人気ブログランキング |
<   2007年 07月 ( 19 )   > この月の画像一覧
日銀保有株売却、うまくいくといいね=プルーデンスの運勢は
 日銀が保有株売却の指針を発表した。この件に関して事務方が異常にこだわったのは、①潔癖主義②不干渉主義-二点である。①は、インサイダー疑惑の徹底排除で、これは総裁の村上ファンド問題もあって、(もともと疑惑を受けない仕組みだったのだが)さらに念を入れてきれいな仕組みを考えたわけだ。あたかも株=汚物のように扱い、そんなバッチイものにはいかに触らないで済むか、という考えを貫いたのだろう。「日銀君子危うきに近寄らず」がとても大事であることは総裁が身をもって知らしめた教訓なのだろうなあ。
 ②は、売却が価格に影響を与えないようにする仕組み。もともと大した額ではなく、しかも売却期間を最大10年取っているので、影響はないとは思うのだが、担当者らが前々からあまりに「影響のなさ」を強調するので、イジワルな私は「影響しやがれ」との思いを抱く。さらにイジワルな見方をすれば、金融政策の「間の悪さ」がプルーデンス政策にも伝染して、売却期間中(最大10年!)株の地合いが悪化する、というとてつもない悪運に見舞われるかもしれない(金融政策も大変なことになるな)。
 なお、国民的な関心事項としては、売却益はきちんと国庫納付する、という点に尽きる。大分前に以下のようなやり取りがあった。
某幹部 「(株の)利益を狙っている奴がいる」
私 「えっ!、誰?」
某幹部 「政府だよ」
私 「国民のものなんでしょう」
某幹部 「いや、俺たちのものだ」
私 「利益はどうするんですか」
某幹部 「自己資本の充実に使うのだよ」
私 「……」
 幸い、最近はこういう話は聞かれない。売却益は国庫納付されるでしょう(多分)。
by bank.of.japan | 2007-07-31 21:19 | 日銀 | Comments(9)
株急落しましたな=日銀らしい展開(間が悪い?)です…
 サブプライムローン問題への懸念で米株が急落。日本株も直撃された。サブプライム問題は、私が解説するまでもなく、ぐっちーさん始めとする専門家の方々の鋭い分析に委ねたい。これまで関係ブログは何度か紹介したが、本日は「漂流する身体。」さん(紹介済みかもしれない)のこのエントリーを。マスコミにはまず出ないであろうヘッジファンドのレバレッジに関する秀逸な解説でありますので、特に一般の方で金融に興味をお持ちならぜひ一読を。
 さて、8月利上げが観測される日銀である。さすがにこんな地合いなので、OISは50%割れ。OISは現状、外資系三社の寡占市場なので数字が市場全体の総意を示すか不明だが、利上げの可能性は低下中である。市場地合いに応じて日替わりで動くので、このまま下がりっぱなしになるか、それとも持ち直していくかは、神のみぞ知る世界である。
 それにしても、政策変更前後に相場がガタガタするのは「間の悪さ」で定評がある日銀らしい展開である。去年の7月はやる前にガタガタ、今年の2月はやった後にガタガタ。今度はやる前にガタガタとなるのか、ならないのか。これまた神のみぞ知る、でありましょう。別にガタガタさせようと思っているわけではないのに、ガタガタしてしまう。ただ生真面目なのより、ガタガタ感のある生真面目の方が第三者的には見ごたえはあるな。
 昼休み、日銀通りで知り合いの日銀マンとすれ違った。
私 「株、急落したぞ」
彼 「間が悪い、ですかね(笑)」
 多くが自覚しておるようである。
 もっとも、次の決定会合前にガタガタが収まり、再び世界がバラ色に包まれてOISが上昇。利上げは当然だよね、とみられる中で利上げできたら、今のガタガタは「間が良かった」のかもしれない。そうなればいいね。
 先般の金融庁・大森氏のエントリー。裁判のびっくり判決として、氏は「ある時点の行政のぎりぎりの判断を、それより前にも同じ判断が出来たはずだと、神の予知能力を持たなかった責任を問うこともある」と述べていた。この点、日銀の判断はと言えば、フォワードルッキング(未来を予想した政策運営)を標榜しているので、日銀は「神の予知能力を持たなかった責任が問われる」ものなのだろう。「日銀」の人生はつらいものである。

