人気ブログランキング |
<   2007年 12月 ( 16 )   > この月の画像一覧
銀行券、81兆円突破!=日銀、“メタボ感”覚えますか(笑)
 年末銀行券残高は80兆円の大台を突破し、81兆2777億円と相成りました。史上最高更新、おめどうございます。金利が多少でもプラスになれば銀行券は減ると思っていた日銀マンにはB/Sのコアを形成する部分の膨張は「メタボ感」を覚えるかもしれんが、そんなのは気にしない、気にしない。世間には、B/S膨張を不健全視する輩(ヤカラ)もいるかもしれないが、そんなの気にしない、気にしない。あっ! そうかあ、今風には「そんなのカンケーネー」でしたね(笑)。
 まじめな話をすれば、現金のニーズが何であれ、日銀はそのニーズに応えないといけないので、増えたものは増えたものとして宿命的に受け入れざるを得ない。太った、痩せた、とかの感情jを持ち込みたい気持ちは分かるが、このB/Sの規模は日銀の体調(健全性)を意味するものではない。世の中の求めに応じた自然な姿が81兆円なのであり、負債に制約される日銀の人生なのだからまあ仕様がないね。
 むしろ、電子マネーなどの普及によって、券が激減しなくて良かった、と感謝した方がいいかもしれない。券の激減はすなわち資産の激減であり、これは保有国債からの利子収入(シニョリッジ)の激減を意味する。財政的な独立性が失われると、政府の補助金に依存し、金融政策の独立性が脅かされる。この観点で言えば、痩せるより太った方が健全ですな。メタボ感を覚えるのではなく、もっと太りたいという欲求を持った方がいいのかもしれない。
 喫緊の問題としては、下のエントリーで書いたように、資産構成の観点を踏まえた金融調節(オペ)のあり方であろう。いみじくもシステム5.1さんが指摘されたように、例の「埋蔵金」で保有国債が償還されるなら、その分、短期オペが増える。意味なきオペの繁忙を続けてもいいけど、「額に汗して働く(オペを打つ)が、効率が悪い」という印象がぬぐえない。
 政策委員会は、輪番の金額を決める権限を金融市場局に降ろし、自由にやらしたらいいのではないか、と思う。当分、利上げできなさそうだし、まあギミック的ではあるが、利下げに追い込まれそうな局面に立たされたら、輪番増額を緩和っぽくやって切り抜けるという手もある。日銀はマジメなので、そういうポーカーはしないだろうが…。

来年もrinbanは不滅である。むしろ増えるかもね。
by bank.of.japan | 2007-12-28 20:41 | 日銀 | Comments(4)
年末銀行券残高は史上最高かも…=やっぱり輪番増額がいいかもよ
 年の瀬で忙しいからエントリー更新できない、というわけではなく、エントリー化にほどよいネタがない、という状況です。これからの世界経済とか、サブプライム問題の行方とか、海の色は変わるのか、などのテーマはあるが、どれもかなり重いネタである。一方でこまごましたネタはあるが、わざわざエントリーにするのもどうかな、という感じで、何となく日が空いてしまいました。すまんです。
 ということで、何かないかと思いつつ、ふと目に付いたのが、銀行券残高でありました。営業毎旬報告によると、12月20日の銀行券残高は約78兆5000億円。昨年末の残高は約79兆8000億円(史上最高)であったので、今年の年末・年始の休みが長いことを考えると、券需要は多めになるので、もしかしたら年末残高は去年を超える公算が大きい。個人的には80兆円の大台を突破するのではないか、と思っているのだが…。どうなんでしょう。
 景気が特に良いわけでもない(むしろ体感的には悪化)し、金融システム不安で銀行に預金するのが怖い(家に現金保有=タンス預金)というわけでもないのに、銀行券残高は膨張傾向である。まあ、いろいろご批判を頂くかもしれないが、私個人としては、アングラ的な現金需要(金融資産の能動的匿名化)が根強いのではないか、と見ている次第だ。
 まあ、動機はともかく、銀行券残高が高水準で推移(むしろ増加基調)していることが、金融調節(オペ)に投げかけるインプリケーションは何か、である。言うまでもなく、銀行券は日銀の負債であり、これに見合う資産は長期国債だ。12月20日時点で日銀が保有する長国は47兆5000億円。この残高は概ね横ばい(やや少なめかも)で推移しているのだが、負債である銀行券残高が膨張傾向であることを考えると、銀行券残高から保有長期債を引いたギャップは拡大傾向であることを意味する。
 このギャップを埋めるのは短期の資金供給オペであり、金融市場局はバランスシートをバランスさせるためのオペが忙しくなっているわけだ。この忙しさは基本的には意味のないものであり、「額に汗する」かもしれないが、この汗は忙しさの象徴であるこそすれ、何か経済的に意味のあるものではない。
 じゃあ、意味の無いオペの繁忙さをどうやったら解決できるのか。そう、国債買い入れオペ(通称・輪番)の増額でありましょう。年明け以降も券の残高が減らないようだと、輪番増額を検討した方がいいのじゃないかと思う。最近、輪番オペの期間が短期化しているようですね。ほとんど短期国債買い入れに近い、との声も聞く。オペの期間が短いと腹ごなしが良過ぎて保有国債が増えない(たくさん食ってたくさん出している状態)ので、オペの繁忙化は解消しない。
 新発国債の引き受け、どうすか? 世の中には「そんなことすると財政規律が緩む」とか、批判する向きも多いかもしれないが、銀行券残高に見合う資産保有上の引き受けはピュアテクニカルな措置に過ぎない、と私は思っている。マスコミは経済紙も含めてバカが付くほどの騒ぎを起こすかもしれないが、長期債を市場から買うか、国からダイレクトに買うかは、バランスシート構成上は技術的な問題に過ぎない。逆説的には、これを技術的に論じられないのが、現在の経済マスコミの限界であろうと思う。
 最後はマスコミ論になっちゃいましたね。
by bank.of.japan | 2007-12-27 20:54 | 日銀 | Comments(14)
両建てオペのメカニズム=簡単ながら解説を
 通りすがり@USAさんより、両建てオペのメカニズムについて解説の依頼がありました。「資金供給総額」の報道に関するエントリー内容にも関連することなので、簡単ながら書いてみます。

