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「期待形成」をめぐる考察=日経「経済教室」(平田氏)より
 数日前(4月26日付)の日経「経済教室」に法政大学の平田准教授(確か元日銀マン)が金融政策の期待形成について論じていた。「期待形成」は実は個人的には最近気になるテーマで、その意味ではタイムリーであった。もともと「期待」なるもの掴みどころがなく、一般的な日銀マンは「そんなものはお呪いだよ」と突き放すもので、私も長年そういう考えに近かった。だが、ある幹部と色々と議論した際、「量の操作も金利の操作も同じであって、大事なのは期待形成だ」(こういう主張をする人も中にはいます)と言われ、以来頭の隅っこでこの言い分がごろごろしていたのである。
 私は、基本的に量的緩和の効果を認める立場ではないが、量をどんどん増やした福井総裁に対しては財界などからは「さすが福井さん、やるもんだ」と高く評価する声が上がった。もっとも簡単に量を減らして利上げしたこと自体は、量的緩和が「演技」でしかなかったことを示しているが、みんなが「(デフレで)大変だ、大変だ」と騒ぐときには、中央銀行も演技であっても何かしないといけないなら、それは「期待形成」の一つのありようなのであろうと思う。
 「期待形成」において、私が疑問に思うのは以下の点である。①高い期待形成力を持つためには中央銀行の(期待実現への)信認が高くないといけないが、日銀にそんなに信認があるのか②国民に幅広く期待形成を働きかけるにしても大半は日銀を知らないor興味がないのではないか(それでもいい?)③仮に信認が高く、期待形成力も保持する中銀であるなら、いかようにでも期待を操作できるのか(集団催眠的になるのか?)-。
 的外れな疑問点かもしれないが、Economics, Technology & Mediaさんのエントリーなど拝見すると、「おまけに経済が万一大幅に下ブレしてもFedがお札を空から振りまいて救ってくれると信じている」、「そんなにインフレが心配ならもともと利上げを止めていないと市場は思ってますし、もともと『札束をばらまいて景気を救う研究を一生やってた』先生なんじゃないの?とも思ってます」といったあたりは、強い期待形成が働いているように見える。
 これはFRB自体への信認と、バーナンキ議長への信認がダブルで効いて、市場が勝手に「期待」をかけているだけかもしれないが、日銀の場合はどうなんであろう。期待形成はなかなか難しい。
by bank.of.japan | 2007-04-30 18:51 | 日銀 | Comments(36)
日銀のこのずっこけ感がいいよね=展望リポートの日に統計悪化とは…
 展望リポートの内容については後述するとして、私が最も感銘を受けたのは、「日銀にとってはこれからの経済を語る大事な日に物価がマイナスになり、生産統計も弱いのが出ちゃった」というずっこけ感である。こういう「間の悪さ」がたまらなく日銀的で良いなあ、と思った。
 記念すべき日、雨が上がり、晴れ着で家を出た瞬間、目の前を通り過ぎた車に泥水を掛けられたとか、または壇上に上ろうとして階段をずっこけるとか(笑)。願わくば、景気が日銀のシナリオに反して大崩れしないように…。
 さて、展望リポートである。まずタカ派方向で気になる点は、「上振れ・下振れ要因」のパートにおいて、「第3に、…」以下の部分の分量が多いこと。いわゆる低金利を続けた場合の不動産やら金融市場(円キャリーetc)などバブル懸念なのだが、ここを重視するなら「正常化」への執着感がうかがえる。ただ、展望リポートの内容は、政策委メンバー9人のごっちゃの思いがぶち込まれているので、この部分は水野委員らタカ派・正常化路線グループの意向が強く反映されているのではないかと思っている。
 一方、タカ派色が薄まる感じの部分は、「今後の金融政策運営において…」の文章から「極めて低い金利水準による…」の表現が抜けたこと。その前の文章には入っているのだが、「極めて低い…」を政策運営の説明に直接的に入れなかったのは、金利水準の調整にある種の達成感があるような印象を受けた。日銀企画筋はそういう受け止め方に違和感を示したが、文章表現としては正常化路線を和らげたい心理がうかがえ、ちょっと弱気なんじゃないの。
