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米魔女狩りのデジャブ=先が思いやられるオバマ政権
 マーケット関係者はご存知かもしれないが、米ノーザントラストが批判を浴びている。詳しくは連銀ウォッチのブログである「Tim Duy's Fed Watch」を参照して頂きたいが、この金融機関は先般、石川遼選手も参戦したゴルフのノーザントラストオープンを主催。そのときに開いた連日のパーティが槍玉に挙げられてしまった。英語を読むのが面倒くさい方のためにパーティの概要は以下の通り。
・シカゴに本拠地を置くノーザンは従業員やクライアント数百人をロスに連れて行き、その多くを市内の超豪勢なホテルに宿泊させた。Beverly Wilshire、Ritz Carlton、Loews、Casa Del Marなど。私は良く知らないが、これら有名ホテルですか?
・第一日目(水曜日) リッツ・ホテルで豪勢なディナー。ロックバンド「シカゴ」の演奏付き。
・第二日目(木曜日) サンタモニカ空港の格納庫をディナーで貸切。こちらは「アース・ウィンド&ファイヤー」が演奏。
・第三日目(土曜日) ハリウッドのハウス・オブ・ブルースを貸切。豪勢なディナー、シェリル・クロウの演奏。
・その他 Loewsでは素敵なカクテルパーティ、シカゴのコンサートに来た女性全員にティファニーの小物をプレゼント。
 こんな感じである。マーケティング(つまり趣向を凝らした接待企画)として大変参考になる内容(苦笑)で、特に格納庫を借り切ったパーティに超有名バンドを呼ぶ、というアイデアには感心するが、全米経済が台無しになったパーティ状態ではみんなから反感買うでしょう。Tim Duy氏も言うように税金投入された金融システムの構成員は頭を低くしておくべきで、世相を考えたマーケティングが必要であるということをノーザンはうっかり失念してしまったわけだ。
 ちなみにノーザンは(わずか)16億ドルの資金をTARPから受け入れたが、これはノーザンが頼んだものじゃなくて、公的資金バラマキを受け入れたものらしい。とは言ってもねえ…、である。米国では、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、というノリで反金融感情が強まっており、これではオバマ政権の経済運営も先が思いやられる。俺が貧乏になったんだから、お前の贅沢は敵だ、というのは私的には大変よく分かる感情だが、余裕ある向きも節約志向になっては経済は萎縮傾向が強まるからだ。誰かが散財しないと消費はなかなか上向かない。
 ノーザンは一方で従業員もリストラしている(経済にはマイナス)が、パーティの散財で少なくともロス・ホテル業界や音楽界、ブランド界の経済を刺激した、ともみなせる。こんな解説、米国では袋叩きでありましょうね。クルーグマン教授は政権が銀行国有化に踏み切らない状況を受けて米不良債権問題の日本化を憂いている感じだが、金融魔女狩りのデジャブとかも踏まえると、オバマ政権の前途は失われた10年なんじゃないかと心配である。
by bank.of.japan | 2009-02-26 22:00 | FRB&others | Comments(23)
年金の金買いは「経済のおくりびと」?
 下のエントリーに関連して思い出したのが、年金の金買いである。正確には「金ETFの買い」ですね。まあ買ってもいいんですが、ドルを基軸とする管理通貨制度が揺らぐ中で、結果的に金価格を押し上げている行為がどのような影響を与えるか、というのは多少は考えて欲しいと思ったりする。金を個人が買うのは別にいいのだが、年金は立派な機関投資家でありますから、自らの振る舞いが周囲からどう見られるのかもっと気にしていい。
 世界的にバブルが崩壊し、その影響を最小化するため、各国は金融・財政を猛烈に拡張せざる得ず、これはマネーのバラマキになるので、「金ETFを買う」というのは確かにヘッジ手段の一つではある。ただ、「金ETFを買う」というヘッジ行動が正しい場面とは、管理通貨制度がぶっ壊れた状況で、下のfinantial ninjaではないけど、「俺たちゃみんな死んじゃうんだろ」というシーンである。
 ヘッジ行動はミクロ的には正しくても、マクロ的な不安定性を強めることがある。米住宅バブルが崩壊したとき、年金マネーの一部が原油や穀物に流れて「コモフレーション」(スタグフレーション的影響)を招いたのは記憶に新しい。マスコミなどは単純な見方しかしないので、バブルが崩壊中なのに「すわインフレだ!、利上げだ!」とか騒ぎ、人々のインフレ期待を高めてしまった。
 金ETF買いが与える影響は下手すると破壊的である。管理通貨制度における通貨の信用は「信じる」、「信じない」でしかないので、その価値は崩れるときは早い。ダメだ、と思えばそれだけで崩壊してしまう。各国が金融財政を総出動しているときに、金価格が着々と上げ続けると、世界の人々にペーパーマネーの価値喪失という危険なシグナルを送り、本当にハイパーインフレという経済の死をもたらしかねない。経済のおくりびと、ですか、そういうイメージを持った。
 年金は基本的には超長期の視野で運用していると思うのだが、足元の混乱で実物資産とかにヘッジの買いを入れるのはおかしいのじゃないか。まあ、この世の経済が終わると本気で思ってるならいいですがね。いずれにせよ、実物系の市場は規模が小さいので、年金のちょっとしたヘッジ買いの影響はでかい、という弊害もある。各国の政策努力に不用意なノイズも与えるので、金買いとか禁止したらよいのでは。
 原油や穀物、金などが急に上がると、特に穀物などは飢餓への恐怖が人心を極度に不安定化させ、中には暴動になる国もあるのだから、この手の商品に対する年金ヘッジ行動は当局の厳しい制限を受けてもいいと思う。ETFは投信で金じゃないとか言ってもね、変でしょ。
by bank.of.japan | 2009-02-25 21:12 | マーケット | Comments(10)
金融ブログの面白い文章を超訳してみた…
 「今日、引けにかけて金と銀をショートした。そう、ショート、つまり『売り』ね、きちんと読んでくれよ。
 分かってる、分かってる、お前らが言いたいのは。
 世界は終わって、金や銀が高騰するんだよな。通貨は価値がなくなって、ハイパーインフレになり、俺たちゃ、みんな死んじゃうんだろ」 
-「The Financial Ninja」より。金と銀を売り持ちにしたエントリーの出だしのところが面白いので、超意訳してみた。後の部分は真面目にショートした理由が書いてある。かなり鋭い洞察なので、下に原文を紹介したい。簡単に言えば、金と銀はテクニカルに買われ過ぎで、ファンダメタルズとしては、ハイパーなインフレにつながるようなプリントマネーを米財務省もFEDもやってはいない、ということです。
 「While the Fed and Treasury are indeed bailing these institutions out repeatedly, these actions are not inflationary because they are not PRINTING money or MONETIZING debt. To date the trillions deployed have all been BORROWED. Most of these dollars have been borrowed via the issuance of government debt and the rest of them via complex 'cash for trash' swap arrangements. All this does is suck capital out of other areas of the economy and directs it towards these miserable failures」
 補足的な説明。金融システムがぶっ壊れたときの流動性供給(LLR)を行うと、中央銀行のB/S(orマネタリーベース)は激増するが、これは予備的資金需要に応えている側面が強いので、実体経済に対する緩和効果はさほどではない。また、FRBは国債買い切り(クーポンパス)の増額(マネタイズ)を示唆したが、まだやっていない、というか、最近は言及しなくなったのが実情である。従って、このエントリーの冒頭は、無邪気にハイパーインフレ論をはやして金買いする向きへの揶揄でありましょう。それにしても面白い文章である。

