人気ブログランキング |
<   2008年 12月 ( 17 )   > この月の画像一覧
政策金利0.25%割れ、米FRBもURITE、CP対称性のやぶれ=幾つか雑感
 加重平均はさらに低下して、ついに0.25%割れ。売手は連打が続き、若干の札割れも。大量供給に自ら溺れた格好でもある。①市場機能論をめぐって5bpで票割れになり、超精密誘導への重圧があった②レポレートの上昇で取りあえず目先の供給強化(余剰地合いへ)③市場は年末越えに向けて緊張感が高まり、これへの対応も平行(さらなる余剰)④気が付いたら吸収限界超える余剰⑤臨時やら検討指示やら現場は繁忙を極める-などが原因であろうか。
 流動性不安が台頭する中での年末越えはかなり厳しい調節を余儀なくされる。早めに中距離砲(長距離は輪番)で年末のコブを叩いていくのが基本と考えられるが、市場機能論で政策委が紛糾したことで超精密誘導への傾斜を余儀なくされて目先のコブ叩きにちょっと力が入ったのだろう。繁忙を極める中で、気づいたら年末のコブが目前に迫り、資金需給との接近戦に持ち込まれた格好ですかね。まあ、市場機能論が混乱の元になった気がする。
 調節の組み立ては列車のダイヤ作成に似ている。上の余計なノイズで現場のダイヤ編成が乱れ、その修正がうまくいかなくなった、という感じか。または、相反する目標を盛り込まれた作戦を実行する現場部隊の混乱?

 ウォールストリートジャーナル紙によると、米FRBは自ら負債を発行することを検討している模様。連銀法では負債発行は明示的には認められていないため、議会に打診しているようである。政策的なインプリケーションとしては、負債発行(吸収手段)の検討は金利誘導の堅持とも受け止められるが、恐らくは金融調節面での対応能力を高めるという技術的レベルでの手段充実の一環であろう。量的緩和やるなら吸収手段の充実図る必要は無いため。遠い将来の非常事態からの脱却に際して調節能力を高めておく、ということかもしれない。いずれにせよ議会との折衝が必要なら時間がかかる話なので、まあ早めにやっておいてもいいんじゃない、という感じだろうか。「URITE」の輪が広がりつつある。日銀オペ体系、世界標準ですな。

