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「大機小機」の富民さんはもしかして…=供給ショック下の金融政策論の整理
 本日の「大機小機」は富民氏。「超低金利・円安政策の転換急げ」と題する内容は、下の下のエントリーの最後で取り上げた日経夕刊コラムとほぼ同じであった。富民氏と夕刊コラムニストはもしかして同じ方なんであろうか。筆者が同じでも同じじゃなくてもどうでもいいのだが、富民氏の主張で技術的な観点で興味があるのは「低金利政策で過去4年間にわが国が海外に供給した資金は64兆円」、「31兆円が購買力平価を下回る円安の結果だ」などの数値的な算定根拠。どういう計算をして、その計算は妥当なのか。
 夕刊コラムと大機小機の共通しているのは、原油高をもっぱら投機筋のバブルとみなしていること。バブルの側面が大きいとしても、バブル的になった本質的な原因である「需給ひっ迫」に焦点を当てないと問題の本質を見失う。この点、本日の日経夕刊コラムで野村アセットの榊経済部長の示した分析が的確であろうと思う。即ち、原油は天然資源であるがゆえに価格が変化(急騰)しても、すぐには供給は増えず、一方で必需品でもあるため需要の落ち方も鈍い、ということだ。さらに深い分析としては、奇奇怪怪さんが紹介したフェルドシュタイン教授の見解が非常に参考になる。
 榊部長、そしてフェルドシュタイン教授らの分析を通して分かることは、日銀の利上げなど何の関係もない、ということである。何度か論じたことだが、原油高と金融政策の関係を簡単に整理してみたい。
・バブル的に上昇した原油高の根っこの原因は需給のひっ迫である。
・需給がひっ迫したのは新興国の高成長が原油需要を強めたため。
・金融政策を引き締めるべきは需要が強いところ、即ち新興国である。
・日本は原油も含めて国内需要は弱かった、今も弱く、原油高でさらに弱くなっている
・日銀が利上げして需要全般を弱めて、それで需要の一部の原油消費が落ちても、世界的な需給ひっ迫の緩和には糞の役にも立たない。
・世界的な原油需給に大きなインパクトを与えるほど日本の原油消費を落とすには、猛烈に利上げして経済を大失速させる必要がある(大恐慌に陥らせる)。ここまで景気を叩き潰せば日本の原油輸入は激減するでしょう。車に乗れない、車も持てないほど貧しくするわけです。
・言わずもがなだが(原油であれ株であれ土地であれ)バブルを叩き潰すことをダイレクトに狙った利上げは経済をオーバーキルさせる

 原油高で消費者物価指数(ヘッドライン)は上昇しているが、供給ショックの物価高は産油国から課税されているに等しい。つまり、単純に物価高をインフレと見るのは正しくなく、現実的には産油国が(日本に)消費税を付加している感じである。消費税引き上げで物価指数が上がってもインフレが高進したとは言わんでしょ。
 
by bank.of.japan | 2008-07-03 22:27 | 大機小機 | Comments(19)
Commented by blue^2 at 2008-07-03 22:41 x
(話題が違って申し訳ありませんが、問題があったら、削除してください)

http://kotarotamura.net/b/blog/index.php?blogid=1&catid=27

クールポコ風に

仙「カッコつけて~運用効率改善と言いながら、GPIFと同じ3.2%の目標利回りで、67%も国内債券に投資しようと言うSWF計画があったんですよ~」

小「なぁ~にぃ~!!やっちまったなぁ~!!」

仙「男は黙って」

小「5年間塩漬け!!」

仙「男は黙って」

小「5年後解散!!」

仙「新しくやる意味が無いよ~」

(愕然・・・)
Commented by PK at 2008-07-04 00:08 x
供給面での資源や鉄鋼の寡占化の動きや戦争やダウやWTIなどの「指標」化あるいはゴールドマンサックスのBRICs論などを見て、私はアングロサクソンの戦略があると考えています。要するに陰謀(戦略)論者です。そうでないという立場の人もいるし、それはそれで尊重します。
SWFについては、社会保険庁のザマをみると、公務員というのは人の金を預かって、帳簿もつけられずないのに「調達」をし、着服しても罰っせられないのに「運用」ができるのか?疑問に思います。
Commented by Eco at 2008-07-04 01:18 x
私もその計算根拠は大いに気になりました。結論としても本石町さんい同意です。

でもこの富民さんって、国債の研究なんかで有名な○田さんですよね?そんな変なこという人ではないと思っていたのですけどね。
Commented by パットメセニー at 2008-07-04 12:32 x
7月3日の大機小機より・・・

