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国債買い切りオペは増額が妥当かも=調節実務上の観点で
 日銀が国債買い切りオペを増やそうとすれば、「長期金利をサポートすんのか」とか、「財政ファイナンスじゃねえか」などと大騒ぎが起きそうだが、金融調節上の純粋に技術的な観点では増やした方がいいかもしれない状況になっている。これは利上げしてもなお銀行券がわずかながらも増加する一方、保有国債が減少し、短期オペにやや負担がかかっているため。別に今のままでもいいのだが、オペの効率性の面では多少は国債買い切りを増やした方が妥当だと言える。
 今年12月20日の銀行券残高は76兆8000億円、国債保有残高は51兆3000億円。昨年の同月同日は券が76兆7000億円、国債が62兆5000億円。銀行券から国債を差し引いた額(ギャップ)は、昨年の14兆2000億円から今年は25兆5000億円と大幅に拡大した。このギャップは基本的には短期オペで埋められ、ギャップが開くと短期オペが増える構図にある。
 ギャップが急拡大した主因は、保有国債の買い入れ償却に応じた結果、国債残高が急減したため。日銀はまた数年前、満期を迎えた保有国債を新発国債に乗り換えるのを止め、短期債に乗り換え、現金償還させることにした。毎月1兆2000億円買っているが、現金償還も多く、保有国債は増えにくい。従って、銀行券が減らないと短期オペに負担がかかった状態が続くわけだ。
 短期オペの負担が重い状況は、月間のオペ本数に表れている。昨年11月のオペ数は供給・吸収合わせて28本。今年11月は50本を軽く超えた。量的緩和を止めて資金供給量は減ったとは言え、今度はオペのデュレーションが短くなり、むしろせわしくなってしまった。国債買い切りが政策委員会によって決められるという特殊なものではなく、金融調節上の都合で柔軟に増減させられるものなら、多分増額であろう。
 現状、政策委が買い切りを増額する可能性は皆無に近く、金融市場局員は気の毒なことに意味もなく忙しい日々を過ごさないといけない。でも、銀行券がなお伸びる(or減らない)事態がかなり続くなら買い切りは増やす方がいい。成長通貨の供給が足りないですからね。ちょっとマニアックな話題でした。
by bank.of.japan | 2006-12-30 22:05 | 日銀 | Comments(8)
飲み会続きですいません=年末・年始もよろしく(業務連絡)
 アップする予定のネタは幾つかあったのだが、このところ飲み会が続き、エントリー更新が滞り気味です。すいません。本日もやや早めに引き上げられると思いきや、元BOJの知り合いから「日銀幹部のメチャ濃いメンバーがたまたま揃っておるので参加せよ」との緊急連絡があり、神田界隈の飲み屋にある種の覚悟を固めて駆けつけた次第であった。私にとっては本年最後の飲み会が非常に得がたい体験となったのはうれしい限りで、今年はなかなか良いシメができたと思った。
 なお、書ききれなかったネタは年末・年始に幾つかアップする予定(多分)なので、引き続きよろしくお願いします。一年を振り返った感想を書きたいのだが、酩酊中なので頭が回りません。あしからず。
by bank.of.japan | 2006-12-29 00:47 | ブログ紹介・お知らせなど | Comments(5)
CPオペ、当面温存=オペ先選んで使わない、とか?
 日銀は21日、CP(コマーシャル・ペーパー)オペの対象先見直しを発表した。オペ先は原則として毎年一回見直されており、今回の発表は事務的な連絡に過ぎない。ただ、CPオペは今年前半は廃止論が強まっており、事情は良く分からないが、当面は温存されることになった。まさか、新たなオペ先を選んだ上で使わない、ということはないだろう。
 日銀は今年の「調節年報」で、CPオペ廃止に向けた意思をかすかに滲ませていた(チラリズムor微弱電波なので、よく読まないと分からない)。そのころは、「廃止は時間の問題」との声が複数聞かれており、オペ先の見直しをせずに廃止に持ち込むという段取りがイメージされていたように思われる。そうはならずに当面温存となった背景としては以下の要因が考えられる。
①人が変わったから(俗人的要因)
②何が起きるか分からないからオペ手段は削らないことにした
③利上げに集中するため余計なさざ波は立てないことにした
④政策委がピンとこなかったから(理解が得られなかったor趣旨が理解されなかった)
⑤面倒くさいかったから
 なお、発表文には連絡先として担当者二人の名前が記載されているが、あくまでも事務的な対応を行うだけなので背景は知らない(はず)。