 ノーベル物理学賞で有名になった「対称性のやぶれ」。より正確には「CP対称性のやぶれ」と言うのですね。飛車さんの「CPI対称性のやぶれ」というコメントのしゃれがやっと分かりました(苦笑)。マーケット的には、CP(オペ)をめぐる対称性のやぶれ、でしょうか。買い切って欲しい市場の期待に対して、日銀は現先でかわすという期待と対応の非対称性がありますので。
 いずれによ、日銀にはある種のやぶれ現象が多いのは確か。典型例→量を増やすのは緩和、減らすのは技術。物価や金利がゼロに近くなると日銀の挙動が屈折して対象性のやぶれが生じるのはなぜか。このゼロが挙動も屈折させる「インフレクションポイントである」(福井俊彦前総裁)からでしょ、と日銀内の一部に言ってみたらウケた。
by bank.of.japan | 2008-12-10 21:13 | 日銀 | Comments(40)
オペが物語る金融政策の自然な姿=インタバンクの構造変化
 オペが苦しい感じである。このところ誘導目標(0.3%)が下に外れ気味で、低め誘導っぽい動きにもなってきた。詳しい事情はドラめもんさんが日々報告されているので、興味ある方はそちらをご参照いただきたい。で、外れる理由とそこから導き出される金融政策の自然な姿を考察してみたい。
 もともと精密誘導を誇る日銀のオペが苦しそうに見える理由としては、①単に下手になった②頑張っているけど何らかの要因で精密誘導しきれない-のいずれかが考えられる。で、①の可能性だが、そう言う人は多いのだけど、これはマーケットの全体像が見えていないので、よく分からない。年末に向けたオペの打ち方のイメージが日銀と市場の間でかみ合わなかった面があるかもしれない。私は、早い時期から年末越え、年度末越えのオペを打ち、足元吸収していくという長めのツイストをイメージしていたが、実際は短めのツイストで、しかも吸収が激しい。
 吸収が激しいのは、その前の供給が激しいことを意味する。この激しい、比較的短い供給が必要である、という前提に立てば、年末や年度末を越えるオペは十分には打てない。なぜなら、既に吸収しきれない余剰地合いがさらに余剰になり、短期金利の維持はほとんど不可能になる。短期金融市場では長めの資金供給を望む声が多いが、こうしたニーズをも満たす調節をやるならば、もうこれは誘導目標の維持が困難になるのだから、吸収の必要のないディレクティブにするのが自然となる。つまり選択肢としては、①当面、付利金利(0.10%)に張り付くのを容認する②素直に利下げ③量的緩和-などが考えられる。少なくとも市場機能を云々する状況ではもはやない、ということであろう。
 最後にインタバンクの構造変化について。10年前の金融危機と今回の危機の違い。10年前はまだ都銀の数は多かった。このとき相対的に資金が集まった一部の都銀や系統金融機関は資金を放出する側に回り、ある種の助け合いがあった。これは参加者の多様性が多少は危機緩和に役立ったことになる。この辺の事情は、当時の営業局が極秘のレポートとしてまとめたはずで、まだ存在していればボードメンバーは目を通すことが可能であるはず。一読した方が良いと思う。私はもちろん目にしたことはないが、廃棄処分されていなければまだあるはず。
 で、今はメガに集約された状態である。まだ多くの都銀がいた状態で迎える危機と、メガ体制で迎える危機はやはり状況が違うのだろうと思う。現状メガは欧米金融機関に比べると余裕はあるが、それでも直接金融から疎開してくる企業に貸し出しを実行(悪い貸出増加)し、山口副総裁がこの間の国会でも証言したように、バランスシート制約を強く意識している状態にある。生損保・系統も余裕はなく、オペ負担は重い。
 インタバンクのあらゆる主体が不足を覚える期間に万遍なく資金を打ち込む全方位外交(or絨毯爆撃型)オペを実施するなら、吸収する必要のない状態に持ち込まないと供給・吸収乱打状態が高速回転していく感じで、これは見ている方も激しい疲労感覚えますね。
by bank.of.japan | 2008-12-09 21:53 | 日銀 | Comments(11)
忘年会のシーズンとなりました=連絡など
 忘年会のシーズンとなりました。私はあまり酒が強くない、日銀も忙しい人は本当に忙しい、という事情などで、例年よりも忘年会は少なめに推移しておりますが、それでも飲み会があったりして、本日もそうでありました。ということで、普段の月よりはややエントリーの更新が滞ることになることはご了承願いたいと思います。
 本日はブロガー系の飲み会で、幹事の方(この人もブロガー)からディテールを書いて欲しくないとの意向だったのですが、一つだけ判明したことを。ぐっちーさんが本当に禁酒していたので驚きました。
by bank.of.japan | 2008-12-09 00:06 | ブログ紹介・お知らせなど | Comments(9)
銀行リテール内外事情と振り込め詐欺 
 しばらく前の銀行リテールの続き。カテゴリーの「欧州便り」のネタ元になってもらった古い知人の石川氏から最近頂いたメールよりあるエピソードを簡単に紹介したい。

「海外の銀行はよく間違える。デンマーク人の知人が、日本に駐在していた時、ダンスケバンクの口座で、給料を受け取っていた。ある時、トンデモない額の振込があった。デンマーク一の金持ちの資産額に匹敵する額だった。ところが、その友人がびっくりして、連絡する間もなく、同額が取り消されていた。
 あまりにも額が大きいの、銀行もすぐに気がついたに違いない。額があまりにも大きく、わずかの日数にも、かなりの利子がついた。その利子もご丁寧に取り消された。利子が発生したことで、税金が課せられ、その税金分もちゃんと口座に入金されたそうだ。
 これだけ面倒な処理になるのなら最初から間違えないようにすればよいのに、と日本人は考える。ところが、外人には、このミスをしないということが、どうにもできないらしい。
 会社を設立しようとして、税理士の先生と色々打ち合わせをしているが、お金のやり取りについて、銀行口座を通すことが、日本ではかなり一般的だ。それは、銀行は間違えないから、通帳にお金の出入りが記入されていれば、動かぬ証拠になる、という考え方に基づいている。しかし、これは、日本でしか通用しない考え方なのだ、と改めて思った。
 海外は、シンプルだ。日本のATM なんて、振り込みにはじまって、ご丁寧に宝くじまで買えるものもあるが、海外はキャッシュしか下ろせないものがほとんどだ。その代り、自分のお金を引き出すことについては、365日24時間、手数料が取られることはまずない。たまに、お金が入っていないATMもあるけれど」
以上、引用終わり。

 ATMで現金を出し入れし、口座振替とかして、それがリアルタイムで通帳に記録されるのはなかなか凄いことであるとつくづく思う。しかも、海外の感覚ではかなり多額のお金の出し入れ、振込みが可能である。
 もとより、これらのサービスは日本人の現金決済選好に極度に対応したシステムであるのだが、皮肉なことにATMの機能充実化と優れた現金対応は「振り込め詐欺」という犯罪の温床となったわけだ。振り込め詐欺を制度対応で撲滅するには、ATM機能を低下させ、現金対応能力を落とすのが一番である。割の合わない犯罪にしてしまうのである。詐欺犯は、費用対効果を真剣に考える上では合理的でしょうから。
 ただし、我々消費者はサービス劣化には耐えられないので、高度なサービスを維持したまま犯罪を阻止して欲しいと要求する存在である。このしわ寄せは現場の行員、警察を含む行政にいくことになる。

