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rinbanを国際協調に応用する方法=思いつきです
 国債買いきりオペ(rinban)の増額は、日銀的には負債要因(高水準の銀行券残高)に基づく技術的な対応(日々の調節が楽になる=効率化)だが、増額は緩和的な措置と受け止められやすい。債券市場は「需給がしまる」と受け止め、長期金利は低下する可能性が高い(機関投資家は嫌でしょうが、財務省は歓迎ですね・笑)。まあ、緩和が必要なとき、本当は「利下げ」なんだが、その前の「緩和の振り」として使えなくもない(量的緩和時代にはいろんな“振り”をしているので、経験済みである)。
 さて、ここから先は、私の思いつきである。世界経済の雲行きがますます怪しくなり、米国が金融・財政を出動させ、欧州も利下げし、国際協調の雰囲気が強まって日本も何かしないといけなくなったとする。このとき国債買いきりをうまく利用できないものかと考えた。考え付いたのは以下の方法でありました(利下げしてもいい。その場合は、併せ技になります)。
 財務省は円売り・ドル買い介入する。買ったドルで米国債を買う。米国は財政出動で国債発行が増えるので、それをファイナンスする格好となる。円売り・ドル買い介入すると、外為特会はFB発行が増える。そのまま増発させてもいい。短期債市場は別に崩れないでしょう。だが、せっかくなので、日銀も協調の環に参加して国際イベントを盛り上げたほうがいい。
 そこで、外為特会はFB増発分を長期債発行に振り替える。この長期債は日銀の買い入れ適格とする。日銀は市中発行されたこの国債を市中から買ってもいいし、直接引き受けてもいい。後者の方が協調体制に強力に加わった感じが出る。
 この案のメリット
・円安になる(少なくとも対円でのドル下落を防げる)
・米財政のファイナンスをサポートできる
・国際協調を盛り上げられる(rinbanは海外でも有名)
・日銀の買い余力は30兆円近い。しかも技術的対応に過ぎない
 デメリット
・なんでしょうね。外為特会のリスク増大? 対米依存強まる? でももともと特会は既に100兆円以上も外貨資産があり、いまさらリスキーと言ってもねえ。経済は相互依存関係にあり、米経済が助かるなら、対米輸出を通じて日本も助かる面がある。デメリットあればご教授を。

 この案の技術的検証点。外為特会で長期債を出せるか、出せない場合、出すようにする手続きは大変なのか。

 まあ、思いつきのアイデアですので、このエントリーはスルーしていただいて結構です。思考実験として関心ある方はコメントどうぞ。

ps この国債買い入れ増額は、外為特会の発行分を吸収するので、理屈の上では既存需給は変化はないので、長期金利には中立ですね。
by bank.of.japan | 2008-01-30 23:20 | マーケット | Comments(31)
名ばかり店長の考察=マクロ経済環境&ビジネスモデル
 東京地裁は、マクドナルドの店長は「管理職ではない」として、残業代の支払いを命じた。労働者の権利として、私は当然の判決だと受け止めたが、一方でマクロ経済環境やビジネスモデルとしてはどう捉えてたらよいのか、以下の観点でちょっと考察してみた。もっぱら「体を動かないといけない外食や販売などの業務」が前提である。
①残業代を払えるのに会社がケチった
 会社が過剰な利益を挙げていたのなら、労働者の権利を守る判決である。
②払いたくても払えない(働いた分の給料を払ったらビジネスモデルとして成り立たない)
 こういう例が多いなら、かなり悪影響を及ぼすと考えられる。既にぎりぎりの経営努力を続け、過重労働でやっと利益が出ているという状態なら、この判決は企業倒産をもたらす恐れがある。この結果、マクロ的には雇用情勢の悪化を招き、労働者の総所得は減少する。

