融機関の金融仲介機能を補完し、特に企業倒産を抑制する効果がある。反面、銀行が借り手の本来のリスクに見合った貸出金利を設定できない状態を長期化させ、銀行の基礎的な収益力を低下させ、経済全体の資源配分の効率性に歪みをもたらす可能性がある。
 今回の分析結果が示唆するように、わが国の銀行貸出市場は、価格メカニズムを通じた効率的な資源配分という点で、機能面に大きな課題を抱えているといえる


太字は私によるもの。

 個人的には、これに加えるに、構造的な側面として、オーバーバンキングや小うるさい金融行政、銀行を公益法人とみなす風潮、報道等なども貸出市場を圧迫しており、日本の貸出利ザヤが世界的に異常に低い、つまり銀行はNPO化状態にあると思われる。だからノンバンクが叩き潰されたのである。
by bank.of.japan | 2009-09-21 12:20 | 金融システム | Comments(21)
ゆうちょ銀行の今後についての考察
 亀井氏が郵政問題・金融担当相となって、マーケットではゆうちょ銀行の行く末が案じられている。幾つかシナリオを考えてみた。古い読者の方はご存じのように、私は郵貯の民営化には反対であって、肥大化した公的金融の是正はいきなり民営化という無謀な方法ではなく、とりあえず預金受け入れ限度額を段階的に引き下げていけばよい(民営化するかは縮小させてから考える)というスタンスであった。つまり民主党案ですね。

従って
①ゆうちょの民営化を停止。預金受け入れ限度額を引き下げていく。
これは、私にとってはオリジナルの改革案になる。これまでの民営化作業は無駄になるが。

②民営化停止。預金受け入れ限度額を始めとして現状維持。
これをずっと続けるなら業務多角化は止めるべきでしょう。

③民営化停止。国民向けサービスの充実と称して業務を多角化。財政悪化に対応して預金受け入れ限度額を引き上げ。
これは民間にとっては最悪のシナリオ。公的金融の肥大化に拍車。業務も多角化すると、民間金融はますます儲からなくなり、いっそ民間銀行全部を国有化した方がいいかも。

 あっ、それから民営化しないならインタバンクで泳がせるのは止めて、資金需給的には財政等要因に入れ直し、日銀が調節で対応する形に戻す必要がある。この場合、何が起きるかはまた別の機会にでも。
by bank.of.japan | 2009-09-16 21:11 | マーケット | Comments(9)
民主党・峯崎先生の政投銀JAL向け融資の厳しい追及=参考まで
 先週末からデルタやらの報道でJAL周辺が騒がしく、そういえば民主党の先生が国会でJALへの政府関与を問題視していたなあ、と思ってちょいと調べたら、6月23日、参院・財政金融委員会での峰崎直樹先生だった。質疑はかなり長いので、関心ある方は、議事録を直接ご覧頂きたい。取りあえず先生の質問を中心に簡単に紹介したい。答弁をほとんど飛ばしての紹介ですので、話はつながりません。あしからず。

○峰崎直樹君 この金融危機対応融資というのは何で、これが本当に日本航空に該当するのかどうか。よろしいですか、責任持って、今日は本当は大臣、所管の大臣がよろしいんですが、これはもう大臣、副大臣一体だと思って私はこれは厳しく質問させていただきますのでお答えいただきたいんですが、日本航空は、この金融危機対応融資というものは基準があるはずですけれども、その基準に該当するんですか。

○峰崎直樹君 いやいや、基準は何なんですかと聞いているんです。今は、ちょっとお話を聞いていると、国際的な金融危機がもたらした金融危機に対して、それの影響を受けた場合は該当する。日本航空はそれに該当するんですかどうですかという、その基準を聞いているんです。今回、そうなんでしょう、金融危機対応融資なんでしょう、それは何なのかと聞いているわけですよ。

○峰崎直樹君 それではお聞きしますが、この会社に対する経営分析というものは、三大臣が集まられましたけれども、きちんとやられたんですか。

○峰崎直樹君 そこで、日本航空、これ見てください。もう〇六年七月の強行公募増資、これは大問題だったとここでも大分追及しました。これ、一千四百八十五億円です。そして、〇八年三月期、去年の三月期ですけれども、三月に一千五百三十五億円の優先株による第三者割当ての増資を行って資本増強して、去年の三月にはそこに書いてありますように四千七百十億円まで自己資本がある意味では増強したわけであります。
 ところが、〇九年、今年の三月期には純資産は千九百六十七億円まで実は激減していますね。その原因は何なんですか、国交副大臣。

