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大久保先生が金融市場の英雄になる質問=外準活用と決済の話
 本日は日銀総裁が出る、というので久しぶりに国会をモニター。参院財政金融委員会でありました。ながらモニターだったので、すべてをつぶさに聞いてはいなかったが、興味深い質問(二つ)は民主党・大久保先生からのものであった。
 一つは、リーマン破たんに伴って「証券決済が大混乱している」と追及したこと。これは非常に良い質問でありました。多くの市場関係者の共感を呼んだのではなかろうか。惜しかったのは、金融庁幹部の答弁に対して追い討ちをかけなかったこと。
 モルガン・スタンレーにいらっしゃった先生には釈迦に説法かもしれないが、金融は実務の集積であり、この実務が円滑に流れないと世の中の金のめぐり(血流)は滞る。金融実務で最重要のパーツは「決済」であり、ここが止まるのは前線部隊への補給ラインを断ち切るに等しい。
 リーマン・ブラザーズはレポなど国債系取引ではそれなりにプレゼンスが大きく、インタバンク毛細血管網のハブを形成していた。ところが、法的処理によってハブ機能は停止。周辺毛細血管に血が流れず、壊死しそうな状態をもたらした。大手の金融機関は多かれ少なかれハブ機能を果たしており、金融市場全体の流動性が低下したのは血流停止によるショック状態と言えるだろう。
 破たんするにしても、いかに決済機能を生かすか。リーマンの事例は世界の金融当局に大きな課題を与えたといえる。この点を先生が追求していったら、かなり玄人受けすると思う。

 もう一つは外準運用の話。健全性・透明性に着眼した質問はまあ正論であります。ただ、世界的に流動性がひっ迫する中、莫大な外貨(大半はドル)を抱える日本が金融安定に寄与する外準運用を模索してもいいのではないか、と個人的には思っている。しばらく前の東短リサーチ・加藤さんのリポートで知ったのだが、外準運用は預金比率が低下し、債券運用が増大しているとのこと。これはこれで現行範囲での効率運用だが、以下の選択もあり得よう。
 まず背景として、米金融システムへの信用不安から米債などに資金シフトしやすい状況にある。質への逃避から国債(米債)ニーズが高まっているわけです。その上でのアイデア。
・市中ニーズが強い米債を放出してキャッシュ化する。
・キャッシュを預金として市中に散布する。
・ドル預金の増えた金融機関は調達が劇的に好転。
・ドル金利は低下する。
 外準運用をヘッジファンド化させる前に、やれることはたくさんある。MOF預託の戦略的活用。日銀ドル供給よりこっちの方が手っ取り早いと思うのだが…。少なくともこの案を実現させた国会の先生がいたら、世界のインタバンクの英雄になるのは確定。米政府も感謝状送るかも。MOF国金は動きそうにないけど。
by bank.of.japan | 2008-09-19 22:09 | マーケット | Comments(16)
Commented by 通りすがり at 2008-09-19 22:26 x
いつも読ませて頂いております。

アメリカの次の手はRTCのようですね。
資金はどこから調達するんでしょう。国債?

米国債の金利上昇とドルの暴落に繋がらなければ良いですが・・・
Commented by K at 2008-09-19 23:44 x
英雄や米政府に感謝状もらってどうするの?
それより市中銀行に高く売りつけて、米金融支配を!ハゲタカになりましょう。
Commented by PK at 2008-09-19 23:58 x
製造業などの企業の利益の源泉は、不確実性へのチャレンジ・投資ですが、金融業の利益の源泉は、流動性を提供することです。
製造業企業とワルツが踊れれば、良い金融業。家計とワルツを踊れれば良い金融業です。(家計の場合、特に不動産の処分です)
Commented by nobinobi at 2008-09-20 01:04 x
外準の債券比率の上昇は長期的観点からの効率化。
足もとの流動性供給、金融安定のためにはスワップ協定のほうが適切な対応では?

