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FRBのB/S変化と今後の対応=自分用メモ
 個人的なメモも兼ねてFRBのB/S変化と今後の対応を箇条書きで考察。

・流動性供給の微修正で一部手段を削減・廃止。
・今後も市場安定化すれば修正を継続。
・資産サイドでは短期物供給が減っていく。
・一方で、国債やMBSの買い入れが増大。
・B/Sは減少ないし一定でもデュレーション長期化が進展。
・ゲリラー気味の日銀とは違ってFRBは便秘化が進展。スーパー便秘化?
・正常化する際にどうするのか?
・買った国債やMBSの売り切り?
・それが出来ないなら?
・(議会で検討中とされる)債券発行(=日銀売手)で吸収?
・議会が認めないなら?
・準備預金の付利水準を引き上げていく?
・または預金準備率の引き上げ?

いろいろと考えられますね。
by bank.of.japan | 2009-06-29 21:24 | FRB&others | Comments(0)
貨幣(紙幣)廃止された場合の日銀のしのぎ方=保有国債はどうするのか
 しばらく前、貨幣(紙幣)廃止がちらほら話題になっていた。元ネタはこちら。記事に出ていた「one Bank of Tokyo Mitsubishi strategist」って誰でしょうね。知っている方かな、と気になりました。
 このアイデア。文字通りに「紙幣廃止」となれば、どうなるのか。
 政府(&日銀?)がある日、いついつまでに紙幣を廃止する、と宣言する。そうすると人々は…
・手持ち現金を銀行預金に預ける。
・電子マネーにする(価値は預金がバックになるものを想定)。
・紙幣を使う。
・(ヤバイ人は)捨てる。
 といった行動を取る。3年ぐらい前のエントリーでも触れたが、日銀B/Sでは以下の変化が起きる。
・現金が大量に市中から還流してくる。
・負債側の銀行券残高が激減。最後は消滅。
・B/Sは激ヤセ。収益も激減。
で、日銀がフローで食えない場合は以下のような対応が考えられる。
・預金準備率の引き上げ
・B/Sをある程度復元。
・引き上げ率は食うための収益フローが賄える程度へ。

 ここまで考えて気が付いたのだが、紙幣を廃止すると、日銀が見合い資産で持っていた国債が売却される。現金を廃止しても日銀に国債を抱えさせたければ、預金準備率をガンガン引き上げないといけない。このケースでは、紙幣が準備預金に化けるだけですね。
 70兆円以上の現金を廃止する場合、日銀保有国債をどうするかを考えないといけないなあ…。

追記 紙幣廃止、新券に替えても戻ってこない旧券(10数兆円)廃止による収益確保を狙っているのかなあ。
by bank.of.japan | 2009-06-27 21:01 | 日銀 | Comments(21)
某経済紙さんのFRB関連報道で気になったこと
 昨日、今日のFRB関連報道をざっと読んでいたら、「量的緩和」という表現が見当たらなかった。これ、商売柄、ちょっと気になりました。確か以前は「資金を潤沢に供給する量的緩和」となっていたが、今回の関連報道では「資金を潤沢に供給する金融量的緩和」となっておりました。
 政策の表記については、新聞協会的に決まりがあるわけではなく、各社それぞれ考えるという面があるが、使い方がその場その場に応じて流動的であるという風にも考えにくくて、長年この商売をやっていると、表記の変化は何か理由があったのではないかとつい勘ぐってしまう。
 で、そのロジックを考えてみたのだが…。
・FRBは今回、現行政策の維持を決めた。
・量的緩和であるなら量的緩和維持となる。
・ところが、FRBが市場機能の改善に応じて流動性供給を絞ると、量的緩和修正(引き締め)となってしまう。
・実際、FRBは「will make adjustments to its credit and liquidity programs as warranted」としている。
・それに一部手段による供給の圧縮ないし停止を行っている。例えば「the Federal Reserve trimmed the size of upcoming TAF auctions」としている。
 で、供給量が減る可能性がある中、「量的緩和」という表現が使いにくくなった。FRBの出口政策を見据えた表記の出口政策といったところであろうか。

