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「“百年に一度の危機”と騒ぐのは平和ボケだ」について=日経夕刊コラム
 先週の(日付は忘れた)日経夕刊コラム「あすへの話題」で、確か安野光雅氏(画家)だった思うが、興味深い主張をしていた。簡単にまとめると、「現在の不況を“百年に一度の危機”を騒ぐのは平和ボケであって、国全体が焼け野原になり、金もなかった終戦直後を思えば大したことはない」というもの。経済危機に対する覚悟の決め方としては「最強」であるが、この「最強の覚悟」が試される場面で一番困窮するのも安野氏の老年の方々ではないか、と危惧してしまった。
 都市部を爆撃で破壊され、校庭に芋を植えて蔓を食べて飢えをしのぎ、終戦直後は預金封鎖・新円切り替えで金を失った経験を持つ世代にとっては、現代の世界不況は「何が危機なの?」といった感じは受けるかもしれない。安野氏も指摘していたように、とりあえず見渡した風景は、まあ普段通りに見えるし、新聞やテレビは相変わらず消費を煽る広告を出し続けているので。少なくとも、この危機では爆撃機が上空を飛び回って焼夷弾をばら撒くことはないので、「終戦」との対比では全然危機ではない。
 この危機がもたらす最大の脅威は、可能性は小さいと思うが、政府・企業・家計のバランスシートの焦土化である。すなわちハイパーインフレーションによる通貨価値の喪失、帳簿という形而上的な世界で焼夷弾が降り注ぎ、債権・債務が蒸発してしまうことですね。
 で、この状態になったとき、一番打撃を受けるのは、金融資産の大半を抱えている団塊世代以上である。債権・債務のほぼない若い世代が最も打撃はない。債務超過の人々(例えば私)は恩恵被るけれども、中途半端に年を取っていたら(例えば私)、体力ないので生きていくの大変です。いずれにせよ、若者の特権である「体力」が最大の財産となるはず。窮状から抜け出すために戦争を求める、という過激な意見(赤木智弘氏など)もあるが、戦争まで行かずともハイパーインフレはかなり不平等構造をチャラにする面がある、とは言えるだろう。
 この場合、年金も価値をどんどん失うが、これは若年層の負担もどんどん軽くなることになると思われるので、最高の年金改革かもしれない。ただし、実生活は餓死を避けるのが最重要という悲惨な状態になっているので、年金なんてもはやどうでもよい問題なっているかもしれない。この状況、どういう企業が生き残れるのか、よく分からないが、恐らくは生活必需品を提供する企業、その資源を持っている企業などが最強なのだろう。また、田舎で農業を営む体力ある若者が勝ち組となる。

 その他、幾つかの考察点
・終戦時の食糧危機は①鉄道網破壊、商船喪失などによる輸送インフラの麻痺②大量の復員・引き揚げによる人口増③外貨枯渇による肥料などの輸入難-によってもたらされたもので、現代では仮にハイパーインフレになって食糧難がぼっ発しても、短期的なものにとどまるのではないか。
・日本がハイパーインフレ化する場合、欧米など先進国でもぼっ発している可能性が高く、実際にはコモディティに対する各通貨の同時的価値の喪失である可能性が高い。
・もっとも、その場合は資源を持つ国家(カナダ、豪州)は優位となり、米国は資源もあり、軍事力もあるのでドルは意外に強いかもしれない。
・まあ、でも当面はデフレ基調でありましょう。

