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白川体制で初の「展望リポート」は…=願望抜け出し現実へ
 まあ予想通りで、景気判断の下方修正、利上げ路線の修正が行われた。この結果、金融政策運営は「経済・物価の見通しとその蓋然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて機動的に金融政策運営を行っていく方針である」と改められた(すでに数ヶ月前からこういう言い方になっており、展望リポートできちんと明記された)。
 「上下両方向のリスク」、これは「第二の柱」では「海外経済や国際金融資本市場を巡る不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響など景気の下振れリスクに最も注意する必要がある」と強調されており、つまり「機動的な政策運営」は利下げの可能性も視野に入っているのだろうと思われる。
 展望リポートは「願望」から脱却し、やっと現実的になった。このほか、気がついたところなどは以下の通り。
・「第一の柱」は、「政策金利に関しては市場金利に織り込まれている金利観を参考にしつつ点検する」もので、最近の金利急騰で「利上げを織り込んだものじゃないのか」との見方を招きかねないのだが、この点については「経済の減速や下振れリスクの高まりを背景に、金融市場における先行きの利上げ見通しは後退し、対応する期間の金利は低下している」と記された。まあ、現状維持を前提とした経済見通しというわけである。
・やっぱり文章はちょっと長くなった。景気動向&金融政策がこれまでとガラッと変るほどの局面なので説明することが増えたのだろうが、白川氏が戻ったことも多少は影響したのではないかと思う。人によっては冗長と感じるかもしれないが、丁寧に説明するのが白川総裁のキャラであるので…。
・「リスクバランスチャート」が加わった。これは新たな取り組みでありますね。私はあってもなくてもいいとは思うのだが、みなさんはどうでしょうか。
・09年度の見通しがちょっと楽観的だが、これはまあどうなるか分らない話なので、この蓋然性を真剣に論じても発展的ではない。そもそも見通し期間の延長を決めたのは05年4月で、これは福井総裁のやや強引な指導力による面もあった。審議委員らも困ったのである。ちなみにこの延長案には3人が反対した。
須田委員 「相対的に確度の低い2006年度の見通し計数を公表することは…、(略)金融政策運営の透明性の向上につながるかどうかは判断が難しい」
中原(真)委員 「GDPや消費者物価指数について、統計作成上の技術的問題や将来における改訂等に伴う不透明要因が多いことなどを踏まえると、現時点において対象期間を延長し、計数を公表することは適当ではない」
水野委員 「展望レポートにおいて複数年度の見通しを公表しても、金融政策の透明性の向上には実質的にはつながらないこと、(2)今後も税制見直しの議論が継続すると見込まれる中で、マクロ経済政策が一定であることを前提に見通しを公表しても、金融市場にはあまり参考にならない」
 ということで、とりあえずは足元のダウンサイドリスクに最大限の注意を払いながら、機動的な政策運営に努める、これが白川体制の政策運営のすべてでありましょう。金先、買い戻しですね(笑)。

人の切れ目が政策の切れ目でありますね、やはり…。
by bank.of.japan | 2008-04-30 21:19 | 日銀 | Comments(6)
Commented by 飛車 at 2008-04-30 21:40 x
意外と良いかも知れないw

輸入価格上昇であっても、今の値上げにはついでに「陥没していた収益性の回復」も大量にまぎれていまして。もしかしたら経済はデフレ不況モードから、定常モードに戻るかも。企業の行動パターンがガラっと変わりはじめたと思います。価格上昇嫌って買いだめするようにもなって、在庫循環サイクルが復活するかも。

と、最近は個人的願望景気予想が炸裂しています。あくまで願望です。
Commented by テキサスロングホーン at 2008-04-30 23:09 x
リスクバランスチャート、いいですね。(政策委員会が感じている)不確実性を図示化して、読者に分かりやすく伝える努力は評価したいですね。百の言葉で不確実性についてああでもないこうでもないと言われるよりも、「われわれの感じている不確実性を確率分布で図示するとこうです」と一枚のチャートを見せられた方が、すくなくとも私にとっては、話が早いですね。
Commented by bank.of.japan at 2008-05-01 00:36
飛車さん、どうもです。公式な文書で路線修正すると、やはり印象は異なるものですね(苦笑)。自分が作った路線はなかなか修正はしにくいものなのでしょう。「陥没していた収益性の回復」は消費者には便乗値上げといった感じで、消費が低迷しないとよいのですが…。どうなんでしょう。

テキサスロングホーンさん、どうもです。高評価が広まるとよいと思います。
Commented by PK at 2008-05-01 08:20 x
バーナンキと白川を交換した方が良いかもしれない
バーナンキは、インフレと資産価格への対応の切り分けをはっきり説明していない。
資産市場は、株式市場と住宅市場では違う。
住宅市場向けの対策を考えて利下げをしたのだろうが、利下げはインフレの推移を見るため一時停止が正しかったのではないか?
住宅市場と他の市場を分断する政策が必要なのではないか?
グリンスパンの時代より、はるかにインフレに敏感な状況なのに、安易に利下げをした感じがする。

日本は同一労働同一賃金を回復することが一番大事
Commented by at 2008-05-01 10:25 x
値上げにおける『陥没していた収益性の回復』という側面は
否定できないと見ています。
おそらく、運賃値上げ、電力値上げから、全国的な値上げモードに
なれば、言い方はわるいですが、便乗値上げによって
デフレから抜け出る可能性が大きいと見ています。
Commented by bank.of.japan at 2008-05-01 21:52
PKさん、どうもです。総裁・議長のスワップは面白い発想ですが、うまくいくかどうか。米国の置かれた状況は、誰がやっても難しいと思います。

kさん、どうもです。心配なのは、全国的な値上げモードが消費に与える影響ですね。企業の儲けは回復できても家計が打撃を受けるというゼロサム関係になる恐れもあるのではないかと心配です。
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