次はmarket-ticker氏の株安への嘆き。これも意訳である。
「今日の株価は97年5月だ。10年を失った。蒸発した!、フィニッシュだ!。
市場の信頼感は完全に失われた。
政府はAIGのロスを前もって知らせもしなかった。
みんな、これがわれらが政府さ。これ以上、何もしなかったら、ダウは年内に3000ドルに行くだろう。
これが何を意味するか、簡単だ。
みんなの401Kは今や201Kだが、これが51Kになるだけだ。
ありがとう、大統領。
あんたはチェンジを約束したが、我々は何も変わらない」
相変わらずベアベアですね。
by bank.of.japan | 2009-02-24 20:14 | マーケット | Comments(10)
1873年恐慌との近似性=クルーグマン教授のコラム
 ニューヨーク・タイムズ紙で、クルーグマン教授が「Who’ll Stop the Pain? 」というシャレた見出しのコラムを書いていた。(CCRの歌をもじった?)見出しに引かれてざっと目を通したのだが、現在の大不況は1929年よりも1873年の恐慌に近いとの認識でありました。書いてある内容もまあ同感でありまして、興味ある方は直接ご覧ください。
 簡単に調べたところ、当時は大英帝国の末期でドイツや米国などが台頭。そうした最中、穀物バブルが崩壊し、長きにわたる低迷期が続いたようである。クルーグマン教授によると、この不況、政府の介入なしで結果的に回復に向かったとのこと。ただし、5年以上も低迷が続いたようであります。

