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私にとって「221億円の金融政策」は…
 平成18年度の日銀決算「業務分野毎の経費」によると、金融政策関係は「221億5300万円」だった。私はあまり経済小説を読まないのだが、その理由の一つは、目の前に時にエンタテイメント?なことをしてくれる経済的な存在(日銀です)がいるからである。
 「事実は小説よりも奇なり」と言うが、例えば「福井日銀」発足以降の金融政策運営の軌跡とロジックの絶句的変遷はスペクタクルであった。しかもこれは芝居ではなく、エリート集団が真剣に取り組んだリアルなものである、というのが凄い。経済動向を受けた中央銀行という存在の「リアクション」に過ぎないのだが、各場面における内部の様々な人間模様なども含めると、まあ何というか、大河金融小説みたいな印象も受ける。
 「速水体制」(これもスペクタクル)で量的緩和が導入され、「福井日銀」でその運用が引っくり返り、何だか訳の分からない理屈がこねられ、多くが右往左往・悶絶する中、あれよあれよという間にエグジットしていき、現在に至っている(この間、総裁が村上ファンド問題に見舞われると誰が予想しただろう)。登場人物もまた多種多彩で、ダン・シモンズ級(超内輪ネタ)であろう。
 現在の政策運営にしても、当ブログのコメント欄がまたたく間に賑わせるという効果をもたらし、当初50人程度を想定した読者数が今では軽く1500人を超えるようになったのは「221億円の金融政策」のおかげであります。また、「替え歌」という一つのジャンルが金融政策を軸に確立?したのも日銀のパフォーマンスのおかげであろう。
 と言う話をある日銀マンにしたら、「221億円かあ、タイタニックの制作費に近い」と即答した(映画もオタクなのね。一体幾つのオタクなの?)。タイタニック級の金融娯楽大作だったわけですね(笑)。 以上、妄想モード。
 以下、リアルモード。
 生産統計、ややネガティブサプライズでしたね。中味は悪くない、という見方もありましたが、どうでしょう。心配なのは中国株の調整。年初来の上げ幅からすると大したものじゃないですが、やや不安。西村委員、会見は無難にこなしてくださいね。ヘッドラインリスクへの備えは出来てると思いますが…。
by bank.of.japan | 2007-05-30 22:51 | 日銀 | Comments(13)
植田教授の続き・雑感&雇用統計の改善(日銀がはしゃぐリスク再び)
 植田東大教授の続き。雑感として日銀関係者の反応。まずは非企画一課系の5-6人。押し並べて「分かりやすい」と好評であった。総裁になって欲しい、という声があったのはもちろんである。これはマーケット関係者も同じ感想を持たれたのではないかと思う。運用系の方々は、金利上がって欲しい、との願いがあるだろうが、インフレ期待が乏しいときに利上げしていくと、ベアフラット化してしまうので、「経済をふかして物価を上昇させる」(植田教授)方がスティープ化していいと思うのですが、いかが。ドラめもんさん(29日の分)にも好評のようです。
 ところで、企画一課系の反応であるが、歯切れ悪しでありましたね、やはり(苦笑)。
 面白かったのは、ある若手エリート(非企画一課系)に「なぜ今のボードメンバーで植田さんみたいなことを言える人がいないの?」との質問をぶつけたときの反応。「●●●●●●からでしょ」。これは恐ろしいので●●●と伏字にしました(スイマセン)。なお、植田教授が総裁になることに関する日銀内の傾向と分析はマジモードで可能ですが、ここでは避けます(スイマセン)。

 雇用統計改善しましたね。失業率横ばいの予想だったので、ポジティブサプライズあり。ユーロ円金先、OISは利上げ時期がやや前倒しになった格好あります。リスクはもちろん、日銀が雇用統計に飛びついてはしゃぐリスクでありましょう。「『雇用統計、キタ━━━━━!!』って喜んでんじゃないの」と言うのは知り合いの資金ディーラーの反応でした(笑)。
