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文化を変えてまで東京を国際金融センター化する必要性=「大機小機」より
 久々の「大機小機」である。13日付の日経で、童氏が「道遠し東京市場の国際化」と題してわが国の金融センターとしての将来を憂いている。まあ、概ね同感である。「何とかしなきゃいけない」という思いを込めて結んでおられるが、全体を流れる悲観的なトーンは私も共有するものであって、恐らくは先行きも悲観されているのだろうと感じた。主な論点は以下の通り。
・96年の金融ビックバンとその後の為替管理撤廃は、大蔵省の危機感が政治を動かして実現したものだが、省令により競合市場に例を見ない過剰な報告義務を残した
・企業は今もCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を海外に持ち出している
・CMSをシンガポールに移した企業は、不利な税制、貸金業法適用の恐れ、煩雑な報告義務が残る東京など念頭になかった
・邦銀も時差1時間のアジアのCMSを東京で請け負う気はなさそうである
・ビッグバンで東京は法制面では改善したが、ロンドン・ニューヨークには程遠い
・重大な法制上の欠陥があるわけでないので、金融庁の「金融・資本市場競争力強化プラン」をすべて法制化してもビッグバンの二の舞になろう
 そこで、童氏は改革のヒントは経済産業省の報告「グローバル財務戦略の高度化に向けて」にあると指摘しているのだが、どうなんだろうか。ここら辺の切り口は、昔の大蔵省、今の金融庁が主導じゃダメで、経産省がリードすべし論という感じで、ちょっと違和感を覚えた。だって次官が「デイトレは馬鹿だ」と言っちゃったし…。まあ、私はこの報告書を読んでいないので、もしかしたら改革のヒントがあるのかもしれない。この辺、事情に詳しい方ご指摘を。
 私が、童氏のコラムで印象深かったのは、わが国市場を30年近く見続けた英バンカーの話。
「日本の自由化は本物ではない。英国では、経営者も金融マンも国籍を問わないが、日本はオールジャパンにこだわり、この期に及んで(ドメの)人材育成が急務と言う。問題は法制度ではなく文化だ。文化を変えてまで東京を国際金融センター化する必要があるのか」
 私は、文化は急に変えられるものでない、風土に根付いた文化は上からの指示で変わるものでもない、無理に変えようとすると現場に不毛な負担がかかり、不毛に疲弊するだけ、と思う。なので、英バンカーの問いかけには「文化を変えてまで金融センター化する必要はない」と答える。自然に変わっていくのを辛抱強く待つしかないのだろうと思う。
 文化の問題で金融センター化が難しいなら、経産省の報告内容が良くてもうまくいかないんじゃないか。「デイトレは馬鹿だ」って言っちゃあ、やっぱりイカンよ。

童氏さん、もしかして経産省の方ですかね?
by bank.of.japan | 2008-05-14 22:38 | 大機小機 | Comments(11)
Commented by ねこ at 2008-05-15 00:14 x
「グローバル財務戦略の高度化に向けて」にもヒントらしいヒントは無いように思います。ただし、最近の金融庁は金融士といい強化プランといいやたら経産省化してきているので、そういう意味では経産省に一日の長があるのでしょう。

金融庁は良い意味での処分官庁、規制緩和官庁だと思っていたのですが、産業振興に手を出してヤケドしそうな気配が漂ってきました。

また、国際金融センター化を掲げつつも、ウィンブルドン現象を受け入れるつもりは無いようです。この英バンカーの質問はまさに日本の金融の本質を突いたものであり、それに対する回答は「否、日本は技術開発で食っていきます」となるのでしょうね。
Commented by bank.of.japan at 2008-05-15 00:46
ねこさん、どうもです。外資を入れろと言ったり、一方で外資脅威論もあったり、外資外資とこだわるところが何とも言えず、暗くなる気分です。ご指摘のように、額に汗して製造業でくってやる、というのが答えになるのでしょうね。または緩やかな生活水準の切り下げを甘受する、というところでしょうか。まあ、それで精神的に楽になる道もまた良し、とも思うのですが…。
Commented by K at 2008-05-15 01:50 x
外資に抑制的で別に良いと思う。植民地支配させないのが、近代日本の国是でしょう。
もっとも、戦前は米系企業が市場をかなり支配していたようだけど。
Commented by すなふきん at 2008-05-15 08:45 x
しかし製造業で食えるんですかね。なんか八方ふさがりみたいな気もしないではないですが。
Commented by PK at 2008-05-15 10:52 x
日本は個人の平均的な力が強いので、その点を強化する改革が有効だと思いますね。
10年に1度ぐらい今回のような株などの資産価格の暴落が起きた時に、底値を拾うようなオプションが付いた定期預金とか
個人の株保有に(昨日新聞にあったようなETF利用のヘッジとか)リスク対応を含めた啓蒙をすすめるとか。
受けの強い懐の深い市場を目指すべき