考え過ぎであるならすいません。

ご指摘があり、修正しました。ありがとうございます。量的→金融
by bank.of.japan | 2009-06-26 17:56 | FRB&others | Comments(7)
FOMCは現状維持で良かったと思う=長期金利とのゲーム
 FOMCが現状維持を決めた。景気の先行きはなお予断を許さず、再び下降する可能性があると思うが、対マーケット(特に長期金利)とのゲームという側面ではこれまでの政策を淡々と続けるのが賢明。なぜなら、期待に応える政策をやってしまうと期待の奴隷になるため。国債買入ロジックは事実上の相場介入政策ではあるが、この点はやってしまったものは今さら撤回もできず、ロジックは曖昧にしながら、債券相場は放置プレーとするのは得策でありましょう。
 アラン・ブラインダーが「金融政策の理論と実践」でも述べたように、中央銀行は市場からの独立も確保する必要がある。FRBは過去数ヶ月、荒れるマーケットに翻弄され、国債まで買ってしまい、上述したようにロジックも怪しげになったが、かっといって期待に応えて国債買入増やしたり、時間軸強化とかやったら、荒れるたびに同様の対応を余儀なくされていく。ポジショントークも多いですからね(苦笑)。
 債券市場は、将来的なインフレ懸念や財政悪化観測で売られることがあっても、最終的には資金需給になびく。債券買う金が不足するなら金利は上がるが、今はデフレ基調であるし、基本的に足元では金は余り気味なので、買われるときは買われる。日本も過去20年、財政悪化懸念やら運用部ショックやらVARショックやらで、金利上昇が何度も騒がれたが、まあ低下基調であった。6月金利天井は風土病のようなものではないかと思う。
 ホームバイアスの強い日本とそうじゃない米国を単純比較できないが、後者は貯蓄率上っておるし、金融機関も基本は運用難なので、債券買うしかない。外貨運用しなくちゃいけない各国も、代替運用する通貨はろくにないし、何だかんだドル運用はロールしないといけない。
 債券買われなくなったら、世界は終わりです。逆説的には、金利が上っても、裁定が働いて買われる状況は通貨システムの土台は壊れておらず、ゲームは続行である。みなさん、債券は金利上がったら、淡々と押し目買いしましょう。その方が何とか平時を維持できますので…。
 
 そういえば日銀、資金供給絞り気味の感がありますね。実質積み下調節?
by bank.of.japan | 2009-06-25 20:19 | FRB&others | Comments(4)
雑感を幾つか=人事、JAL、勉強会、お知らせetc
・財務省人事 
 次官人事が出ていた。「同期二代続けての次官は異例」とあったが、もともとの観測に照らせば順当。今後も順当な人事が予測されており、焦点は54年にシフトしていくと観測される。一方、日銀は今年は理事人事も終わっているので目玉はない印象(局長級で少し?)。来年ですね、焦点は。56年が焦点ではないか、と個人的に観測している。静かにTension running high…。

・ナショナルフラッグキャリア
 こちらこちらの見方に同意するものである。「交通インフラ」or「空の象徴」としてそんなに重要なら会社ごと国土交通省の外庁化して職員を公務員化する方が素直ではないかと思った。高給パイロット=高給公務員が許されるかどうかの議論になり、この方が直接的で分かりやすいのでは。

・勉強会
 間隙を縫って都の西北方面の学生さん数名に勉強会やりました。金融調節の配管技術をホワイトボードを使って一から説明するのは、いきなり本題から入る市場関係者との会話とは違ってかなり新鮮でありました。自分の頭も整理されて良いです。オペ職人的なところはなんとか伝わったように思う。頂いた質問の一部に補足。
・日銀にはどんな人がいるのですか、大人しい人が多いのですか?
→大人しいタイプが多いが、中には怖い人もいる。間合いを間違えると大変(苦笑)。賑やかな人もいれば、面白い人もいる。いろいろなタイプがいる。
・東大ばかりですか?
→そうでもない。幹部リストをざっと見たら40%弱が非東大。
・(面接で)理論面で挑むとフルボッコになるのですか?
→日銀諸氏は日々、上司や外部からボコられている。面接では普段のノリで考え方がしっかりしているかどうかを点検をしているだけで、ボコっている意識はさほどないのかもしれない。面接は基本的には人物重視だと思う。
・今読んでいる本は?
→スティーブン・キングの「ガンスリンガー」シリーズ。もうすぐ読破。
余談 一人は高校時代から当ブログの読者とのことで非常に驚きました。