 日銀が「金融の正常化」に本気かどうかは、実は金融政策だけではなく、担保政策やオペ手段でも問われている、と私は思う。むしろ後者の方で本気度が試されているだろう。従って、廃止論が下火になったのはそれなりの「判断」があるからではないかと推測される。上記に挙げた理由としては②である。
 CPオペは日銀が昔から止めたかった供給手段だが、目くらましとしては便利なツールである。再び量的緩和をやろうと思えば、供給手段は多い方がいいし、CPオペに限ればその積極活用は企業金融の支援っぽいことをやっているイメージを与えられる。
 日銀は景気がシナリオ通りなら利上げする構えだが、何が起きるかは分からない。失敗するリスクは当然ある。金融政策も担保政策もオペ手段も一斉に正常化路線を追求するにしても、景気が腰折れると一斉に後退を余儀なくされる。CPオペの温存は、万が一の利上げ失敗に備えたヘッジではないかとも思われる。だとすると、前回のゼロ金利解除失敗の教訓は生きているのかもしれない(最高のヘッジは利上げ見送りですが・笑)。
 CPオペの温存は政策運営のリスク管理の一環として受け止めたい(違いますか?)。
by bank.of.japan | 2006-12-25 21:56 | 日銀 | Comments(10)
硫黄島の海兵隊と海軍=利上げ作戦の美学を考える
 今回は「利上げ」に絡んだややマニアックな日銀軍事ネタである。インタバンク関係者や日銀内の少数にしかウケないであろうと思う(多分)。まずは本題に入る前に、前回利上げで起きた出来事として、「利上げです=脇役なのに主役を演じた金融機構局のみなさん、お疲れさんです」を参照して頂きたい。次回の利上げも、誘導金利(0.25%)がロンバート(0.40%)を突き抜けるので、金融機構局ロンバート部隊(手作業・人海戦術)は鬼神の奮闘をしそうだ。
 この利上げを軍事作戦に例え、金融機構局ロンバート部隊と金融市場局金融調節課の役回りを考えてみた。最初に思い浮かんだ構想。ロンバート部隊は「硫黄島守備隊」、調節課は「大本営」。当預取引先の借り入れ総攻撃に対し、ロンバート守備隊は振り込み端末(トーチカ)やオペレーター(兵)を増強。振り込み練度(戦闘能力)の向上のため、打鍵速度(速射)や正確な打ち込み・確認(命中精度)の上達に励む。一方、調節課大本営は守備隊の航空攻撃(供給オペ)の要請に対し、本土決戦(吸収オペ抑制)に備えて供給オペを出し渋る。
 これでもいいのだが、とりあえず米軍バージョンを考えた。これまで日銀は枢軸系(旧陸軍やドイツ軍、関東軍など)の比喩だったが、今回は初の連合国系(おめでとう)。硫黄島上陸に際し、海軍は海兵隊が要請したほどの援護射撃はしなかったと言われる。艦砲射撃の威力は想定したほどではなかったとされるが、海軍が総力を挙げて艦砲射撃していれば海兵隊上陸時の死傷者は抑制されたかもしれない(門外漢の推測です)。
 日銀のオペ関係筋は、正規軍・予備役より海軍・海兵隊の比喩の方がよい、と言うので、以下は米軍でいく。さて、生身の兵士が奮闘する意味ではロンバート部隊は海兵隊。調節課は機械化されたマクロオペ(大砲)を撃つので海軍となる。ところで、利上げ(硫黄島攻略)作戦は本来は海軍の任務なので、海兵隊出番なしが理想的である。戦傷ゼロ、なんと美しい。
 従って、海軍は手抜きせず、全力を出し切って砲撃すべきだ。利上げ観測が高まり、金利が上がってきたら、共通担保、買い現、短国買い切り、CPオペ、そして輪番など持てる手段(艦砲)を駆使して一斉速射(即日供給=技術的に可能?)し、まずは0.25%を死守。このために「無制限オファー」というアイデアを思いついたが、どうだろう。
 利上げ決定で0.50%になれば、今度は吸収砲撃である。これも無制限オファー、おまけに「入札レート足きりなし」を宣言すればいい。えっ?、巨大なロスが出る?、積みのコントロールがめちゃくちゃになる? 大本営(政策委)に何か言われたら「半端な決断をすると代償は高いのですよ」、「恥の記録を歴史に刻んで後世に伝えましょう」と切り返せばいい。
by bank.of.japan | 2006-12-21 20:06 | 日銀 | Comments(11)
利上げ見送り(全員一致)でした=さざ波の“波乗り”は…
 利上げ見送り(正確には現状維持)の決定後に発表された月報では、消費判断が「やや伸び悩み」と下方修正された。また、総裁会見でも消費の弱さを認める発言があったため、金融市場は「日銀は消費増加(&物価の上昇)を確認する」→「当分の間、利上げはできない」という解釈が広がったようだ(私のべき論とは合っている)。ヘッドラインでは確かにそんな印象を受けるかもしれないが、会見の印象として、日銀はできれば1月に利上げしたいという意向だと思われる。
 ただ、“できれば利上げしたい”というのはあくまでもデータ次第であるので、今後弱い指標が相次ぐと利上げは難しくなる。ご案内のように統計は強弱入り混じり、決定会合に向けてうまい具合いに強い統計が並ぶか予想がつかない。サーフィンに例えるなら、さざ波程度のうねりで波乗りするようなもので、ボードに立てるかどうかはまあやってみないと分からない(本当は、さざ波だったらサーフィンせずに砂浜に寝ていた方がましなんだが…)。
 日銀の利上げロジックを推測してみる。まず、CPIや消費統計はせめて横ばいが維持されるとして、企業部門の好調さが持続するなら、「生産・所得・支出の前向きの好循環」(いわゆるダム論)によって“いずれ消費も上向く”&“物価も上がる”というフォワードルッキングの観点で1-3月(できれば1月)に利上げする、というものであろう。この間、米経済のソフトランディングが明確になれば日銀には追い風である。
 ちょうどいい波が立てば良いのだが…、どうなんでしょう。いっそのこと「消費or物価がある程度まで上昇するまで利上げを見送る」(新時間軸の導入)と宣言し、砂浜に寝っころがりますかね(個人的にお勧め)。市場との対話はノイズもなく、ヘッドラインリスクもなく、かなりクリアなコミュニケーションが成立すると思う。えっ?、もう縛られたくない?、やっぱしね。

