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「債券はバブルだ」論への違和感=ちょっと古い「経済教室」について
 今回は、ちょっと古い「経済教室」(3月26日付け)がネタである。取り上げようと思いつつ、総裁人事の騒動で忘れておりました(コメント欄で言及されたかもしれません。そういえばドラめもんさんがサイトで取り上げたかも)。この教室では「財政のプライマリーバランスの悪化で『100年後の“破たん確率”は6割』に上昇。しかるにこの破たんの可能性を織り込まない債券市場はバブルである→急落の危険がある」としている。
 この手の主張は時々聞かれるけれども、マーケット的には「?」であり、確かに公的債務の規模は大きく、「このままで大丈夫なのか」という問題意識は分らないでもないが、破たん確率が上昇する試算(妥当かどうかは不明)を前提に「長期金利が低過ぎる→市場は間違えている→暴落するぞ」というロジックは強引に過ぎる。試算が間違えている可能性もあるでしょ、というか試算は試算に過ぎず、それを前提にマーケットを語るのは無理があるのではないか。
 この教室、突っ込みどころが多いのだが、以下の部分は明らかに事実誤認である。
①国債バブルが長期化した理由の一つは、日銀が買いオペを通じ、大量発行による値崩れを防ぐ「大口の買い手」として行動してきた側面が強い。
②いざとなったら日銀が引き受けるので国債は安心だという認識を投資家は明らかに共有している。
③割高感があれば、すぐに売りを仕掛ける外国人投資家が少ないという事実もバブルの存続を可能にしている。
 ①は、何度も説明しているが、日銀の国債買いオペは負債の銀行券に見合うためのオペレーション(通貨の安定供給)であり、国債需給は無関係である。②は、少なくとも私が知る市場関係者は共有していない、日銀も国債価格維持の引き受けを否定している。③は、市場関係者には自明だが、外国人は債券先物でガンガンやっている。
 まあ、何というか、日銀に聞けば(聞かなくても総裁会見など読めばいいのだが)買いオペの実像が分かるだろうし、市場関係者に聞けば、外国人の手口や投資家の長期金利観とか分かるのに、どうしてこんなこと書くのかな、という印象を持った。
 でもあれですね、100年後の破たん確率とか言われても、100年後なんて「みんな死んでいる」だろうし、試算は脅し?としても意味がないように見える。それとマーケットが破たんを織り込む場合、これは「破たんする」、「破たんしない」というデジタルな判断になるもので、「少し」とか、「ある程度」とか、「ほどよく」とか、破たんの可能性を緩やかに織り込むことはないのではないか、と私は思うが。どうなんでしょう。

そもそも論 
・長期金利が低いのは、基本的には資金需要がない(景気が低迷している)からでしょう。
・財政再建の必要性を訴えるのに破たん論を振りかざす、債券暴落論を唱える、市場は間違えていると主張する、というのは、なんだか本末転倒している感が強い。
・財政は無駄をなくしましょと普通に言えばいいのではなかろうか。
by bank.of.japan | 2008-04-16 18:43 | マーケット | Comments(10)
Commented by PK at 2008-04-17 07:42 x
欧州が排出権を強要してその市場で利益を得ようとする戦略なのと同様に、米国は時価会計を強要してモノの価格変動を顕在化させてそれを先物市場という形で吸収し利益を得る戦略だと思いますが、
先物市場が影響力を持つには、現物市場と先物市場の規模の比が影響するようです。日本の株式市場だと売買代金が2兆円あたりから裁定取引の相対的規模が大きくなって先物優位なんではないでしょうか?
債券市場はどうなんでしょうか? 先物が存在する以上、いずれ外資系に振り回されるかもしれません。
Commented by 名無之直人 at 2008-04-17 09:19 x
新社会人が日経読まなきゃと思い込んでこんな記事で刷り込みされてしまうのがコワイ。
こんなのを鵜呑みにする人はどこまでいっても自分で情報収集/分析できないかも知れませんが・・・。
Commented by システム5.1 at 2008-04-17 10:28 x
どういう市場関係者、投資家から情報、意見を拝聴したのでしょうかねえと、皮肉を言ってみたくなる(笑)。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-17 19:12
システム5.1さん、どうもです。意見はもしかしたらあまり聞いていないのではないか、との印象もあります…。

名無之直人さん、どうもです。ある意味で、この主張は分りやすい面もあるので、鵜呑みにする人はいるかもしれません。困ったものです。

PKさん、どうもです。「先物」の方が現物よりも取引は活発です。ただ、規模の比較は想定元本をそのまま使うのがいいのか難しい面もあります。現実的には先物主導で上下しておりますね。
Commented by 壱万円札 at 2008-04-17 21:20 x
「そもそも論 ・長期金利が低いのは、基本的には資金需要がない」は間違いです。市場に日銀がじゃぶじゃぶに資金を出しているからで、適正規模にすれば市場金利は上がり、それにつれて(実勢金利に合わせるように)日銀が金利を上げる事は簡単にできます。
Commented by NN at 2008-04-17 21:58 x
ネタなのか真性なのか判断できないな。
真面目に言ってるなら詳しく解説して欲しいもんだ>壱万円札
Commented by 下げ潮太郎 at 2008-04-17 23:08 x
ベースマネーとかマネーサプライの伸び率は世界最低レベルなのに金利が低いからジャブジャブだと勘違いされやすいんでしょうかね。
あと日本国債は基本的に円(=日銀の負債)で償還するものであり、日銀の資産は大半が日本国債なわけだから、ほとんど価値は一体のもので引き受けるかどうかに関係なく、財政破綻はありえないはず。日本国債の価値がなくなると思ってるのに円の価値は大丈夫と思われるのはかなり奇妙ですし、円の価値も暴落するなら高いインフレは起こりますが円での国債償還には困らずデフォルトは不要です。財政破綻論というのはインフレ脅威論が正体なんじゃないかと。
そして日本が世界最低レベルのインフレ率ということを考えれば、日本の財政破綻論というのは栄養失調の人が生活習慣病を恐れて拒食症になるような滑稽さを感じます。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-18 18:34 x
壱万円札さん、どうもです。じゃぶじゃぶ=量的緩和、という意味であるなら、現在は金利政策ですので、適正化されていると思いますが…。市場の景況感が改善していないときに短期金利を一方的に上げると、逆イールドになると思います。

下げ潮太郎さん、どうもです。概ね同感です。公的債務の規模が大きくても、各経済主体の資産・負債が円建てでほぼ固定化していると、財政破たんは起こりにくいです。経済の体調を無視して強引な財政再建に走ると、ご指摘のように栄養失調で倒れてしまいますね。
Commented by 鰻谷。 at 2008-05-07 12:15 x
日本の外貨準備と通貨発行権を考えれば、日本国債のデフォルトなんて夢のまた夢。
通貨発行権行使のコスト・リスクは当然インフレではありますが、下げ潮太郎さんのおっしゃるとおり、
現在の日本のインフレ率を考えれば、それも杞憂に近いものがあります。
(まったく否定はしませんけれど。。)

緩和的な金融政策によるマイルドなインフレ誘導こそが、
財政再建の近道だと思うのですけれど。。
当然それはインフレ税を国民から徴収しているだけなのですが、
デフレのマイナス面をも勘案すれば、適当な施策だと思うんですけれど。。
Commented by bank.of.japan at 2008-05-08 01:13
鰻谷。さん、どうもです。金融政策の効果はともかく、現状のインフレ率ではデフォルトは考えにくい、と私も思います。
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