○峰崎直樹君 二千億円も超えるような大損をこの一年間で実は出してしまったということですわね。これは大問題だと。まあ今日は恐らく株主総会で問題になっているんですが。
 これちょっと事前に聞いていませんでしたけど、全日空も同じようにこういうヘッジの損を出しているんですか。局長、もしよければいいですよ、航空局長。

○政府参考人(前田隆平君) お答え申し上げます。
 全日空も同様の燃油に関するヘッジは掛けております。

○峰崎直樹君 どれだけ損なの。

○政府参考人(前田隆平君) ちょっと申し訳ありません、金額ちょっと今持ち合わせておりませんが、全日空についても同様の損失というのはある程度計上していると思います。

○峰崎直樹君 じゃ、金融庁に聞きますが、内藤局長、いわゆるヘッジ会計というのは、こういう損をした場合はどういう扱いになるの。

○峰崎直樹君 じゃ、内藤さん、何年掛けてこれやれるようになっているの、基準は。何年から何年で。今基準を言っているんだ、何年。ああ、分かっているの。じゃ、しゃべって。

○峰崎直樹君 それじゃ、国土交通副大臣に聞きますけど、これは何年で日本航空はやろうとしているんですか、この三月期決算も出ているわけだから。分かりますか。分からなかったら、ちょっと速記止めて。

○委員長(円より子君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○峰崎直樹君 何か都合のいい会計基準ですね、これ。
 局長、時価会計のとき随分議論しましたよね。未実現の利益を、金融資産のですよ、実現もしていないんだから、そんなもの時価会計で表に出してPLにヒットしちゃ駄目だよというふうに言っても、いやいや、これはもう世界的な基準ですからと。
 今のも、三千三百十五億円、これだけ引き当てていない実質債務ですよね、これ。ただし、今は起きていないかもしれないけれども、万々が一、これ、この企業が倒産をしますよという、まあ、ならないと思いますけれども、そうなったときにはこういう問題は一気に露呈してくるわけでしょう。そうしたときに、いや、これからの退職の予定はとかと言っているけれども、ここで副大臣、今堂々と、いや、これだけあるけど大丈夫だとおっしゃったけれども、会計には保守主義の原則というのがありますよね、保守主義の。東京電力でもうお詳しいと思うんですが、そういう観点から立ったらこれまずいんじゃないですか。どうですか、副大臣。

○峰崎直樹君 つぶれたらどうするんだという私の言い方というのは、この会計というのは退職給付会計でしょうと、これがそういう、保守主義というのは最悪の事態をやっぱり想定するわけでしょう。だから、その最悪の事態を想定したときにこれは実質債務超過でしょうということを私は今副大臣に、これ実質上債務超過なんですよ、実質。いや、現実の債務超過かどうかというのは、その適用をするかしないかという問題あるけれども、やはり会計基準というのはできる限り保守主義の原則で、この経営がゴーイングコンサーンになるように持っていかなきゃいけないというのが私はその立場だと思うんですよ。そのことからすれば、これは問題ありませんかということを言っているのに、いやいや、私たちは再建します再建しますという、その心意気は分かるんですよ。
 私、何言っているかというと、この問題について責任がもう今度は問われるんですよ、政府も、債務保証するわけですから。

○峰崎直樹君 国土交通副大臣、今回、マイレージ、どのぐらい残っているかということについての数字の把握はされましたか。

○副大臣(加納時男君) この話は二つありまして、まず実態でございます。このマイレージの付与や利用の実態については、開示すると他社との関係において営業上不利に働く可能性があるという理由でJALは開示していないというふうに私どもは聞いております。
 これを今後どうするかということでございますけれども、もう一つの問題、会計上どうなっているのかと、これ大事なところだと思います。そのことについては、所要額を貸借対照表上負債として計上するということでございます。

○峰崎直樹君 なぜ開示してないんですか。

○副大臣(加納時男君) これも私、非常に関心があっていろいろ聞いているところでございますが、これは実際にマイレージの利用させ方はかなり営業機密のようになっておりまして、各会社で知恵を絞ってやっているようなんですね。
 ですから、会計上できちんとしなきゃならないということは我々はもちろん言いますけれども、この利用の実態については実際どういう、特典の付与の仕方ですね、そういうものについてはかなり機微に触れるような、何というか、各社のノウハウがあるんだというふうに聞いております。

○峰崎直樹君 今から何年か前にパンナムという会社が倒産しました。事実上、これマイレージ倒産だと言われたんですよ。それぐらい実はこのマイレージというのは企業経営にとっては大きいんですよね。