追記 やはり以下の一節は奥が深いと思う。大分前に紹介したが、改めて。
「中央銀行とは前方の曇った窓ガラスとリア・ミラーと、更には不正確な速度計を見ながら曲がりくねった道路を走る自動車の運転手のようなものであるという比喩があったと記憶しています。この比喩は中央銀行が直面する金融政策運営の難しさの本質のある部分をよく表わしています。経済の先行きは『曇った窓ガラス』に、不完全な経済データは『リア・ミラー』や『不正確な速度計』に対応します。そして、経済の直面する様々なリスクは『曲がりくねった道路』に相当します。そのような状況で自動車を運転する中央銀行は、過去の経験から得られる知恵も生かしながら、予想されるリスクに備える必要があります」 by 不確実性下の金融政策・山口泰
by bank.of.japan | 2006-12-19 12:30 | 日銀 | Comments(24)
ヘッドラインリスクが生じる理由(オマケ)=具体例で考えてみる
 ヘッドラインの作り方は、簡単なときもあれば難しいときもある。短いフレーズで意図の明確な発言がもちろん簡単であり、具体的には「イエス」とか、「ノー」とかの肯定・否定である。一方、曖昧な言い方は当然ながら難しい。また、答弁が長いとき、途中で切る・切らないによってもヘッドラインの印象は変わり得る。今回はシリーズのオマケとして、最近の総裁答弁から具体例を取り上げてみたい。

以下は11月16日の総裁会見の一部抜粋である。
(問) 追加利上げの時期について、総裁は予断を持っていないとおっしゃいましたが、前回の記者会見で、年内の可能性を排除しないのかという質問に対し、排除はしないという趣旨の回答がありました。本日の金融政策決定会合が終わり、年内に予定されている金融政策決定会合はあと12 月だけですが、今の時点でもやはり年内の可能性は排除しないというお考えなのでしょうか。
(答) 如何なるタイミングも排除して考えないというのが、予断を持たないということの定義に一番平仄があっていると思います。