 需要が低迷する中、競争過多の状態が続けば、多かれ少なかれ労働者にしわ寄せがいきやすい。しわ寄せを軽減する判決は、それはそれで当該企業の労働者にプラスに働くが、需要一定の前提条件では、労働者全体としてはゼロサムとなり、「雇用の場が減る」という調整圧力が働くような気がする。
 雇用情勢が悪化すると、企業側に有利になるので、賃下げを行いやすい。労働基準を厳格に守るなら、労働者一人に対する支払いはかなり減る。単位労働コストの低下、総所得の減少への流れを強める判決、ある種の官製不況のような影響をもたらす恐れはないですかね。
 まあ、杞憂に終わればいいが…。
by bank.of.japan | 2008-01-29 22:01 | 経済 | Comments(10)
政治ポジション&幕末人物診断の結果は…(オマケあり)
 bewaadさんのところで紹介されていた、政治ポジションテスト(外交編)と幕末人物診断をやってみた。
 政治ポジションはグローバル志向+1、タカ派度+1でありました。質問に対してもう少し歯切れがよければ+度はちょっと強まったかも。
 幕末人物診断は最初は佐久間象山。もう少し考えて再トライしたら徳川慶喜となってしまったなあ。うーん、であります。

オマケ 総裁の後任人事(確たることは良く分からんです)について、bewaadさんのこのエントリーの見立ては、関係者の雰囲気をもっとも的確に伝えていると思いました。まあ、総裁人事が実際はどうなるのか良く分かりませんが、ご参考までに。
by bank.of.japan | 2008-01-29 01:15 | その他 | Comments(10)
みなさんもそう思うのですね=ソシエテの巨額損失&FRB
 仏大手銀行ソシエテ・ゼネラルの巨額損失のニュースが出たのは、昨日午後の遅い時間であった。このニュースに接したときの最初の印象は「たった一人のトレーダーでこんだけのロスが出せるのか?」であった。本当に一人でロスが出せたのなら「リスク管理は一体どうなっていたのか?」という疑問も湧いた。マーケット関係者の第一印象も似たものではなかったと思う。
 一般的に巨大なポジションを張って、どでかいロスが生じていると、その取引のカウンターパーティは何らかの異変を感じ取るものであろうと思う。これは関係市場にはある程度伝わるもので、当該商品が上場物だったりすれば、建て玉などから異常なポジションの存在がにじむようことがある。住友商事やベアリングズ、大和銀行などの損失事件でも異変は指摘されていたと記憶する。
 今日、あるディーラーと話していたら、「ソシエテは公表前にポジションをクローズしており、それが最近の株価急落の一因だったらしい。FRBはそれに煽られて緊急利下げした格好だ」ということを聞いた。最初は、単なるマーケットルーマーだと思ったが、害債さんのところで、FTの報道があったことを知った。
 巨額損失では害債さんも同じ感想を抱いたようで、興味ある方はそちらをご覧頂きたい(害債さんの方が専門的です)が、巨額損失の公表前にポジションを切っていくのはどんなものかなという感じを持った。まあ、処理が合法的で、情報管理を厳重にしたとしても、巨大なポジションの反対売買を執行していけば、先に述べたように異変を薄々分っていた向きには「ロスカット、キター!」という感じであろう。それに確信的に乗っかっていく向きもいないわけではない。
 大分前にALMに関して旧IBJのことを書いたことがある(こちら)。このポジションは損失ではなく、建前上はALM上のヘッジだが、まあ実態は限りなくロスに近かった(と思う、そして多くのALM関係者も。みずほ統合時に合併差益を使った損失処理がされた)。当時、IBJの払いが多いのはスワップ市場では周知の事実で、債券先物の建て玉も異常だとみんな思っており、バンキング勘定でのALM操作の一貫とは言え、「ALMディーリング(懐かしい言葉)の失敗」と認識され、いつかロスカットの嵐が来るとの見方もあった(具体的な処理は未確認です)。
 FTによれば「“It is now clear that the Fed was panicked into a 75 basis point rate cut by the actions of a rogue trader and the bank’s unwinding of his positions,” said one London-based hedge fund manager」との指摘もあるという。
 ソシエテのロスカットがなかったら、緊急利下げはなかったのだろうか。まあ、なかったにしても定例のFOMCでの大幅利下げはあったかもしれないが…。
 市場取引における巨額損失が発生した場合の公表&損失処理の在り方はいろいろ考えさせられる。損失が発覚した時点で即時公表しても、これからロスカットが出るのが分れば追随する動きで相場の動きが加速しかねない…。難しい問題である。