 もう一つは「改善の度合いに応じたペースで」という表現。これってフォワードルッキングせず、むしろ足元(orバックワード)ルッキングになったような印象である。スケジュール感を否定したいがための工夫だとしても、受け止める方としてはフォワードルッキング色が薄まる印象があり、私としては展望リポート全体としてタカ派色が薄れたと感じる次第だ。
 みなさんはいかがであろうか。

追記 連休中もエントリーを幾つかアップしますので、よろしく。
by bank.of.japan | 2007-04-27 19:20 | 日銀 | Comments(29)
「早期利上げ論」、「市場との対話」などの考察
 私は早期利上げはないとの立場だが、あるエコノミスト氏は「ある」との見方だった。根拠は、①最近の日銀の対話に基づけば、スケジュール感のない金利水準の調整は“利上げできるときに利上げする”という意味②米経済は後退し利下げ局面に入るため、時間が経つほど(日銀は)利上げできない③早い時期ほど“利上げできる”のであれば早くやる-であった。
 私は「それだと利上げ後に景気が悪くなるのだから“失敗”となる。日銀はそんなことはしないのでは」と言ったが、「いや、早くやるでしょう」との反応であった。この会話で私が思ったのは、同じ「日銀の対話」を耳にしながらも、解釈が分かれることだ。私も日銀の政策運営が“利上げできるときに利上げする”というものだと思うが、“できる”とは経済情勢に照らして利上げが“できる”という意味だと考えている。これに対し、エコノミスト氏が解釈する“できる”とは経済情勢はさておき糊代を作ることが“できる”タイミングのことであった。
 似たようなケースは金融市場でも起きている。先週、ユーロ円金利先物市場はヘッジファンドとみられる売りなどでやや下落した。聞いた話によると、先週前半に欧米のファンド関係者が某セミナー出席のために来日。ついでに日銀幹部らとも面談し、その際の幹部らの説明が強気の印象を与えたことが金先売りにつながったらしい。同席したある人によると、日銀側の説明は「いつもの想定問答通りであった」という。
 これは、同じ「想定問答」であっても、いつも聞いている場合と、たまに聞く場合とでは、受ける印象が異なることを意味しているのかもしれない。同じ言葉でも解釈が異なり、同じ想定問答でも、聞く頻度によって印象が異なる。市場との対話は、それほど難しい。または、日銀のメッセージが分かりにくい面もあるのだろう。どう説明すればよいのか。
 「今のところ、景気は良くなり、物価も上がると思っている。いずれ利上げできると思うが、でも先のことは良く分からん。利上げできる経済情勢になればそうしようと思うが、今はなんとも言えないなあ」であろうか。どういう言い方が分かりやすいですかね。
 ちなみに私の景況感は、先のエコノミスト氏といっしょである。違うのは「利上げしない方がいい(or利上げできないかも)」と思っていることだ。
by bank.of.japan | 2007-04-25 23:10 | 日銀 | Comments(9)
飲み会が続いております…=ちょっと人事を
 従いましてエントリー更新はしばしお待ちを。ところで、今年も日銀は人事の季節が近づき、いろいろ動きがありそうな感じです。もっとも、マスコミ報道の対象となる理事以上ではなくて、私の知り合いが多い中堅クラスが中心(だから関心もって見ておりますが)。一応、うわさベースでは幾つかの異動聞きましたが…、どうなんでしょう。実際、どうなるのか。発令を静かにそっと待ちたいと思います。

ps 知り合いが遠くに行く(可能性がある)場合、なるべく送別会など開きたいのだが、得てして発令が出てからだとほとんど日程に余裕がないことが多い。かと言って、うわさベースで日程調整しようにも当事者は反応しようがないと思う。どうしたらいいんですかね。メールでご挨拶、というのもなんだか味気ないし。それでもいいですか?