追記 終戦後まもなく田舎の肥料会社に務めた私の親父いわく、「最初は儲かって笑いが止まらないほどだったが、そのうち輸入制限とか緩和されてブームは去っていった」そうだ。
by bank.of.japan | 2009-04-30 21:55 | 経済 | Comments(19)
赤い新聞(FT)の反省で思うこと=気持ちは分かるが…(追記あり)
 himaginaryの日記さん経由で英FT紙(赤い新聞)のエディターがバブルの危険性を見抜けなかったことを反省しているのを知った。内容はhimaginaryさんがまとめていらっしゃるので、そちらをお読み頂きたい。私自身は、世界の経済報道をリードするメディアとして、木鐸機能を果たせなかったことへの後悔の念は良く分かるが、かといって木鐸意識を強く持つ必要はないのではないかと思った。
 下のエントリーにも関連するが、イエレン総裁が詳しく述べているように①バブルかどうかは優秀な人材が集まった中央銀行でも良く分からない②白川総裁が述べるように破裂してもすぐには分からない-ものであり、「to be the canaries in the mine」、即ち経済メディアが炭鉱のカナリヤのような役割を果たすのは至難の業であろう。バブル生成を察知し、警告まで発するにはメディアが中央銀行や経済学者、金融当局者よりも先読みに関して優秀である必要があり、そうした人材の確保は現実的ではない。
 仮にFTがこれから木鐸役になろうと努力しても、マス媒体である以上、うまくその役を演じられるかは疑問のような気がする。まず世界中にちらばる多くの末端記者が木鐸的な観点を持ちながら取材するのをうまくコントロールできるのか疑わしい。記者はそれぞれの分野でストレートニュースのネタを追っている動物であり、それぞれに木鐸機能を埋め込むのは容易ではない。
 無理に木鐸役を果たすと、恐らくは経済が成長する局面ないしはアセット価格の上昇局面において逆張りの編集方針を取ることになりかねず、このスタンス自体が偏向報道となってマス読者を誤らせる恐れもあるだろう。下のエントリーでもちょっと触れたが、妙に清貧的な風潮を広めるようにも思う。または、オオカミ少年のような存在になって信頼をなくす恐れもある。
 私個人としては、マスコミは得てして人々の期待の振幅を大きくする作用が大きいので、「妙に煽らない」ということで十分であろうと考えている。これは実はマスコミにとってはかなりハードルが高い。「見出しでの勝負」をかなりあきらめる必要があるからだ。大勢の読者の目を引く見出しを無理にひねり出すことはしない、それだけで随分と世の中は静かになるような気がする。
 まあ、この点に関しては、マスコミは読者数や広告料に比べて明らかに超供給過剰なので、そのうちどんどん淘汰され、それに伴って煽情度合いも薄まるので、ほっとけばいいという気もする。この場合、マスコミの寡占化によって情報が統制されるリスクがあるか? 私は心配していない。既にネットが伝統的マスコミを代替する機能があるからだ。情報媒体のバランスが良くなるんじゃなかろうか。

ところで、バーバー氏の以下の書き出しは私もこちらで述べたが、激しく同感です。
「These are the best of times and the worst of times to be a financial journalist. The best, because we have a once-in-a-lifetime opportunity to report and analyse the most serious financial crisis since the Great Crash of 1929. The worst, because the newspaper and television industries are suffering, not only from the shock of a recession but also from the structural shock of the internet revolution」

追記 バブル回避の難しさについては、ご覧になった方も多いかもしれないが、磯崎さんのこちらのエントリーが非常に参考になる。過去データをいくら充実させても、予見しなかった「黒い白鳥」が突如表れてみんなびっくり、ということになると思う。明日は今日と同じ日になる可能性は高いが、しかし違う日になるかもしれない。私の人生はブラックスワンだらけで、もう本当に大変です(苦笑)。草薙君もいつもの酔っ払いになる日が、突如として逮捕されるブラックスワンな日になってしまったのでありましょう。高橋洋一さんもブラックスワン的な運命だと私は思っております。
by bank.of.japan | 2009-04-28 22:09 | マスコミ | Comments(10)
バブルと金融政策の再考=ミンスキー、イエレン総裁、白川総裁
 バブルはなお世界的に崩壊中であるため、その衝撃を可能な限り和らげることが経済政策の最重要課題だが、将来的にはまたバブルが政策課題になるのは間違いない。その時、どうすれば良いのか。心配なのは、崩壊の打撃が余りにも大きいために、過剰なバブル予防が志向されてしまうこと。つまり、「バブルになるぐらいなら不況の方がましだ」という清貧風潮が強まることである。