債券を特定の銀行への預金に振り替えるのは、その選別の基準や、モラル・ハザードも議論の対象になるでしょう。
見識定かならず、といういう意味では、SWF設立を述べるセンセイと大差ないような気がします。
Commented by かるパース at 2008-09-20 01:14 x
既に発行市場では皆さんご存知のように、2年もの国債、FBでは発行取りやめの事態となり、多分短期金融市場ではフェイルが派生しており、ちょっとした混乱があったようです。で今回は一番流動性の高い10年物国債の発行が22日にやってきます。うわさによれば今回の296回債は発行1兆7000億円に対し、LMは2500億程度を落札しておるようですが、本邦BONDマーケットにおいて相当のプレゼンスをもっており、今回の落札額から考えますと、発行前取引(WIでしたっけ)相当量の新発債を転売ないしREPOに流しておるようなので、発行取りやめとなった場合、かなりのインパクトがあるような。
すでにスワップマーケット、デリバ等の決済ではそれなりの混乱収集に市場関係四苦八苦していますので、相応の市場対策を当局様には打ってもらわないとてなことになるかも。
本邦資産の保全も重要ですが、やはり今回の問題デカイのでマーケットに対する影響を関係部局とそれなりのすり合わせを当然やっておられると思いますが。
PS:そういえば数週間前に債券先物でも外資とのうわさで相当派手な動きがあったようですが、何やら関係あるのかな。
Commented by tomtom at 2008-09-20 11:24 x
 外為特別会計のポジションの一部を通貨スワップ(元本交換あり、円libor vs. ドルlibor)で日銀かJBIC、ゆうちょ銀に移したらどうかと思います。日銀の場合、FEDとスワップせずに外貨を準備できます。またJBICは、外為特別会計の持つファニーメイ、フレディマックを購入し、自発的にDESを受け入れ、GSEのメザニン債(シニアと米財務省所有の優先株の中間)を持つことになる。日本政府の場合どうせGSEを売れないので、そのまま持ち続けるより米国に恩を売りつつ、利回りや値上がり益を狙える。ゆうちょ銀の場合、国債運用から外貨のクレジット投資ができ、存続可能なビジネスモデルを作ることができる。
 皆さん、このアイデアはどうでしょうか。
問題は、猫に鈴をつけることができる人がいるのか。財務省は手ごわいし、政治家で理解できる人はほとんどいないでしょう…。
Commented by 植田日銀総裁 at 2008-09-20 12:57 x
外貨準備の有効活用はもっと議論されるべきと思います。今すぐ必要だったのでFRB-日銀からのドル資金供給でしたが、しばらくこの状況は続くと思われるので検討が必要と考えます。レポないしは売却により資金化して預金。国債とのカレンシーレポ。それを日銀経由でやるもよし。いずれにしても対民間と行う部分は入札方式でやれば特定銀行への便宜とはならないでしょう。現在起きていることは邦銀のクレジットとは関係なくいわゆるリーマンの破たん処理”手法”によるシステミックリスクなので、モラルハザードにはなりません。こういう時こそ官の機能が問われていると思われます。それにしても現代版RTCへの資金供給(by伊吹何某)とはどういう意味なんでしょうね。腰が抜けるほど驚きました。
Commented by ぽろ at 2008-09-20 12:58 x
いつ日本国民は普通にプール付の家に住むこと可能なんでしょうかねぇ。(住みたくもないけど)

いつ大学に18ホールのゴルフ場やらスキー場もあるような、でも蔵書率も高いというのができるのでしょうかね。

なんでこんなに日本国民が日本国で普通に暮らしっていうのができないんでしょうか???

東証の外資なんてケイマン諸島の連中ばかりじゃないか。
Commented by K at 2008-09-20 14:28 x
その代わり、大学の学費はアメリカより安い。
Commented by とおりすがりの人 at 2008-09-20 18:08 x
tomtomさん、そのアイディアは大久保先生が主張しているものですね。
一方で、高橋洋一先生(東洋大)は、JBIC、ゆうちょ銀も経由しないで単純に外貨準備を使うことを主張しています。
両者の主張はJBIC、ゆうちょ銀を経由するかしないかの違いはあっても、そっくりです。
Commented by bank.of.japan at 2008-09-20 19:44
通りすがりさん、どうもです。RTCの財源は、何らかの形での国債にならざるを得ないでしょう。一気に発行というわけでもないでしょうし、何とかなる、何とかなって欲しい、と思います。

Kさん、どうもです。ハゲタカ行為はレベルによりますが流動性供給につながるので、まあそれぐらいの気持ちは持って欲しいとは思います。

PKさん、どうもです。バランスは大事だと思います。まあ、コントロールは難しいですが。

nobinobiさん、どうもです。既にMOF預託先はなんらかの基準で選定されておりますので、一定比率で預託分を増やす、ないし入札にする、という方法がいいのではないかと思います。もっとも、MOFは預託先選定基準を公表していないので、なんともいえないですけど。
Commented by bank.of.japan at 2008-09-20 20:08
かるパースさん、どうもです。知り合いのトレーダーらは対リーマン関係の約定対応に追われ、ディールどころではないです。レポなど担保付きの取引は本来は仲介者のデフォルトリスクとは関係がないので、決済をうまく回す知恵が必要です。初期的に危機感もって対応したのは日銀ぐらいでしょう。

tomtomさん、どうもです。高橋洋一さんのアイデアに近いと思います。そこまでやれるか別にして、ドルキャッシュのひっ迫はMOF預託の増大が一番手っ取り早いと思われます。

植田日銀総裁さん、どうもです。個別の問題がマーケットに波及し、そのマーケットを利用していた(邦銀も含む)多くの金融機関が巻き込まれた事態なので、MOF預託の活用は一案ではないと思います。
Commented by bank.of.japan at 2008-09-20 20:10
ぽろさん、どうもです。プール付きの自宅はまあ難しいでしょう。国土の広さも違いますので。日本も近くにケイマンみたいなオフショア作ればよいのではないかと思います。
Commented at 2008-09-20 22:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by PK at 2008-09-20 23:49 x
米国の金融危機は、日本の金融危機と違う
欧米の先物取引とかは、保険から発達してきたので、商品先物の未来情報に絡む取引とは違う。
従って、不良債権の買取機関の性質も、過大で膨大になってしまった保険という将来の約束の清算に伴う処理を伴うという形になるはず。
今回の危機は、未来の約束が契約切れで消えるまで続くので全治5年。
対策は、とにかく合併で大きくなること。
危機の後の注目点は、米国のリスクを顕在化させてそれを取引対称に様々な保険契約を結んで儲けるモデルが生き残っているか?どうか?
Commented by nobinobi at 2008-10-01 01:45 x
本石町日記さん、
MOF預託先の事例、ごもっともですね。植田日銀総裁さんのご指摘にも納得します。
短期金融市場の実情を知らないままに、思慮の浅い書き込みをしてしまったようです。
失礼いたしました。また、ご無礼をお許しください。
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