 日銀は「景気の改善ペースに応じて利上げする」との方針なので、これからマーケットで起こり得るのは経済指標の星取表の作成(典型的足元ルッキング=ダサい)。クライマックスは日銀短観ですな。まさか雇用統計一本勝負で利上げする、なんてことはないと私は思っているのだが。マーケット関係者の方々、そうですよね。
by bank.of.japan | 2007-05-29 23:23 | 日銀 | Comments(57)
植田東大教授(元日銀審議委員)の主張は分かりやすい=追加あり
 あまり時間がないので、とりあえず簡単に書きます。本日の日経新聞に掲載された植田和男東大教授(元日銀審議委員)のインタビュー記事は良い。詳しくは記事をご参照頂くとして、私は植田教授の見解に同感である。特に①第二の柱を日銀が強調し過ぎたこと、そしてそのリスクを②物価安定の下限で強調するのは理解しにくい-というのは激しく同意です。
 それと「過熱は危ないから嫌だという態度を貫き過ぎると結局物価が上昇せず、一種の罠に陥る」との部分、“バブルになるぐらいなら不況の方がましだ”というメッセージになってしまうわけだが、さすが植田先生、スマートにお答えになる。ところで、このインタビュー、日銀関係者にもウケがよろしい感じだ。総裁待望論が根強いわけである。
 あっという間にたくさんのコメントを追加で頂きました。一つ一つに答えるのは難しいので、もっぱら私向けと思われるご質問から主なポイントを箇条書きにして、この場で対応します。
・飛車さんの「日銀の政策運営に隠されたインセンティブが何かあるんじゃないかと思うのですが、それが良くわからない」とのご指摘について。
 私は、日銀が何かインセンティブを隠し持っているとは思わない。むしろ、そういう風にみられてしまうのが問題ではないかと。日銀は量的緩和解除時に比べるとかなりタカ派度が弱まっているが、表面上は分かりにくい。日銀も官僚組織である以上、スタンスの振れを嫌う。この結果、ヘッジの多い表現が多く、わかりにくいメッセージになる。「景気も加速感が思ったほどないんだよね、物価指数も読みを外しちまった、ゴメンな。もっとゆっくり利上げするかさあ」とでも言えばいんだろうが、そういう声明は政策委の合意が得られない。困ったものだ。
・ただのとおりすがりさん そういう批判があって当然かもしれない。ある意味、量的緩和の解除が早過ぎた可能性もあるわけです。
・超右翼さん 資金循環&ケインジアン的なアプローチはかなり同調できるところが多いです。ただ、金融緩和したって意味ないとのスタンスを取りきれなかった日銀自身が、金融緩和で頑張る姿勢を見せた以上、財政の出番だとは言えないのだろうと思います。むしろ利上げで財政規律を正すみたいなメッセージ出してますしね(笑)。
・dellさん ご指摘のような反論がなぜ出てしまうのか。そこが日銀の対話がうまくいかないところであろうと思います。どういう風に受け止められるのか、特にマスコミを通じた情報発信は「見出し」がすべてですので。情報戦略はもっと考えた方がいい。
・Teddyさん 「利上げで個人消費が増えるという謬見がなぜまかりとおるのか」は私にも謎です(笑)。循環的な下降が目前でないことを祈るしかないすね。
・通りすがりさん バブル崩壊以降の成長期待の消滅。今でも余韻があるからでしょう。だから植田教授の言うように「経済をふかす」というメッセージが重要と思います。
・ただのとおりすがりさん 言わんとされるのは理解できます。もっとも、失敗かどうかの判断はこのブログではまだしも、世の中はどうみているのか。国会ではむしろ野党が日銀応援の側です。困ったもの。