短い答弁だが、それでも以下のヘッドラインが考えられる。
①年内利上げの可能性、排除しない=福井日銀総裁
②如何なるタイミングも排除して考えない=年内利上げの可能性で日銀総裁
③如何なるタイミングも排除しないのが予断持たないと平仄合う=年内利上げの可能性で総裁

 どれも間違いではない。質問も踏まえて簡潔に作成するなら①、発言になるべく忠実なら③(または②)であろうか。ただ、市場参加者に与える影響は微妙に違うと思われる。①は、日銀が利上げに前傾しているような印象を与え、マーケットインパクトをもたらすかもしれない。
 投げられたマメ(ないしマメのようなもの)をハトがどんな食い方をするかは各社・各人各様であろうと思う。①、②、③のいずれが正しいかはなんとも言えない。私は③に近いヘッドラインであったが、それが正しいと言うつもりもない。受け手もそれぞれで①がいい方もいれば③でいいという方もいるかもしれない。
 すでに述べたように、ヘッドラインリスクを減らすには、露出頻度を削減するのがベストだが、それは望むべくもないので、今の形式を続けざるを得ないだろう。後はボードメンバーがどこまで発言に気をつけるかだが、これも出たとこ勝負といったところ。ハトらがさまざまなヘッドラインを打ち出す日々は当面続くのは間違いない。

ps 上記のようなことをあまり考えるとハトとして動けなくなる面もある。まあ、自然体でやろうと思っておりますが(笑)。日銀さん、あまり悩ませるマメを投げないでね。
by bank.of.japan | 2006-12-17 14:29 | マスコミ | Comments(12)
勝つ以外に道はない=金融政策も「東部戦線」かな…
 金融政策を軍事に例えるのは、日銀マンには意外にウケる(少なくとも中堅までは。上は知らない)んだが、中川幹事長の関東軍発言もあって今は嫌がるかもしれない。でも、日銀って結構軍事に似合うところがあり、こうやってエントリーを書き始めてしまった(笑)。ゴメンね。
 しばらく前、何人かの日銀マンと、金融政策の戦いは「西部戦線」、政策手段・担保政策の戦いは「東部戦線」ではないかと話し合っていた。「俺たちは今度はドイツ軍かあ」との突っ込みはなしにして、なぜ戦線が違うかだが、金融政策は法律で権限が守られた戦い(しかもバーチャルなマクロ判断)なのに対し、政策手段・担保政策の正常化は中味は詳しくは言えないが、明確な敵が存在し、しかもかなり手強く、凄惨な戦いになる可能性があるためだ。
 やや(orかなり)強引だが、日銀法第四条(政府の経済政策との整合性)を「ジュネーブ条約」とみなそう。日銀の利上げに対し、政府が議決延期請求権を出さないなら第四条が成立したと解釈される。この場合、利上げが失敗(敗北し捕虜になる)しても、法改正(処刑など非人道的な行為)はない。だから、ジュネーブ条約の下での戦いであった「西部戦線」となる。これに対し、担保政策の正常化において、ある手段(注)を講じると、それはもう大変な騒ぎになって物理的にボコボコにやられてしまう恐れがある。法律もへったくれもなく、悲惨な戦いという意味で「東部戦線」というわけだ。
 とまあ、そういった会話を交わしていたのだが、幹事長の関東軍発言は下手すると議決延期が出かねない勢いである(現実的にはないと思うが)。こうなると、日銀として利上げする場合、戦いに勝つ以外に生き残る道はない。利上げ後、景気が良くなり続け、物価が上がることだ。そうならなかったら? 法改正かもしれない。捕虜になっても処刑される、されなくてもシベリアに送られ生還できない。ジュネーブ条約が効かなかった「東部戦線」とは…。量的緩和解除の頃の勢いがバルバロッサなら、今はどの辺ですかね? 私は戦史に詳しくないので良く分かりません。

今回はちょっと分かりにくいエントリーでした…。すいません。なお、突っ込まれる前に書いときますが、bewaadさん始めとするリフレ派の方々が「ジュネーブ条約などあるわけない」と言いたい気持ちは良く分かります(笑)。