このコラムで印象的だった指摘は以下でありました(順不同)。
・オバマ政権の景気対策は不況を和らげるが、(不況を)終わらせるものではない。
・じゃあいつ終わるの? 終わりのない不況はないからいつかは終わる。
・日本だってバブル崩壊後(10年を経たが)結果的に回復した(ただし外需主導であったが)
・住宅着工は空前の低水準で、これは目先はバッドニュースだが、住宅供給量は人口増加を下回っており、いつかは住宅価格は復活する。
・自動車販売も急減しており、これも目先はバッドニュースで、現在の販売量だと既存自動車が入れ替わるのに27年かかるけど、(27年の間には)車の大半はジャンクになるから、これもいずれ需要が回復する。
・最後に繰り返すが、オバマ政権の対策は(政権が歯を食いしばり、弱った銀行を国有化すれば)間違いなく、困難な局面の助けとなる。
・でも、やっぱり私は思う。「Who’ll stop the pain? 」

 終わりのない不況がないのはその通りで、いつかは回復するのだろうが、その間にどこまで突っ込み、いつ回復に向かうのか。日本は10年を失った後、外需が痛みを止めたが、今の世界は誰が痛みを止めるのか。1873年が政府介入なしで5年の低迷が続いたとすると、今は各国しゃかりきに対策打っているので、3年ですかね? そのときに復活に導くものは…。何でしょう。
by bank.of.japan | 2009-02-23 19:59 | 経済 | Comments(8)
最近の金融政策運営についての説明(自分用・参考まで)
 日米英の金融政策は「ゼロ金利」でもなく「量的緩和」でもなく、いくつかの緩和策の合わせ技になっているが、一般的には分かりにくい。白川総裁が会見で、改めてこの辺のところを説明しているので、もっぱら自分用ですが、参考までに紹介します。

 金融政策については色々な概念整理が可能かと思いますが、私自身は3つの柱から成っていると思う。
1つ目は政策金利を引き下げることで、現在0.1%まで引き下げている。
2つ目は金融市場の安定を維持すること。これは必ずしも狭義の金融政策だけではなく、最後の貸し手として資金供給することや通常のオペレーションでも潤沢に資金供給していくことが含まれる。
3つ目は、CP市場(CP買い入れ)がその典型だが、金融市場の機能が低下し企業金融が全体として逼迫を来しているときに、その金融市場に対して中央銀行が働きかけていくという政策であり、これについては確かにクレジット・イージング(信用緩和)という言葉がより近い感じがする。

 この概念整理はFRBやBOEにもほぼ当てはまる。で、海外中銀のクレジットイージングについての整理は以下が参考になる。

日本銀行を含めて主要4中央銀行の対応は区々である。
英国では、短期のCP、長期の社債のいずれも買入れることに踏み切った。オペレーションはBOEが行っているが、損益は全て政府に帰属するという形で始めた。
米国は、短期のCPはFRBが購入し、今月から始める消費者ローンやオートローンなどが組み込まれたABSの買入れについては、期間は3 年だと思うが、政府が損失を負担する形だ。先だっての発表で規模が拡大し、確か1兆ドルになったが、そのうち最初の損失発生分1,000 億ドルは政府が負担することになる。
ECBは、現在のところCPも社債も買入れは行っていない。

