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問題は「スコアリングモデル」のせいではないだろうに…
 新聞報道によると、金融庁はスコアリングモデルに基づく融資を積極推奨から外す、のだそうだ。
この報道では、「スコアリング」を使ったことで新銀行東京の経営が悪化し、その反省を踏まえて金融庁は推奨をやめた、となっていた。私としてはこれが本当だとは思いたくない。まあ、スコアリング推奨をやめる分りやすい理由を新銀行東京の経営問題に(この記事が)つなげたのだろう。金融庁さん、そうですよね?
 もとより、当該銀行の経営が悪化したのは「モデル」のせいではなく、融資目標達成のために審査がずさんになったに過ぎないはず(設立自体が間違いでもあるが)。「スコアリング」は融資業務における一つのツールに過ぎず、それ自体は万能ではない。使える場合もあるし、そうではない場合もある。そこを見分けるのが経営陣の判断であろう。
 新銀行東京は、スコアリングが融資をずさんにしたのではなく、あくまで経営の強引な目標達成が問題であったと思う。スコアリングはずさんな融資ができるように改ざん(or悪用)された、ないしは正しく使われたなかった、のが実情ではないか。
 記事では、「スコアリングが安易な貸出競争を招き、不良債権の増加につながりかねない」とあったが、「安易に貸出できるようにスコアリングが悪用されかねない」と説明するのが正しい気がする。
 そもそも論として、私は「スコアリング」が地方金融機関のリレバン強化に登場したこと意味が分らなかった。リレバンとスコアリングは最も遠い組み合わせであり、地域密着の融資業務においては、スコアリングの機会的な対応ではなく、融資先の諸事情に応じた柔軟な対応が必要だと思った。まあ、何かしないといけないのでとりあえず響きのよさそうな「スコアリング」をぶち上げたのが実態なんだろう。
 一般的に中小・零細企業はオーナー経営が多いと思うが、会社とオーナーの資産はどんぶりになっており、節税のインセンティブが強いので、会社だけみればあまり黒字がない(財務状況が良くないように見える)のではないかと思う。
 先般、あるブロガー(よくコメントを頂いている方)と飲んだ際、「地元のある会社は赤字だけど、オーナーは山をたくさん持っており、そういうとこに銀行は融資を付けている。地域金融はそれでいい」とスコアリング的な発想に疑問を示していた。私もそう思う。
 スコアリングは使えるなら使えばいいし、ダメなら使わない、そういう経営の自主的判断を尊重し、当局はモデル的な発想をあまり押し付けるようなことはしちゃいかんのだろうと思う。最悪なのは、当局と業界がお互いにモデル導入によって思考停止し、潜在的なリスクの増大に無感覚になる、ことであろうか。まあ、モデルの杓子定規な運用は楽ですがね…。
by bank.of.japan | 2008-04-03 21:45 | 金融システム | Comments(19)
Commented by 日本の金融機関のすごさ at 2008-04-04 00:42 x
でスコアリングモデルをやって、米国では本邦以上の貧コン層に、ちゃんとした説明責任を果たさずに、資金使途も明確な確認もせず、そこにスンでいるのかのエビデンスも取りもせず、担保実査もせず、100兆円も貸しんで、世界経済を危機的状況に追い込んだわけですよ。
それ二比べれば、バブル前の本邦金融機関の融資担当者は、一人ひとりが、常に貸した人と向き合って、真剣に査定が出来た、アナリストだったのですよ。だからさー当時の銀行員は、融資先に足をはこんで、社長や従業員とはなして、その意欲だとかを含んで融資してたんじゃないのかねー。だから一万田になんと「ぺんぺん草も生えない」といわれてもやるときやる、査定能力あったんじゃない。
ただバブル以降変わったけどね。
Commented by 植田白川 at 2008-04-04 04:43 x
それに融資先が作る財務諸表を、その趨勢的な癖(バイアス)を見抜きながら上手に使ってますよね。そういう意味では、スコアリングモデル的な要素も盛り込みながら多元的な見方をしてると思います。日本の金融機関は。。
Commented by 後ろの席 at 2008-04-04 11:36 x
販売していましたね。
CDを300万円で。
売れなかったようですが。
Commented by A- at 2008-04-04 14:06 x
どんなに優れたシステムを使ったところで結局最後に判断するのは人間です。
Commented by PK at 2008-04-04 19:14 x
コスト的に可能なのかどうかは分からないけれども、石原銀行(新銀行東京)も、売上高200~30億ぐらいの会社の経理をやっていた人間(財務から一通りやらざるをえないので)や銀行の融資担当経験者や大企業の生産管理担当者を雇って、融資先企業にこれらの人間を送り込む形でやればよかった。(審査部門はもちろん別で)
中小企業の多くは、オーナー独裁や生産管理で問題を抱えているので、ここに外部の力が働くと、結構、フローが良くなってバランスシートがしだいに綺麗になる可能性が高い。