 予断だが、詐欺に狙われる高度なATMシステムをそのままにしての生態認証っていうのは、私はかなり危険ではないかと思うのだが。指紋認証は本人確認としてはそれは最高だろうが、指とか切断されて金が下ろされてしまう。そんな悲惨な事件が起きるんじゃないかと不安になるのだが、考え過ぎであろうか。
by bank.of.japan | 2008-12-05 22:46 | 金融システム | Comments(27)
今年の日銀流行語大賞=1位 「対称性のやぶれ」
 流行語大賞の日銀版をつくってみた。私が書いた記事(このブログ含む)への日銀内の反応、何人かの日銀マンとの会話で盛り上がったことなどを基にした超私的な番付け。このエントリーネタもさきほど日銀のある人との会話で発作的に浮上した。「やってみたらどうか」と言われたので、やります(苦笑)。
 とりあえず以下の順となった。
1 対称性のやぶれ
2 教えない!にちぎん
3 私情(or詩情)機能
4 URITE
5 チームQ

簡単な解説。
1 これは堂々の1位。マクロ系の方々のウケが良かった。
2 これはこの間の話題。
3 市場機能論はやぶれ現象的で、1にかぶる面もある。この論議、私情的or詩情的ではないのか、という件が一部に強く受けた。
4 これは中銀の間で売手仲間が増えたことで、英語名「URITE」を普及すべし、というネタ。
5 Qちゃんチームが発足したが…、のネタ。

非対称性→対称性でした。
by bank.of.japan | 2008-12-03 19:51 | 日銀 | Comments(6)
面倒くさいやり方でオペをひねり出す技に感心=有能な実務者が弄する策-提案あり
 日銀臨時会合で企業金融支援策を発表。まあ、市場関係者の期待値は非常に高かったので、インタバンク的には満額回答には程遠かったですね。年度末の本腰入った支援を期待しましょう。追い込まれる形にならなきゃいいが…。どうなんでしょう。
 マスコミ報道、取り合えず国営放送が7時のニュースでごっついトップ扱いしたのには驚いた。この手のテック系小ネタが大マスコミでぶち上げられる形になるのは、経験則に照らすとあまりよいパターンではない。既に取材済みで、大ネタ扱いする予定で、実際のネタの大きさに応じた扱いに調整する暇がなかったのか。「企業金融支援!!」とかいうフレーズに心が震えるんですねぇ。
 マーケットの古参の方々なら、目くらましの小ネタが期待値高く喧伝されるのは、景気悪化局面での典型的なパターンであることをご存知であろう。日経の前触れ報道もでかかったですね。こういうとき、得てして小出しが徐々にスケールアップして最後は打っちゃりドカーンと金融政策はなりやすい。そうならなければよいが、と期待しております。
 で、解説。適格担保基準の緩和は踏み込みましたが、これは予想済み。CP買いきりへの期待が強いので、それに比べると超小額回答であろう。テック系的な見方で感心したのは、企業金融支援で新型オペをひねり出したこと。これは実務能力の高い日銀だからこそできる技。共通担保から企業債務だけ取り出してオペを作るなんて。多分、普通の中銀はそんな面倒くさいこと出来ないと思う。
 私なら、ロンバート0.3%に下げて3カ月べた貸しOKにするが…。企業債務に限定したベタ貸しできるなら、それでもいい。または、ターム物オペを狂ったように打ちまくって短期イールドカーブをつぶしにいくとか。抜き出してオペを作るとは凄い労力である。有能な実務者はいろんな策が弄することができるが、これは結構、現場は疲弊するのではないだろうか。二百三高地突撃型になってきましたね。まあ、高口課長は根詰めるタイプなので、やるんだろうが。
 ところで、新型オペは指値なんだが、これって市場機能重視と整合的なのだろうか。3ヶ月間は機能は部分的に死んでもらう、ということですかね。
 