 
by bank.of.japan | 2007-07-27 22:28 | マーケット | Comments(32)
日銀が「政府預金」に付利している意味は…
 中央銀行B/S絡みのマニアな話だが、日銀負債に「政府預金」という項目があり、この預金は付利、つまり利息が付いている。民間銀行が日銀負債に持つ当座預金に利息は付かない。官尊民卑の利息体系、ということであろうか。それはともかく、政府預金に付利している合理的な理由はよくよく考えるとないような気がする。
 政府からみると、余ったお金を日銀に預けておけば何がしかの利息が付く(運用益が出る)。だが、付利は日銀負債のコストである。日銀は運用益から経費(預金利息など負債コスト含む)を差し引いた利益(国庫納付金)を政府に払っているが、この納付金は付利の分だけ減っていることを意味する。付利をやめれば、その分国庫納付金は増える。つまり、付利してもしなくても政府が日銀からもらう総利益に変化はない。
 付利している意味は何か。以下のようなことだろうか。
①国庫資金が効率的に管理されているようにみせかけている(利息付けないと国会から無駄金じゃないかと批判されかねない)
②預金利息と国庫納付金の行き先が違う(政府内部での利益分配)
 筋論としては、付利をやめ、無駄金をぎりぎりまで減らすことであろうと思う。なお、利息と納付金だが、前者は財務省理財局、後者は同省主計局の管轄となるのだろう(違ったらご指摘を)。理財局が努力して無駄金なくせば、主計局が得するという構図かあ。日銀が「意味がないので付利を止めたい。その方が国庫金の本質的な効率管理に資する」と主張すれば、理財局は困惑し、主計局はニンマリですかね? 局益を揺るがすアクションは日銀としてはかなり微妙・危険であろう、と第三者的には推測される。筋論通すの難しいね。

