人気ブログランキング |
(一部の)農林業再生のチャンスはやっぱり低い?=穀物高騰など(追記あり)
 しばらく前、ある外資系証券界会社が、タイ米急騰が日本の米価を押し上げて物価を上昇させるかどうかを分析したリポートを出していた。もとより、国外のコメ価格が急騰したとは言え、日本の米価ははるかに高く、しかもほとんど自給自足なので、物価はびくともしないだろう、とみなさんお考えのように、このリポートもそういう結論であった。
 で、本当はここで終わってもいい話なのだが、最近の第一次産品の高騰で一部でもいいから農林業が再生するチャンスはないかを考えてみた。まず、米である。先週末の日経新聞だったと思うが、国際指標となるタイ米は1トン=1000ドル、つまり1キロ=1ドル、100円ちょっとですね。
 それで日本の米価格だが、まあ銘柄によっていろいろで、少しでも再生のチャンスを見つけようとおもってさっきネットでざっと安いのを探したら10キロ=2600円(キロ260円)というのがあった(もっと安いのがあればご指摘を)。
 無理筋な比較だが、日本産を強引に1キロ=260円との前提で、国際商品として再生するシナリオであるが、①為替が再び円安になる(120円台とか)②タイ米がもっと上がる(10-20%)という条件が重なれば、タイ米は円換算で130-140円ぐらいにはなる。うーん、まだ圧倒的な格差がある。生産性の上昇で値段を半分に下げるのはやはり絶望的か(詳しい方がいらっしゃればご指摘を)。タイ米1トン=2000ドル、為替130円で並ぶが…。この場合、世界各地で食糧暴動が起きて大変な状況になっていると思われる。

 この間の日銀支店長会議で、札幌支店長が最近の第一産品急騰に関連し、北海道では石炭や木材などの需要が増えている、と述べていた。米は無理でも、既に需要が発生している産品は再生のチャンスがあるのかもしれない。それでもなお、再生を確かなものにするには、かなりの間、①国際価格が高止まりする②為替もなるべく円安気味になる-といった条件が必要だ。
 個人的には、現在の第一次産品(含む原油)の高騰は、世界経済にはマイナスに作用し、いずれ需要の後退と共に沈静化するのではないかと見ている。再生を狙うにしても、相当に厳しい努力が必要ですね。

追記 このエントリーを書いた後に気がつき、既にコメントも頂いたのですが、上記の日本の米価は末端価格でありまして、比較対象すべき卸値はもっと安いと思われます。ただ、銘柄によって価格はまちまちで、平均的にどの程度かは検討がつきません。詳しい方がいらっしゃればご指摘頂くと助かります。また、これもまたコメント頂いたポイントですが、タイ米と日本の米は違う種類ですので、これも同列の比較はできない、ということを付け加えます。
by bank.of.japan | 2008-04-24 22:33 | 経済 | Comments(27)
Commented by Willy at 2008-04-25 01:26 x
米国経済がここまで不振なのに石油などの1次産品が高騰しているのは、途上国経済と先進国経済のデカップリングが一つの大きな原因で、中国などの高成長が続く限り価格の先行きは必ずしも楽観できないように思います。

穀物については、先週のeconomist誌に "silent tsunami"という食料危機の記事が載っていましたが、やはりバイオエタノールの需要拡大が需給を逼迫させている面が大きいようですね。農産物は価格が上昇してから供給が増えるのには時間がかかりますので。米国では、「農家に補助金を出したい」→「バイオエタノール増産で穀物価格引き上げ」→「消費者は負担増加だが国全体では輸出があるので収支プラス」という流れになりましたが、日本では、「農家に補助金を出したい」→「政府の補助金で稲わら等からバイオエタノール生産」→「国全体で収支はマイナスだが、環境のためと言えば文句も少なめだからOK」という流れになりそうな予感です。
Commented by クミ at 2008-04-25 05:16 x
私は、100キログラム単位ですが、
10KG1500円で買っています
Commented by Otgoo at 2008-04-25 10:03 x
目先の金だけを考えていると、いざの時、いくらお金を積んでも食料を輸入できなくなった時に・・・。田舎は何とか食えますが、大都会は???もうそろそろ、JAを潰して農業株式会社化しないと。
Commented by にちぎん☆キッズ at 2008-04-25 14:54 x
日本の米って高いんですね。
他の国々が急騰しても届かない日本の米価ってなんなんですかね。