 まず、欧米各国の中銀は年末越えの長めの資金を大量に供給しているが、金融政策は変更してない。政策金利は一定のままだ。大量供給をオペ担当者への指令として噛み砕くと、「年末に資金需要が増大するけど、大量供給して金利が急騰しないようにしてね」となる。さらに言わずもがなの指令として、「資金需要が増大しない時は金利を安定させる」というものがくっ付いている。
 さて、「資金供給総額」のエントリーで触れたように、ある時期(年末)の資金需要が極めて強いとき、中央銀行はその需要を満たす資金供給オペを早めに行っていく。直前まで何もしないと、銀行は不安になり、ますます資金確保に突っ走るリスクがあるため、まあ早めにやるわけです。
 話を簡単にするため、財政&銀行券による資金需給が中立のままで推移するとし、年末に10兆円の資金需要があるとする。12月1日に10兆円の年末越えのオペを打ち込むとしよう。銀行は10兆円の金を手にしたが、年末が近づくまではこの金を手元に置く必要がないので、とりあえず短期マーケットに放出して運用する(はず。もちろん抱えたままでもいいが、まあ一般的には運用する)。
 打ち込んだ10兆円の大半が市場で運用されると、金利はべたべたに下がるので、中央銀行のオペ担当者はほぼ10兆円規模の吸収オペ(もちろん期間は年末越えより短い)を打ち、金利が下がらないようにする(政策金利は変わっていないので)。供給してすぐに吸収するオペによって中央銀行のバランスシートがどう変化するかと言えば、供給オペは資産側に、吸収オペは負債側に計上され、両建てでバランスシートが膨らんでいく。
 ECBは先日、何十兆円も供給したが、その後にかなりの吸収オペを行っており、ネット供給は足元ではそう大きくはなっていない(はずだ。ここんとこ詳しく数字は見てない)。