○峰崎直樹君 その異例にやるときの、皆さん方がそういうことをやるときの法的な根拠、どこにあるか説明ください。

○副大臣(加納時男君) これは、私どもは航空法等に基づきまして航空会社に対して指導監督する責任を負っているというのが根拠になっております。

○峰崎直樹君 そうすると、指導監督ができるということは、ほかの省庁も各業界に対して指導監督ができるということになっていますが、そうすると、こういうときにはもう必ず経営のあれこれ、合理化のあれこれまできちんとチェックするということについての裏付けというのは、そういう設置法に基づいて、そういうふうに書かれていることがありますけれども、それでやれるという理解なんですか。

○副大臣(加納時男君) どこに根拠があるのかと言われるとそう答えますけれども、本心でどう考えているのかといったら、私は基本的に、この自由経済社会において国が私企業の経営に関して過大な介入をすることは許されないと基本的に思っております。今回は誠に異例な措置として、何分これは御理解いただきたいということでございます。

○峰崎直樹君 その異例異例は分かりましたよ。異例なことをやっているということは分かったんですよ。
 今年は三月期は赤字でしたよね。六百三十一億円の赤字でした。来年の三月期は、JALの経営改善計画というか、経営改善を努力しますということを前提にして、どのぐらいの赤字だというふうに言っているんですか。

その他または以下いろいろやりとりがあって、峯崎先生の最後のシメは以下の通り。

○峰崎直樹君 終わりますけれども、今のお話聞いていると、やはり、今回は政投銀、これを受けないでもいいんじゃないかというような話になりますので、よく慎重に判断をしていただきたいと思います。
 終わります。

読み物としても面白い。お勧めです。
by bank.of.japan | 2009-09-14 22:03 | マーケット | Comments(18)
「バジョットルール」と「流動性の罠における金融政策」に関するコーン副議長の見解
 FRB首脳陣が興味深いスピーチを行っている。シカゴ連銀・エバンズ総裁の「The Great Inflation 2.0 Debate」はデフレ懸念vsインフレ懸念の論点で面白いのだが、ここではコーン副議長のコメントを取り上げたい。オリジナルのテキストはFRBのこちらだが、Calculated Risk「Fed Vice Chairman Kohn on Monetary Policy」がポイントをまとめてくれているので、それを使います。金融政策ウォッチャーの方々はぜひオリジナルのご一読を。
 コーン副議長のコメントは、コロンビア大学のRicardo Reis教授の論文に反論したものと思われる。Ricardo教授は、日銀マンらによると、マンキュー教授の有力な弟子で、学界では若手ホープの一人のようですね。教授の論文には当たっていないのだが、コーン副議長のコメント内容から察するに、FRBに対しては以下の二点を指摘ようだ(違っていればご指摘を)。
①流動性対応はバジョットルールをかなり逸脱して財政当局への依存を余儀なくされ、中央銀行としての独立性が損なわれているのではないか
②流動性の罠における金融政策として高めのインフレーションターゲットを採用すべきではないのか
 手抜きで恐縮ながら、Calculated Riskが太字で強調した部分などからコーン副議長の見解を簡単に。
①について「金融危機における我々の流動性対応は、いずれもその中味は前例のないものだが、バジョットルールにほぼ沿っている。我々は、適格な担保を取って資金を融通しているし、適切な掛け目を設定している。危機を通じて我々が負ったクレジットリスクは非常に小さい」(バジョットルールは後述)
②について「流動性の罠に陥った際の金融政策は、理論的には高めのインフレーションターゲットを設定して景気が回復してもある程度続ける、というもの(リカードの認識ではそうだ)。だが、モデルの世界はともかく、現実にはインフレ期待の安定化を図るのは難しい課題であり、(物価の)安定性を当然のことと思うべきではない。中期的に一時的に高めのインフレを狙う政策は、望ましい期間を超えてインフレ期待を変化させる可能性があり、そうなったらインフレ期待を元に戻すコストは非常に大きいものとなろう」
 この見解をバーナンキ議長も共有しているかどうかは不明だが、インフレターゲットに否定的な考えとしてはかなり踏み込んでいるのではないかと思った。