 しばらく前(昨年秋)、漂流する身体。さんが「ハイマン・ミンスキーとバブルのコントロール」というエントリーをアップしていた。ミンスキーの理論を分かりやすく解説してあり、非常に参考になった。お勧めです。個人的には、ミンスキー的な観点には賛同するところが大きいのだが、問題はやはりバブル生成・崩壊のサイクルを監視・コントロールすることが難しいことである。現行BIS規制が不十分であるなら、監視体制と規制の両面が強化され、さらに金融政策も過度な役割が求められ、これらは結果的には成長抑制方向に働きかねない。

 ミンスキーをテーマにした講演は、今月16日にサンフランシスコ連銀のイエレン総裁も行っている。「A Minsky Meltdown: Lessons for Central Bankers」である。
 「Should central banks attempt to deflate asset price bubbles before they get big enough to cause big problems? Until recently, most central bankers would have said no. They would have argued that policy should focus solely on inflation, employment, and output goals—even in the midst of an apparent asset-price bubble. That was the view that prevailed during the tech stock bubble and I myself have supported this approach in the past. However, now that we face the tangible and tragic consequences of the bursting of the house price bubble, I think it is time to take another look」→中央銀行はバブルが巨大化する前に抑制すべきか? 最近までは多くの中央銀行は「ノー」と考えていた。バブルの最中でも金融政策はインフレや雇用に焦点を当てるべきだと指摘していた。私もその考えを支持していた。しかし、住宅バブルが崩壊して悲劇が起きた今、異なる視点を見る時だと思う。
 さすがにイエレン総裁も従来のバブル放置ではなく、何とか可能であれば制御したいという方向で論じているのだが、金融政策上の対応は色々難しいことが多い、と指摘している。これは私もそう思う。バブルかどうかを正確に察知できるのか、出来たとしても金融政策で対応可能なのか、経済をオーバーキルするのではないか。イエレン総裁の指摘はかなりまとまっているので、興味ある方はご一読を。
 
 白川総裁も23日、ニューヨークで、バブル対応について講演している。この中で、「バブルにどう対応すべきか、という問題は長い間にわたって論争されてきました。一つの立場は、中央銀行はバブルが破裂してから積極的な金融緩和で対応すべきと主張してきました。この主張は、バブルを生成時点で認識することは難しいので、中央銀行はバブル崩壊後にその経済に及ぼす悪影響を相殺するしかないという考え方に基づくものです。しかし、私はこの考え方に対して異論を持っています。多くの場合、バブルは、破裂しつつある時でも認識が難しいものです。しかも、バブルの破裂後に、それまでに蓄積された過剰が解きほぐされていく過程では、現局面でまさにみられているように、中央銀行の金融緩和政策の効果はかなり減殺されます」と述べている。これはかなり予防論に立脚した論点であろう。
 ただし、白川総裁は「金融政策だけでバブルの生成・崩壊の再発を回避できるものではない」と結んでいる。

 恐らく、中央銀行界はバブルに対しては予防論の方向に傾いていると思われるが、果たして方法論があるのだろうか。私は、何度か指摘しているが、引き続き予防論には懐疑的である。従来よりは洗練された手法が監督面も含めて見出される可能性はあり、そうなって欲しいが、十分にバブルを制御できるものではないだろう。多少、早めに対応し、多少資産価格の上下動を和らげることができれば御の字であろう。少なくとも金融政策に過大な期待をしてはいけない。恒常的に引き締めバイアスがかかるからだ。バブルに無関係な経済主体が割を食うからである。
by bank.of.japan | 2009-04-27 22:54 | 経済 | Comments(21)
「ブルガリ割り」に感心した=テレ東番組、その他雑感
 NHKスペシャルは意図的に見なかったが、テレビ東京の「ルビコンの決断」(昨夜10時)は偶然にも見てしまった。リーマン破たんの舞台裏を再現するドラマとか不意に現れたら、まあ避けようがないのです(苦笑)。で、印象に残った(唯一の)シーンは…。
 元社員のタケダ君(仮名)が羽振りの良かったころを回想するシーン(必要性のない場面と思ったが)。以下の感じ。

