しばらく前の銀行リテールの続き。カテゴリーの「欧州便り」のネタ元になってもらった古い知人の石川氏から最近頂いたメールよりあるエピソードを簡単に紹介したい。
「海外の銀行はよく間違える。デンマーク人の知人が、日本に駐在していた時、ダンスケバンクの口座で、給料を受け取っていた。ある時、トンデモない額の振込があった。デンマーク一の金持ちの資産額に匹敵する額だった。ところが、その友人がびっくりして、連絡する間もなく、同額が取り消されていた。 あまりにも額が大きいの、銀行もすぐに気がついたに違いない。額があまりにも大きく、わずかの日数にも、かなりの利子がついた。その利子もご丁寧に取り消された。利子が発生したことで、税金が課せられ、その税金分もちゃんと口座に入金されたそうだ。 これだけ面倒な処理になるのなら最初から間違えないようにすればよいのに、と日本人は考える。ところが、外人には、このミスをしないということが、どうにもできないらしい。 会社を設立しようとして、税理士の先生と色々打ち合わせをしているが、お金のやり取りについて、銀行口座を通すことが、日本ではかなり一般的だ。それは、銀行は間違えないから、通帳にお金の出入りが記入されていれば、動かぬ証拠になる、という考え方に基づいている。しかし、これは、日本でしか通用しない考え方なのだ、と改めて思った。 海外は、シンプルだ。日本のATM なんて、振り込みにはじまって、ご丁寧に宝くじまで買えるものもあるが、海外はキャッシュしか下ろせないものがほとんどだ。その代り、自分のお金を引き出すことについては、365日24時間、手数料が取られることはまずない。たまに、お金が入っていないATMもあるけれど」 以上、引用終わり。 ATMで現金を出し入れし、口座振替とかして、それがリアルタイムで通帳に記録されるのはなかなか凄いことであるとつくづく思う。しかも、海外の感覚ではかなり多額のお金の出し入れ、振込みが可能である。 もとより、これらのサービスは日本人の現金決済選好に極度に対応したシステムであるのだが、皮肉なことにATMの機能充実化と優れた現金対応は「振り込め詐欺」という犯罪の温床となったわけだ。振り込め詐欺を制度対応で撲滅するには、ATM機能を低下させ、現金対応能力を落とすのが一番である。割の合わない犯罪にしてしまうのである。詐欺犯は、費用対効果を真剣に考える上では合理的でしょうから。 ただし、我々消費者はサービス劣化には耐えられないので、高度なサービスを維持したまま犯罪を阻止して欲しいと要求する存在である。このしわ寄せは現場の行員、警察を含む行政にいくことになる。 予断だが、詐欺に狙われる高度なATMシステムをそのままにしての生態認証っていうのは、私はかなり危険ではないかと思うのだが。指紋認証は本人確認としてはそれは最高だろうが、指とか切断されて金が下ろされてしまう。そんな悲惨な事件が起きるんじゃないかと不安になるのだが、考え過ぎであろうか。
by bank.of.japan
| 2008-12-05 22:46
| 金融システム
|
Comments(27)
漫画でありました。生体認証の為、頭と手が切られるという。
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大阪の人間ならやるんじゃない?
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
マジレスすれば、蝋で作った指の指紋コピー(要するに生体反応がないもの)では反応しないATMの設置は可能ですし、生きた人間の手のひら静脈とか、007並みの目の虹彩スキャンが本人確認には一番よいと思います。コストを無視すれば。
ATMで採用されている生体認証は静脈認証なので,血流がないと反応しないと聞いたことがあります。
日本のATMが機能充実なのは、「消費者へのサービス」ではなく、「窓口の行員へのサービス」というか「人件費を抑えたため」じゃないの?