ps ロンドン時代(キダー・ピーボディの損失事件があった頃)に聞いた不正取引の一手法。A銀行のA氏とB銀行のB氏が、意図的かつ結託して相対で大きな取引をする。相場がどちらかに振れるとどちらかに巨額の利益が出る。損を出した方はクビになるが、儲かった方から利益を半分もらう(事前の約束)。実例があるのか不明ですが、ホホウと思った。今じゃリスク管理が厳しくて無理でしょうが。
by bank.of.japan | 2008-01-25 22:05 | マーケット | Comments(14)
景気後退下のユーロの危うさについて
 下のエントリーも多くのコメント頂き、多謝です。これもちょっと時間かかりますが、コメントをお返しする予定です。
 世界経済が景気後退に陥るとした場合、個人的に心配しているのは「ユーロ」の行方である。私はもともと「国がバラバラなのに通貨だけ同じにする」という実験には懐疑的(Euroscepticismですね)で、それに反してユーロがどんどん高くなっていったのは意外でありました(FXは別にやってません。ユーロ軟化の見通しが外れただけです)。
 私はマーストリヒト条約の締結、ポンドのERM離脱などが起きた時期にロンドンにいた(はるか昔で、記憶もおぼろげ)が、当時のユーロへの見方として、①国家間の人口移動がスムーズではない②地域(国家)格差を是正する財政的な所得移転がうまくいかない-などの理由から、通貨統合には懐疑的な雰囲気が強かった(ドイツにポンドを見捨てられたシティーのひがみの影響が大きいかも・笑)。
 米国のある識者(名前は忘れた)が、広大なアメリカ合衆国が一つの経済圏としてまとまっているのは、①景気が悪いところから良いところへ人が簡単に移動する②強力な連邦政府が存在する-からだとし、合衆国状態にならない通貨統合はうまくいかない、と論評しており、これにひどく賛同した覚えがある。
 もっとも、こうした懐疑論は、元財務官の行天氏から「ユーロに対するシティーやウォールストリートの典型的なアングロサクソンシニシズムだな。ヨーロッパの連中の強力な統合意志を見くびらない方がいい」と諭されことがある。実際に行天氏の言うようにユーロは発足し、まあ総じてうまくいった。
 ユーロが堅調に推移した背景として、もちろん各国の統合意思が固く、構造改革も(程度は不明だが)進んだこともあるだろうが、総じて景気は回復基調が続き、近年はドルを過剰に抱えるようになった新興国がユーロに資金をシフトさせ、これが欧州経済の資産ブームを巻き起こした面もある。
 問題は、景気が後退した場合である。景気が良いときは、各国は多少の格差やユーロ体制への不満があってもそれほど声をあげないが、悪化すると様々な不満が出やすい。特に景気悪化が相対的に進んだ国からは、利下げの声が強まり、財政も拡張気味になりやすい。経済・財政の収れんは逆行しやすく、通貨としてユーロはぜい弱性が増すのではないかと懸念される。
 金融システムもサブプライムでかなり痛手を蒙っている可能性もあり、金融機関への直接的なグリップが弱いとみられるECBがどこまで事態を把握しているのか不安もある。あと、ECBのインフレタカ派的(ブンデスバンクの遺伝子?)な性向も気になるところである。
 通貨統合の逆、通貨離脱が起きるほどの騒動にはならないとは思うものの、ユーロの行方は不安である。まあ、私は懐疑主義者の悲観バイアスが入っているので、多少割り引いて受け止めて欲しいが。みなさんのご意見は? この辺はeurosellerさんの専門領域ですかね。
 
 
by bank.of.japan | 2008-01-24 21:43 | マーケット | Comments(24)
大学入試センターの問題はおかしい=日銀にも解けないよ(補足あり)
 下のエントリーに多くのコメントを頂き、ありがとうございます。ちょっと時間かかりますが、コメントへにお答えします。すいません。このエントリーでは、パットメセニーさんの入試センターに関するコメントが非常に興味深いので、それを取り上げたい(パットメセニーさん、コメント多謝です)。
 今年の大学入試センターでは、以下の問いがあったようだ。

「中央銀行が行うと考えられる政策として最も適当なものを以下から選べ」
1-デフレが進んでいる時に通貨供給量を減少させる
2-インフレが進んでいる時に預金準備率を引き下げる
3-不況期に市中銀行から国債を買い入れる
4-好況期に市中銀行に資金を貸す際の金利を引き下げる