 NY連銀が声明の中で、TB売却やリバースレポなど吸収手段の検討を明らかにしたのは、上記のようなことがある程度想定されるためで、インタバンクの資金需給がかなり余剰になるようだったら吸収オペ打つかもしれない。
 ただ、NY連銀の場合は少し特殊な事情があり、それは何かといえば、「適格担保」によって換金性に差が生じていること。信用不安が強いと「質への逃避」で短期債(TBなど)に金が集まりやすい。みんなTBを持とうとするわけだ。連銀のオペは国債系が中心で、TBを持っている銀行はオペでも金が取れるし、マーケットでも取れる。
 問題は、適格担保なのに金が取りにくいものがあること。すなわち、連銀貸出(ディスカウントウィンドウ)に使える国債以外の担保群(MBSとか)で、これは持っていても使えない。連銀貸出を利用するために差し入れてもいいが、ご存知のように「使うのは恥」だし、「使ったのがばれると危ないと思われる」リスクもある。
 NY連銀が今回、貸出をオペ化したのは、匿名性を維持するためと、これまで換金性の悪かった担保群に金をつけることで、資金が広範囲にいきわたるようにするため。ここで連銀バランスシートの変化を考えると、既に保有TBを償還させており、そして今回貸出のオペ化で資金を供給した。この場合は、資産側でいったんTBが減り、その代替として“貸出オペ”が入ってくる形となる。資産側の中身がTBから貸出オペに移行しているわけですね。
 こうした資産の入れ替えで何とか資金需要に対応できるなら、積極的な吸収は行わなくて済み、バランスシートもまあそんなに拡大しないだろう(両建てがそれほど進行しない)。

両建てオペは、別名「ツイストオペ」とも言います。日銀は両建ての達人です。なお、日銀マンらがマニアックな視点で注目しているのは、超万能の吸収手段である「売手」(注)を導入する中銀が出てくるかどうか。

注 中央銀行が手形を振り出して資金を吸収する手段。機動性はめちゃくちゃ高い(手形切るだけ)が、金融市場が未熟な発展途上国の中銀が使う手段とみなされ、あんまり格好良い手段ではない(と日銀玄人筋は思っている)。でも、両建てのときは便利よ。
 なお、日銀はこの「売手」を適格担保にしていない。これはこれで考えるといろいろ面白い論点があるのだが、それはまた別の機会に。
by bank.of.japan | 2007-12-21 22:45 | 日銀 | Comments(10)
本日の金融政策決定会合は話題多し
・現状維持は全員一致
 水野さん、ついに旗を降ろしましたか。付和雷同するより、利下げを提案した方がましだと思ったりもしたのですが。利上げでも利下げでも「孤高の道」を歩んで欲しかったです。惜しい。でもマーケットの反応、あんまりなかったですね。ユーロ円金利先物・債券先物が一瞬買いが入った程度かな。正常化路線に殉教する(前進か死か)or孤高でい続ける、しかない役を期待したい。
・景気判断を下方修正
 「ゆるやかに拡大している」→「住宅投資の落ち込みなどから減速しているとみられるが、基調としては緩やかに拡大している」
 「基調」が入りましたかあ。1月の中間レビューで舵を切ると思っていたが、少し早かった。過去の経緯から、文章が長くなる、「基調」が入る(という基調文学の駆使)などといったヘッジは一時的に過ぎず、大体において本格的に舵を切っていく(下方修正が続いて敗北する)予兆であることが多い。いったん別れた二人のように「元には戻れない~♪」であって、まあ「日銀版マーフィーの法則」(注)が働きやすいのであります。
・総裁会見 「(金融政策運営は)乱気流気味の中に入った」
 このほか「コックピットに入って操縦しているが、方向感覚は失っていない」など面白い。乱気流、視界不良だが、「利上げ」の方向感は失っていない、という意味であったが…。ジャイロやコンパスなど計器類が狂っていなければいいが。変なバイアスがあったりすると、墜落&激突のリスクあり。ところで、雲や深い霧に突入した(ヘリの)操縦士の方向・垂直感覚が失われるのは何と言ったかな、忘れた…。

