良い話と悪い話。どちらを先にしましょう? 後味良くするため悪い話から。
本日の「大機小機」は下の続編的な内容。やっぱり筆者は同じではないのかと思ったのだが、前回のびっくり利上げ論は「十字路」&富民氏というコンビだったのに対し、今回は「十字路」&癸亥氏という組み合わせ。十字路氏と富民氏と癸亥氏がそれぞれ違う人だとすると、メジャー紙に寄稿するほどの著名人の中に少なくとも3人の利上げ論者がいるわけですね。困りました。 主張内容を簡単にまとめて反論しようかと思ったが、止めます。 良い話。本日の「十字路」は良かったです。みずほ証券の高田氏によるものだが、「インフレの衣をまとったデフレ」というタイトルは言い得て妙である。供給ショック的であっても物価指数が上がってくると、どうしてもインフレ期待は強まらざるを得ない。ただし、その裏側では実体経済は低迷を続け、投機的要因のはく落で供給ショックによる物価上昇が収まると、デフレを懸念すべき状況が現れてくる。これは日銀も懸念するシナリオでもあろう。 以下の部分には激しく同意であります。 ・サブプライム問題は、企業セクターを中心に生じた従来の調整とは様相を異にするが、結局はバランスシートの拡大とその収縮に伴う過程で信用収縮が生じ、資産価格が下落するという点では同じである。 ・クレジットバブルの崩壊で退避資金が商品市場に流れ込み、その結果、消費者物価が上昇して国際社会に深刻な影響を与えたが、これは退避資金によるゲリラ戦や局地戦が原油先物市場で加速された面が強い。 ・信用収縮の中で「デフレのオオカミ」が「インフレの衣」をまとった状態ではなかったのか。 こんな十字路が続けばよいのに…。
by bank.of.japan
| 2008-08-20 21:27
| 大機小機
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Comments(7)
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かるパース
at 2008-08-21 00:41
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「インフレのころもをまとったデフレ」とスタグフレーションの違いって興味ありますね。多分に異なるところは、当時と違いインフレ期待が賃金上昇につながらない、価格転嫁が容易でないということですかね。従ってインフレにはなりにくいが、状況は極めて陰湿なところへいったところですかね。
いうならばデフグレーション。価格上昇を市場原理の中である意味、健全に転化できないという状況って、政策運営上の困難は非常に厳しい。 真の意味での開放体系下における金融政策運営が試されるところですが。財政手段以上に全般的な経済運営の強調が必要でしょうね。
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ナイ・パチーノ
at 2008-08-21 02:36
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本石町日記さんは「利上げはない」と主張されますが、実は私も経済の見通しがある程度つくようになったら、しかるべきときに利上げを断行すべきだと考えております。
そもそも論として、まず「量的緩和」は絶対に繰り返してはならないという認識を持っているのですが、緩和解除後の利上げのペースはいかんせん鈍すぎたのではなかったかと思います。 仮に、去年の7月あたりに25ベーシス引き上げていたら、現段階で再び引き下げていたのかというと、それはないだろうと思いますし、現在金利を下げたから景気が良くなるのかというと、それはかなり疑問です。 ここに明確な根拠はないのですけれども、株価と不動産価格(景気のバロメーターとしてはこの2つくらいしか知らないので)にとって、景気判断を引き上げつつ徐々に利上げしていったほうがいいのではないか、利下げしてもそれほど(下げ余地がないということもありますが)効果はないのではと思ってしまうのですが、いかがでしょうか。
ただでさえ不動産価格も上昇が見込めない時に利上げしたら、例えば住宅ローンの実質金利負担はいかほどに重くなり、不動産不況に拍車をかけるかわかりません。
企業収益も同様です。中小企業の運転資金の金利負担増は、雇用消失に拍車をかけてしまう懸念の方が強いのでは? >経済の見通しがある程度つくようになったら これは見通し(フォワードルック)がつくだけでなく、様々な指標で十分な確認が取れてからというある程度後追いで足りるように感じます。
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PK
at 2008-08-21 12:01
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バランスシートの収縮が、どういうパターンで起きるか?
借方側の利益の収縮のスピードと、貸方側の流動性の潤沢枯渇の状態変化のスピードが違う点 基本は大恐慌の後始末が貸方借方の対応関係を取る形での規制に納まって、ブレトンウッズ体制(ケインズの閉鎖経済)に行った点 今回はどうなるか?
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椿ライン
at 2008-08-21 21:04
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高田さんの論調、私も好きです。
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bank.of.japan at 2008-08-21 22:09
かるパースさん、どうもです。ご指摘のように賃金上がらない状況ですので、エネルギー除けばデフレ圧力が強いです。この状況、政策対応難しいので、ひたすら所得が磨り減るのに耐え続けるしかないかもしれません。
ナイ・パチーノさん、どうもです。問題は「経済の見通しがある程度つく」のが展望しにくいことでしょう。世界全体が資産価格の下落を伴った不況に突入するのは初めてですので、個人的には先行きはかなり悲観しております。
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bank.of.japan at 2008-08-21 22:13
名無之直人さん、どうもです。不動産向け融資は既に蛇口が急速に絞られつつあり、自壊状態です。90年代は日本が自沈する状況でしたが、これからは世界経済が沈下して日本も引きずり込まれる構図でしょうか。
PKさん、どうもです。今回の経済の帰趨は超不透明です。どうなるんでしょう。 椿ラインさん、どうもです。同調多謝です。
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