by bank.of.japan | 2007-04-24 18:54 | ブログ紹介・お知らせなど | Comments(3)
日銀資産は「快食・快便」=食事中の方、すいません
 日銀の負債(銀行券)側に関する下のエントリーは多くの方からご意見頂き多謝です。それに若干関連するのだが、今度は反対側の日銀資産について。具体的には、保有長期国債の償還ルールを変えたことの資産とオペへの影響である。償還ルールの件は何度か触れているが、まとめて説明する機会がなかったので、ここで取り上げたい。短期市場や債券関係の方はご存知だと思うので、スルーして下さい。
 まず昔の償還ルール(1998年度まで)である。以前は、オペで買い切った国債は、償還が到来すると新発国債(10年物)に乗り換えていた。当時、長期国債買い切りオペは発行から一年経過した長国が対象(いわゆる“一年ルール”、後に撤廃)だった。この段階で、対象は残存9年以下で、さらに残存の短い長国がオペに入ってくるため、オペ自体の平均償還期間は10年よりかなり短い。
 仮にオペ(例えば規模2000億円)の平均償還期間を5年としてみよう。この2000億円は満期が到来すると10年物に乗り換えられる。オペで買った償還期間の短い長国が、償還で10年物になるということは、時間経過とともに保有国債資産が長期固定化していく。しかも、乗り換えた10年物は10年物に乗り換える(この部分不確かなので後で確認します)ので、10年物の根雪部分が増えていく。これは銀行券(負債)が少しずつ増えていく(成長通貨)のに合わせた資産構成としてはまあ合理的であり、市場から買うオペも少なくて済む(価格への影響が小さい)。
 日銀は99年度以降、今度は満期到来の国債が償還したら原則として短期国債に乗り換え、最後は現金償還するルールに切り替えた。ここで起きたことは前のルールと逆であり、保有長期国債資産の短期化が進んだわけである。10年物の根雪部分も満期で短国となり、次に現金になるので、どんどん長国資産が消えるので、オペでどんどん買わなくてはいけなくなった。日銀は量的緩和下で札割れ対策として長期国債買い入れオペを増やしていったが、これは札割れ対策ではなくても資産構成上、必要な措置であったわけである。
 現状、月1兆2千億円買っているが、保有長期債の残高があまり増えないのは、償還と買い入れがほぼ見合っているためである。オペを「食事」、国債資産を「腹」だとすると、昔は小食だったけど、腹に入ったあとは長期滞留(消化に時間がかかる=腹持ちが良かった)した状態。今はどうかと言えば、たくさん食って、消化が早く、たくさん出ている(快食・快便)わけです。つまり腹持ちが悪いのですね。
 私は、日銀負債(銀行券)は下で書いた内容もあって容易に減らない、しかも部分的に永久負債の可能性もあると思っているので、資産側はもう少し腹持ちを良くした方がいいんじゃないの、と考える次第だ。財務省さん、40年物は意外にも日銀向けの「食事」として良いのではないか、と思ったりするのですが…。
by bank.of.japan | 2007-04-21 22:20 | 日銀 | Comments(8)
割引債と銀行券の恐るべき相関=追記あり
 知り合いのエコノミストの一人、白石誠司・HSBC証券チーフエコノミストが銀行券動向の分析で大変興味深いリポートを出している。注目は「割引金融債と銀行券の相関チャート」である。具体的には、割債残高、銀行券残高、両者の合計を合成したチャートであり、これがなんと言うか、恐ろしいほどの(逆)相関を示している。
 私は、過去何度か書いているように、銀行券の伸びを「金融不安を背景にした予備的需要」に求める説には懐疑的である(ある程度はそういう需要はあろう)。むしろ、匿名性が選好されて銀行券需要が強まった側面が大きいとみている。では、何が銀行券に換わったのか。直感的に怪しいと思っていたのがやはり匿名性のあった無記名債券(割引金融債、ワリシンなど)である。
 この問題意識はかねて市場関係者らとの議論の中で浮上していたもので、白石氏もその中の一人であった。。ありがとうございます。さて、どういうチャートになったのか(作図すればいいのだが、やり方分かりません・笑)。文章で説明すると、割債残高のデータが取れる98年以降、銀行券の急増する時期に割債は急減し、合成すると非常に緩やかな増加ラインとなった。これほどきれいな図になるとは正直思っていなかったので、驚いた次第である。
 実は、しばらく前に日銀企画局でも両者の相関チャートは作成しており、その結果をみた職員らから「へぇー」、「ほぅー」という感想が漏れたやに聞く。このためか、これまで「銀行は減る」との説をもっぱら唱えていた日銀だが、最近では「減らない可能性もある」との説も聞かれるようになった。喜ばしいことである。作成を支持した幹部(局長?)は目の付け所がいいね。