注 今の日銀マンの気分は「利下げに追い込まれなきゃいい」(多くの幹部)である。こういう気分のとき、大体において「利下げに追い込まれる事態に陥る」ことになりやすい。そういう悲運がまた似合う組織でもある。仮に利下げせずに済み、次の政策変更(次期体制がやるだろう)が利上げなら、新法以降の苦節10年にしてやっと悲運から脱却できた、ことを意味する。そのときは祝杯を上げるときである。雨男(女)も晴れ男(女)に生まれ変われるわけだ。そうなるとイイネ…。
by bank.of.japan | 2007-12-20 20:15 | 日銀 | Comments(14)
「資金供給総額」という報道の意味は…
 下のエントリーで「金融調節」に触れたついでのネタです。中央銀行が金融調節で大量に資金を供給する場合、その「供給総額」が記事になる場合が多い。例えば、「ニューヨーク連銀の資金供給は総額…百億ドル」とかいうニュースである。この「総額」は、供給量を足していく計算として間違ってはいないが、それはマーケット的に何か意味があるのか、と言えば、何もない。強いて言えば、マーケット的にほとんど意味のない計算(単純な足し算)をやってくれている、であろうか。
 「供給総額」と聞くと、その金額がマーケットに放出されて、お金がじゃぶじゃぶになった印象を与えるが、実はそうではない。分かりやすい例として、「銀行券」と「財政等要因」による資金需給が中立だとし、銀行の予備的な資金需要が通常よりも1兆円多い状態が続いたとしよう。この期間が1ヶ月続いたとする。1兆円を期間1カ月のオペで打ち込めば1回で供給は終わりである。
 では、一泊二日(24時間)の供給だったらどうなるのか。これは今日1兆円出し、明日にはエンドが来て1兆円が吸収されるパターンである。中央銀行は毎日1兆円のオペを打ち続けることになる。土日もなく毎日が営業日だと供給総額は30兆円となる。1兆円の供給を日々つないでいるだけだが、「供給総額」という概念ではどんどん足し算されていく。これは、中央銀行が頑張っているね、という印象を与えるけれども、それ以外の意味はほとんどない。
 一般的に年末という特定時点だけで強い資金需要がある場合、中央銀行は早めに年末越えのオペを打ち始める。だが、ピークに合わせた供給を行うと、その手前の資金需給が超余剰になって金利が下がる(利下げするなら別だが、その場合は利下げが事前で決まる)ので、一方で吸収オペも合わせて実行していく。供給はしていても実は吸収もやって、資金需要が強い年末のみ、それに見合った供給があるような状態にする。
 実際は銀行券・財政要因はいろいろな動きをし、供給・吸収オペの組み合わせはかなり複雑なのだが、超簡単にまとめると上記のようなイメージになる。じゃあ、「供給総額」という見出しが間違いかと言えば、ある期日からある期日までの供給オペを合計したこうなるじゃないか、と言われたら「そうですね」となってしまい、そういう記事を見るたびに悩ましいのである。
 まあ、中央銀行への教訓としては、オペが注目されるような状態(流動性危機)に陥ってはいかん、ということですね。細かい話であるだけに、いろいろなことが針小棒大に伝えられやすく、騒ぎが大きくなりやすいですから。恐らく、長めの供給やると、吸収も必要となり、結果的に中銀バランスシートは両建てで膨らみやすいので、そのうちそれに着目した報道が出て、資産劣化懸念がブームになるんじゃないないかと思うのだが…。
 バランスシート拡大は事実だし、「拡大(肥大)は悪である」との観点に立つ人には資産劣化と映るだろうし。まあ、しようがないね。
by bank.of.japan | 2007-12-18 22:32 | マスコミ | Comments(7)
これは不思議な論調です
 巡回先のブログで、限りなく私と同業の匂いがする(?)「愉快痛快(^_^)奇奇怪怪(*_*;)」さんが、「日銀の資金収縮で円安が進行!!!」というエントリーをアップしていた。何だろうと思ったら、あるメディアのコラムだった。詳しくはそちらをご覧頂くとして、なかなか理解の難しい主張であった。不思議な論調という観点で、かなり興味深い(というか珍しい)ので、幾つかポイントを挙げてみたい。
・オペ(金融調節)と金融政策がごっちゃになっているように思った
→金利操作の下で(例えばFRBが)大量に資金を供給するのは予備的資金需要が増大しているため。つまり、金利(が跳ねないように)一定に保つための措置。
・日銀はもはや量的緩和をやっていない(ベースマネーが減るのは当然)
・だが、ベースマネーの減少を問題視する一方、低金利による円安も問題視する
・都銀が金を貸そうとしない代わりにヘッジファンドに「余った金を低金利で流す」という円キャリールートがあったのは初耳。都銀資産で貸し出しが減った分、ヘッジファンド向けが増えたのだろうか。「流す」という金融行為がどのような項目で資産計上されるのだろうか。うーん、何だろう。