・↑平仮名のみ何の意味があるのさん なかなか良いポイント突かれましたね(笑)。
by bank.of.japan | 2007-05-28 18:59 | 日銀 | Comments(47)
お勧めのワーキングペーパー=人民銀行の金融調節について
 知り合いの資金ディーラーが「このワーキングペーパーは面白い」と言っていたのが、「中国における金融市場調節=金融政策か為替政策か」である。アドレスはこちら。人民銀行の金融調節は前々から非常に興味を持っていたので、私にとっては久々にヒットなワーキングペーパーでありました。国際局さん、ありがとうごさいます。
 ざっと読んだ印象では、為替をほぼ固定した状態(人民元の上昇を抑制する方向)にしている結果として、過剰流動性への対処に苦慮している様子がうかがえた。意外だったのは、預金準備率の操作(引き上げ)がメディアを通じては「貸し出し抑制(引き締め)」と解釈されていたのに、実態としては金利コントロール(低下を防ぐ)のファインチューニングのために行われたこと。売手の代替的な手段なのかな、と思った。
 それと準備預金は、法定準備金と超過準備の二種類に分かれ、特に後者の規模がかなり大きいのにも驚いた。これは、インタバンク市場のインフラ整備が遅れており、資金取引が円滑に行いにくい状況にあるため、大手銀行などはバッファーとして多めの資金を超過準備として人民銀行に置いてるようだ。
 ところで、超過準備がかなり大きい、という事実はある日銀マンから以前聞いたことがあり、預金準備率の引き上げは結果として超過準備の減少につながる(ブタ積みから法定準備へのシフト)のではないかと思っていたのだが、これは短期金利の低下抑止という観点では正解であったことが分かった。よしよし。
 それと、超過準備には付利され、フロア金利として機能していることが明記されてあった。この部分、日銀が将来的に準備預金(or超過準備)に付利することを踏まえての指摘なのではないかと感じた。考え過ぎですか?
 全体としては、どうしても日銀をベースに人民銀行のオペレーションを考えてしまうので十分に把握できないところがある(今後、色々聞いて理解を深めます)が、それでも非常に参考になるペーパーである。興味ある方にはお勧めであります。B/S構成としては、日銀と外為特会を合体した形をイメージして読み進むと分かりやすいかもしれない。

応用編 量的緩和の正しいやり方は人民銀行が示唆していると思ったが、いかが。やはり日銀自ら外貨買い・円売り介入するのが理想的でしょう。
by bank.of.japan | 2007-05-24 21:32 | 日銀 | Comments(19)
やっぱりカトー氏だった…=タイミング合いますね
 下の下のエントリーで「大機小機」を取り上げ、それに関連してカトー氏に触れ、下のエントリーで日本株の低迷をテーマにしたばかりであるが、本日の「大機小機」のタイトル「株価低迷の真因は何か」を見て、「ホゥ、やっぱりみんな気にしてるのね」と納得。そして筆者を確認したら、こりゃまあ「カトー氏」であったよ(笑)。タイミング合いますね。
 念のため、私は「カトー氏」が誰か知らないので、意図的にタイミングを合わせたものではないことを断わっておきます。でも「カトー氏」って誰なのか非常に興味ありますな。リフレ派だけど日銀に近い、インタゲに対する日銀の考えを理解している、ある種の日銀マンの特性を分かっている、批判のポイントを外していない、というのが特徴。誰でしょう。
 ところで、今回のコラムであるが、私はリフレ派ではないので、引き締めによって経済がおかしくなる(先行的に株価が低迷する)とは思っていない。景気がおかしくなっていく局面で引き締めをしてしまった間の悪さの結果として非難を受けるだろうと思う。とりわけフォワードルッキングを標榜している(先の景気を予想して利上げする)以上、景気が悪くなったら、それは利上げのせいじゃないか(リフレ派なら量的緩和解除も含む)と言われるのは仕方ない。この点、日銀も分かっているはず。ただ、日銀がスケジュール感を否定しているのは、非難を真っ向から受けるのをなるべく避けたい下心がうかがえて、私はあまり好かない。