・お知らせ
 試しにツィッター始めました。ときどきつぶやいています。こちらです。
by bank.of.japan | 2009-06-24 22:57 | その他 | Comments(9)
バーナンキ議長、続投できないなら…=私もイエレン女史を推す
 最近、(強面系)日銀OBに会った。そのとき、バーナンキFRB議長の続投の可能性が話題になり、仮に続投しない場合の選択肢を聞かれ、直感的に「イエレン女史ではないか」と答えた。このやりとりを思い出したのは、Thoma教授の「Economist's View」でも似た話題があったため。「Bernanke, Summers, or Yellen? None of the Above?」というエントリーである。
 これはブルムバーグの観測記事をネタにしたもの。記事によれば、一応は議長続投が基本線となっているようだ。ただ、そうではない場合の候補として、サマーズ氏やイエレン女史らの名が挙がっている、という。難局に際しての舵取りは誰がやっても難しいもので、「ポールソン財務省」がリーマン(法的)破たんという大チョンボをやらかしたが、バーナンキFRBは七転八倒しながら尻拭いをした。
 舵取りが難しい局面で、FRB議長を交代させるのは金融市場をいたずらに混乱させるばかりで、オバマ政権としては議長再任が無難な選択肢である。記事によれば、過去30年、議長が最初の任期で交替したことはなく、「Many on Wall Street and in Washington view it as likely Bernanke will be reappointed」とのこと。
 交替を余儀なくされるケースとしては、金融経済情勢が再び悪化し、バブル戦犯としてバーナンキ議長への批判が改めて強まり、FRBへの信認が失われるとき。欧米の金融ブログを見渡すと、バーナンキ批判派は根強く残っており、この手の一派が勢いづく可能性はある。オバマ政権、FRBのチェンジを余儀なくされるかもしれない。
 その場合の筆頭候補はサマーズ氏であるらしい。記事によれば、そもそも「Summers wants the job...」とのこと。なるほど、なるほど。次にイエレン女史。私が女史が推したのは、そもそも民主党系であること(FRB入りした頃はハトが来たと騒がれた)、最近の発言は現実的で、柔軟であること、などが理由。
 Thoma教授の感想は「I'd reappoint him. If forced to choose between Yellen and Summers, I'd choose Yellen」→同感です。サマーズはなあ、ちょっと勘弁という感じです。

イエレン女史=サンフランシスコ連銀総裁
by bank.of.japan | 2009-06-23 22:21 | FRB&others | Comments(10)
我れ運用せざるを得ないがゆえにバブルは起きる?=401kで思ったこと
 うちの会社も確定拠出年金になるとのことで、この間、運用をどうするのか指示を出さざるを得なくなった。出さざるを得ない、と受け身で書いたのは、何も考えていなかったから。いろいろ関連資料が届いていたが、あまり良く見ておらず、そうこうするうちにデッドラインが到来し、分配に関して何らかの指示を出すことになった。まあ、全部定期預金でもよかったのだが、土壇場の数分で少し考えて配分を決めた。
 このとき、ふと思ったのは、私は個人ではほとんど運用していない(余裕がない・苦笑)が、制度的に運用に関与せざるを得ず、こうしたミクロの動きが集積して年金に運用資金が集まり、リターン追求の奔流が形成される、ということ。山に降った雨の一滴(私)が支流に集まり、いろんな支流が本流を形成。そしてお金を託されたマネージャーは許される範囲で可能な限りの利益を追求する。これが時にバブルを起こし、崩壊するのである。
 さて分配である。当分デフレだろうと思ったので、5-6割は定期。と最初は思ったが、それでは芸がないので、MMFにした。あと1割が債券、2割が国内株。残りが外物(株)であった。外の債券はやめた。選択肢のファンドを見たら、半分近くがユーロで、しかもスターリングラードと化している東欧圏が目立ったので。
 各マネージャーに願うこと。MMFさん、日銀が適格CPの利回りを叩き潰したので、買うものないですね(苦笑)。まあ、無理せず金利ゼロに近いものを買ってったらよいのではないですか。債券さんは平準買いでOK(押し目狙っても、みんな押し目狙うので、結果的に金利のブーム&バスト起きるだけです)。株さん、適当によろしく。
 とか、思っているけれども、各マネージャーは運用しないわけにはいかないので、それぞれのフィールドで知恵を絞って運用されるのでしょう。それは他の年金のマネージャーも同様なので、利益追求合戦となり、株とかは時にあれよあれよとバブルに発展しかねないわけです。バブルが起きないためには? 時々わざと損をする? うーん、意図的に損をするというのは結構難しいでしょうね。そういうときに儲かったりして(苦笑)。
 なぜバブルが起きるのか。誰かのせいにしても、基本的には不毛であり、本質的には人は運用する動物だからでしょう。その時の運用ツールによってバブルの形態、スピードが違うということではないのか。そもそも10年以上も先のことなど全然分からない、死んでいるかもしれないのに、(当分はデフレという)目先的な景況感で配分を決めていること自体が相場の短期的波動を強めているのではないか…。
 401kで考え過ぎかもしれない。