 経済関係ではいろいろな論調があるが、大筋においてマネタリスト的な主張を展開する中で、低金利による円安を問題視する、というのはかなり珍しい、というか「愉快痛快(^_^)奇奇怪怪(*_*;)さん」がご指摘されるように「面白い」と思った。
 一般的には、ベースマネーを増やす→金利は下がる(ゼロになる)→円安が進みやすい、のだが、ベースマネーを増やしながら円高にする、という方法はあるのだろうか。ちょっと考えてみよう。
 しかし、愉快痛快(^_^)奇奇怪怪(*_*;)さんは面白いものを見つけるのがうまいなあ。
by bank.of.japan | 2007-12-17 22:40 | 経済 | Comments(12)
NY連銀の前触れ声明と今回の新型供給=資料編&若干の説明
 このエントリーは、欧米中銀の協調資金供給に関し、中心的な存在となるNY連銀の金融調節について、個人的なメモ(資料)を兼ねて若干の説明を行いたい。まず、NY連銀は今月3日に以下の声明を出した。アドレスはこちら。短いので引用します。
「December 3, 2007
 On Thursday, December 6, 2007, the Federal Reserve’s System Open Market Account will redeem $5 billion of Treasury bill holdings. This action is designed to give the Federal Reserve Open Market Trading Desk (the “Desk”) greater flexibility in the day-to-day management of reserve levels.
 The Desk will continue to evaluate the need for the use of other tools to add flexibility to its open market operations. These may include further Treasury bill redemptions, reverse repurchase agreements and Treasury bill sales.」
以下、ポイントを列記
・TB償還&売却を検討するのはB/Sをいったん縮小させるため
・これは年末の資金需要増大に応じたターム物供給&吸収という両建てオペの体制に入るため(B/S拡大に備えたB/Sの縮小→腹一杯食うため、ちょっと腹をへらす)
・米インタバンクは“質への逃避”からTB需要が強いので、連銀がTb保有を減らしても短国金利は上がりにくい
個人的メモ
・この声明をみたときに両建ての体制に入るのは分かった。
・ターム物供給はレポを活用すると思った。吸収はリバースレポで。
・予想外だったのは、わざわざ資金供給手段としてディスカウントウィンドウの代替オペを打ち出したこと(日銀の全店共通担保貸付に近い)
・もう一つの予想外は協調体制をアピールしたこと

 下のエントリーのコメント欄で、通りすがり@USAさんが「今回の計画を見ると、とても一晩でまとめたとは思えないので、11日は『知ってて知らんぷり』してたんでしょうな」と指摘されていたが、両建て体制を示唆するこの声明を見たときに何かやりそうだ、という勘を働かせるべきだったのかもしれない。これは今後の教訓である。

ps なぜ両建てになるのかの説明が必要であるなら、書きます。それと、必ずしも両建てにはならないかもしれない。代替オペを打つと同時にTB償還・売却を行うと、連銀資産サイドではTBが代替オペに振り代わっていくので。資産構成の変化ですね。これはこれで資金を循環させる意味があるのだが、この説明はやや長くなるので、これも要望に応じて書きます。

ちなみに日銀は両建てオペは普通にやります。97-98年の金融危機時には能動的にやり、B/Sはスゲェ膨らみました。「海外中銀の非常時は日銀の平時」なんですよね。凄いというか、ある意味悲しいというか、複雑です(笑)。調節は凄いが金融政策は…、現場は優秀だが、経営は…、の象徴みたいな…、何というか。
by bank.of.japan | 2007-12-14 23:51 | 日銀 | Comments(7)
欧米中銀、慌てた感がありますな=日銀も「アリバイ会見」で協調の輪(ワッ)!!
 「年末越えの資金供給で各国中銀が協調行動」に関する雑感(というか疑問)。
・FRBはなぜ昨日、発表しなかったのか
・ロンバートを下げて、利用期間を延ばせた良かったんじゃないか
・それでもロンバートが機能しないから新たな供給の枠組み作るのか
・協調行動が必要なほど欧米インタバンクが危機的だ、という印象を与えるのじゃないか

 あと、アレですね、日銀が協調行動に入っているのかどうか。深夜に緊急会見開くことが、協調行動であった、ぐらいしか思いつかない。だから、そう聞いてしまったのだが…。稲葉理事、変な質問してスイマセンね。笑いの多い会見でした、これまたスイマセン。
 明日のオペ、普通ですよね。妙なアリバイオペ、打たないでね。

しかし、深夜の緊急会見に理事のほかに中堅重鎮が3人も並ぶとは…。自分の国の金融危機の時でも、オペに関してこんな会見開いたことないのに…。他の国の調節につき合わされるとは日銀も“中銀付き合い”が大変でしたね。お疲れさんです。