 百歩のタカ派でなく、五十歩のタカ派だから、非難が半減する、というわけではない。これはまさに五十歩百歩である。堂々とタカ派正常化路線で勝負し、敗れたらとことん打たれまくる、そういう自信がないならフォワードルッキングを撤回して、時間軸的な政策を取り入れる。すなわち、スタンスの分かりやすい政策をやった方がいいのではないか、と思う。チキンホークスっぽいのはいかんよ。
by bank.of.japan | 2007-05-23 22:06 | 大機小機 | Comments(10)
世界的な投資の好循環と日本株の出遅れ
 海外株式市場が好調である。米国はサブプライムローンなどノープロブレムといった感じで、株価は順調である。欧州も中国も同様であり、全体としては投資の好循環が形成されているように見える。昨年来から株価は何度が同時に下落する場面(流行り言葉を使うならグローバル・リスク・リダクション)があったが、いずれも短期間に終わってる。マーケットの宴はぶち壊しにならず、ちょっと盛り下がる程度で、しばらくすると賑やかさを取り戻すという展開だ。
 投融資の側面から眺めるなら、潤沢なマネーがグローバルに循環物色し、株など様々な市場に波及する構図だ。一般的にマーケットの総崩れは、一部下落が周辺に広がり、全体の逆回転につながることで起きやすいが、そうなる前に物色されるほど投資圧力が強いのだろう。また、様々な形態のヘッジファンドがグローバルかつ広範囲の市場を対象に投資しており、ある意味で世界全体に投資が効率化していることも大きな要因かもしれない。
 というエントリーを書いた途端に、マーケットの好循環が終わったら、私はワールドクラスのネガティブインディケーターとして恥を晒す(笑)のだが、それはともかく日本株は冴えないですな。私は株式市場はカバーしていないので、出遅れる要因は詳しくは分からないが、少なくとも金利市場(資金、ユーロ円金先、債券・スワップ)にとっては、株価が上値を抜けないのは平穏(?)である。
 マクロ経済的には、下のエントリーで元とおりすがりさんが「国内を見渡すと、これが活力低下というのでしょうか、活気が弛緩しています。好調な海外の恩恵を受けているダケといっても良いほどなのが国内経済情勢ではないでしょうか」とご指摘されているとおりだろうと私も思う。
 世界は熱いけれども、日本は都市圏が多少温もった程度。何だか両者の間に強力な断熱材が挟まっているような印象を受ける。この断熱層をぶち抜くためには資産効果を享受するしかないと私は思っているのだが、わが政府・日銀(含むマスコミ)はバブル再来を忌避しているようで。額に汗して働くしかないね。

ps 日本株を運用する米系ヘッジファンドの知り合いのマネージャーはいずれ見直し買いが入るだろうと期待していたが、どうなんですかね。
by bank.of.japan | 2007-05-21 22:30 | マーケット | Comments(18)
総裁会見の雑感、大機小機など=誠児氏はリフレ色を抜いたカトー氏ですね
 本日の総裁会見は全般的にはno newsという印象を持った。言葉を切り取るならば「マイナス物価でも利上げ」というフレーズがマスコミ的な見出しになるかもしれないが、この部分が意図的な発言であった感じは受けなかった(私の感度が鈍い?・笑)。
 その他の印象は以下の通り
・案の定というかスケジュール感については言質を与えず。この辺の言い回しは福井ワールドのレトリック満載で、私はよく分からんかったな。日銀マンの中で、これを即座に理解できるのが内田参事役と見たが、いかが?
