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カテゴリ:ユーロ( 12 )
キング総裁の質的緩和に関する言い回し
 イングランド銀行のキング総裁が20日の講演で、質的緩和について言及している。場所はこちら。質的緩和の手法について、キング総裁は「conventional unconventional measures」と「unconventional unconventional measures」の二段階に分けている。「従来考えられた非伝統的手段」と「従来は考えられなかった非伝統的手段」という分け方ですかね。分かりにくい言い回しである。
 まず、conventional unconventional measuresについては以下の説明。
「The conventional approach to such unconventional measures is to buy assets, such as government securities or gilts, which are traded in liquid markets to boost the supply of money. Provided the additional reserves are not simply hoarded by banks, as happened to some extent in Japan earlier in this decade, such asset purchases can increase the
supply of broad money and credit and the liquidity of private sector portfolios, raising spending. The effectiveness of this approach is likely to be enhanced by the clear commitment by the MPC to take the measures necessary to meet the inflation target in the medium term」
 具体的な手段は国債の買い入れ。日本の量的緩和も簡単に触れられており、文面だけでは、追加的リザーブ供給はある程度効果があった、という解釈のように思われる。
 次にunconventional unconventional measuresである。これは今回、政府から認められた社債とかの購入を指している。
 「In addition to these conventional unconventional measures there are also unconventional unconventional measures. When credit markets are dysfunctional, as some are at present, targeted purchases by the Bank of England of assets may improve liquidity in markets for those credit instruments. The objective of such purchases would be not only to boost the supply of broad money but also to increase liquidity and trading activity in the markets for those assets. A reduction in the illiquidity premium for a particular credit instrument might help to stimulate issuance by corporate borrowers and the resumption of capital
market flows, thus reducing reliance on bank lending. It could also raise the values of assets that are currently under-priced because of high illiquidity premia, helping to strengthen the balance sheets of banks and other financial institutions」
 バーナンキ議長が説明していたことと概ね重なる。市場流動性の改善、取引の活性化など市場機能の復活に役立つほか、売られ過ぎた資産価格の上昇や貸し出しなどマネーサプライに増加につながる、といったことなどである。
 英国は現在、ポンド安が進行しているが、通貨の下落が比較的穏やかな限りは、まだ利下げするのでしょう。ゼロまでやるかどうかは不明。ただ、トリプル安になると、英国は相当に苦しくなると思われる。金融財政の舵取り、これから厳しくなるだろう。
 
by bank.of.japan | 2009-01-28 23:28 | ユーロ | Comments(8)
烏合の欧衆、金融財政戦線概況=独仏枢軸擬似帝国の西部戦線・東部戦線
 90年代前半の欧州通貨危機の経験で私は典型的なユーロ懐疑論(Euroscepticism)になり、このブログでもシニカルなスタンスであります。今回のエントリーは、「烏合の(欧)衆がやっぱり不安」の続きであるが、最近の情勢については厭債害債さんの「英国の状況が示唆するシナリオ」が詳しい。ぐっちーさんの「グレート・ブリテン」もご参照を。

 で、烏合の欧衆である。これまでは「ECBは利下げが遅い」、「やっぱりブンデスバンカーのタカ遺伝子が健在なのね」と思っていたが、単純タカとは言い切れない面もあるなあと考え直しえている。まあ、基本はタカなんだろうが、財政主体がバラバラであることの弊害をECBは意識しているのではないか、と推測される。日銀、FRB、BOEは「質的緩和」に舵を切りつつあるが、ECBの場合かなり難しそうである。以下、幾つか問題点を。
・CP・社債買い切り→格付けで機械的に基準作っても、各国それぞれ救いたい企業は多いはずで、調整が付かない恐れがある。
・政府保証→ECBがリスク資産を買う際に政府保証を付けてもらう場合、各国負担の調整が大変になる可能性がある。
・財政マネタイズの輪番オペ→各国債券を差別できない(全部を優良ソブリンとして買う羽目に=掛け目で差別したら外交問題)。市場では既に選別化が進み、ドイツとスペイン、ギリシャなどの国債は格差が拡大している。輪番オペやったら売られた国債が打ち込まれてECB資産はダメダメ国の債券比重が増大。ユーロ劣化を招く。つまり、悪貨が良貨を駆逐する輪番オペになりかねない。

 ということで「質的緩和」が困難だとしたら、ECBに打てる手はあまりない。さほど残っていない緩和余地をちびちび使うしかないだろう。また、烏合の集団財政が勝手に暴走するリスクもあるので、利下げしにくい面もあるかもしれん。いずれにせよ「一通貨・たくさん財政」の擬似帝国の金融財政はまあ無理があるということだ。
 
 なんてことを日銀マンや市場関係者といろいろ話をしていたら、やや無理筋ながらも東部戦線・西部戦線との比喩を思い付いた。デフレと戦う金融・財政のポリシーミックスは国家総力戦。国家の統一的な意思の下、うまくコーディネートさせないといけない。
 金融政策を西部戦線、財政を東部戦線としたら、西部方面はECBを頂点とする指揮命令系統が確立されている。一方、東部方面は指揮官がたくさんいて、しかも多数指揮官を統率する基準が緩みつつある。船頭が多い戦線を維持するには決めたルールの遵守が必要だが、不況襲来に耐えかねて勝手に戦線後退する軍も出始めた格好だ。伸びきったドイツ軍東部戦線がスターリングラード攻防戦で後退を余儀なくされる局面と似ている。同盟枢軸軍が勝手に後退し始めると、戦闘序列が崩れて壊走(財政暴走)しかねない情勢だ。

 烏合の欧衆が生き残るには、堅い契りを交わした独仏枢軸兵(独仏)で守りを固めるか、烏合の欧衆のデカさだけで虚勢を張るか。または、枢軸に息苦しさを感じるCLUB MED諸国がさよならを告げる、もしくは市場圧力によってたたき出されるか。アディオス、チャオとか別れの言葉がそのうち響くことになるのかも…。
by bank.of.japan | 2009-01-22 21:39 | ユーロ | Comments(17)


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