ps1 上記の件は日銀内で一時期前向きなムードが高まったのが(そして私は固唾を飲んで期待した…)、いつの間にかポシャっていた。残念でありました。

ps2 日銀がいずれ市場金利の下限を設定するために(民間銀行の)当座預金に付利するとき、財務省(の主計局)は国庫納付金が減るじゃねえかあ、と抵抗するのだろう。一方、財務省(の理財局)は沈黙ですかね(というか知らんぷりかな、関係ないしね)。官尊民卑の付利を逆転させ、政府預金利息分を国庫納付に回してやる、という手もある。あっ?、財務省(の理財局)が怒るね。いずれによ、日銀はどちらかの財務省に怒られるな。
by bank.of.japan | 2007-07-26 21:54 | 日銀 | Comments(8)
貸出の失速感は気になる=よろしくない兆候かも
 このところ貸出関係の指標が冴えない。資金吸収貸出動向では伸び率のピークアウトが鮮明で、都銀の伸び率は既にマイナスに転換。前日の主要銀行貸出動向アンケート調査(四半期ベース)は、資金需給DIが急落した。全般的な印象として貸出失速の感がある。これは気になる。景気変調のよろしくない兆候ではないかと心配になる。日銀も悩んでいるようである(というか不安なんだろうな)。
 貸出は景気に対して「やや先行か一致」と言われる。貸出が景気とかなり相関が高いならば景気が減速or足踏みor踊り場or下降局面に入りつつあることを反映していることになる。ちなみに貸出アンケート調査のDIをセクター別にみると、企業向けは前回比11ポイント悪化、個人向けは8ポイント悪化。過去の推移をみると、DIはかなり上下に動いているのだが、過去2年ぐらいはきれいに山を描いて落下中といった感じ。利上げで落ちたというより、落ちる局面で利上げしちゃったという印象である(間の悪さの証明?)。
 企業向けDIを業種別でみると、「建設・不動産」の落ち方がすごい。大企業は同12ポイント悪化、中堅は同17ポイント悪化、中小は同23ポイントも悪化。これは①公共投資の減少②不動産投資の減少-の両面が影響していよう。前者は過去数年の傾向であるが、後者は地価上げ止まりor軟化の兆しなのだろうか。
 個人向けDIの悪化で大きな要因は「住宅ローンの減少」。そう言えば、最近はマンション販売が低迷している。販売価格の先高観から売り惜しみしているから、との解説をよく聞いたが、私はこれには懐疑的である。お金の流れは間接金融(貸出)以外もあるので、全体をみないといけないのだが、少なくとも間接金融からみると利上げは整合的でないように思われる。業純の悪化、それを補うためにデュレーションリスクを取る、ベアフラット化という相場観なんですが…。
by bank.of.japan | 2007-07-25 22:08 | 経済 | Comments(5)
最近、オペレートの低下がちょっと話題になっているようで
 ドラめもんさんのリポート(24日分)でも指摘されているように、最近のインタバンクでは日銀のオペレート低下が話題になっているようだ。資金供給オペが多い感じがあり、ターム物のレートを下げようとしているように見えたり、金が余っているのにオペ打ったりして意味が良く分からん、という声もあるようだ。
 こういうとき、メディアなどでは面白い解釈が出やすいので、どんな記事が出るのか見守るというのも伝統的な楽しみの一つ。面白そうなものを幾つか考えてみた。
①サププライム問題で神経質なグローバルな金融市場を落ち着かすためにターム物金利を低下させている。足元金利を下げるとディレクティブ違反(金融市場局独走利下げor低め誘導)なのでターム物で代替している、という説。
②8月利上げのアナウンスメント効果を高めるために、わざと8月会合を超えるターム物を下げている。昔の「ネコの目調節」をターム物に応用した手法、という説。
③オペを打ち間違えてターム物を下げてしまった。金融調節の凡ミス、という説。
 まあ、どれも信憑性はないですが。真実は、足元金利を0.5%前後で推移させるために打っているオペが、結果としてたまたまレート低下につながっている、というとても面白くないものであろう。実際、そうみたいでありますよ。オペレート低下が意図があるように見えるのは結果論であり、何やっているのか分からんという感想を持たれるのも結果論らしいです。金融調節の実態って得てしてつまらないものである。それと、変てこなことが起きたら、得てして調節の失敗だったり、日銀も見逃していたテクニカルな要因だったりする。少なくとも政策的な意図はない。