提案 日銀は銀行の証書貸付の実行を容易にするため、総裁名で「証書貸付が日銀担保になることを奨励する」とのメッセージを出したらどうか。現場の銀行員がいちいち企業から日銀担保に入れるための了解を取り付けるのは大変ですからね。総裁と全銀協会長が共同声明だしてもいい。契約書に最初から日銀担保に入ることを明記しておけばいいんじゃないか。これは地味な話だが、お金がスムーズに流れるためのいいインフラ整備になると思う。どうですか。
by bank.of.japan | 2008-12-02 21:48 | 日銀 | Comments(5)
連銀B/S急膨張と興味深い米論調=米金融政策の軸足は…
 ちょっと前だが、英語系サイトの巡回中、米連銀のB/S急膨張をめぐる興味深い論調があった。「naked capitalism」のこちらのエントリー。この中では、ドルの行方に関わる部分が面白い(ざっと見ただけなので、英語の読み違いあるかもしれませんが)。
 米国が金融危機の震源地となり、ドルの信認が揺らいでいるのは事実。特に米連銀B/Sの急膨張がドル安の懸念を招いている。もとより、管理通貨制度の通貨の信任は、物理的な信用のアンカーがある「金本位制」とは違って「信じる、信じない」という目に見えない信用の問題であり、現状では信じる以外に選択肢はない(信じないと大変な混乱が起きる)。
 ここで「懸念」以外に何かドル安を招く具体的な要因はあるのか。外為市場ではグローバルベースに広がった色んなポジションの解消で各通貨が色んな動きをしたが、ドルは単独暴落になっていない。ドルについては確かに米連銀B/Sの急膨張が心理的な不安を喚起するが、膨張自体が直接ドル売りにつながる形にはないと考えられる。先のエントリーでは、別なサイト(Macro Man)のビューから以下の部分を紹介している。
 「Macro Man's view, any dollars "created" by the Fed to expand its balance sheet (and let's not forget, they have yet to really crack out the printing presses by not sterilizing their asset purchases) will merely partially offset dollars lost through de-leveraging and the implosion of the shadow banking system, rather than finding their way into new the purchase of fresh turds」
 この部分の見解はまあそうかなという感じである。これまでにやったことは、次から次に壊れたマーケットの機能を代替することで、これは金融秩序維持を狙った流動性供給である。本来、マーケットが機能すれば金融機関は市場で流動性を確保できるが、それが出来ないからFEDが色んなものを買って代替しており、マーケットがそのままFEDのB/Sに乗り移ってきた、という構図でありましょう。これは白川総裁が「(欧米中銀は)いわば市場を代替する形で大量の資金供給を実施し、経済活動に必要な資金を循環させている」と言う通り。
 機能しない市場に代わって色んなものを買ったり、担保に取ったりして大量の流動性を供給すると、資産は膨張する。同時に負債サイドも結果的に何かが増えるわけで、顕著な増加は「準備預金」と「財務省の代理吸収預金(財務省預金SFA)」である(東短リサーチの加藤さん、リポートから借りました)。うち準備預金は付利されているので、吸収の一種ともみなせる。
 Macro Manの見解を補強する形で「EconoSpeak」のこのエントリーが引かれているが、表題の「Collapse of the Money Multiplier」(クルーグマン教授のブログから大半を引用)は信用乗数が急低下するのは、激しい市場機能jの代替によって準備預金(一種の吸収手段と化している)が激しく増大しているので、調節技術的には当然のcollapseとなる。もっとも今後どうなるかは分からない。
 で、FRBの金融政策の軸足がどうなっているか、である。FFの誘導はかなり難しい状況であり、金利政策はほとんど破たんし、リスキーな物も入ったB/S膨張に政策的な軸足がシフト(量的or質的緩和とか)しているように見える。だが、まだFFの誘導が金融政策であり、これがうまくできないのは、日銀のような機動的吸収手段の売手がないからであろう。恐らくFEDとしてはプルーデンスの火消しに追いまくられて、FFの精密誘導する余裕があまりない、という状況ではないかと推察される。仮に売手があり、オペレーション余力があるなら、あれほど準備預金は増えない(信用乗数も激下げしない)ように思うが。
 あとB/S膨張で改めて感心するのは、FEDと財務省の連携の良さである。まあ、FEDぐらいしか機動的に動けないので、財務省も全面バックアップ体制なのだろう(それが健全かどうかは別・状況次第です)。日本もいずれ大変になるので、日銀・財務省仲良くやって欲しい。「何でも認めて面倒もみるからいざとなったら43条を思いっきり使え」と言ってくれる財務省なのだろうか。
 米系サイト、いつか見た議論があったりして、非常に興味深い。デジャブー的な思いも味わい、結構読みふけるところがある。Macro Man、マクロという割にはオペの吸収面に目を配ったりして、意外に通ですね。

追記 (加重平均で見た)FF誘導が難しいのは、以前にも指摘したようにGSEなど付利対象外の存在がFF市場に参加しているという理由もあり、これはマーケット構造要因。GSEも付利するとかすればまだ誘導能力は上がるかもしれない。

準備預金に付利して量的緩和ができるか、やった場合の効果はどう見るか、について考え中です。ある程度まとまればアップする予定。全然意味ない、とも言えない面もあるんですよね。まあ、ゼロにすればきれいなんですが…。
by bank.of.japan | 2008-12-01 22:33 | マーケット | Comments(4)


無料アクセス解析