以上、白川ゼミでありました。

関連のエントリー FRBは量的引き締めをやっている?=欧米ブログより
by bank.of.japan | 2009-02-20 18:22 | 日銀 | Comments(21)
日銀決定会合の雑感=「ターム物金利低下」や「ジュース」
 本日の金融政策決定会合はほぼ予想通り。ポイントは以下でありましょう。
・「長め(ターム物)の金利低下を促す」との文言が入った。
もともと誘導金利と付利を同じにした現在の調節方針は、流動性懸念払しょくのためにターム物をバンバン打つ、結果的にターム物は下がるはずであった。つまり、この文言が今になって入る必要はない。なぜ入ったのか。
①ターム物の供給が足りなかった。このため、ターム物を下げるから安心してと言うことにした。つまりオペの正常化。
②年度末対策として「ターム物下げるぞ」と言いたいために、わざとターム物供給を少なめにやっていた。
 さて真相はいずれか。まあ、②のような高等戦術を行う風土ではないので、①でしょう。ドラめもんさんも最近のオペには注文付けていらっしゃらないですし、インタバンクの安心感を確保するための文言であろうと思われる。
 一部にはターム物誘導への期待があったのでしょうか、金先売られてしまった。技術的に難しいですし、レファレンスバンクに電話してTIBOR水準を指示するのがオペになるのもちょっと考えにくい(苦笑)。実現はかなり無理っぽい感じではある。

・白川総裁の会見
「私は大変酒に弱いので、あの(G7の)日はジュースを飲んでいた」
ということです。ということで、酩酊会見の心配はないです。

もっとも、これは誰かに聞いたジョークだが

「中川大臣が酩酊して円安になった。総裁も酩酊すればもっと円安になる。政策委全員が酩酊すればさらにもっと円安になる。しらふの総裁はリフレ的でない」

かつてクルーグマンがデフレ脱却のためには中央銀行は無責任になれ、と言っていた。実際には無責任になるのは難しいものであります。経済閣僚、日銀総裁、審議委員ら全員を酔っ払いにやらせる。可能なのだろうか。そもそもこれで本当に凄く円安になるのだろうか。 

ps 「量的緩和なのか?」という質問がまだ出ていた。謎である。
by bank.of.japan | 2009-02-19 19:15 | 日銀 | Comments(10)
雑感を幾つか=東欧、かんぽ、農業、国会
 最近の出来事などで雑感。

“金融のスターリングラード”
-「東欧は金融メルトダウンの引き金を引くのか」(nakedcapitalism)の一節より。ユーロ東部戦線の惨状が浮き彫りになっている。東欧圏の融資規模が大きいオーストリアの銀行は、赤軍に包囲されたドイツ軍小隊の心境なのであろう。

かんぽの宿
-感想は一つ。入札やり直したら、落札価格は下がるんでしょ?

農業は趣味やファッションでやれるほど甘いもんじゃないでしょ?
-日経日曜版(15日付)の春秋を読んで激しく脱力。このコラムを読んだ感想は、私が秘かに多大な共感を寄せる広い意味での同業の「ニセモノの良心」さんのエントリー「農業従事者は当コメント欄にて激怒することを許可する」とほぼ重なるところがある。このエントリーのコメント欄は秀逸であると思った。参考になります。
 仕事を失った派遣社員を農業に回せ、という案があるんですかね。よく知らないが。寒村ではみんな農業じゃ食えないから都会に出たわけ(私も似たような者)で。まあ、いずれ物々交換みたいな経済事情になるから今から自給自足で生きる人を増やしておく、というのなら国破れても山河を残す、という意味で平成版屯田兵の構想は分からなんでもないです。
 たまに破局的シナリオへのヘッジ手段として、実家に帰って農業やることを妄想するのだが、いろいろ考えるに、かなり絶望的になるんですよね。最も不安なのは「体力」である。田舎に帰る→ほぼ無一文状態→機械買えない&半端な耕作地に機械は過剰投資→手作業の農業→疲労で倒れる→うまく農作物出来ても半端な農地なので現金収入ほぼなし→倒れるほどの農業で得られるものは餓死しない程度の収穫-というシナリオになる。春秋の「ブルータス的な農業」という気分には全然ならないのだが(苦笑)。