バジョットルール=金融危機時でも、①優良な担保を前提に、②ペナルティレートで、③あくまでも健全な銀行を対象に流動性を供給する。
 まあ、実際はルールを突破しているんじゃないか、というのが大方の見方でありますが。それに財務省のバックアップがあるにせよ、結果的には国債も買っており、財金融合状態ではないかとも思われる。日銀もバジョットルールをやや踏み外しているんじゃないだろうか。
by bank.of.japan | 2009-09-11 21:54 | FRB&others | Comments(4)
英量的緩和をめぐるAliceとMarkの不思議な会話
 量的緩和(or信用緩和orハイブリッド型)なる金融政策は、金利の上げ下げとは違って、一般的には分かりにくいもので、議論が噛み合わないことが生じ得る。日銀の量的緩和は「量」(=当座預金残高)にターゲットを置く→これを増やす→緩和である、とまだ分かりやすかったが、現在の英米中銀のはメカニズムにファジーさがあって、余計に分かりにくい。案の定というか、欧米金融系のブログで噛み合わない事例があった。
 具体的には、有名処のブログからもリンクが張られているUK Bubbleである。これを書いているのはAlice Cookさん。最新エントリーの「In August, QE hit the economy」の内容をめぐってコメントしてきたMarkとの対話が噛み合わないのであった。Aliceの主張とMarkのやりとりは以下の感じ(超訳)。
Alice 「8月はBOEのリザーブが減ったわ。これは銀行がお金を引き出したから。BOEは何も言わないけれど、銀行がやっと(引き出したお金を不動産に)融資することに違いないわ。住宅バブルが起きるかもしれない。BOEはちゃんと対応できるのかしら。国債売ったら大変。金利が急騰してまた不況入りするかも」
Mark 「量的緩和がそんなに効果があると思わないがね。君の理論『BOEはプリントマネーしていない。国債をお金に換えているだけ』が正しいなら、ここで言っているリザーブと不動産の関係は嘘だろう。さもなければ量が増えた時期に不動産は急落して、減った時に急上昇するんじゃないか」
Alice 「Mark、BOEはお金を創出するの。でも、そのお金が(BOEの)リザーブにある限りは何も起きないの。銀行がお金をリザーブから引き出して初めて信用が創造されるのよ。で、そのお金は不動産市場に行く可能性があって、そうなれば不動産は上がるでしょ」
 量的緩和下においては、量(=リザーブ)の増大が緩和で、減少は引き締めとなる。この点、Aliceは量を増やしても意味はない、減って効果が出る、という不思議な理解をしていて、それ故にMarkと噛み合わず、その他から厳しい突っ込みを受けている。
 もっとも、量の増減の受け止め方はいろいろで、日銀が初めて量的緩和をやったときも、意外な質問を受けたりした。つまり、「銀行がお金を日銀にどんどん積んだら、世の中からお金がなくなって引き締めじゃないか」というもの。
 まあ、金融政策運営の観点から一つ言えることは、非伝統的な政策は対外コミュニケーションにおいて難がある、ということだろう。いやはや。
by bank.of.japan | 2009-09-10 21:59 | ユーロ | Comments(9)
米連銀ブログは西村日銀副総裁の講演が気に入ったようだ
 国内政局に追われて海外ブログのチェックがややおざなりになっていたのだが、久しぶりに見たアトランタ連銀のmacroblogで西村日銀副総裁の講演が取り上げられていた。この「Words of wisdom from the South and East (way South and East)」というエントリーである。筆者は同連銀のアルティグ(Altig)調査統計局長で、この講演がいたく気に入っているようである。
 アルティグ局長、このところジャクソンホールやブラジルなどでのコンファレンスを転戦。その中で、最も感銘を受けたのがDr. Nishimuraの講演であったようだ。具体的には、西村副総裁が整理した非伝統的金融政策を考える上でのポイントや、やってはいけないリストで、これらは「a great starting point for conversation 」と評価している。
 非伝統的金融政策の考え方などは白川総裁も指摘しているので、ここでは「Five Don’ts in Assessing Unconventional Policies」(非伝統的政策の評価でやってはいけない5つのこと)を紹介したい。
1 中央銀行のバランスシート(B/S)規模のみを金融緩和を図る尺度にしてはいけない
2 (非伝統的手段によって)介入対象となっている市場だけに集中してはいけない(意訳→全体を見る必要がある)
3 セーフティネットの価値を過小評価していはいけない
4 国や地域の違いを無視してはいけない(一つのやり方で全部に対応する方法はどこにも通用しないかもしれない)
5 物事が元の状態に戻ると思ってはいけない。
 macroblogはかねてから考え方など日銀化している印象があって、これはアルティグ局長の趣味なのか連銀全般に通じる傾向なのかはよく分からないのだが、まあ日銀の情報発信がきちんと受け止められたエントリーなのだろうと思った。西村副総裁、アルゼンチンまで行った甲斐がありましたね。講演があったのは知っていたのですが、実はまだ目を通しておりませんでした。このエントリーで内容を知った次第です。すいません。改めて読みます。日銀ホームページの講演はこちら。邦訳あると楽なのですが…。
by bank.of.japan | 2009-09-08 22:15 | FRB&others | Comments(0)
BIS自己資本規制強化の考察=取りあえずは景気に配慮
 BISのバーゼル銀行監督委員会が自己資本規制の強化で合意した。夕刊では各社報じているが、日銀仮訳のプレスリリースはこちら。予想された通りに優先株が多い邦銀には厳しい内容となったが、取りあえずは景気への配慮がなされたのは一安心であろう。具体的には以下のところ。
 「実体経済の回復を阻害しないよう、これらの新たな措置を段階的に導入するための適切な実施基準が策定される」
 これが景気が十分に回復して段階的に実施する、という意味であるならば邦銀への影響は大したことはないのではないか、と考えられる。景気が回復していれば株価も安定or上昇基調となっており、ブルマーケットであるならば邦銀の自己資本強化に伴う株式の発行も容易に消化される、と考えられるためだ。
 ただ、個人的には今回の資本強化は、欧米監督当局のある種のポピュリズム的な対応ではないか、と思っている。各国とも金融機関に対する公的資金注入は国民から非難されており、特に英米では政権運営が厳しくなっている。金融規制は政治的パフォーマンスとして強化せざるを得ず、行政当局も監視体制が不備であったことが露呈しており、規制強化に動かざるを得ない。逆説的には、監督の失敗を規制強化にすり替えている面もないではない。
 邦銀も国際基準行であるなら規制に従うしかないのだが、どうしても窮屈であるなら、いっそのこと国際基準行であることを止めるのも手であろう。国際業務といっても、投資銀行業務で上位を狙うのも非現実的でもあるし、海外業務をやっていないのは少し格好悪いけれども、現地で投融資やっても元々そんなに儲かるわけでもないし、当分海外経済は低成長を続けると思われるので、厳しい規制に耐えてやる意味があるのかどうか。国内回帰して足元を固める、というのも一案ではないかとも思うのだが。
 本気で投資銀行業務(国際的なベースで)をやりたい人は、欧米有力投資銀行の本社採用を目指しましょう。