予断ながら。実際にどういうオペを打つかを決めているのは企画役にもなっていない若手(と言っても30台前半ぐらい?)。「オペ担当」と言って、これは調査統計局の「バランス担当」(景気シナリオを考える役)と並ぶ登竜門的なポスト(今でもそうかは知らない)。オペ担当経験を何人か知っているが、結構気を使うみたいで一年やるとヘトヘトになるそうだ。人にもよるだろうが、日々どういうオペを打つかは誰にも言わないものらしい。おかしなことが起きたら、すべてを引っかぶるので、まあ大変であると思う。変な解釈が出ないことを祈ります。
by bank.of.japan | 2007-07-24 21:45 | 日銀 | Comments(4)
預金の圧力を回避するには…=極論を考えてみた
 金融庁・大森氏の「市場経由型資金仲介の拡大」、すなわち貯蓄(預金)から投資へのシフトでどういう手があるのか、極論も排除せずに考えてみた。まず大森氏の問題意識は、①集まる預金の圧力をバックに過当競争で低利融資する銀行の『不動産担保さえ取っておけば』という貸付姿勢がバブルの生成と崩壊の土壌にある②不動産担保付融資は地価上昇によってさらに増え、増えることが地価を高め、いったん崩壊すると逆の信用収縮スパイラルになる-というもの。すなわち、間接金融ルートのバブル生成・崩壊をもう一度繰り返したくないためだ。
 これ自体、私はちょっと異論があり、基本的には担保政策が適切に管理されているか、または融資基準が厳格に守られているか、に尽きるように思う。担保に取った不動産価値が上がったからといって、上がった分を機械的に追加融資する銀行は多分ない(と思う)。仮に追加融資するにしても、借り手の財務状況に応じて適切に判断すればよいのであって、今どき『不動産担保さえ取っておけば』という銀行はないのではないか。行政官の立場として、間接金融の健全性を重視するのは当然としても、1980年代後半のような不動産担保の上昇を見込んで追い貸しを続け、再びバブルが発生・崩壊するシナリオはやや心配症な印象を受ける。
 それはさておき、「貯蓄(預金)から投資」へのシフトは起きるのだろうか。もとより、銀行は「預金」に対しては受け身であり、預金を拒否できない。結局は、家計が預金か投資かを判断するわけで、この点に関して銀行が人為的に預金をコンロトールする(減らす)のは難しい。投信を買わせる程度だろうか。預金の魅力を減らすために利息を下げる手もあるが、これは世論の反発食らうでしょうな。
 預金が投資に向かう(or消費でもOK)ための本質的な解決は、投資=株式とした場合、株価の上昇期待、すなわち企業収益の増加期待、すなわち経済の成長期待が高まること。現在のように成長期待が低いと投資意欲はあまり高まらない。消費にもあまり向かわない(→だから日銀が緩和してインフレ期待を高めよ、という主張は当然あるでしょうね)。
 結局のところ、銀行の負債サイドに対する預金の圧力が続くなら、資産サイドでその圧力をどこに逃がすかを考えるしかない。銀行がもっぱら貸付に一生懸命になり、過当競争になってしまうなら、別なルートとして金利リスク(債券)に圧力を逃がすしかないのではないか。債券を買いやすくすればいいわけで、アウトライヤー規制を止めるとか、バンキング勘定の時価会計やめるとか、どうですかね。極論ですか、やっぱり。でも金利リスクで破たんした銀行ってあるんですかね。ないような気がするが。そういうケースがあればご教授を。
 知り合いの銀行幹部は「地公体向けのローンがいいよな」と言っていた。私もそう思う。
by bank.of.japan | 2007-07-23 21:34 | 金融システム | Comments(17)
金融庁・大森氏の特別論考(下)=マクロ経済&マクロプルーデンス
 前日の続きとして、金融庁・大森氏の特別論考の下である。ここでは私の取材フィールドに重なるマクロ経済とマクロプルーデンスに関する見解に絞って紹介したい。その前に前日の村上判決に関連した部分を一つだけ。
 「(略)市場経由型資金仲介を拡大しなければならず、そのためには株主をこれまで以上に大切にしなければならないから、ライブドアや村上ファンドだって一概に否定したくない」

<マクロ経済観>
・バブル崩壊後の失われた10年と過去形で言うが、その後の景気回復はグローバル展開する製造業がけん引し、国内にとどまる企業の多くは失われたままである。
・もはや大手自動車メーカーは国内で売れなくても成長できる。成長しても国内労働者にはさほど還元しないからいざなぎ景気を超えても豊かになれない。
・まして、成熟した国内市場にとどまる企業は、リストラしないとやっていけないから、景気回復過程において生活保護受給世帯は増加していく。
・内需による持続的成長が望ましいとは一般論ならその通りだが、現実の目立った内需は三大都市圏の不動産である。
・実体経済の構造からいって、ある程度まで地価や株価上昇の資産効果から個人消費による内需が喚起されないと、グローバル経済の動向だけに振り回される国になってしまう(この部分続きがあり、金融が実体経済を破壊するリスクも付言)。
→以上の総評として、日本経済分断仮説(勝組グローバル圏と負組内需圏)の解釈であり、同感ですね。

<マクロプルーデンス>
・優良な貸付先が少なくなっても相変らず預金は集まるから、過当競争して信用リスクに見合わない低金利を設定する…
・国内市場にとどまる企業を相手に不動産担保を取って完済まで抱える従来型の貸付を続けても、あまり明るい展望は描けそうもない。
・ただ、当面は原資としての預金が多過ぎるから、どんなタイプの貸付でも過当競争によるダンピングの可能性がある、ABLにおける担保価値の評価だってバイアスがかかるかもしれない。
→反論なし。その通りでしょう。