G7後の中川大臣の酔った?会見
-白川日銀総裁が国会に呼ばれて証言を求められたのには驚いた。
ちなみに白川さんはお酒はほとんど飲めない口なのでこの手の心配はないですね。
by bank.of.japan | 2009-02-16 20:51 | 経済 | Comments(37)
米地区連銀のブログがあった=日銀もいかが?
 お馴染みの金融経済ブログ「CalculatedRisk」経由で、「macroblog」というブログを閲覧してみた。このサイト、経済系ブログでは関連サイトの一覧に乗ったりしていて存在は知っていたが、今日たまたま見てみた。「Contraction, not tightening」というタイトルに惹かれたのである。
 これは「FRBは量的引き締めをやっている?=欧米ブログより」に関連したもので、まあ続編ですね。最初は、どこかのマーケットエコノミストが「Economist's View」に相乗りして、FRBのB/S動向に関する勘違いを同じノリで正そうとしているのかな、と思って読んだのだが、それにしては解説が妙味に丁寧(グラフ付き)なのが気になった。この丁寧さ、何だか白川ゼミ的な雰囲気があって、市中のエコノミストらしくないなあ、と感じながら改めてサイトをしげしげ見たら、左上に「Federal Reserve Bank of Atlanta」のロゴが…。あらびっくり、アトランタ地区連銀のブログでありました。ブログからブログに直接飛ぶと気がつかないですね(苦笑)。
 「macroblog」は、CalculatedRiskの右側下にリンクがあるので、そこから飛べばいいのだが、アトランタ連銀のホームページでは右上に「Quick Picks」というコーナーがあり、そこに乗っている。筆者は、同連銀のSenior Vice President and Director of Research(調査統計局長みたいなものか)であるDr. David E. Altigを筆頭とするエコノミスト陣である。日銀の人に聞いたら、Dr.Altig(アルティーグさん)はかなり有名であるらしい。他の連銀サイトをちょっと見てみたが、ブログがあるのはアトランタだけのようである(違ったらご指摘を)。
 さすがにコメント欄は承認制となっているが、連銀ブログはコミュニケーション上はプラスになるのではないか、と思った。日銀もいかが? 本店は無理でも金融研究所とか大阪支店とかどうですかね。個人的には「企画局長ブログ」を期待しますが…。
by bank.of.japan | 2009-02-13 22:08 | FRB&others | Comments(11)
憂鬱な内容だが、多分そうなりそう=Market Ticker、今年の予測集
 金融系ブログで「The Market Ticker」というのがある。キャピタルマーケットに軸足を置いたブログだが、ライアーズ・ポーカーを書いたマイケル・ルイス的な香りがあり、なかなか面白い。金融関係者にはお勧めです。興味があればご参照を。
 このブログのちょっと前のエントリーに今年の相場予測があった。私は、せめて今年上期には世界経済は底打ちして欲しい、と願っているが、これはまあ願望です。職業的上の見立てとしては、恐らくはそうはならないだろう、と見ている。で、The Market Tickerの予測だが、私の悲観的予想とほぼ合っておりました。憂鬱ですけどね…。場所はこちら。主な予測は以下の通り。
・経済は今年、回復しない。失業率は8%前後に到達。真の失業率(U-6って言うんですか?)は15%突破へ。
・インフレにはならず。むしろデフレの波が住宅以外に広がっていく。
・住宅価格は崩壊続く。一部ポジティブな話も聞くが、それには賭けない。
・FRBの流動性供給策は失敗に終わる。米債売りやドル不安定化が起きるかも。
・株は底入れしない。クラッシュもあり得る。ここんところ「It is possible that we could see a crash to SPX 300 and DOW 3,000 some time this year, probably after the spring (when the "Obama Halo" wears off - if it isn't blown off by economic events first.) 」とか書いている。
・金は(まだ今年については)安全資産ではないかも。まあ、金が光り輝くような経済危機は来年くるかもしれないが…。
・ドルは崩落はしない。米国より他のところがもっと悪くなるから。
・幾つかの州は財政は危機的になり、一部はデフォルトするかもしれない。
・社債市場がデフォルト予測と比べて売られ過ぎだと言っている連中はそのうち間抜けに見えてくるだろう。非投資適格の利回りはロケットのように上昇してもう戻ってこない。
・企業や家計にお金を貸せとか言っているが、この金はどこにも行かない。金は潤沢にある、信用十分な先にとってはね。融資を断られた企業or個人は単に信用が十分ではないだけ。
・保護主義や為替操作などの醜い野望が頭をもたげてくる。これは米国発ではなく、むしろアジアでぼっ発するだろう。中国や日本の経済は急速に悪化中だから(go straight into the toiletという表現があるんですね)。
・中国はこれまでにない規模の暴動が起きるだろう。今年というより来年かもしれないが。
 まだありますが、残りは直接エントリーを。スラング的英語(意味の掴みにくいのもあるが)がなかなか面白いです。
 最後にMarket Ticker氏の投資戦略だが、これは簡単。株は「戻りは売り」である。そしてキャッシュ比率を上げよ、ファイナンスで創造性を発揮するな、健全でいよ。まあ、そうなりますわな。まことに欝なエントリーでありました。