余裕がありすぎっていうか。債権バブルの話もそうですが、世界の常識は日本の非常識っていうフレーズを思い出しました。
Commented by 元IB現PB at 2008-04-25 15:18 x
 10キロ2500円ってのはドラッグストアあたりの末端価格で、1トン=1000ドルってのは輸出価格ですよね?
 たぶん対比すべき米価は、米穀取引価格形成センターの入札結果あたりだと思うのですが、昨年でもあきたこまち等のセミブランド米で一俵15000円(=10キロ2500円)を切っているので、もっと安い米はいくらでもあるのではないかと思ったりします。

Commented by 害債 at 2008-04-25 16:24 x
この際日本米のきちんとした先物市場を復活させるべきだと思うのですけれどね。タイ米などとは異なるプレミアム米の市場として意外ににぎわうかもしれないというのは、ちょっと楽観的過ぎますかね。
Commented by 飛車@新嘉坡 at 2008-04-25 16:37 x
ただいまシンガポールに来ております。

こっち(東南アジア)の米と、日本の米は、全く別の商品です。価格の問題ではありません。日本食を好んで食う連中は日本米を食うでしょうけど、タイ米は向こうの料理に特化した味になっていますので、代替関係にはなりにくいです。米騒動の時の日本でのタイ米の扱いを見ればわかると思います。

とはいえ、せっかくの寿司ブームですから、ちゃんと輸出したらどうかと思うことがあります。でも、カリフォルニア米にやられちゃうかなぁ。
Commented by ユーロダラーリ at 2008-04-25 18:45 x
我が国伝統のコメ先物は中川農水大臣が不認可にしてしまいましたね…。JAの反対はあまりに強烈でしたし、小泉さんもあまり興味を持っていなかったように思います。

ちなみにタイ米は日本と違って1年に2回収穫できるので、価格競争で勝つ見込みは殆ど無いです。海外で売るならブランド価値を高める方向で検討すべきです。
Commented by EURO SELLER at 2008-04-25 21:19 x
高くてもパン食は飽きるので日本の米の高さでも納得します。タイ米と競争する必要は全くありません。あと,小麦の件ですが,輸入小麦が高いので北海道産小麦を使った食パンのほうが今は安いのですね。(おいしいかどうかは別ですが…)
Commented by 飛車@新嘉坡 at 2008-04-25 21:36 x
せっかくなのでかの地におけるお米事情を聞いてみました。駐在員からのヒアリングなので、内容の保証はしません。

1.シンガポールは農産物の輸入国だけど、米に関しては輸入統制が結構厳しい。何でも、免許を保有している5つの会社の名前でないと輸入できず、それなりの口銭がかかる。なおかつ常に半分の量は政府の備蓄倉庫に預けないといけない。
2.ベトナムでもジャポニカ(しかもコシヒカリ)は栽培中(日系が関与)で、シンガポールの店頭価格で大体半値。
3.余談だけど、肉類は日本が衛生面を理由にシンガポールからの輸入を禁止しているので、シンガポールも日本の肉類は輸入禁止。農作物系ってこういう報復合戦が多い気がする。
というわけで、米は現にシンガポールで輸入していますが、価格的には全く駄目みたいです。

小麦は、グルテンの量の関係で、日本のは用途が限られるみたいな話を聞いた事があります。
Commented by 飛車@新嘉坡 at 2008-04-25 21:47 x
あと、ついで話で。

日系スーパーには日本食材コーナーがあります。現地駐在員にはとても買う気になる価格ではないのですが、やはり現地の富裕層が買っていくそうです。

こちらも回転寿司屋は人気で、本日オープンしたお店に行ってきたのですが、まあ満員長蛇の列でした。米はどこのものかわかりませんが、結構旨かったです。

あと、もう一点。東南アジア現地通貨とのクロスレートの動きは、円ドルとは結構乖離している事もあります。

そういえば、世界初の商品先物市場は・・・
Commented by Willy at 2008-04-26 04:41 x
米国ではカリフォルニア産のコシヒカリの小売価格が15ポンドで15ドル程度で、日本円に直すと10kgで2300円。味は日本のコシヒカリとほぼ同じですから、国産は品質の高さだけで競争に勝つのは厳しいでしょう。
Commented by べっちゃん at 2008-04-26 06:05 x
米価格センター
http://www.komekakakucenter.jp/
これによるとコシヒカリが安い時で230円くらいみたいです。
ちなみに日本で栽培されているお米の八割はコシヒカリ。