 日銀マンはこの問いには答えられない。「実際にやった政策はどれか」という問いであるなら、「通貨供給量」を「ベースマネー」に置き換えると、①が正解となる。去年の前半は物価ややマイナスの中、ベースマネーは前年比で激減状態でありましたので(笑)。
 それはさておき、まじめに考えると、①は間違いである。②も間違いで、しかも預金準備率の操作はもはや金融政策の手段ではない。③は、好不況に関わらず、日銀は国債を買い入れている。④は明確に間違いである。従って、日銀マンは「全部違う」として、この問いは解けないことになる。実際に何人かにこの問題を出したら、「答えがない」でありました。
 ちなみに正解は③なのだが、なぜ正解かは不明。推測するに、不況(デフレ)になり、量的緩和を確実に実施するために国債買い入れを増やす手段も応用する、であろうかな。厳密に言うと、この問いの正解はないので、全員に点をあげた方がよいね。
 でも、上記の問いに答えられる受験勉強とはどういうものなのか。教科書にいろいろ変なことが書いてあるのだろうか。日銀はもっと教育関係に関与した方がよいと思った。この問題はかなり変なので、日銀は指摘した方がいい。
 私はこれまで入試センターの問題に関心はなく、今回パットメセニーさんのご指摘で改めて眺めてみた。首を傾げた質問はまだあった。以下のものである。

「バブル崩壊を促した要因でないものを一つ選べ」
①日銀の数次の公定歩合引き上げ
②不動産融資の総量規制
③金融庁の設置
④地価税の導入
 これは「促進要因」でないという意味では③が正解なんだが、グリーンスパン元FRB議長によれば、バブルは防げず、発生して自ずと崩壊するもので、この問いを導く説明文(適切なタイミングで政策を打てばバブルはコントロール可能みたいな趣旨)が果たして正しいかどうか。現実を踏まえると、疑問を覚えるなあ。

 金融政策の理論面については学会でもいろいろな考えがあり、高校生レベルで教えるなら、あまり異論の出ない極めてシンプルものに限定すべきであろう。不況のときは利下げする、好況のときは利上げする、という程度で十分な気がする。こういった無駄を省けば、意味のない知識の詰め込みは避けられると思うが…。

補足 「国債を買う」という場合、日銀&金融市場関係者にとっては「国債買い入れ=国債買いきりオペ(輪番オペ)」を意味する。ただ、入試レベルでの想定は「資金供給オペとして、例えば国債を買う」という意味かもしれません。でも、それでも「不況期に国債を買う」というのが金融政策としてどういうイメージになるのか、よく分からない。この辺、どう思われますか?
by bank.of.japan | 2008-01-23 22:10 | 日銀 | Comments(107)
福井総裁の定例会見、雑感を幾つか=追記・FRBが緊急利下げ!
 まず月報はほとんど変化なし。展望リポートの「中間評価」は予想通りに「幾分下振れ」と下方修正。先行きは「生産・所得・支出の好循環メカニズムは基本的に維持されており、住宅投資が次第に回復に向かうことから、2008年度の成長率は、『見通し』に概ね沿って、潜在成長率をやや上回る水準になると予想される」そうです。そうなると良いですね(私は懐疑的ですが)。
 会見で気がついたこと(雑感)。
・「利上げ」、「金利水準の調整」といった言葉を使わなかった。
・「金融政策運営の方針はこれまでと変わらない」と簡単な説明に終始。
・利下げの可能性を匂わすようなフレーズがあったが、これは弾みで出たものであろう(と受け止めた)。市場は反応したようですね。
・全体的に景況感は弱い印象を受けた

 会見とは別に、企画筋は現在の金融政策運営のロジックが内在する時間軸効果を効かしたい考えを示していたが、これはちょっと一般的には分りにくいだろうと思った。日銀的には、景況感が悪化する際、市場で自然発生する時間軸(=0.5%という緩和的な金利水準が長期間続く)ことを容認するロジックになっていることを強調したいのだろう。まさに「余裕」の概念です。

