「秘密合意」の技術的ポイントは…=「日本」の意味
 本日、日経一面トップはみなさんご存知の通り。見出し(一番デカイやつ)が目に入った瞬間、のけぞった。ドル防衛体制ががっつり構築され、そのためにG7の金融財政政策が総動員されていく、と思ったからだ。その後、サブ見出しや本文読んで、「のけぞった」体は急速に普通に戻った。それにしても、見出しの付け方は参考になりましよ。
 まあ、それはともかく、技術的ポイントは以下の一点ではないかと思った。
「米国が円売り・ドル買いに必要となる円資金を日本が供給する方針を確認した」
 この文に出てくる「日本」は具体的にはどの組織を指すのか。米国に機動的に「円」を融通できる組織は日本には一つしかない。財務省も出来ないことはないかもしれないが、まあちょっとやり方には難があるので、やっぱりこの「日本」は日本の中央銀行、すなわち日銀でありましょう。従って、この文は、日米間で通貨スワップ協定の締結方針が確認された、という風に読める。
 二国間の通貨スワップ協定でよく分からないのは、協定締結を決断する主体が財務省なのか日銀なのか、である。通貨政策の権限は財務省にあり、協定はその一環の事務的部分だと位置付ければ、協定締結の方針は財務省が確認し、日銀は財務省に「締結よろしく」と言われて「ハイ」と従う立場にあるのか。でも日銀政策委員会は独立して判断する存在であり、言われるがままに動くんだろうか。この辺の事情は興味深い、というか審議委員は知っているんだろうか。
 この点に絡んでは技術的考察項目は多くあるのだが、それはともかく、将来的にドル防衛体制が必要となったとき、以下のようなアイデアも面白いと思った。
 ドルが崩れるとき、日本経済が被る打撃も大きい。まあ、無限に買う覚悟が必要であろう。FB発行枠も簡単に一杯になり、そのたびに日銀にバックファイナンスよろしく、となる。だったら、日銀に自分のバランスシート使わせた介入(介入権限の委譲)をやらせるのも一考かもしれない。金利ゼロで売手打たずに準備預金増やしたら、これは量的緩和&orパーフェクトな非不胎化介入ともなりますね。(前副総裁の)岩田さん、どうですか?
 このアイデア、一回取り上げたかもしれない。スワップ協定については過去のどこかのエントリーで何度か取り上げているので、そちらを参照ください。
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by bank.of.japan | 2008-08-28 22:16 | マーケット | Comments(7)
Commented by 北の書生もどき at 2008-08-28 23:43 x
どうもご無沙汰しております。
さて、本日のエントリーを拝見して、拙い感想2点です。
①「秘密合意」・・・08/3/11日22時の稲葉理事の緊急会見を思い出しました。実は胸中に隠し事があったってことなんですかねぇ・・・
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0803a.htm

②須田委員の挨拶要旨・・・不勉強で、昔にこんな話があったことを知りませんでした。「へぇ」(もう古いですね<苦笑>)って感じです・・・
「(前略)1973年秋の第一次オイルショックの際、OPEC諸国が石油収入の増分を支出に回す割合が低かったことから、石油価格の上昇は輸入国の経常収支赤字をもたらし、オイルマネーをどのように赤字国に還流させるかが大きな問題となりました。(中略)日本でもファイナンスに懸念を抱き、サウジアラビアから秘密裏に外貨を調達することまで行いました。(後略)」
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0808b.htm
Commented by osome at 2008-08-28 23:49 x
今日たまたま、須田委員の講演の記事を読みましたが、この期に及んでまだ利上げしたい未練たらたらなんですね。世界的な景気の減速は、底がどれだけ深いのだろうかと皆さん心配しているのかと思っていましたが。
全体の要旨は違うのでしょうか?
Commented at 2008-08-29 00:51 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2008-08-29 21:09
北の書生もどきさん、どうもです。最近、OBとなった稲葉さんに会いました。元気そうでした。日銀を含めて金融当局者が3月に一番心配したのは決済リスクだったように思われます。
 昔と違ってマネーフローは円滑で、それがグローバル化の象徴かもしれません。ということは、ドル暴落はみんなが困るので、まあ支えるでしょう。

osomeさん、どうもです。まあ、須田さん個人の考え、ということでいいんじゃないかと思います。

非公開さん、どうもです。為替は「変化」に敏感なので、しばらくは好調だったユーロの変調を材料視するのではないか、と個人的には見ております。
Commented by PK at 2008-08-29 23:58 x
むしろ、いかに上手にドルを売るかというのが、これからポイントになるのでは?
後ろ向きの金融が起きる局面では、資産価格が動揺する。だからドル需要が増し、ドル高になる。しかし、アメリカの資産価格は動揺する。
一方、日本は円安で困る。日本の資産も安くなる。
日本の投資家に、そういう情報を流して、バランスを取る方向にうまく誘導する必要がある。
Commented by 両建て at 2008-08-30 01:32 x
うーんやっぱり、今の状態考えるとこの協定って、倒産するまで、信用失墜がばれるまで、お互い膨らませる融通手形に近いものを感じるのは、元銀行員(決してマーケット関係者ではない)の私だけでしょうか。
まーそこに景気のいい欧州さんが一緒にやってくれるうちはいいのですが。2国間となるとね。でもこのあたり日本人のJGBをに対する信仰と、最後に資源獲得競争のアドバンテージとなるのは米国の軍事力という前提が崩れないうちに、両国が立ち直れば問題ないのですがね。
Commented by bank.of.japan at 2008-09-01 18:48 x
PKさん、どうもです。今の為替政策の下では、上手に売る、という発想はないのかもしれません。基本は「介入」ですので。

両建てさん、どうもです。企業同士の関係では融通手形です。国家レベルだとまあそれでも何とか回る、という格好なのですが、アルゼンチンみたいなケースもあります。最後にご指摘のように、両国が(問題表面化の前に)立ち直ればいいわけで、そうなるように期待するしかないです。
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