・国債買い切りの減額が質問に出たのはちょっと驚き。もうケリが付いたと思っていたのに…。マーケットの一部で減額観測があるのだろうか。私はまったく知らない。何かご存知の方いますか。

 ところで本日の「大機小機」(誠児氏)はなかなか良かった。ちょうどカトー氏からリフレ色を抜いた感じで、マーケット感覚に近い日銀批判であろう。うなずける箇所は以下の通り。
・現在の金利は本当に「大幅に緩和された水準」なのか。根拠はあるのか
・経済構造&環境変化で適正金利はよほど低水準にあると考えるのが自然
・現時点で利上げが正当化されるか極めて疑わしい
・米経済の減速といった下振れ要因は見逃せない

こういう論調の批判は、日銀内でも同調する向きがそこそこいるのではないかと思われる。足元の幾つかの経済指標や銀行貸出の増勢鈍化など、何だか踊り場に入りそうな予感もする。あっ、そうかあ。だから利上げしないで済むようにスケジュール感否定しているわけね。なるほど。
by bank.of.japan | 2007-05-17 21:11 | 大機小機 | Comments(18)
官房長官の「外貨準備」積極運用論は…(追記あり)
 いずれ取り崩す可能性があるなら、流動性を重視せざるを得ないので、運用利回りはそうは高められないだろうと思う。外貨準備は大半が米ドル建てのはずで、リターンを高めるなら通常はデュレーションを伸ばす方向となるが、逆イールドだからなあ。かといって、トレジャリーを積極売買してキャピタルを狙ったら、図体がでかくてマーケットインパクトが凄まじく、米FRB&財務省が激怒するかもしれん。
 じゃあ、どうするか。ユーロにシフトする? ユーロ高の潮流の乗っかって利益は上がるだろうが、(大量の米債売りになるので)米国債市場は暴落するリスクがある。これは米政府から国家安全保障上の脅威とみなされかねない(橋本首相の例の発言ですね)。外貨準備の通貨別比率がほとんど変えられないなら、まあ運用利回りを高める方法はないんじゃないか。
 財政諮問会議(5月8日)の議事録見ると、塩崎議員は以下のように述べている。
 「国は資産も債務も両方持っているわけで、これをどう管理して、かつ収益を上げていくかを考えなければいけない。何も収益を上げないで、ただ放置しているのは意味がない。
 特別会計の話があるが、例えば外為特別会計などの利回りは十分高いのか。中国が今度外貨資産の運用を図る投資運用機関のようなものをつくると聞いているが、手放すだけではなく、持ったままで収益を上げていくことを通じて国民負担増を回避する、逆に還元できるような発想もやっていただきたい。
 尾身議員の下でも、例えば霞が関の建て直しなど、いろんなことを考えている中に国自身が収益を上げていくという発想も入っていると聞いているが、是非そういった面も含めて御検討いただきたい」
 まず太字の部分は誤解があるように思う。そもそも外為特会が背負っているリスクはすごいもので、為替リスクはノーヘッジ、負債は円の短期調達で金利リスク大で、資産側も金利リスクはある。ご存知のように、世界最大の円キャリーファンドである。今のところは一般会計に利益を供給(還元している)しており、太字は外為特会を特定したものではないだろうが、奇跡的にやられずに十分な利益を出しているお利巧な特別会計であると褒めるべきでしょ。
 結論 世界最大の円キャリーファンドとして取りあえず成功しているのだから、これ以上利益追求しなくていい。それに財務省が運用がうまいとも思えないしね。

ps 溝口財務官が円キャリーが儲かることを予見して30兆円介入したのなら、空前絶後の名財務官でありますね。たまたまなんだろうが…。

追記 この件に関する筋論をbewaadさんがご指摘されているので、合わせてご参照頂きたい。
 
by bank.of.japan | 2007-05-16 21:55 | マーケット | Comments(18)
アルミ価格が1g=1円を突破すると…
 1円玉が流通しなくなる可能性が高いのだろう、とふと思った。アルミ価格は現在1kg400円弱程度のようで、まだまだ額面突破には余裕はあるが、仮に突破しちゃったら財務省(造幣局)・日銀はどう対応するのだろう。ニーズはあるだろうから発行停止するわけにはいかないし、かと言って製造したとしても、1円玉が1円以上で売れるなら、アルミ鋼材に化けていくだろう。
 ところで、私はうかつにも知らなかったのだが、1円玉の製造コストは大分前から1円以上になっていたのですね。逆ザヤで1円玉を作っていたとは…。ということは、財務省としてはシニョリッジ確保の上ではあまり1円玉を作りたくない、というインセンティブが働く。財務省が日銀に貨幣を売却する際(貨幣の通貨発行益はまさに額面から製造コスト引いたもの)には、1円玉のロスを埋めるために高額貨幣を抱き合わせている構図に見えるなあ。
 スイカとパスモの連結は貨幣(小銭)流通を減少させる可能性が指摘されているが、財務省・日銀にとって最も好ましいのは1円玉のニーズが激減することであろう。そうなるのだろうか。みなさん、どう思われるであろう。聞いた話だが、意外にも今だに一円玉のニーズは根強い、という。それと、1円玉の製造ではかなりリサイクルが利用されているようで、原材料価格の打撃は直接的には受けにくいとも聞く。

ps アルミ価格の騰勢が強まり、1g=1円に接近すると、1円玉の買い占めが起きてキャピタルゲインをねらう動きが強まるのかもしれない。または、1円玉のタンス預金化が急激に進む?