 とここまで書いていたら、FRBが緊急利下げしましたね。これが効くと良いが…。
by bank.of.japan | 2008-01-22 22:34 | 日銀 | Comments(44)
予防的政策運営の心境=高層ビルからのジャンプかあ…「私の履歴書」
 フォワードルッキングの金融政策は、景気見通しが外れると悲惨だ。失敗の烙印を捺され、政策運営への信任は地に堕ちる。賢明なる日銀幹部によれば、「どんなに頭が良くても、半年後、一年後の経済・物価は予測はできても、そうなるかどうかは分らない」と言う。従って、フォワードルッキングの政策運営はドキドキ物であろう、と思う。でも、投機行動としては、うまくいって当たり前(あまりリターンがない)、失敗すると信任ガタ落ち(ロスがでかい)ので、すごいショートガンマ(オプションの売り)で、超ドキドキしながら割の合わない賭けをしているようなもの。
 「私の履歴書」(本日分)である。グリーンスパン元FRB議長は94年に入ってからのフォワードルッキングの利上げ路線について「成功する確信はなかった。むしろ『60階のビルから飛び降りて、無事に着陸できるか試してみよう』というぐらい不安な気持ちだった」と語っていた。幸いなことに、経済は軟着陸したわけだが、景気の先行きにかなり自信はあったにせよ、やっぱり神と言われながらも、グリーンスパンも人間であり、内心はドキドキであったわけだ。まあ、そんなもんでしょう。
 わが日本銀行である。量的緩和を解除するとき、かなり自信満々に見えた。景気回復が長く続けば下降する可能性は高くなるし、米国のバブルだっていつはじけるか分らない状況でもあった。はたから見ると、大丈夫なの、という感じであった。高層ビルからジャンプし、途中までは落下速度が緩くなってソフトランディングしそうな雰囲気も出たが…。このところ、なんだか落ち方が激しいすね。私たち、地面に激突(ハードランディング)するのかしらん。
 米国は、十分な浮揚力があるかどうかは不明だが、一応は利下げ&財政出動のパラシュートを身に着けているが、私たちには今のところ何もなさそう…。
by bank.of.japan | 2008-01-21 22:15 | 日銀 | Comments(20)
米国会にも頓珍漢な議員がいるのですね…=バーナンキ議長も苦笑
 わが国の国会論戦は倒れそうなやり取りが多いが、米国も似たことがあるようだ。既に報道されているが、バーナンキFRB議長の議会証言で、ある議員が同議長の経歴をポールソン財務長官のと勘違いし、「あなたはゴールドマンサックスのCEOだったが…」と問い詰めようとしたらしい。
 詳細については、私と限りなく同業の匂いがするが、それにしてはかなりのグルメでいらっしゃる「奇奇怪怪」さんが詳しい。You Tubeの動画もあり、生を見たい方はご覧ください。
 ウォールストリートジャーナルに寄せられたコメントも紹介されてあるが、かなり手厳しい。
 辞めろ! 首だ!とかはありがちな批判。そのほかには、
「It is so sad to realize that our “representatives” are representative only of the least intelligent and least productive members of our society」とか、
「If only unshackeled from dumb laws and regulations and exhorbitant taxes, 300+ million Americans will always make better decisions for themselves than 12 FOMC monkeys, or 535 Congressional doofusses, or xN state/local legislatures/boards, etc」というものある。
 ちなみに、わが国の場面で、私が一番倒れそうになったやり取りを紹介したい。
まずは民主党ニュースの「【参院予算委】円議員、資産デフレの解決を強く要求」をご覧頂きたい。この中に「円議員は、失われた国富を国民の個人金融資産で穴埋めするために2004年の新円切り替えに伴う預金封鎖が検討されている問題を追及した」とある。これに対し、塩川財務相は「そんなことは全然考えていない」と否定した。
 これはリアルで見ていたが、困った。やり取りを速報しなきゃいけない立場であるものの、「預金封鎖は全然考えていない=塩川財務相」というヘッドラインですからね。まあ、スルーさせました。他社も同様であったようだ。
 このときの国会議事録はこちらです。議事録の真ん中辺りです。面白いです。
 「これで、何ですか、二〇〇四年で新円切替えを機にこの国富の穴埋めをするつもりということがちまたで言われていますし、どうもそのようなんですが、これは突然国民に、今これだけの資産が目減りしていることを一切言わずに突然預金封鎖するおつもりなんでしょうか。昭和二十一年の金融緊急措置令をおやりになるつもりなんですか」
 新札発行がなぜ切り替えになり、それが預金封鎖に発展するメカニズムは私には不明であった。また、1500兆円の穴は計算上の数値に過ぎず、会計上のロスではない。何だろうね。
 竹中大臣の答弁の一部である。
 「円委員は第二次世界大戦のときとも比較されましたが、あのときは我々が持っている輸送船がなくなり、工場が焼けてしまってその資産のフィジカルなロスというのがあったわけでありますけれども、今回はそのフィジカルなロス、例えば領土が狭くなったとかいうそういうことではないわけで…」
 竹中大臣に座布団一枚ですね。