解決策は「貸付を証券化したり、貯蓄を投資に置き換えていくしかない。…すなわち市場経由型資金仲介の拡大」(大森氏)なのだが…。これはハードルが高いであろう。ご存知のように、貸付資産の証券化は、根っこの貸出のスプレッドが異常に低いため、証券化コストを差し引くと証券化された商品の魅力は乏しい。また、証券化しても、それは資産サイドの減少であり、負債にある預金に見合う資産を何か持ってこないといけない(再び貸出に回るか、債券買うしかない)。また、銀行負債にへばり付いた貯蓄が投資に向かうためには、株式市場の活性化が不可欠だが、その起爆剤と期待されるM&Aに対するアレルギーは強い。どうしたらいいもんですかね。
 なお、上記の総合的な解釈において、金融政策がどのような影響をもたらすのか。日銀の利上げ路線は、日本経済分断化を助長(格差を拡大)し、預金金利の上昇によって貯蓄を銀行負債にへばり付ける(投資から貯蓄への逆流)働きをもつ。預金利息が増えると消費が増えて景気が良くなりハッピーというトンデモ議論も撲滅されていない。この点に関し、成長が期待できない国内をすり抜けて海外に流出する個人マネーは立派な「貯蓄から投資への流れ(円安要因)」なのだが、世の中には“円安が心配だ”シンドロームが根強く、日銀に円安を歯止めをかける利上げを求める輩すら存在する。
 大森氏の論点に照らせば、金融庁は日銀利上げ路線に待ったをかける必要があるのではないか。なお、前日・本日と論考を取り上げたが、いずれも超部分的な紹介にとどまっているので、氏の主張が正確には伝わっていない可能性がある。興味ある方は原文をお読みすることをお勧めする。

ps マクロプルーデンスは多少思うところがあるので、別途エントリーをあげるかもしれない。
by bank.of.japan | 2007-07-20 23:09 | 経済 | Comments(14)
金融庁・大森氏の特別論考が面白い=付録で日銀人事の話題
 まずは付録から。先般の人事異動だが、日銀内では金融機構局某部署が話題を集めているようだ。複数局の複数人から聞いた話では、その部署には“異色”の人材が集まるらしい。異色の意味、人材の集結が意図的なのか、偶然なのかは、今後調べてみたい。これは調査が楽しみ。レゾンデートルに悩む日銀プルーデンス、「高度化」の次は「キャラ」で勝負か、と勝手に空想したのだが…。北の書生もどきさん、外れですか(笑)。

 プルーデンスついでに金融庁ネタというわけではないが、「金融財政事情」(業界で良く読まれる専門誌)に寄せられた同庁大森泰人氏(総務企画局企画課長)の「特別論考・空想の金融システム&金融行政」(上、下)が面白い(執筆時は総務企画局参事官兼信用制度参事官)。「来し方を振り返り、そしてこれから」についての「個人としての空想」なのだが、この「空想」という前提の下で、かなり思い切って自由に意見&感想を述べられている、と感じた。論点は多岐にわたり、中にはそうかな?と思うところもあるが、全体としては琴線に触れるフレーズが多い。かいつまんで紹介すると以下の通り。まずは「上」より。
・三権分立と言うが、しばしば裁判の判決にはびっくりさせられる
・無理な法解釈だが、グレーゾーン金利は絶対認めないぞ、というのは(行政を良い仕事に駆り立てる)びっくりである。
・一方、金融経済事案の有罪は本人の違法性認識が不可欠と思われるが、そこを検証もせず、被告の人生を否定しているわけではないとコメントし、身障者の母親からの激励の手紙を読み上げながら実刑判決を下す裁判官がいたりする。
・また、ある時点の行政のぎりぎりの判断を、それより前にも同じ判断が出来たはずだと、神の予知能力を持たなかった責任を問うこともある。
・こうした場合、面と向かって「お前はアホか」と誰も言わないから、本人(裁判官)は自らのセンスの水準を認識できない。
・行政も同じこと(センスの水準が認識できない)が起き得る。つまり、よかれと思った制度も誰も批判しないからあさっての方向に走る恐れがある。今後、何をすべきが判然としない中で、行政センスが自ずと磨かれるシステムが必要と思われる。
・法律にどこまで細かく書くかが望ましいかは、明確な答えに到達していない。
・市場取引は(略)アメリカ流の大雑把な規定がある一方、知ってしまったら売買できないインサイダーとしての重要事実は細かく列挙している。
・かつてやましくもないのに捕まった奴はいないと言い続けていたが、逆に何らかの理由で捕まえようと思えば、本人の違法性の認識が定かでなくとも捕まえられる法律になっている。