妙齢の女性が揃った高級?そうなクラブ。
タケダ君は同僚らと接待。
同僚の一人、「新しいカクテルを作ってあげる」とホステスらに豪語。
ホステス、喜ぶ。
同僚、ホステスの酒の入ったグラスを取り上げる。
同僚、時計を外してグラスに投入。
ホステス、驚く。
同僚、「ブルガリ割りだよーん!」
→ブルガリの時計を入れた。驚いたことにホステスが飲んだ。
「これは実話です」というテロップが流れる←思わずワロタ、倒れそうになりますた。
ところで時計のブランドに詳しくないのだが、ブルガリは有名ですか?
酒に入れちゃうと壊れるのですか?
入れたブルガリ、ホステスに上げちゃったのだろうか?

激しく脱力した数十分でありました…。上記シーンもあり、ギャグっぽい印象を受けたんだが…。

その他雑感
・NHKが不可解なまでに大々的に草薙氏の件を報道。その中で、なぜか専門家が「泥酔」を解説。意識がないことを「ブラックアウト」と言っていた。テロップで「ブラックアウト」の文字が出たとき、職業柄か、日銀も来週から「ブラックアウト」になるなあ、と思った。日銀、意識不明になるのですね(笑)。そういえば、昔、タクシーの運転手さんを殴った人がいましたね、あれもブラックアウト中だったのかあ。

・某大臣、「最低の人間」と発言。←いやいや、あなたの言動も最低なまでに変よ。神田周辺は特に週末は大臣的には最低級のサラリーマンが多いのだが…。

・寛容さがなくなってきた感じですな。これはもっぱらマスコミの反応がそうなのかもしれない。マスコミ報道の煽情激化は、経済的にはかなり危険な状況ではないかと思った。米ハーバード大学のニーアル・ファーガソン(Niall Ferguson)教授の警告がちらついた。
by bank.of.japan | 2009-04-24 21:54 | マスコミ | Comments(31)
共産党・大門先生の質疑(保存用)
 既にドラめもんさんが紹介されているが、歴史的な保存資料としてこちらにもアップしておきます。

第171回国会 財政金融委員会 第15号
平成二十一年四月九日(木曜日)