 この手のやり取りをヘッドラインで打ちまくったら、それが「日本オワタ」の引き金になるんじゃないか。

「私が別に経済学部を出ていなくて、経済の専門家ではないからとおっしゃって、何か読み過ぎじゃないかなんというそういう失礼な言い方はやめていただきたいんですけれども。それこそ大事な点を全く御存じなくて、後で恥かきますよ」
 うーん、塩川大臣は「本の読み過ぎ」と指摘しただけで、そんなことは言ってないんだがなあ。
by bank.of.japan | 2008-01-18 22:06 | マーケット | Comments(7)
前田氏(東レ名誉会長)&グリーンスパン氏に賛同=日経新聞より
 本日の日経新聞、二人の弁に賛同であった。まずは「YENの漂流」の関係インタビューに出てきた前田勝之助・東レ名誉会長の為替に対する考えである。人為的な相場誘導論には賛成しかねるが、全体としての発想は正しいと思った。かいつまんで紹介すると、以下の部分だ。
・一般的に(円が)強いことは良いことだ。しかし、それだけの実力がないのに(高く)評価されるのは良いこととは言えない。
・デフレが続いている状況を見れば、ある程度の円安誘導を政府は考えるべきだ。
 後者については、私は人為的な誘導をやる必要はないと思っているが、政府は少なくとも円安傾向は容認すべきであろうと考える。円安がもっぱら金利差に根ざした円キャリーによってもたらされた投機(バブル)とみなし、だから日銀の利上げが必要だとする主張は愚の骨頂であろう。繰り返すが、振れやすい為替に立脚した金融政策論はそれ自体が振れやすく、そんなことするなら固定相場制か、ドル化した方が話は早い。
 日銀も「金利正常化のためには藁(円安)をも掴む」ようなメッセージを出さないようにしないとね。しょせん、そんなものは藁でしかないから、溺れちゃうんだよな。

 次はグリーンスパン元FRB議長の「私の履歴書」より。ぐっちーさん、自伝の抜き書きではないかと怒っておられましたが、私は本を買っていないので、この履歴書は重宝します(笑)。
・(ブラックマンデーの理由)市場は時に熱狂し、おのずと破裂するリズムがある。そんなリズムの表れで、外部要因は関わっていない、というのが最も意味のある見方だ。
・(日本のバブル)米株暴落で日銀の利上げが遅れたのが日本のバブルにつながったとの議論があるが、そうは思わない。利上げしていればバブル発生を遅くしたかもしれないが、防げたとは思えない。激しい利上げをすれば別だが、それでは経済の腰を折る。
 まあ、そうだと私も思う。バブルは市場が潜在的に内包するリズム(市場心理学的なものかな)で、周期的に到来する熱病のようなものだろう。詳しく覚えていないが、かなり昔のNHKスペシャルで、数人の仮想ディーラーにディーリングをやらせたコンピューター上の実験では、必ず暴騰・暴落が起きた(と記憶する)。相場とはそういうものだと思う。野村証券の田淵氏に言わせれば「相場には魔物が住む」というわけだ。
 中央銀行としては、だからといってバブルを放置するとは言えない(言いたくない)立場にある。気持ちは分かるが、少なくとも「バブルを退治する」というようなメッセージは出さない方がいい。マスコミを喜ばせるだけだから。「第二の柱」は、これがどう受け止められるか、という視点が欠けていたのではないかと思う。これは、次期体制に向けてロジックを見直すときのポイントであろう。
by bank.of.japan | 2008-01-17 21:05 | マーケット | Comments(6)


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