注) 複数あるのだが、クレジットマーケットには爆弾です。
by bank.of.japan | 2006-12-15 23:59 | 日銀 | Comments(7)
「丁寧かつ誠実な過剰発信」の副作用=ヘッドラインリスクが生じる理由②
 今回は、ヘッドラインリスクが生じる理由その②として日銀側の要因である。既に前回エントリーのコメント欄で「route138」さんと「ラスト何マイル?」さんのやり取りでも触れられているが、まずは総裁・副総裁・審議委員の会見回数が異常に多いことが挙げられる。
 会見は、用意した講演テキストを読むのとは違い、アドリブの答弁となる。講演後の質疑応答もアドリブだ。言質を取られることなく、会見・質疑を完璧にこなすのは難しい。国会答弁で鍛えられた霞ヶ関官僚ならまだしも、民間出身の審議委員に完璧を期待するのは酷である。不用意な発言は出やすく、しかも回数が多いとあってはヘッドラインリスクは増大する。
 もう一つは、「丁寧・誠実」という政策委員会の性格である。これは透明性を高めたい、という善意に基づくものだが、結果的に言葉を尽くしてたくさん述べる、ことになりやすい。言葉が多く、かつ細かく説明するほど、ヘッドラインとして切り取られるフレーズは増大する。しかも、先に述べたようにその回数が多いのだから、ヘッドラインリスクは高まる。
 本来、引っかけ質問には、例えば麻生大臣のように切り返すぐらいの対応でもいいと私は思うのだが、政策委メンバーは誠意を尽くしたい(これは本当)という気持ちがあるので、生真面目に答えやすいわけだ。
 従って、日銀側としてヘッドラインリスクを減らすには、①会見・質疑の機会を減らす②丁寧・誠実に拘泥しない-といったことが必要である。ただ、日本の風土としては、いずれも透明性の後退と受け止められ、日銀としては実行は難しい。まあ、やるにしても超長期的な課題である。なお、対症療法としては、政策委メンバーに会見の模擬演習を行い、アドリブ能力を高める、ということが考えられる。
 個人的には、会見・質疑を必要最低限(定義は難しいが)まで減らすのは賛成である。

ps 私は1990年代前半の4年間、英国に駐在した。その間、確か総裁会見は一回だけだったと思う。ベアリングズが破たんしたときだ。また、IMCがロンドンで開催されたとき、休憩で会議場から出てきたグリースパンFRB議長に先輩記者と無謀にもぶら下がった。その模様である。
私ら 「good afternoon, chairman」
グ議長 「………………………………………………………(無言)」(この間、珍しい虫を見るような目付き) 黙って立ち去った。
 現場には各国の記者がたくさんいたが、ぶら下がったのは私らだけ。みんなぶら下がりが無意味だと知っていたのだろう。ばつの悪い思いをしたが、スペインのメディアの記者が「nice try」と言ってくれたのが救いであった(笑)。
by bank.of.japan | 2006-12-14 22:04 | 日銀 | Comments(20)
久しぶりに替え歌(二題)です=見落とし投稿を発見
 夜、短期系の方々と忘年会。そこで「…みたいな。」さんの替え歌が話題になり、『名残りオペ』は名曲であった、とのこと。そのエントリーはこちら。懐かしくて久しぶりにエントリーをのぞいたところ、大変なことを発見してしまった。コメント欄に見落としていた投稿二題があったのである。今頃になって大変申し訳ないのだが、でもまだ新鮮であるので、改めて紹介したい。

まずは「通りすがりの金融マン」さんの投稿

スーダラ金融政策(ハナ肇とクレージーキャッツ)

(ゼロ金利)
ちょいと一回のつもりで下げて
いつの間にやらゼロ金利
気がつきゃ短資の墓場でごろ寝
これじゃ経済にいいわきゃないさ
わかっちゃいるけど「上げられない」

(ゼロ金利解除)
一度のデータにかどわかされて
よせばいいのに金利を上げて
挙句の果てには量的緩和
当預30兆の大盤ぶるまい
わかっちゃいるけど止められない

(量的緩和解除、成功ケース)
狙った解除が見事に当たり
利上げに向かって最終コーナー
気がつきゃアジアのグリーンスパン
終りよければ全てはよしさ
わかっちゃいるけどいい気分