例えば、窓口で振込みしようとすれば「ATMでもできますよ、そちらの方が手数料がお安いですよ」と非常も強くATMへ促される。 ちなみに私はATMから振込みができなくなってもちっともかまわない。それで手数料が下がって、しかも犯罪の阻止に役立つならそうして欲しいです。
「事務ミス」、それは銀行員にとっては犯罪と同等の意味を持ちます。
ただ、事務ミスをしないようにするのはいいのですが、事務ミスをしないための各種方策にどれだけの時間と手間、つまりコストがどれだけかかっているのかについての真剣な議論は聞いたことがありませんでした。そういう意味では非常にコスト意識が希薄な集団だなと思いました。 過剰品質の引き起こす国際競争力の低下という問題は、銀行に限った話ではありませんが。
不渡り2回で銀行取引停止処分が無い(大半の)外国では、チェックがあてにならず、不渡り時に受取人が手数料を払って取り立て依頼しなければならないために、予め手数料を払って取り立てが確実という意味でキャッシュカードが普及しているんだという話を聞いた事があります。
こういうのはインフラの整備でネットワーク外部性的なメリットが既に累積されていますので、振込み詐欺ごときでは、日本の現金社会は変わらないでしょう。というか、アメリカは知らないけど、東南アジアの銀行とか見るについけ、日本で商売していて本当に良かったと思います。
ついで話です。客はいい加減で常にミスをします。銀行の過剰サービス論をぶたれる方は、ミスのペナルティーは客が負うべきだというスタンスなのでしょうが、多分平気でミスを繰り返し、その都度経費を発生させます。本石町日記さんが引用された例でも、銀行のミスなのか客のミスなのか、その辺はわからないんじゃないでしょうか。で、ミスを犯さないためのチェック機構を、その筋の専門家たる銀行の支店窓口にまとめている事で、社会全体としてはトータルのコスト削減にはなっているのではないかなと思ったりします。銀行がチェックする事によって支払わなければならない手数料より、自分がミスったときのダメージの方が大きいみたいな。こういう「トータルコストダウン」は、どんな業種であれ、商売を仕掛ける際に必ず意識するビジネスモデルの基本です。
そういうわけで、トータルでのエネルギーは日本型の方が低いのではないかと思います。問題は・・・これは全業種共通の悩みですが・・・そのトータルコストダウンを実現した事に対する付加価値分の対価が「思うように得られない」という意味で、デフレが悪いのかなーと思ったりします。
北欧型の経済は、人口を考えると難しいと考えていましたが、インフラとネットワーク外部性を考えるとありえるなと最近考えを改めました。
日本人は、自分を社会インフラの一部だと意識できる点で非常に優れていると思います。 従来は、アメリカの属国であるため、資産価格の変動が激しい調整の大きな経済に付き合わされてきましたが、アメリカの弱っているうちに、 北欧型経済に向かうという公言をしながら、こっそり日本型経済を作り上げるのが良いと思います。 アメリカとマルクス主義を捨てれば、制約が外れて、日本は飛躍的に良くなります。
振り込め詐欺で解らないこと。
どの銀行も、預金者保護法(偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律)の施行後、カードにより預金引き出し、振り込みに対しての、上限金額を低くするようにしていると思っている。さもないと、預金者保護法のリスクが大きすぎる。 リスク回避の手段として、生体認証があり、生体認証の場合には制限金額を外してしているが、振り込め詐欺は生体認証の場合なのでしょうか?
それにしてもビック3に資金投入ですか。
日本の銀行の事務もかなりいいかげんです。下働きで銀行のステイトメントと預金勘定の突き合わせをしていた頃は、銀行がミスしない月など一度もありませんでした。ある年など年末の最終営業日に当座が200億赤算だと連絡が入り、全銀協システムがまだ動いていたので、他行に頼み込んで送金しました。結局、赤算と連絡してきた銀行のミスでした。
金玉から冷や汗がでますね。
外銀も邦銀も、どっちもどっちです。
本石町日記さんは、日銀からだけ説明を聞いているのでしょうが、日銀の人は実務を知らないので、邦銀のほうが事務処理能力が高いというでしょう。しかし、どちらが正確かというと大差ないですね。 あえていえば、外銀はよく間違うけどすぐ直すが、邦銀があまり間違わないが間違いに気がつかない、という意味で大差ないです。
Kさん、どうもです。私も映画かなんかで見たことあります。現実味はないですけど、想像すると怖いですね。
非公開さん、どうもです。厳密性は確かに文化ですね。 Mさん、Tさん、どうもです。ありがとうございます。これだと切断のリスクはないですね。 774さん、どうもです。私もそれほど振り込む機会はないので、下ろすだけで十分。それで手数料なしの方が良いです。