ttp://agrin.jp/cgi/guest/atopics.cgi?cd=3512&cmd=one&id=1073&st=0
液肥(牛やブタの尿)を使った日本で一番安いお米は40〜60円です。これなら競争性があります。
Commented by べっちゃん at 2008-04-26 06:10 x
液肥は国内では飼料用にしか使うことが認められていませんが、できあがる米が衛生的にどうこうというわけはないし、精米してしまえば問題がないはずですので、世界の飢餓や社会不安を押さえるためという理屈がくっつけば、これを海外で人間用として売ることには何も問題はないと思います。別に液肥で育った米でも、世界市場に出回る米が増えれば、米の輸入国は純粋に感謝してくれると思います。
Commented by PK at 2008-04-26 13:34 x
日本人が作った米であることを保証できれば、少なくとも中国では売れる
Commented by ブランド大好き日本人 at 2008-04-26 23:46 x
まーワインのことを考えればいいんじゃない。カリフォルニアで作った米は、コシヒカリだろうが、カリフォルニア米でしょ。ワインの世界では常識じゃない。
Commented by dunkel0227 at 2008-04-27 18:10 x
農業の再生、という言葉自体、どういう意味を持っているのかということにもなります。響きがいいので、マスコミでも安易に使われますが、自給率を上げたい、ということなのか、農業後継者を確保したい、ということなのか、現在の専業農家の農業所得をUPさせたいのか。最終的には、農業の再生、というキーワードにどれもつながるんでしょうが、政策的にはどこから手を付けていくか、ということが大切になるように思います。

農業の再生を、仮に専業農家の所得増という視点から見ると、農産物の輸出に力を入れるというのは一つの解だとは思います。米もありでしょうが、果物類のほうが成功しそうな気がします。

それと、日本の米農家は、単位面積あたりの生産量は抑えて、その代わりに味で勝負する、という技術志向が強まっているので、昭和30年代前後のとにかく単位面積あたりの米の収量を上げる方向の技術はもはや消えかかっているようにも思います。肥料を大量に投入して単収を稼ぐ、という技術は、緑の革命以降、IRRI系の品種が広まっている東南アジアの諸国の方がひょっとすると強いかもしれません。
Commented by ゴム3号 at 2008-04-27 18:13 x
穀取コメ先物が不認可で色々批判があるようですが、日本の商品先物市場の現状、穀取の市場監理能力から考えると止むを得ないものと考えます。上場されれば商品取引業界は喜んだでしょうけど。CBOTとは全く異なる市場であることをご理解ください。
Commented by 主計 at 2008-04-27 18:21 x
安いところでは、農家のおろしへの引渡しが、200円/kg。消費者での価格が、300えん/kg
Commented by ポロ at 2008-04-28 09:30 x
農業栽培は、どうせなら未来的に地下栽培可能なのも楽しいと思います。パソナみたいなのがあれば。
穀物や畜産は無理ですから農業国もそれほど打撃はないかと。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-28 21:58
みなさん、多くのコメント多謝です。レス遅れてすいませんでした。順次対応していきます。

Willyさん、どうもです。中国の高成長も第一次産品の高騰によってダメージ受けるかもしれません。経済成長と第一次産品価格の両方がハードランディングするのが心配です。日本はいずれにせよ穀物の生産性は低いので収支マイナスは仕方ないのでしょうね。

クミさん、どうもです。それは安いですね。ある程度数量(100kg)効果が働くのですね。

Otgooさん、どうもです。いざとなった時の深刻さは大変なもので、私もそんなときは田舎に帰ろう、とも思うのですが、本当に危機的になるのかと言われると断言も出来ないです。そうは言っても少しでも生産性が上がった方はいいわけで、その手段として株式会社化は手かもしれません。

にちぎん☆キッズさん、どうもです。農業をベースとした国際比較では円が高過ぎるのでしょう。かといって完全自由化もできない事情が多くあるのだと思います。個人的には環境面も含め食糧安保論は同意できる面があります。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-28 23:45
元IB現PBさん、どうもです。ご指摘の通りでして比較対象としておかしいので、補足させてもらいました。ありがとうございます。場合によっては輸出ができる局面があるのかもしれませんね。