 なお、緩やかに増加するのは経済成長(超緩やか)に応じたものであろう。私は横一直線になると思っていたのだが、そうなる方がやや不自然ですね。
 このネタ、本業でも取り上げようと思う。

ps もちろんこの相関が偶然の一致である可能性もあるので、割債→銀行券が絶対であると言い張るつもりはないです。

追記 割債と銀行券の関係に強く注目するのは「私」でありまして、リポートでは「可能性の一つ」となっており、また金利がさらに上がっていけば銀行券が減少する可能性があることも示しておられます。内容はこのエントリーとリポートは全く別物であります。
by bank.of.japan | 2007-04-19 20:52 | 日銀 | Comments(55)
不動産関係のブログ紹介
 まずはウォールストリート日記さん経由で知ったのが以下のブログ。
 アメリカ不動産投資日記さんです。現地で不動産投資を手掛けていらっしゃる方のようで、細かい分析が非常に参考になる。最新エントリーではサブプライムローンの影響を紹介しており、マスコミ報道では把握しにくいところに手が届く感じです。やっぱり現地からの情報は手触り感ありますね。

もう一つは国内のブログ。
不動産業界人ブログさんです。不動産鑑定士のpeacewld2さんがやっているブログで、一時期更新が止まっていたが、最近は日々の出来事をこまめにアップされております。こちらも手触り感があってよいです。ご興味ある方はどうぞ。
by bank.of.japan | 2007-04-18 18:22 | ブログ紹介・お知らせなど | Comments(1)
美しい金利!?、若い理事!?=国会半期報告の雑感
 本日は衆院財務金融委員会における日銀半期報告。雑感として印象に残ったのは二つ。
まずは当ブログで久々登場となる佐藤ゆかり議員。「美しい国の金利はどうあるべきか」との質問に思わず腰砕け。野党側にはウケてましたな。
 「美しい国の美しい金利」。うーん、なんでしょう。福井総裁は物価安定と持続的成長を目的とした金融政策の適切な運営に努めると無難に答えていたが…。日銀的に美しいのは「均衡金利である」じゃないかな。イールドカーブとしてはベアスティープ化でしょうか。実際はベアフラット化で、これは日銀的には美しくない。
 ところで、以前は金融政策を「日銀政策」と言っていたゆかり議員であるが、本日はこの言葉はなかったと記憶する。なお、元エコノミストで金融政策に精通すると言われているが、スタンスはイマイチ不明。マネタリスト的な面が多少あるが、どうもそうじゃないような。答弁だけではよく分かりません。
 次は近藤洋介議員(元日経新聞記者のようですね)。いきなり理事の退席を求める。このとき「若い理事がいるようですが…」と言っていた。若い理事って誰、と思った。この委員会に呼ばれていたのは稲葉、山口、水野の各理事。いずれも若くはない。もしかして随行職員の一人を理事と思ったのかな。このうち企画課長(担当総括)はまあ若く見える。一番若い随行者は平成二ケタ入行年次だったようだが、まさか彼を理事と思ったわけじゃあないだろう。ハイ!と言って退席したら結構ウケたかもしれない(笑)。
 なお理事が退席したかどうかはネット中継では分からず。山口・水野理事が退席していたら、確か二度目ですね。名誉の退場、というわけかな。
by bank.of.japan | 2007-04-17 21:26 | 日銀 | Comments(13)
“ペンペン草”発言の源=道楽する産業と女房役の金融・一万田シリーズ
 一万田総裁のシリーズです。一万田氏の発言で有名なのは“ペンペン草”発言。実際の発言がどうだったのかは不明だが、川崎製鉄が金融引締めに反して製鉄所を建設しようとしたときに「製鉄所にペンペン草を生やしてやる」と言ったと伝えられている。この発言の源になった思われる発想が前回紹介した国会答弁の中にあった。以下の通りである。

○塚田委員 次にもう一点お尋ねいたしたいのは、金融機関の目で見させて、堅実なものに金融をさせて行く。堅実でさえあれば、絶対に金には不自由はさせないお考えであるように伺つたのでありますが、金融機関の立場から見させた場合に、堅実なものははたして今の経済状態で、ほんとうに伸ばしてやつていいものであるかどうかということが、非常に私ども懸念する点であります。ことに農業なんかの場合になりますと、これは他の商工業から見れば、おそらく金融機関の目から見て、金はなるべく出したくないというような事業であると思います。そうなります場合に、農村工業なんかをいたしますときに、資金需要をいたしましても、なかなか金が借りられない。そういう場合に借りられない状態が、地方に資金の需要がないということで、今おつしやるように、地方に資金の需要がないから、中央に金が集まつて來るというようになつて、だんだんいなか、ことに農業とかいうようなものが、金融難から産業が興らないという状態になつて來る懸念がある。過去には相当あつたと思います。今でもそういう状態があるのじやないかというふうに考えております。金融で産業を健全化して行くという考え方には、私は何かもう一つ別の基準から、その考えを補足する基準を一つ置いて行かなければならぬのじやないかと考えるのですが、その点……。