早く帰ろうかと思ってたのに。「アリバイ会見」には困ったものだ。
by bank.of.japan | 2007-12-13 00:55 | 日銀 | Comments(20)
私が都銀株主ならチャンスと言いたいが…=米銀の支援要請
 既にぐっちーさんがお書きになっているが、私も都銀の株主なら今回の米銀からの支援要請は「チャンスじゃないか」と言いたい。でも、難しいだろうな。リスク取っても失敗したらメチャ叩かれそうな風潮ですからね。サブプライムだって「損失規模はこんなだ!!!!」と叫ぶような見出しが並ぶわけですから…。
 支援内容は、例の米国版CCPCへの出資だが、それに素直に応じるのはもちろん騙されるリスクもあるので、うまく立ち回る必要がある。ただ、先方は頭を下げてきている(はずでしょ?)ので、徹底的に条件を叩くべきだと思う。こっち(邦銀)だって足元見られて不良債権をバルクで叩き売りせざるを得なかったのだから、今度は逆ですよ、当然。CCPCへの出資じゃなくて、「条件次第ではおたくに直接出資してもいいよ」とシティやバンカメ、JPモルガンに持ちかけてもいい。
 問題はその先である。「私の履歴書」で田淵氏が指摘していたように「日本人には外国人を使いこなせない」では話は終了となる。ただ、それでもなおうまく使って欲しいなあ、という淡い期待はある。アングロアメリカン系の金融機関がヘタる機会は今回を逃してしまうともう当分ないのじゃないかと思うし。何かうまい手はないだろうか。私が考えたのは以下の方法。
 ライアーズポーカーのうまい日本人傭兵を集め、ファンド(箱)を作る。そこを経由して金を流す。傭兵が本気になって働くインセンティブを与える。直接支配がうまくいかない場合は間接支配を試みるしかないわけですね。仕組みをうまく作ってきちんとワークするように見張るのは大変ですが。対外的には、オータナティブ投資の一環としてちょろっとハイリスクな投資やりました、でいいのじゃないですか。どうせ国内的には運用難が強まるでしょうから…。
 ただ、「大丈夫なのか」、「いいのか」と行内・行外で騒ぐ奴らは消えないだろうなあ。一番のリスクは金融庁が不快感を示すこと、そして役員が「失敗した場合の株主代表訴訟が怖い」と言い出すことであろうか。まあ、そうなったら内需の低迷と運命を供にするしかないですね。
by bank.of.japan | 2007-12-12 20:38 | 金融システム | Comments(23)
「円キャリー解消→日銀の国債売却→景気回復」は理解できますか
 金融政策に絡んで理解不能な主張を目にしてしまった。スルーすればよいのだが、大手メディア(某経済紙夕刊のコラム『十字路』)に出てしまうと、私も何がしかの影響があるかもしれないので、書いておきますね。詳しくは実物をお読み頂く(別に読まなくても良いですが・笑)として、以下のような論理展開であった。
 まず、サブプライム問題によって海外投融資のリスクが増大し、円キャリー取引が解消。円高が進み、日本国内に過剰流動性が発生する、のだそうだ。この理屈、いまいちよく分からないが、海外に向かったお金が国内に戻ってきて「過剰流動性」をもたらすということなのだろう。まあ、それはともかく、過剰流動性では三つのシナリオが紹介されていた。
1 (国内で)資産インフレが起き、それが破裂して大変なことになる
2 デフレで過剰流動性が解消。不況が深刻化して金融危機が起きる
3 これはシナリオというより解決法ですね。すなわち、日銀が国債を売却して過剰流動性を吸収。インフレもデフレも回避するチャンスが生まれ、さらに日銀の肥大化したバランスシートが縮小し、長期金利を引き上げられる、そして(長期金利上昇を)預金金利引き上げにつなげると、利息が増大し、円高と合わせて購買力が増大、消費が活性化する、のだそうだ。
 最後に「円高不況シナリオは、金融政策を正しく行う(国債売却)なら経済再生に結びつく。(この方策の実行が)次期総裁に期待されるところ大である」とあった。

 うーん、困りました。日銀の方々、どうしましょう。一つ一つ反論するのも虚しい。何も聞かなかった、読まなかった、ことにして静かに忘るしかない、ですかね。でも、この手の主張、稀にだけど取材中にぶつかることがあるんですよね。マジに言われたりして、かなり激しい脱力感が見舞われます。エントリーにしない方が良かったかも。

念のため一言

仮に円高が進み、不況になったとき、日銀は国債を売却し、長期金利の上昇を図ることはしません
by bank.of.japan | 2007-12-11 21:03 | 日銀 | Comments(18)


無料アクセス解析