バブル崩壊以前の日本では下請け構造と手形が普通にあったから、ちょっとした中堅企業なら日銀と同じようなことをしていたので、今回のサブプライム問題などもアナロジーで理解可能だった。自分の会社の下請けが自分の会社の手形(自分の会社の負債)を共有している構造が通貨の本質であることを理解すれば、株式交換や金融技術の高度化の意味も理解できないことではない。おそらく経済学者より直感的に理解できるんじゃないかと思います。時代の流れとはいえ、こういう伝統が絶えてしまったのは少し残念です。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-04 23:22 x
日本の金融機関のすごささん、どうもです。融資先の経営状況について、財務諸表よりも、便所がきれいか、植え込みが枯れていないか、といったところを見た方が意外に正しかったりすることも多いのでしょう。もっとも、それでもなお担保(不動産)価値が上がると、担保至上主義に走りやすい。要はバランスの問題かもしれません。

植田白川さん、どうもです。多元的な見方の中の一つとしてスコアリングが存在する、というのが現実的だと思います。

後ろの席さん、どうもです。300万円で売っていたのは知りませんでした。売れなかったですかあ。そうでしょうね。

A-さん、どうもです。同感です。

PKさん、どうもです。ご指摘の金融業務は、コンサルティング業務に近く、出資するならPEファンドに近く、それを石原銀行に望むのは無謀かもしれません。後段部分には同調するところが大きいです。米住宅融資も「金利だけローン」が登場した時点で、邦銀の多くの方はこれは怪しいと直感的に思ったかもしれません。
Commented by 飛車 at 2008-04-05 11:57 x
スコアリングのソフトって、倒産確率予想ソフトの類でしょうか?確かに300万円くらいで売り込みがありましたね。皆さんがおっしゃるように、中小企業の場合、「決算書が信用できない」「与信情報すら無い(TDB、TSRに載っていない)」「決算書をくれない」「大数の法則が働くような大企業と違って業績が安定しない」というようなところがあります。また(ヤバイ判定→3年以内倒産)の正答率は高いのですが、そこはまあ誰が見ても明らかなのです。一方、(大丈夫判定→3年後も無事)を見たのですが、そこの正答率はいまいち高くないのでした。

そして興味を示さなかった最大の理由は、年間の取引先倒産による損失より、このソフトの購入費用・運用代金の方が、高かった(当時)というのがあります。去年くらいの倒産件数が続くんなら、欲しい気がしてます。BSの悪い企業(ゾンビ)の破綻なんてとっくに終わってまして、今は安定的にフローの悪化で倒産する企業が再生産されていますorz

とはいえ、中小企業は銀行の対応次第で生存可否が決まりますので、銀行がスコアリングモデルを重視するなら、僕らも同じ視点で判断すれば良いのかもね。
Commented by 壱万円札 at 2008-04-05 12:23 x
金融庁が新銀行東京の検査をしない理由が取り沙汰されていました。ペイオフしたくないから。都が設立したのだから検査しない代わりに、都が後始末してね。とか。金融庁はスコアリングモデルに基づく融資が原因ならば都が「スコアリングモデルに基づく融資を強引に金融庁に押しつけらにれた」と金融庁検査の時に言えば、困るのは金融庁自身です。検査結果は「某金融当局が強引に押しつけたスコアリングモデルが原因。某金融当局に強い指導と罰則、解体的出直しが必要。」となります。どちらにしても東京地検特捜部が動いているそうなので、焦げ付くのがほぼ確実な四百億円出資に対し、背任や特別背任が知事・議員・職員に問われるかも知れません。
Commented by 飛車 at 2008-04-05 12:30 x
あと、中小企業の問題は、人数が少なくて分業ができないこと=専門家に高い給与を出せない事だと思います。独裁が悪いのではなく、独裁的にならざるを得ない規模の小ささが悪いのです。経営者がトップセールスしながら、人事部長と銀行担当と工場長と開発責任者をかねていたりするのは、そうしないといけないからでありますし、その事を問題にする人はほとんどいないと思います。