ps 景況感は個人的なキャラに左右される面があり、私は早川前局長よりも門間局長に近いものがあって、この崩壊の波は実に違和感がない。この暗い相場予想、外れて欲しくて仕方がない。
by bank.of.japan | 2009-02-12 21:43 | 経済 | Comments(18)
政府紙幣や無利子国債など=これらに関連した妄想的考察
 政府紙幣や無利子国債が話題になっている。あまり詳細にはフォローしていないのだが、取材上の感触では、政府紙幣よりは無利子国債の方が議論としては多少現実味があるかな、という印象である。最近会ったMOFの某OBは「強いて勉強するなら、政府紙幣よりは無利子国債なんじゃないか」と言っておりました。確かに政府紙幣では日銀総裁と財務次官が歩調合せての反論(珍しい?・笑)になっておりますしね。で、個人的には、本日の日経新聞「経済教室」の深尾光洋教授の解説が最もオーソドックなものではないか、と思っております。深尾先生、参考になりました。
 で、以下は妄想なんだが、政府紙幣や無利子国債の狙いに日銀B/Sの構造要因などを絡めてちょっと可能性を探ってみた。与野党、財務省、日銀の方々、ご意見あれば幸いです。
・政府紙幣→無コスト(金利負担なし&償還なし)で資金を調達して経済対策に使うのが目的。流通させるやり方はいろいろ考えられるが、一番簡単なのは日銀が資産に抱える。
・無利子国債→まあ似たような調達(期限付きなら償還あり)。保有するのは金持ち。国民から相当な批判受けるのは必至。金持ちが払わない税金(相続税)は国民幅広い負担に変わるので。それはともかく、無利子国債の消化促進には、アングラ的なマネーを吸い上げる餌が必要。買う人の身分証明書を求めない(金さえ払えば誰にでも売る)、買った人を税務調査しない、無記名債にする。国税庁、悔しいけど我慢。ただし、アングラマネーの吸い上げ能力が高いと銀行券が減り、日銀の技術的国債買い入れ余力が減衰する。
・日銀B/Sの構造的要因→銀行券は新札に完全に入れ替わっていない。3割近く(最大で20兆円?)が旧札状態。災害などによる喪失、忘れられたタンス預金、加えてアングラ的要因で旧札状態のまま。これは日銀の資本化している負債と考えられる。
 そこで、この資本化した負債に見合った資産として無利子永久国債(=政府紙幣とほぼ同じ)を日銀に抱かせる、というのはどうであろう。保有国債の償還した分をこれに乗り換えていく、という方法。まあ、景気対策の新規財源にはならず、政府調達コストがちょっと減るだけですが…。
・劇薬的な方法→旧札を廃止にして日銀負債の埋蔵金として利用するという手もある。これで困る人はあまりいないと思う。小額なら旧札廃止後も新札への交換を認める(これに備えた引き上げ金は余り積まない)。この際、身元証明を求めるのは必要。やましいところがない人は応じる。
 旧札廃止までは一定の告知期間を設ける。その間、急に金使いが荒くなった人がいても税務調査には入らない、と宣言する。それなりに消費が爆発する可能性あり。
 私は、家に現金がほとんどないのでまったく影響ない。どういう人が困るのだろうか。金持ち優遇の無利子国債よりもこの劇薬の方が個人的にはやって欲しい。
 以上、妄想でした。
by bank.of.japan | 2009-02-10 21:32 | 日銀 | Comments(50)


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