明日は「下」を紹介する。実はこちらの方が私のフィールドにも関連して面白いのである。不思議判決のセンス論に倣えば、日銀も判断のセンスの水準を認識できる仕組みが必要かもしれん。

ps 村上氏、二年の実刑判決でしたな。何というか…。
by bank.of.japan | 2007-07-19 22:54 | 経済 | Comments(8)
「正直に告白しよう。私には二つの『柱』が理解できない」(カトー)
 本日の大機小機は、久方ぶりのカトー氏であった。コラムを読む前に名前が目に入ったので、期待して読んだのだが、思わずニヤリとする内容でありましたね。朝っぱらの電車でオヤジがニタリ顔で日経新聞読んでいるのはまことに不気味な光景なんだが、まあそれぐらいツボにはまった内容でありました。カトー氏、問題意識を共有していただきありがとうございます。
 既に何度かこのブログでも触れているように、日銀政策運営ロジックにおける「柱」の位置付けは周囲には分かりにくいだろうと思う。私は取材する立場から何度も議論しているので、一応はわかったつもりであるが、それでもまた分からなくなったりする。これは私だけでなく、日銀マン(企画を除く)も同様であり、知り合いの某支店長も「良く分からん」と言っていた。
 もとより、日銀は「第一の柱」を主軸に利上げしているのだが、「物価がマイナスなのになぜ利上げするの」というのが普通の感覚であろう。この結果、利上げの理由はどうしても「第二の柱」(バブル予防)にあると思うわけで、既に紹介したようにBIS(国際決済銀行)もこの解釈に流れたわけだ。日銀に言わせると、BISの何も知らない若い奴が書いたのだろう、ということだろうが、何も知らない人の解釈こそ、一般的に受け入れられる金融政策の解釈だと思う。
 カトー氏はまた、日銀の潜在GDPの計測(低く見積もり過ぎている)に疑問を呈しているが、これも私の問題意識と同じ。もしかして、カトー氏は私の知っている人なのだろうか。気になりますね。
by bank.of.japan | 2007-07-18 12:06 | 大機小機 | Comments(16)
日経新聞・経済観測=三菱東京UFJ銀行頭取、「金利、上げにくい」
 という部分がインタビュー内容に合うヘッドラインではないかとの印象を受けた。全般に率直な意見が表明されており、少なくとも間接金融ルートでは利上げはあまりできない(orしない方がいい)のではないかと改めて思った。ポイントは以下の通り。
・国際経済に組み込まれた業種は好調な一方、内需関連は冴えない
・設備投資はキャッシュフローの範囲内。資金需要はかつての景気拡大期と同じには戻らない
・地価はバブルではない
・(追加利上げがあったら)優良企業向けの貸出金利は上げにくい
 これらの指摘から浮かび上がる産業構造は、外需組と内需組の格差であり、しかも後者ほど非優良先が多いと思われるため、利上げを続けるほど格差を助長する方向に働く。勝ち組のキャッシュリッチは企業はむしろ利上げはメリットである一方、負債の多い内需関連(中小・零細企業の多く)はデメリットを受けるわけだ。

 銀行貸出は全体としては伸び率はピークアウトした感があり、都銀はしばらく前から前年比マイナスで推移している。二回の利上げを経て、「返済圧力が強まっている」との声も聞く。利上げは、資金需要が増大しているときは整合的だが、そうではないときはオーバーキルにつながるんじゃないかとの不安を覚えてしまう。日銀は多分8月に利上げするのだろうが、それでおしまいにしたらどうか、というのが私の率直な感想である。

ps 畔柳頭取、「利上げは預金利息の増加を意味し、消費拡大につながる可能性がある」と述べられているが、本当にそう見ているのだろうか。話を合わせたのではないか、と思いたい。
by bank.of.japan | 2007-07-17 22:28 | 経済 | Comments(23)


無料アクセス解析