1円玉、大事にしないといけないかもね。
by bank.of.japan | 2007-05-15 22:24 | 日銀 | Comments(19)
「スケジュール感なき金利水準の調整」は矛盾をはらむ
 しばらく金融政策ネタから離れていたので、久々に取り上げてみたい。今回は、利上げの是非論ではなく、「政策ロジック」に絞ったややマニアックなネタである。もっぱら市場関係者(金利絡みの方々)を念頭に置いたものなので、ご関心のない方はスルーを。
 さて、日銀はかねて金利水準の調整で「スケジュール感はない」と繰り返し強調している。何度も言うので耳にタコができるぐらいだ(笑)。先月発表された展望リポートでは「経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行う」となっている。分かりにくいが、日銀文学では「改善の度合いに応じたペース」が「スケジュール感のない金利調整」を意味する。即ち改善度合いが急なら利上げピッチは速く、緩慢ならピッチは遅い、わけだ。
 だよね、と納得してはいけない。なぜなら、分かりやすくできる金利調整をワザと分かりにくくしているからだ。まず、日銀ロジックによれば、現在の金融政策は「極めて低い金利水準による緩和的」(展望リポート)な状態にある。利上げは緩和度を緩めるだけの調整に過ぎず、景気にブレーキをかけるものではない。つまり、いつでも利上げできるのである。
 だったら、四半期ベースとか、半期ベースとか、スケジュール感を示してあげた方が金融市場の安定にはプラスである。政策変更(特に利上げ)はショックを与えるので、それ自体が金融市場に最大の不透明要因となる。「利上げするけど、いつかは分からんよ」というスタンスは、金融市場にとっては細い紐にぶら下がったハンマーナイフがいつ落ちるかとびくびくしながら見上げるようなもの。
 ナイフが落ちる間隔(スケジュール)が分かれば備えはできるが、日銀は「時期は未定」とはぐらかしているのである。どの指標が程度改善すれば利上げができるのかのヒントもない。その代わり日銀は「対話しようよ」と言っている。対話したって利上げ時期は読めないと思うな。
 なお、日銀の政策ロジックは「今後の政策変更は今後の経済・物価情勢次第である」とも言い換えられるが、これが通用するのはFRBにように均衡金利に到達した場合であろう。その時に使うべきフレーズをなぜ日銀は今使っているのか。私は、日銀は経済の見通しに十分な自信がないからではないか、と思っている。強い自信があるならスケジュール感は示せるし、そのときに日銀が市場と対話すべきは「均衡金利」の水準である。これはなかなか正解がないので、一定間隔で利上げする中で市場の反応をみながら模索するしかないだろう。
 恐らく日銀の利上げはまさに「気が満ちた」という心理的なものだと思う。政策委員会の9人の合成(集合)人格の気が満ちるのがどの辺かを探るのは、スーパー心理学者だって無理であろう。私は無理だ。みなさんは日銀の気を読めますか?
by bank.of.japan | 2007-05-14 21:20 | 日銀 | Comments(19)


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