金融機関の役割は、流動性を与えることとその評価の維持で、米国は前者に長けているが、後者を弄ぶ。日本は、不動産市場などに流動性を与えるよう努力しつつ、米国が国民性で弄びがちな評価の維持に特化した金融を形成すべき。
Commented by 脱印象論 at 2008-05-15 11:46 x
しかし、印象論とは裏腹に、この3年間で日本の製造業は4.6パーセント(!!!)も成長してるんですよね。普段は「市場に任せろ!」という人達が何故に「市場で評価されている」製造業を叩こうとするのかはわからんとです…
(サービス業を強化しろ、というのはわかりますが、実際にはハイテクの塊であり、「額に汗するもの」とは程遠い日本のハイテク製造業が「額に汗する」といかにも古臭いものと印象操作された上に叩かれるのかは全く意味不明です…)
製造業がなかったら、日本は長期不況から立ち直れなかったのですが(外需貢献度を見てください)…
Commented by PK at 2008-05-15 14:39 x
製造業の復活は、人件費の削減、円安(国民の購買力の低下分を輸出企業に集中させること)、新興国の成長の要因が大きい
優秀な日本の製造企業は、技術力を付加価値として高く販売することに成功していない。
欧米は、日本の技術を安く買うために、韓国・台湾・中国の競争力を高めて日本に対抗させることを怠っていない。
Commented by まる at 2008-05-15 20:05 x
それでも黒字なわけで。
なんでこんなになってるのに妙に貧乏くさいんだろうこの国。
そしてニートやら無産階級含めたら余裕ないように思えるのに。

金の回し方といいますか、支配構造については長がありますな。
欧米さんは。
日本は上に立ちたいとは思わないからいい意味もあるんですが
無駄に苦労はしてしまうのかも。
Commented by 飛車 at 2008-05-15 22:03 x
経常収支黒字なんだから、資金は流出する側でしょ。日本にお金が集まってくるには、こちらから持ち出す分をもっと増やさないといけません。それか、経常収支黒字を削減あるいは赤字にしちゃうと。

市場でのプレイヤーとしての仕事は、多分金融機関の方はちゃんとやられているでしょうから、それで構わないのでは?市場まで日本に作りたいというのは、昼夜逆転生活したくない人とか、市場でテラ銭稼ぎたい人とか、市場のトップの座を名誉職としてやりたい人とか、そういう一部のにしか関係ないのではないかと思ったりして。
Commented by PK at 2008-05-15 22:05 x
資源関連の会社が独占状態になってるのを見れば分かるじゃなん。
それに対して、日本は国内市場で過当競争の上に、韓国・台湾・中国と競争させられてるんだから。市場もEU,NAFTAでいつルール変更されて排除されるか分からない。EU市場に参入しないから談合だと罰せられてるのが日本企業でしょ。
アジアは、韓米FTAを見れば分かるように、欧米による分断統治の継続ですよ。従軍慰安婦問題や南京虐殺はその文脈で起きている。
日本の強みは、地理的位置ですよ。けつを巻くって米軍基地を追い出せ。それが一番です。
Commented by bank.of.japan at 2008-05-16 00:42
Kさん、どうもです。まあ、外資抑制的でも、それで金が回れば別に問題はないとも言えます。

すなふきんさん、どうもです。八方ふさがりの感じは確かにありますね。

PKさん、どうもです。株が大暴落したら、まあストレートに株買いがいいかもしれません。

脱印象論さん、どうもです。舌足らずですが、私は製造業には頑張ってもらいたい派です。額に汗して、はホリエモン逮捕時の地検幹部の言葉を皮肉的に使っただけでして…。誤解与えのならすいません。

まるさん、どうもです。欧米の金の回し方はうまい、ライアーズ・ポーカーがうまいです。まあ、これは国民性、文化の差かもしれません。

飛車さん、どうもです。金融機関の方々は、現状の中でちゃんとやっているのだと私も思います。あまり、上からあれやこれや言うものでもないです。

PKさん、どうもです。米軍追い出すのは無理でしょう…。
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