 「儲けたい」というのは人間の本質的な欲望の一つで、欲望の総量を規制でコントロールするのは無理があると私は思っている。規制で押さえ込むと必ず規制の抜け穴から欲望が漏れ出し、金融を歪ませるものである。禁酒法でマフィアが増長したようなケースもあるし。いずれ規制が窮屈になれば、再び見直すことになるのではないか。まあ、そんな相場観である。
by bank.of.japan | 2009-09-07 22:08 | 金融システム | Comments(4)
民主党政権下の金融政策論戦の焦点
 金融政策をめぐる国会論戦の焦点と見所などについて箇条書きでまとめてみた。

・与党民主党
基本路線→白川体制の生みの親として日銀の独立性を尊重。財政・金融の分離原則を堅持する。
見所 野党時代は日銀を政府に抑圧された存在と位置付けた。低金利政策や国債買い入れは政府・与党にやらされている、という解釈である。大塚先生は下でも紹介したように43条の使い方にも否定的で、低金利については失われた預金利息を日銀に計算させて、その数字を総裁に言わせていた。従って、野党時代と整合的な金融政策は利上げ、国債買い入れの減額、43条乱用禁止といったところか。そこまでやれば筋は通り、野党時代に日銀を与党攻撃の単なる材料に使っていなかったことが証明される。

・野党自民党
基本路線→野党になったので、与党時代からの整合性はどうでもよく、日銀を守る与党を攻めまくる。
見所 攻め方の鋭さが焦点。野党時代の民主党と同じ主張をしては芸がない、というか間抜けになってしまう。嫌みな言い方としては「与党が中央銀行を甘やかすからデフレになる」とか考えられるが、ロジカルな突っ込みが期待される。例えば、インタゲで攻めるとか。この場合、山本幸三先生が先鋒役。金融政策については、小沢鋭仁先生と連携するとか。

総評 残念ながら、与野党を通じて先生方は金融政策に対する関心があまりないのが実情。なので、あまり盛り上がらないかもしれない。それに与野党を通じて低金利は人気がなく、自民党にも低金利批判があったりする。あまりロジカルな論戦にはならないかも。

ということは、やっぱり共産党・大門先生の論陣が最大の見物となりそうであります。
by bank.of.japan | 2009-09-04 19:06 | 日銀 | Comments(8)


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