○大門実紀史君 大門でございます。
 白川さん、一周年ということで、おめでとうございます。
 大久保さんの資料、また今日の毎日新聞の社説もそうですけれども、白川総裁の評価というのはどんどん上がっているようでございますけれども、世間の評価が上がれば上がるほど私の評価は下がるという関係にございます
 一年前とは大違いだなというふうに思うんですけれども、まあ大変な一年だったというふうには、その点は同情はしているんですけれども、私は日銀に一貫して申し上げてきたのは、こういうときですから何もおやりになるべきではないとは決して申し上げているわけではございませんけれども、中央銀行ともあろうものが個別経営、個別企業、個別銀行の中身に入るようなことはおやめになるべきだということを再三申し上げてきたわけでございます。それは、幾ら金融システムの安定とか美辞麗句並べても、結局は市場経済のメカニズムを壊してしまうものになりますよということを申し上げてきたわけでございまして、もう多くを述べる必要はないんですけれども、そういう点でいくと、今回の劣後ローンの問題とかもまたまた踏み出されたなというふうに思っております。
 バブルのときはみんなが踊るというのがありますけれども、こういうパニックのときはみんなが右往左往して、打つ手でいえばもう何でもありと、行け行けどんどんと。行け行けどんどんという点ではバブルのときと似ているわけですね。バブルとパニックというのは、どうしてこうやってみんな同じことをやるのかといいますか、人間というのは浅はかだなというふうに思うわけですけれども。しょせん日銀のこの間の対応も、私は思うんですけれども、しょせん人間のやることだなと。まじめな顔をして議論されているかも分かりませんけれども、大した話じゃないんじゃないかなというふうに私は見ているところでございます。
 CP、社債、国債の買い増し、銀行保有株の買取り、劣後ローンの引受けと、異例の措置だというのは自覚されているようでございますけれども、何といいますか、一回一線を越えてしまったといいますか、人間というのは一度一線を越えるともう行き着くところまで行ってしまいますから、何かもうどんどんどんどん行っちゃっているんではないかという心配を私はしているんですけれども。
 例えば、日銀が今までCP、社債、国債買い増しいろいろやって、これまた買い増しやられますけれども、それに対して市場といいますかマーケットといいますか、反応が良くないとかそれじゃ足りないとか株も上がらなかったとかいろいろあると、更に何かやらなきゃと、何かやらなきゃいけないというふうな、そういう深みにどんどんはまっていくというふうな状況に少しなっているんじゃないかなと思いますけれども、白川総裁、率直な心理状態といいますか、どういうふうにお考えになっているか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○大門実紀史君 先ほど大塚さんの資料面白いなと思って、伝統的、非伝統的の話ですけれども。本当にどんどんどんどん非伝統的な方向に、これ、ずっと右へ行けば行くほど社会主義に近づいちゃうんですよね。これ、自己矛盾なんですよ、括弧付きですけれどもね。括弧付きですけれども、社会主義的な、こうなるんですよね。だから、どうなっているのかなというふうに思っているところでございます。
 要するに、せっかくですから大塚さんのこの表を使わせてもらって言いますと、要するに日本の場合は、この金利政策が手の打ち方がもう余り手数が残っていないと。しかし、何かやらなきゃいけないと。それで、この非伝統的な、やったことないところですね、何かやらなきゃいけないというプレッシャー多分すごいと思うんですよね。そうすると、もう金利政策そのものは日本はアメリカに比べてそんなにばんばんやらなきゃいけないほど、そこまではまだ至っていないんですけれども、とにかくやらなきゃいけないとなると、金利政策でもう打つ手が少ないというか、余りやらない。だから、非伝統的なといいますか、やったことないことをやらなきゃいけないと、何かそんな程度の話じゃないかなというふうに見ていたりするわけですけれども。
 今大事なことを言われたので一つだけ。もういろんな議論する気はありません。一つだけ、国債の話だけ申し上げておきますけれども、銀行券ルールの問題ですね。つまり、今、日銀の発行している銀行券の残高七十七兆円だと。日銀が保有する長期国債の残高の上限は七十七兆を超えないようにするという話ですよね。それが一つの歯止めだというお話をされたわけですけれども。私は、これは先ほど言った両方バランス考えながらとおっしゃりながらちょっと危ないなと思っているのは、逆に言うと、七十七兆までオーケーと、七十七兆までは保有しますというメッセージにもなっているということですね。これはやっぱり気を付けてもらわなきゃいけないと思うんです。
 つまり、本来保有すべきじゃないという立場でいえば、もちろん今撤廃しろという声が多いので、それで逆に反論といいますか、守りますとおっしゃっているのかも分かりませんけれども、余りこの七十七兆といいますか、日銀券の発行残高が上限だと、そこまではやりますみたいに聞こえる場合もありますので、そこは逆に気を付けていただきたいと思いますし、もう一つ意見だけ申し上げておきますと、劣後ローンですけれども、これも日銀はまず自己資本、自力で各銀行が資本増強すべきだと、それはもうそのとおりですよね。二番目が、金融機能強化法を使ったらどうかと、ティア1の関係ですよね。で、劣後ローンですか、これでティア2やったらどうかと。この三つの方法があると、選択肢があると。
 日銀は、その三つ目の劣後ローンでティア2のところを補強する、安全弁として用意したと、こういうふうにおっしゃっておるわけですけれども、これほとんど、金融機能強化法もこの委員会でやったんですけれども、ほとんど使われないんです。使われていないんですよね。北洋銀行だとかありましたけど、あんなのはうさんくさいんですよ。金融庁が頼んだ可能性が高いんですよね。ほとんどニーズがないんですよね。さらに、この日銀の劣後ローンも私ほとんどニーズがないんじゃないかと思っていますけれども、何かやらなきゃ、出しただけみたいなふうに私は非常に感じるんです。
 そんなことを繰り返していると逆に中央銀行の信頼性を失いますので、出すなら効果のある、ニーズがあるという点でやるべきだと思いますけれども、じゃ劣後ローン、私はニーズがないと思いますけれども、どうとらえておられるか、それだけ聞いて質問を終わりたいと思います。