(同失敗ケース)
狙った解除が見事に外れ
自民カット来て法改正
気がつきゃインタゲ、土地まで買って
モラル・ハザード何でもありさ
わかっちゃいるけど止められない


もう一つは「…みたいな。」さんの投稿

♪『さくらレポート』をもう一度♪(ばんばひろふみ)

回復が広がっていると 報告がまた来る
デフレを抜け出して 出口を見つけた
緩和局面では 垂れ流してた
潤沢な供給が 今も恋しい
薄いピンク色に 染められた表紙で
バブルだった昔が 鮮やかによみがえる
君も読むだろうか 『さくらレポート』を
調統だけのメモリー どこかでもう一度

僕は当預残と オペを増やして
オペ先懇談会も 時々開いた
解除が決まって エンドを切ってきたとき
もう30兆はいらないさと 国に言いわけしたね
君も読むだろうか 『さくらレポート』を
調統だけのメモリー どこかでもう一度
調統だけのメモリー どこかでもう一度
***

お二方、大変失礼いたしました。この場を借りてお詫びします。
ところで、スーダラ金融政策の「量的緩和解除失敗のケース」にならないことを強く願う。すでに関東軍の批判もあり、心配である。
by bank.of.japan | 2006-12-14 01:12 | 替え歌 | Comments(5)
「マメを食うハト」との対話は…=ヘッドラインリスクが生じる理由①
 ちょっとうろ覚えだが、日経新聞の岡部論説主幹が大分前の紙面で、マスコミ報道のあり方について、いずれ明らかになる事実を熱心に追うより、分析・解説に力を入れる方向に行くべきだとの主張をされていた(私も賛成)。この問題意識は恐らくはマスコミ各社に共通するものだと思うが、現実にはしかし、各メディアの記者はニュースを追うのに必死で、日経新聞も例外でない(むしろ媒体も多く、もっと必死のはず)。
 かくしてニュースのネタを必死で拾う記者は、マメを探し回って食うハトと同じようなものと言える。マメを食うのはハトにとっては生存本能であり、マメがまかれる、ないしはマメがまかれるような動作を見ると、条件反射的に群がる。記者も同様であり、ニュースのネタがある、ないしはあると思われる場合にはネタないしネタのようなものに飛び付いてしまう。
 日銀の金融政策の基本スタンスは、「景気が(展望リポートの)シナリオに沿うなら利上げが必要」というもの。この場合、利上げ=マメであり、「マメをまく」宣言していることになる。このため、会見・講演などは「マメ食い」の格好の場となり、その時期が迫ってきたのではないか、との感じが少しでも広がると、マメ食いゲームが白熱する。
 そういうとき、総裁・審議委員が会見で一般論として答えても、その答えの中にネタになり得るフレーズがあれば、切り取られてヘッドラインになりやすい。一方、市場の織り込みゲームもヘッドラインを契機に始まりがちで、これもまた始まってしまったゲームは止められないことが多い。会見などの要旨を後からじっくり読んでポジションを作り直すのが本来は合理的であるが、利上げ織り込みのゲームに逆張りするのは難しい(そういう参加者もいるかもしれないが)。
 マメを食うハトとの対話は、特にマメまきが前もって宣言されている場合は、かなり難しいと言えよう。一般論として述べたに過ぎないフレーズがマメとして切り取られるのは、「一般論を借りた情報発信」という手法もあり得るためで、生存本能で動くハトはそのフレーズを落とすことができない。特オチのリスクも伴うからだ。一番いいのは、ハトの群れに「マメはまかない(利上げしない)宣言」をすることだが、日銀としては無理な話である。
 今回はヘッドラインリスクが生じる理由をマスコミの体質の側面から述べた。次回は日銀側のロジックと体質について述べたい。

ps 上記エントリーの内容は、日銀内では“ハトマメ論争”として知られる。この件に詳しい幹部と何度が議論したことがあるが、少なくとも「ハトにマメを食うな、と言っても無駄である」との見解では一致したが、うまい解決策は見出せなかった。詳しくは次回以降で。
by bank.of.japan | 2006-12-12 21:24 | マスコミ | Comments(13)


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