追記 簡単に考えた運用ストラテジー。
①ざっくりとしたマクロ経済観はあるが、それに対する株・債券・為替の動向は良く分からない。
②分からないので、定期的に配分を見直していく。
③とりあえず向こう1年。デフレ傾向。短期の流動性高い資産と債券にシフト。
④株&外株は損を覚悟で分配。
⑤一年後に配分見直し。

超長期的にハイパーインフレが起きたら? 田舎で自給自足へ。
by bank.of.japan | 2009-06-22 21:57 | マーケット | Comments(9)
雑感を幾つか=Thoma教授のブログ論、大機小機、日銀・小野田坂道説etc
 ある行事が中止になり、少しまとまった時間ができたので、紹介しきれなかったネタなど雑感的に。

・「Economist's View」のMark A. Thoma教授がしばらく前、「Why Op-Eds?」というエントリーを書いていた。米政府高官(ガイトナー、サマーズなど)はなぜワシントン・ポストとか旧来メディアで意見表明し続けているのか、我々にはブログという便利なツールがあるのだから、ホワイトハウスにサイトを作ってそこで情報発信すればいいじゃないか、という主張だ。ブログ論としてよく聞かれる見解である。
 Thoma教授は経済専門家なので、(フィルターのかかりやすい)新聞で政府高官の見解を知るよりも直接吟味したいと思うのは当然だ。ただ、一般読者はニュースを娯楽的に受け止め、そもそも考えるのが面倒臭いかもしれず、政府高官のブログを読もうとする人はかなり少ないと思われる。教授のエントリーには追記として、政治コンサルタントをやっている娘さんの意見が簡単に紹介されているので、こちらが参考になる。
・有力メディアに意見を載せれば、妥当性があるように見える。
・掲載された見解は、その後ブロガーやリポーターなどが取り上げ、重大性を増す。
・そもそも一般読者など最初から対象ではなく、見解はあくまでもopinion leaders, policy makers and lobbyistsに向けたもの。後はニュースに取り上げるリポーター。

・個人的な取り組み
 Thoma教授の問題定義で思うのは、旧来の有力メディアは消えはしないけれどもプレゼンスはかなり退潮すること。景気低迷も退潮に拍車をかける。一方、教授のような主張は増えていくはずで、これに当局が対応する可能性もあるしれない。ネットメディアは専門性に特化しやすいが、ビジネスモデルはアクセス数という量的拡大路線で、これは旧来メディアと同様の不毛な消耗戦になる。かといってアクセスの質を基準にするのが難しく、展望もなかなか開けない。で、どうするのか。この点、5年近くブログをやりながらいろいろと思いついたアイデアを少しやってみようかな、と模索中であります。
 私の弱点は、長年ブログをやりながらもその技術的側面に弱い、金融経済以外の領域の事情に疎い、といったこと。それでAMNさんの勉強会を参考にしようと思ったが、あいにく抽選に外れた。残念!

・大機小機(土曜日の分)
 パピさん、あなたの若者世代への期待はよく分かるが、そう言われても選挙やったらあなたの世代が圧倒的に勝つのだから、年金などで改革が必要と思うなら、若い世代に訴えるのではなく(指導層でもある)あなた方が動かないことにはしようがないのではないか。全般的なご主張、ご自身の世代のプチ自慢のようで、何だかなあ、と思いました。