ウケる部分を黒字にしたが、やたらと多かったですな(苦笑)。
日銀3階の43条関係の方々、7階の手段関係の方々、グサグサ刺さりますね。

それからNHKスペシャルの方々、以下の部分はバブル生成・崩壊の本質にも通じます。ご参考まで。
「バブルとパニックというのは、どうしてこうやってみんな同じことをやるのかといいますか、人間というのは浅はかだなというふうに思うわけです」
by bank.of.japan | 2009-04-23 20:21 | 日銀 | Comments(19)
カナダ中銀が「時間軸政策」を導入(資料用)
 もっぱら自分用の資料として。

 カナダ中銀が利下げ&時間軸政策を導入した。以下、声明文より。

21 April 2009

Bank of Canada lowers overnight rate target by 1/4 percentage point to 1/4 per cent and, conditional on the inflation outlook, commits to hold current policy rate until the end of the second quarter of 2010

カナダ中銀の政策金利はコリドー。準備預金の付利は0.25%で据え置き。上限金利は0.5%。フロア金利に政策金利を合致させた形で、恐らくは翌日物金利は0.25%に概ね張り付いた状態で推移。これを来年第二・四半期末まで続ける方針を表明した。

 この時間軸政策の目的は以下の通り。
With monetary policy now operating at the effective lower bound for the overnight policy rate, it is appropriate to provide more explicit guidance than is usual regarding its future path so as to influence rates at longer maturities.
 政策金利の将来のパス(低金利政策の継続期間)をより明確にすることで、イールドカーブのフラット化を促すことを狙っている。

 カナダ中銀の経済物価見通し。
 The Bank expects core inflation to diminish through 2009, gradually returning to the 2 per cent target in the third quarter of 2011 as aggregate supply and demand return to balance. Total CPI inflation is expected to trough at -0.8 per cent in the third quarter of 2009 and return to target in the third quarter of 2011.
 今年一杯は若干のデフレ状態続くが、来年から上向き始めて2011年第三・四半期には2%の物価上昇。低金利政策の持続期間は物価のプラス転換時期にほぼ合わせている感じであろうか。

 今のところ、このカナダ中銀のが最も鮮明な「時間軸政策」となっている(他中銀のはまだ十分にチェックしておりません)。
by bank.of.japan | 2009-04-22 20:26 | FRB&others | Comments(0)
「世界は利息に飢えている」=NHKスペシャルについて
 NHKスペシャル「マネー資本主義」が話題になっている。この放送があるのは、当日の新聞番組欄で知ったのだが、見るかどうか迷った。ちょっと考えた末、見ないことにした。切り口にかなりのストレスを感じることが予想されたためだ。まあ、ぐっちーさんや厭債害債さんのエントリーなど見ると、精神衛生上は見なくて良かったようであります。で、見なかった番組自体の論評はさておき、番組ホームページにあった以下の一文について。