「貿易黒字が急減して景気に急ブレーキが掛かった」

この時点で執筆者が経済学を理解していないことが判明したため、続きは読みませんでした。
(センター試験に出題されたらこの方まずアウトでしょう)
Commented by Teddy at 2008-07-04 14:47 x
bank.of.japanさん、レスをつけてくださりありがとうございます。フェルドシュタインのWSJの議論は真っ当ですが、3日の「大機小機」は、途中でもう・・・bank.of.japanさんの議論を一部敷衍するなら、新興国の多くがドル・ペッグのゆえに米国のウルトラ・イージーな金融政策を輸入するのがいけない。なお、この点、一部話題になりましたが、コーン副議長の最近の講演は、物価を安定させたい国は、独立した金融政策、柔軟な為替政策が有効だろうと結んでいました。これは、「世界の物価安定の任務をアウトソーシングしようとしている」とか、ドル・ペッグ国(think:特に中国)への通貨高圧力だとか、騒がれました。しかし、仮に後者として、バックファイヤーして多くの新興ドル・ペッグ国までもが対ドルで通貨切り上げたら、ドルはきりもみ状態ですね。一気にそうはならないでしょうが・・・1933年の金本位制国内停止から80年、1971年ニクソン・ショックから40年、通貨は大動乱か、逆にとんでもな安定志向へ進む可能性もあるのではと妄想します。
Commented by bank.of.japan at 2008-07-04 18:01
blue^2さん、どうもです。面白いやりとりです。楽しませてもらいました。ありがとうございます。

PKさん、どうもです。公務員という存在が運用に向いていないですが、かといってリスクテークを許容しにくい風土でプロに運用を任せるのも危険なような気もします。

Ecoさん、どうもです。例の数値はちょっと根拠が怪しい感じです。筆者は多分十字路の人かもしれません。

Commented by bank.of.japan at 2008-07-04 18:08
パットメセニーさん、どうもです。内需が好調(輸入が拡大)で、黒字が減る、というものかなと。ご指摘のように因果関係が転倒ないし関係がないような記述でしたね。

Teddyさん、どうもです。為替ペッグの影響も無視できないです。まあ、いまさらに一斉に対ドルで切り上げもやりにくいです。そろそろと少しずつやるしかないですかね。大混乱にならないよう祈るしかないです。
Commented by PK at 2008-07-04 23:27 x
ドル基軸通貨の同様というのは、そうなんだけど、日本の大問題は、そういう時代に中国に擦り寄ってしまう破滅的な上層部を戦前から温存してしまったこと。
日本のやるべきことは、渦巻いている乱流の中で凪の場所、台風の目をみつけて、そこにいつの間にかちゃっかりポジションを取っていることなのに。
安部には同じ種類の人間として怒りを感じたけれども、福田は別の種類の動物に担がれた人形だから感情も湧かない。破滅と幸福が同義の人たちに導かれて、戦前と同じ道を歩む日本に寒気を覚える。
Commented by とおりすがり at 2008-07-05 08:59 x
原油の需給バランスが悪いのでは無く、
メジャーが儲からない製油所をすべて廃止してしまったために
製品の供給バランスがボトルネックが発生して悪くなっているのです。
だから原油の増産を発表してもイマイチ反応が悪いのです。

11月にはまさかのガソリン200円時代に突入しそうです。
今の日本は頭でっかちで手足の情報がなかなか伝わらないようです。
そんな国に糖尿病型のオイルショックですから自覚が遅れると大変です。早めに手を打たないと、、手足が無くなりそうですね。
Commented by Folly at 2008-07-05 17:16 x
こんにちは。私も一連の議論での原油と石油製品の混同がちょっと気になります。最終需要段階(石油製品の需要と供給)で需給逼迫があり需要と供給の価格弾力性が低いために価格が高止まりするなら、原油価格高とともに精製マージンも上昇すると思うのです。精製マージンは市場が比較的自由である北米で昨年より下がってますので、この点からも「需給逼迫論」が素直に受け入れられないのです。
Commented by PK at 2008-07-05 20:03 x
米貯蓄率が急上昇 13年ぶり水準、5月5%に