linateさん、どうもです。残業してまで支店勘定をきっちり合わせる必要はないようにも思いますが、勘定系の計算はコスト度外視できっちりやりたいという風土なのかもしれません。
(ま)さん、どうもです。確かに。そう思うことあります。 飛車@ほろ酔いさん、どうもです。ご指摘のように社会全体の決済系のコストは下がっている可能性もあり、恐らくは現行のままいくのだろうと思います。ただ、きちんとやるための努力がいろいろなところでかなり現場にしわ寄せされる面があり、ただでさえストレスが多く、自殺者やうつ病になる人が多い国なので、個人的にはミスにはもう少し鷹揚な感じになればいいなあ、と思ったりします。 PKさん、どうもです。北欧型になるにしても、税負担の増大が受け入れられないかもしれません。 ある経営コンサルタントさん、どうもです。生体認証の場合の振り込み詐欺がどうなのかは今度聞いて見ます。興味深いですね。
まるさん、どうもです。どうもそうらしいです。まあ、つなぎ融資なので、その後がどうなるか注目されます。
企業財務担当者さん、どうもです。そういう事例もあるのですね。参考になりました。 元金融庁さん、どうもです。日銀は個別行のことは教えてくれませんで、まあその辺はしっかりしております。ミスは相対的なもので、日本にもミスはあるかと思います。海外にいたときの見聞きしたことや、邦銀・外銀の方々からの個人的な印象です。
ある程度預金があれば下ろすときの手数料が無料になる銀行って東京三菱UFJと三井住友だけでしたっけ?
リテールの採算性に手数料収入は必須?
市場機能論読みましたよ。
僕は白川さんに賛成だな。 インフラがより効率的なインフラに代替されるなら構わないが、一時のコストに騙されて必要なインフラのコストを削減すべきではない。 僕は以前、コミュニケーション・インターフェースが成長を主導すると考えていたけど、今は少し改良した。何かの移動のインフラが成長を主導すると考えるようになった。企業も実は良い望ましいインフラを生成する一種の生物だと考えるようになった。
中川秀とか渡辺とか、頭がおかしいのではないか?
流動性選好が無限大になっているということは、リスクを極端に避けているということ そんな時に、 改革をやるの? 東洋経済だかにも外国人のエライさんが、IMF後押しは欧米の玄人筋に受けがイイと書かれている。中国を綺麗にスマートに出し抜いたと。 趨勢的には日本は中国に追い越されるのは分かりきっているが、こういう形がスマートな形だという評価だ。当然至極で当たり前な評価だと思う。 自分の国の首相の評価もできないで、消費や需要を生み出せるのか? 朝日や毎日のような新聞ははやくくたばれ
Cruさん、どうもです。預金量(or取引が多い)などを基準に差別化を図っている銀行があるのはその通りです。具体的にどの銀行かはチェックしておりませんので分かりませんが、少なくともリテールの採算性を向上させる場合には不採算口座の切捨ては必要であろうと思います。
PKさん、どうもです。市場機能論を擁護する立場は、日銀的には非常に感謝すべきことだと思います。 首相の評価について。私は麻生さんがこれほど酷評される理由がいまいち分からないですね。別な首相候補がいるなら、メディアはその人を推薦すべきであって、不毛なこき下ろしは意味が良くわからないです。
「ATM」で、ちょっと象徴的な記事(?)がみうけられましたので、チョット(汗)・・・
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000000-jct-bus_all > ほぼ全額を国債で運用する手堅い運用... と いうのがこれまたダメおし的というかなんというか。。。
小野さん、どうもです。運用は国債に徹し、経費をぎりぎり削って決済サービスに特化するナローバンクの典型です。結果的にクレジットがダメダメになったので、相対的にうまくいった形になったのでしょう。郵貯もこうなれば良いのです(ただし、それだけ経費削れるか問題)。
というか、経費はFCのオーナー持ちなのではないかと思ったりします。
何と言うフリーランチw
PKさんへ。多分週間ダイアモンド最新号(12/14?)の72ページ「エドウィントゥルーマン(元米国財務次官補)」さんでは
ないでしょうか。そのお載せになってらっしゃった記事は。もっともわたくしはそのまえ34~35ページの 「L/C(貿易信用状)取引」の記事のほうがかなり驚きでした。「実体経済への影響」がじつによくあらわさ れてるって感じもして(かなり驚きだった)。。。。。麻生総理がんばってほしいですネ(笑)
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