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連銀B/S急膨張と興味深い米論調=米金融政策の軸足は…
 ちょっと前だが、英語系サイトの巡回中、米連銀のB/S急膨張をめぐる興味深い論調があった。「naked capitalism」のこちらのエントリー。この中では、ドルの行方に関わる部分が面白い(ざっと見ただけなので、英語の読み違いあるかもしれませんが)。
 米国が金融危機の震源地となり、ドルの信認が揺らいでいるのは事実。特に米連銀B/Sの急膨張がドル安の懸念を招いている。もとより、管理通貨制度の通貨の信任は、物理的な信用のアンカーがある「金本位制」とは違って「信じる、信じない」という目に見えない信用の問題であり、現状では信じる以外に選択肢はない(信じないと大変な混乱が起きる)。
 ここで「懸念」以外に何かドル安を招く具体的な要因はあるのか。外為市場ではグローバルベースに広がった色んなポジションの解消で各通貨が色んな動きをしたが、ドルは単独暴落になっていない。ドルについては確かに米連銀B/Sの急膨張が心理的な不安を喚起するが、膨張自体が直接ドル売りにつながる形にはないと考えられる。先のエントリーでは、別なサイト(Macro Man)のビューから以下の部分を紹介している。
 「Macro Man's view, any dollars "created" by the Fed to expand its balance sheet (and let's not forget, they have yet to really crack out the printing presses by not sterilizing their asset purchases) will merely partially offset dollars lost through de-leveraging and the implosion of the shadow banking system, rather than finding their way into new the purchase of fresh turds」
 この部分の見解はまあそうかなという感じである。これまでにやったことは、次から次に壊れたマーケットの機能を代替することで、これは金融秩序維持を狙った流動性供給である。本来、マーケットが機能すれば金融機関は市場で流動性を確保できるが、それが出来ないからFEDが色んなものを買って代替しており、マーケットがそのままFEDのB/Sに乗り移ってきた、という構図でありましょう。これは白川総裁が「(欧米中銀は)いわば市場を代替する形で大量の資金供給を実施し、経済活動に必要な資金を循環させている」と言う通り。
 機能しない市場に代わって色んなものを買ったり、担保に取ったりして大量の流動性を供給すると、資産は膨張する。同時に負債サイドも結果的に何かが増えるわけで、顕著な増加は「準備預金」と「財務省の代理吸収預金(財務省預金SFA)」である(東短リサーチの加藤さん、リポートから借りました)。うち準備預金は付利されているので、吸収の一種ともみなせる。
 Macro Manの見解を補強する形で「EconoSpeak」のこのエントリーが引かれているが、表題の「Collapse of the Money Multiplier」(クルーグマン教授のブログから大半を引用)は信用乗数が急低下するのは、激しい市場機能jの代替によって準備預金(一種の吸収手段と化している)が激しく増大しているので、調節技術的には当然のcollapseとなる。もっとも今後どうなるかは分からない。
 で、FRBの金融政策の軸足がどうなっているか、である。FFの誘導はかなり難しい状況であり、金利政策はほとんど破たんし、リスキーな物も入ったB/S膨張に政策的な軸足がシフト(量的or質的緩和とか)しているように見える。だが、まだFFの誘導が金融政策であり、これがうまくできないのは、日銀のような機動的吸収手段の売手がないからであろう。恐らくFEDとしてはプルーデンスの火消しに追いまくられて、FFの精密誘導する余裕があまりない、という状況ではないかと推察される。仮に売手があり、オペレーション余力があるなら、あれほど準備預金は増えない(信用乗数も激下げしない)ように思うが。
 あとB/S膨張で改めて感心するのは、FEDと財務省の連携の良さである。まあ、FEDぐらいしか機動的に動けないので、財務省も全面バックアップ体制なのだろう(それが健全かどうかは別・状況次第です)。日本もいずれ大変になるので、日銀・財務省仲良くやって欲しい。「何でも認めて面倒もみるからいざとなったら43条を思いっきり使え」と言ってくれる財務省なのだろうか。
 米系サイト、いつか見た議論があったりして、非常に興味深い。デジャブー的な思いも味わい、結構読みふけるところがある。Macro Man、マクロという割にはオペの吸収面に目を配ったりして、意外に通ですね。

追記 (加重平均で見た)FF誘導が難しいのは、以前にも指摘したようにGSEなど付利対象外の存在がFF市場に参加しているという理由もあり、これはマーケット構造要因。GSEも付利するとかすればまだ誘導能力は上がるかもしれない。

準備預金に付利して量的緩和ができるか、やった場合の効果はどう見るか、について考え中です。ある程度まとまればアップする予定。全然意味ない、とも言えない面もあるんですよね。まあ、ゼロにすればきれいなんですが…。
by bank.of.japan | 2008-12-01 22:33 | マーケット | Comments(4)
Commented by PK at 2008-12-02 01:53 x
量的緩和というのは、新興宗教ですね。
共産主義影響下の超ネガティブ・超弱気風土が生み出したウルトラ貨幣愛でしょう。アングロサクソンに、これだけ資産価値を振り回されれば、キャッシュが一番なのは分かりますが。
先延ばしにしてきたミーダス王の悲劇がいよいよ実現しそうですね。
それでもマネー! マネー万歳! 日本民族万歳!
Commented by bank.of.japan at 2008-12-02 22:04
PKさん、どうもです。量的緩和の効果を「期待」のみに求めると仮定すれば、宗教的側面が強まるようには思いますね。量的緩和+時間軸によるイールドカーブのフラット化による緩和効果が一番分かりやすいです。
Commented by EURO SELLER at 2008-12-03 01:16 x
naked capitalismさんはサイトの内容を音声に変換するサービスを利用しておられますので,これまでの記事を英語の音声で聞くことが出来ますよ。金融用語の発音勉強にもなりまする。(URL参照)
Commented by bank.of.japan at 2008-12-03 19:55
ありがとうございます。参考にさせてもらいます。
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