こういうニュースも、陰謀論者の僕からすると、「予定通り」だなと思う。
今の米国は金融より、住宅ローンを破綻させず長く支払わせることに注力すべきだと思う。
サブプライム問題が話題になった時、僕が考えたのは、バブル崩壊と貯蓄率の上昇とドル安による輸出産業の活性化。日本が経験した毒は、米国経済には良薬になるんだよね。
Commented by 飛車 at 2008-07-05 23:09 x
>>Follyさん
原油ですが、最終的には身近な製品に化けちゃっていまして、それらは大変に価格弾力的です。

上(石油精製)から下(最終製品)まで見た時に、途中の業者のマージンは、最終製品の価格動向と、それぞれの業種の独占力によって違ってきます。
日本の場合は、前川レポート以後、素材系メーカーの合併が奨励されてきた結果、汎用樹脂のように販社が寡占可能なレベル(1製品につき2~3社)になっている業界もあり、そういうところは大変に強い価格交渉力を持っています。最近では、ナフサ価格はWTIやドバイ連動、PE・PPのような汎用樹脂はナフサ価格連動のフォーミュラ(公式)として価格の計算方法は共通化されているようです。一方、最下流の小売はデフレのため、思うような価格上昇が行われておらず、どちらかというと下流側に多くのしわ寄せがきているように見えます。

アメリカの場合は知りませんが、精製業者はそれなりに価格競争が成立する程度にたくさんあったりするのではないでしょうか。それであれば、精製マージンが低下するのは、大変に納得がいく話です。
Commented by nhcjpn at 2008-07-05 23:43 x
本石町日記さんが纏めておられる通りだと考えています。
欧州の利上げにも、疑問を持っています。
Commented by wine1115 at 2008-07-06 01:06 x
日本の消費マインドは低下しているかもしれませんが、
実際の原油輸入高は、人口減少にもかかわらず、微増していますよ。

日本は金利だのデフレだの理論的なことばかりに原因を求めますが、もっといびつな再分配や派遣などの違法会社を是正した方がよほど経済効果がありそうなのですが。
Commented by Folly at 2008-07-06 17:02 x
>>飛車さん、ご丁寧にご指摘ありがとうございます。

フェルドシュタイン教授の見解は、ホテリングの定理(枯渇資源の方)の援用だと思うのですが、将来収益率計算の思考、在庫能力、生産能力が上流から下流までの生産者間でかなり違い、そこで金利は重要な参考変数である。。。といっても、日銀の利上げが原油価格を下げるとは私も全く思いません。失礼しました。
Commented by Teddy at 2008-07-07 13:27 x
原油の議論は(も)奥が深いですが、同僚に勧められた『石油 もう一つの危機』(石井彰氏、07年日経BP刊)を読み始めたのです。まだ途中ですが、原油の価格上昇は、商品ファンドによる投資と金融商品化が主因と。あとは、大概買い上げるためのエクスキューズとしています(80ページまで読んだ限り)。先物の価格形成が近年どう変わってきた(バックワデーションからコンタンゴへ)かなど、を説いています。少なくとも小生は「へぇー」という感じで読んでいます。
Commented by bank.of.japan at 2008-07-07 21:21
とおりすがりさん、どうもです。精製面でのボトルネックは早い時期から指摘されていたと思います。最も今では「需給ひっ迫懸念」で突っ走った状態ですので、行き過ぎ感の修正を待つしかないでしょう。

PKさん、どうもです。日本が絶妙の外交ポジションを取る能力があるのかどうか。あまり期待できるものではないような…。

Follyさん、どうもです。需給ひっ迫論は、これはマーケットにありがちな事象として、一つの材料として認知されると現実を無視して過大反応が自己増殖しがちです。価格高騰がいずれ需要を落とし、それがマーケットに効くようになるのを辛抱強く待つしかないかもしれません。

飛車さん、どうもです。フォロー多謝です。
Commented by bank.of.japan at 2008-07-07 21:29
nhcjpnさん、どうもです。ありがとうございます。欧州はタカ派姿勢を取ること自体が信任維持になっている感があり、ちょっと心配ですね。

wine1115さん、どうもです。エネルギー消費はここもと横ばい圏のようですね。輸入高は金額ベースだと円安が影響している可能性もありますが、末端での消費減退が輸入量に響くまでには時間のラグがあるかもしれません。

Teddyさん、どうもです。需給ひっ迫は、それがちょっとした動きでもいったんその懸念が増殖するとなかなか鎮火しないです。サブプライム崩壊時、マネーがちょっとシフトしたのが火に油を注いだ感じになり、エネルギー大体穀物も延焼した感じでしょうか。上がり過ぎたものは下がるという自己崩壊を待つしかないと思います。
Commented at 2008-07-09 00:02 x
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