害債さん、どうもです。日本産のプレミアムが認められれば、数量はそうはけなくても、輸出採算が取れるかもしれません。生産性を上げるのはかなりシンドイかもしれませんが…。

飛車@新嘉坡さん、どうもです。シンガポール出張、お疲れ様です。確かに日本米が好まれるにしても、カリフォルニア米がありましたね。なかなかうまくいきそうもない感じであります。日本米は、世界的な日本食ブームに乗っかってブランド戦略で攻めるしかないのでしょう。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-29 00:27
ユーロダラーリさん、どうもです。コメは自由変動相場ではないので先物は難しい、それゆえに業界も反対する、という状況なのでしょう。それと、コメと言ってもいろいろで、日本米はブランド戦略が妥当だと思います。

EURO SELLERさん、どうもです。北海道産小麦のパンが安いのは知りませんでした。味はどうなんでしょう。あまり変わらない気がしますが…。

飛車@新嘉坡さん、現地報告多謝です。結構輸入障壁ありますね。小麦のグルテン関係は興味深いです。ありがとうございます。

Willyさん、どうもです。カリフォルニア米は強敵ですな。やはり。

べっちゃんさん、どうもです。液肥を使ったコメがあり、そんなに安いとは知りませんでした。味が同じなら、買いたいですね。
Commented by 飛車 at 2008-04-29 00:54 x
帰国しました。ちなみに、シンガポールは農業自給率がほぼゼロ%でして、米に関しては、タイだろうがベトナムだろうが日本だろうが、同じような輸入障壁があるそうです。小さな国ですので、為替がらみでそれなりに障壁を作っているんでしょう。車なんか、関税が200%くらいな上に、台数割り当て制があったような(最近緩和されたらしい)。

あと、日本食ブランドは間違いなくあるのですが、いかんせん家庭ではなく外食で食べるものなので、業者が普通に安い米を使ってしまいます。同じ味なら高い米使う必然性は無いので。日本米使用でブランド化できるのは、高級割烹みたいなところだけでしょう。それだと、まぁ個人輸入レベルの量で事足りてしまいまして・・・。この辺の、量と価格の関係が難しいかなぁ。
Commented by べっちゃん at 2008-04-29 12:36 x
良く読んでみると、60円で売らなければならないから、もっとコストダウンが必要と記事にはありますから、60円よりは高いみたいですね。でもやりようによっては到達可能な価格なのでしょう。少なくとも100円台には乗っているのではないかと。

NHKのニュースでは肥料は液肥だけで、草刈りも何もしないで植えっぱなしで、更に補助金をもらって、飼料用・もしくはバイオエタノール用として採算がとれるまであと一歩、という報道の仕方をしていました。

ある程度の規模があって、味は無視して、手間を全くかけなければ、日本でも何とかか国際市場で競争できる米を作ることも可能なのかもしれません。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-29 23:25 x
PKさん、どうもです。日本人のコメは一定のニーズはありそうです。ただ政治的に翻弄されやすいと思われますが、どうなんでしょう。

ブランド大好き日本人さん、どうもです。まさに「日本のコシヒカリ」がブランドとして生きるわけですね。本物のコシヒカリはそれなりにニーズがありそう。

dunkel0227さん、どうもです。確かに「再生」は様々に捉えられますが、ここではコメ価格の急騰で輸出が望めるかどうかを考えたつもりでした。仮に輸出が拡大すれば所得増加、後継者も確保しやすくなると思われます。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-29 23:40 x
ゴム3号さん、どうもです。なるほど。そういう事情もあるのですね。ご教授、ありがとうございます。

主計さん、どうもです。200円ですか。国際コメ相場がもっと高くなった状態が定着すれば、もしかしたら売れるかも、という感じでしょうか。

ポロさん、どうもです。技術革新によって地下栽培も可能かもしれません。その前に工場生産の拡大でしょうかね。

飛車さん、どうもです。お疲れ様でした。なんだか特派員みたいなことをやらせてしまって申し訳ありません。高級料理屋向けだと量ははけないですね。超ニッチな商品ですね。中国の富裕層向けを狙うのがいいのかもしれません。

べっちゃんさん、どうもです。液肥の続報、多謝です。液肥の存在はこれまで知らずにいましたので、参考になります。
<< 最近、気がついたこと、知ったこ... LIBOR問題、これもデジャブ... >>


無料アクセス解析