「なぜ誰も止められなかったのか―。この事態を招いた原因はどこにあるのか―」

 これに答える格好の一文と思われるものは、過去のNHKスペシャルにある。10年ほど前に放映された「マネー革命」の第二回のタイトル。当エントリーの表題、「世界は利息に餓えている」である。人は意図していようがいまいが、「お金」を運用している。「預金する」、「生命保険を契約する」、「年金に入る」などを通じて「お金」は金融機関に回り、リターンが追求されていき、その過程で応用可能な金融工学が取り込まれ、リターンの追求が加速されていく、という構図であろうか。
 この「マネー革命」は、かなり記憶はおぼろげながらも金融関係者にとってもかなり興味深い内容であったと思う。恐らく今見ても古さを感じることはなく、しかも登場人物は現役であったりするので、直近の10年を振り返るうえでも面白い内容ではないかと思う。マンデルブロ集合とかフラクタルとか、コンピューター上の仮想ディーラーの取引が結果的に暴騰・暴落を繰り返す場面とかは、今でも覚えている。
 「マネー革命」を深堀りしていく新たなスペシャルにしたら、深みを増す特集になるのではないかと思うが。いかがであろうか、NHKさん。

 ちなみに切り口に臭みのある特集番組を見るとき、ナレーションを無視して「素材」に集中するという手もある。まあ、面倒くさいですけどね。「マネー革命」(この特集は良かったと思う)ではある場面で意外な収穫があった。記憶便りで不正確かもしれないが、誰もいなくなった(某ヘッジファンドの)ディーリングルームが映し出されたとき、机上の電話機に某都銀のシールが貼ってあったのである。これは「ホウ」と思った。取引つながりが見えてしまったのである。映像の細部に注目です。マスコミの校閲が気が付かない些細な部分が金融関係者に貴重な情報をもたらしてくれるかもしれない。
by bank.of.japan | 2009-04-21 19:48 | マスコミ | Comments(18)
これは超弩級のトンデモ論かも=日経コラム「十字路」
日付訂正しました(14→17日)。失礼しました。
 無視しようかと思ったが、無視するには惜しい超弩級のトンデモな主張だったので取り上げます。17日付の日経夕刊コラム「十字路」である。論旨は以下の通り。
①安定負債の預金を抱える金融機関(銀行)は優位になっている。
②しかし、一部で囁かれる最低預金金利法が実施されたら銀行優位は崩れる。
③もし預金金利が1%引き上げられたらメガバンクは逆ザヤかも。必死に貸出を増やすかもしれない。究極の貸し渋り対策だ。
④預金者の利息が増える。こんな消費刺激策はそうはない。貸出金利の上昇で企業は苦しいが経済全体ではプラスに見える。
⑤政策金利も上がるなら円高になるが、緩やかならこれも日本経済にプラス。
⑥高金利通貨がまた買われている。バブル的取引のキャリートレード復活だ。利上げも視野に入ってきた。

 まあ、何というか、めまいしそうな内容なんだが、とりあえずそれぞれの論点を取り上げると、①流動性の面で銀行はたまたま公的支援もあって今は強いだけ。中にはダメな銀行もあり、論点の設定として強引②聞いたことがない③聞いたことがない法律があたかも実施されることを想定して、さらに1%も金利を上げるというのは荒唐無稽。これで必死に貸し出し増やしたら不良債権が増えて金融不安が再び起きるでしょ。④出たあぁぁ⑤上がりません⑥高金利通貨買う人もいるでしょう。それで利上げなど視野にはないですよ。
 筆者は九楽氏(誰なんですかね)。タイトルは「預金金利引き上げの誘惑」。そんな誘惑、どこにもない。こういうコラムは日経さんの読者にウケるのだろうか。そもそもこういう誘惑を覚えること事態が極めて謎である。
by bank.of.japan | 2009-04-19 23:03 | 大機小機 | Comments(19)
「銀行券ルール」を撤廃したときの債券相場の反応は
 考えられるシナリオは以下の三つ。
①長期金利が上昇する
②特に変化はない
③長期金利は低下する