・日銀=小野田坂道説
 ふと思い出したので、付け加えます。私は、趣味にはしていないが、自転車には少し詳しい。なので、a-kunさんのエントリーはかなりウケた。「ママチャリに乗ってギアをほとんど使わずに、登り坂を常人離れした高回転のペダリングでぐんぐん登っていく姿は、そのまま日銀の金融政策の姿に直結します」。その通り。通常の短期オペで30兆円以上を達成するのは神業。FRBはどうも日銀がやったのはダサいと思っているフシがあるように感じるが…。
by bank.of.japan | 2009-06-21 13:41 | その他 | Comments(6)
クルーグマン教授、好調です=水準の重要性、楽観論の戒め、インフレ懸念の排除etc
 日銀文学はモメンタムより水準の低さを強調して面白い技を見せてくれたが、しばらくぶりにチェックしたクルーグマン教授もこちらで足下の回復が急でも、そもそも水準がメチャ低いのだからね、と諭していた。日銀&クルーグマン教授、ベースマネーの解釈もそうなんだが、このところますます相通じてきたような感じです(苦笑)。
 クルーグマン教授がネタに使ったのは、住宅着工が前月比で17%急増したこと。着工件数の水準が大幅に減ってしまった後、ちょっとした増加でも前月比の変化は大きい、ということを解説している。
「If we’re building 6 homes a month nationwide, and that goes to 7, it’s a 17 percent rise — but makes almost no difference in real life」
→全米で月6件家を作り、それが月7件になっても、実体ほぼ変わらないだろ。でも、変化率は17%増加なんだよね(チャートで見れば一目瞭然)。
 日銀もこの足下モメンタム(変化)がクローズアップされるのを避けるために文学を駆使したわけですね。まあ、面白おかしくエントリーでは書いたが、付け加えると、ヘッジ文学としては正しい。本日公表した議事要旨(5月21、22日分)で、ある委員が「経済情勢の現状評価について、『上方修正』という方向感のみ強調されかねないことから、情報発信の際には、経済活動の水準評価も含め、丁寧に説明していく必要がある」と述べていた。解釈通りでありました。
 次の教授ネタは数日前のこのエントリー。表題の通り、経済運営はこのままいけ、という主張だ。
 危機的状況が緩和されて、さっそくFRBやオバマ政権に政策転換を要求する声が出たことを受け、教授は(早過ぎる政策転換で失敗した過去を思わせる)デジャブのようで、無視しろ、と指摘している。大まか以下のような論点である。
・主要国が流動性の罠に落ち込むのは今回が三度目。
・最初の1930年代、米経済はいったん回復し、そこで政策転換されて再び落ち込んだ。
・二度目は1990年代の日本。この時も拡大する財政が緊縮化(97年の増税)し、景気はダメになった。
 だから同じ過ちを犯すな、という主張である。まあ、同感です。
面白いのはインフレ懸念に反論する以下のところ。これは前に書いたエントリーの続きみたいなもの。
「What about the claim that the Fed is risking inflation? It isn’t. Mr. Laffer seems panicked by a rapid rise in the monetary base, the sum of currency in circulation and the reserves of banks. But a rising monetary base isn’t inflationary when you’re in a liquidity trap. America’s monetary base doubled between 1929 and 1939; prices fell 19 percent. Japan’s monetary base rose 85 percent between 1997 and 2003; deflation continued apace」
→FRBがインフレのリスクを冒している、との主張はどうすればいい? そんなことはない。ラッファー氏はどうやらベースマネーの激増を見てパニくっちゃったようだ。でも、流動性の罠ではベースマネーの増大はインフレ要因にならない。1929-39年に米国のベースマネーは倍になったが、物価は19%下落した。1997-2003の日本はベースマネーは85%増えたが、デフレが続いただろ。
 日銀諸氏の気持ちは分かる(苦笑)。もっと早く言ってくれ…。
by bank.of.japan | 2009-06-19 20:34 | FRB&others | Comments(0)
政権支持率の低下は咀嚼が難しい=政局×マスコミ×世論のランダムウォーク
 内閣支持率の急落が報じられたが、この結果はやや面食らった。辞めた担当大臣の正義が支持された理由が咀嚼不能でありました。思わず、「俺っておかしいのか」と自問したほどであります。まあ、こちらの方の見解に激しく同意であり、さらにこちらの方の見立てに大きくうなずき、ちょっとさかのぼればプロ筋の見方にやっぱりね、といった感じでありましたので。そもそも、大臣が入札にいちゃもん付けたとき、私はこれで一番得するのはオリックスではないかと思ったほど。だって、リーマンショックで不動産爆落中であり、仕切り直せば高値掴みから解放され、待てば待つほど買い叩けるからである。
 ところが、世論はそうは見なくて、大臣の「正義」を買ったようである。これに関連する報道、見ちゃうと気分が悪いので、あえて避けていたのだが、ときどきチラッと見てしまったテレビの画面などマスコミ的にはおいしい(=絵になる)よなあ、とは思っていた。政局が渦巻く中、おいしい絵を流す報道、そして人は理解したいように物事を理解する、という組み合わせの結果としての支持率であったのでありましょう。
 ランダムウォークするマーケットに理屈で戦うのが時に不毛であるように、この支持率は一つのプライスとして受け止めなきゃいかんのでしょうね。まあ、郵貯民営化に対する圧倒的支持も私は良く分からなかったのだが、その真逆の良く分からないことが起きている、ということでであろうか。私は、ご案内のように郵貯民営化には反対だったのだが、そうは言っても火中の栗を拾った形の西川さんは梯子外されるリスクを背負ってよくやっていると思う。
 政局を意識したパフォーマンスを、表面的かつ単純なおいしい絵柄で笛を吹くマスコミによって、世論のランダムウォークが超増幅された典型的なパターンとしてとりあえず記憶しておきたい。ランダムウォークも超長期の傾向としてはフェアと思われる方向に行って欲しいと願う次第であります。一時的な大きな振れは民主主義のコストということでしょう。
by bank.of.japan | 2009-06-17 21:12 | マスコミ | Comments(43)


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