○一万田参考人 一つの点の金融から見て、健全というふうには必ずしも私考えておらないのです。それで私たちが今日相談しておることは、今日のこの難局を切り拔けて行くのに、金融とか産業とかいうようなことを言つておつてはだめなのです。それよりもむしろ産業と金融というのは、やはり渾然一体にならなければならぬ。それには産業家も自分のポジツシヨンをいつわりなく金融機関によく相談いたしまして、こういう状況だ、どうしようか、こういうふうにお互いに腹を割つて、そうしてここを乘り切つて行かなければ、うまく行かないじやないか。そういう方向に行くのでなければならぬ。何か金融というものが産業に優先しているというような、そういうけちくさい考えは少しも持つておりません。同時に金融でもつて産業をかれこれするというような世評が、從來なくはありませんが、それは事業自体が道樂しているのですから、道樂している場合に、女房役の金融というものは、懷中を預かつているのは当然なんだが、それを道樂している者に懷中を預けておけば、翌日配給物も受取れません。そういうようなことでは國がつぶれます。それだから、産業が眞にインフレ的な考えから目ざめてやつてくれれば、女房役はむしろお小づかいはどうだろうかくらいに思つて、知らぬうちにたもとの中に小づかいを入れてくれるようになるのです。問題はそこにあると思うのです。だから從來のやり方は、インフレの根本にメスを入れない。底を探らずに何とか金融の一時を糊塗して來たというのが、日本経済の実態だと私は考えております。

当時の状況では、一万田総裁の目には産業が道楽しているように見えた、のだろう。製鉄所を建設する行為は、ある種の道楽と映ったのかもしれない。現在のようにデフレを経験した後では、巨額の設備投資に反発する発言は理解しにくいが、「産業と金融というのは、やはり渾然一体にならなければならぬ。それには産業家も自分のポジツシヨンをいつわりなく金融機関によく相談いたしまして、こういう状況だ、どうしようか、こういうふうにお互いに腹を割つて、そうしてここを乘り切つて行かなければ、うまく行かないじやないか」と言うのは一つの正論として腹に落ちるとこがある。
by bank.of.japan | 2007-04-16 22:31 | 一万田総裁 | Comments(10)
大学生の銀行人気は…=目指すは商業銀行or投資銀行
 大学生の就職したい企業番付でみずほFGがトップになるなど銀行人気が復活している。不良債権問題を解決し、経営の安定感が増したのが大きな要因と思う。気になるのは最近の学生さんがどんな銀行業務を目指しているのか。伝統的な商業銀行業務(コマーシャルバンキング)か、それとも投資銀行業務(インベストメントバンキング)か。両者はかなり違うので、投資銀行業務を強く希望しているのに商業銀行部門に回されたらがっくりくるのではないか、と思う。
 この10数年で銀行業務は随分と変わった。90年代の初め、投資銀行業務の走りであった証券現法への配属は「赤紙」と言われ、コースを外れたようなイメージが持たれていた。この間、不良債権問題が発生し、銀行人気が凋落。一方で、外資系金融機関が勢力を拡大し、それに伴って投資銀行業務もかなり認知されるようになったと思う。これから邦銀を目指す学生さんでも投資銀行業務に携わりたいという人は多いだろう。
 ただ、私が最近改めて感じるのは、変わりつつある邦銀であるけど、それでもやっぱり「貸し出し」への選好が強い、ということだ。低スプレッドの融資をやるなら、流動性のある国債を買った方がいいように思うのだが、「貸し出しが本業」という意識が引き続き強いようである。もっぱら市場部門との付き合いが長いために、貸し出し傾斜をシニカルに見てしまうので、そう思ってしまうのかもしれないが。
 なお、私自身は、新卒者は漠たるイメージで銀行業務に入っていもいいんじゃないか、と思っている。自分が何に向いているかは実際にやっていみないと分からないからだ(私自身がそうだったから)。やっていくうちに方向性を決めてもいい、と思う。こだわりが強過ぎてすぐに辞めるようなことになるよりかは、自然体で臨んだ方がいいかも。
 ところで、銀行を目指すみなさん、市場部門はいかがですか。人気があまりない、という話を聞くんですが、どうなんでしょう。
by bank.of.japan | 2007-04-13 23:17 | 金融システム | Comments(18)


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