 ①は「日銀が財政ファイナンスに利用され、政府の財政規律が緩み、財政リスクプレミアムが発生する」という真面目な反応。日銀的にはこういう反応が起きるからルールが必要だというロジックになる。つまり日銀的には正しい市場の反応。
 ②は、銀行券ルールはしょせんはテクニカルな話だし、当面銀行券残高に到達しないし、仮に到達したってその時に何が起きるというわけでもないでしょ、というクールな反応。
 ③は、輪番増額期待から金利が下がる。日銀的にはちょっと屈辱的な反応ですかね。

 で、私の予想。好きなのは②。でも、それじゃつまらないので、③を予想したい。市場関係者のみなさんはいかが?


私の筋論 信認はルールによって維持されるものではない。自らの行動によって勝ち取るものである。遂行する政策が日銀法二条に資するとの自信があるならこの手のルールは不要ではないのか。
by bank.of.japan | 2009-04-17 20:31 | 日銀 | Comments(15)
「国は破産しない」と「仕組み債」のニ題について
 15日と16日の大機小機についての簡単な感想。

15日は越渓氏の「日本国は破産しない」。コメント欄でも指摘されたやつです。国債が多いのは、国民が国債を買い、その金融資産が増えることなので国は破産しない、だから国債をドンドン出して財政をバッと出せ、という主張。
 財政は、日本のようにホームバイアスが強く、経常黒字国であるなら、そう簡単には破産しない。ただ、ものには限度があって、企業・家計が困窮化して預貯金取り崩しが優勢になると間接・直接に国債を買う余力は乏しくなり、やっぱり国債増発にはどこかに限度があるようにも思う(それがどこかは不明確だが)。
 私が財政問題でよく思うのは、土光臨調のことである。数年前、NHKでメザシの土光さんが再放送されたのだが、番組の中で当時のニュース場面があり、アナウンサーが「財政赤字が深刻であり…」と言っていた。で、そこに出ていた国債発行残高は80兆円ちょっと。これで大騒ぎしていたのである。土光さんをタイムマシンで現代に連れてきて、国債発行残高の急増するチャートを見せたら、何と言うだろうか。そして長期金利がまだ1%台である事実をどうみるのか。
 もう一つ財政で読めない部分。確かに日本の財政事情は悪化しつつあるが、他の国は急速に悪化しつつある。もとより、(国債が裏付けする)通貨価値は相対的なものなので、日本がいくら悪化したとしても、他国の悪化ぶりがさらに深刻であるなら、相対評価は高いのである。しかも、日本は社会的安定度も高いので、「質への逃避」を目指すマネーを呼び込む(国債消化力の増大)可能性もある。
 財政は当面大丈夫なようにも思う半面、やや不安を覚える、という微妙な感覚である。越渓氏のようにノープロレム、バンバン出せ、と言えるほどの自信はないです。
 財政についてはまだ感想はあるが、これは別途述べたい。

もう一つのコラム、陰陽氏の「仕組み債の落とし穴」について。
オチがあるかと思ったらなかった。これ、そもそも旬の過ぎた話題で、一般紙が取り上げるならまだしも、経済新聞にしてはかなり初歩的な内容ではないかと思った。というか、一般紙でももはやネグられるようなネタであるような気がする。それとも、マーケット欄の読者層(レベル)を念頭に置いたネタがこれだったということだろうか。やや首を傾げるコラム内容でありました。
by bank.of.japan | 2009-04-16 22:44 | 大機小機 | Comments(9)


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