こういう規模の会社の評価は比較的簡単です。経営者の人物像・力量を見ていればOKです。だから、与信情報では経営者に与えられる点数ってのが結構大きかったりします。

独裁的な経営判断が問題になるのは、中間管理職が多数必要な規模にまで成長した会社で、その頃には社内分業も進んでいますし役所の基準(従業員数とか資本金とか)では大企業に分類されるようになっています。ここまでくると、合議を尊重するとか、個人の財布と会社の経理を区別するとかいう意識改革が必要になります。特に、後者がゆるいと目の届かないところにいる人が真似をはじめるので、企業統治力に直結してきます。
Commented by スコアリング主義は消費者金融 at 2008-04-05 23:31 x
ということで、こちらのほうはすごいのですよ、なぜかといえば、まー当然ですよね。これと同じ感覚で、某銀行は企業融資にやっちまったんでしょう。皆さんおっしゃるように。日本の中小企業の大半はオーナーとの連結でみないとね。だから地域金融機関は強いのですよ。でもこのあたりバランスですね。
Commented by ここに出てくるエリート君たち at 2008-04-05 23:37 x
でやっぱり、全てを自分の感覚と、教科書で見てますことのです。で地域制とか、見ないとね。関西はやぐいで。地域の政治とつながっていたりとか。アンダーグランドの反撃なんて、スコアリングしたらたいしたものよ。
基本的にこういった政治変数は計量化できないと思いますけど。
で、ブキャン先生以外はね。
Commented by 通行人 at 2008-04-06 01:54 x
まあ、中小企業ってのは、たまたまそれしか選択しが無かったから株式会社の殻を被っているってだけですから。
Commented by PK at 2008-04-06 11:48 x
関西はいずれ潰れるよ。
関西人は、地方に散らばって、ねずみ講やあらゆるネットワークビジネスを撒き散らしている。
日本の商業的犯罪を根こそぎしたければ、地方の中核都市の関西出身者をマークすれば良い。

日本の中小企業は今絶滅しかかっていて、ここで語られていることは少し前の話ですね。土地持ちとかオーナーの人柄とか。
昔ならば、不動産所有で、有力な得意先があり、地方の名門校出身で、人切りに容赦の無い極悪非道オーナー(中小企業のコスト削減は人件費カットに尽きるので非道オーナーでないと企業は存続できません)で、従業員の給料が結構良いならば、融資をしても間違いなかった。
今は、そういうオーナーは高齢でほぼ退場しているし、人件費削減も限度(外国人を使い、その外国人も最低賃金で働かせないと厳しい)
トヨタなどが去年までの円安局面で外注費に対して関心を向けず正社員の給料を上げた時点、日本の中小企業は終わりだろうなと感じました。
変動相場制で価格が動く時は、人や下請けの扱いを平等に評価を厳しくしないといけません。固定相場の時代とは違うのです。
Commented by 飛車 at 2008-04-08 01:14 x
今日たまたま地元銀行の人と話をしたので、スコアリングモデルの件ふってみたら、「あれ当たらないんですよ」と真顔で答えられました。
Commented by 椿ライン at 2008-04-08 19:46 x
 毎度ご苦労様です~。飛車さんも実体験報告ありがとうございますぅ。
 私は銀行員ではないのでスコアリングモデルの妥当性は分かりませんが、地銀の方と話した時に、某関西系メガバンクがいまだに支店間の融資競争が激しいことに驚かされたそうです。企業としても、同じメガバンクなのに○○支店や○○支店から融資の営業に来られたら困りますよね。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-08 22:31
飛車さん、どうもです。詳しいお話を頂きありがとうございました。中小零細企業において「経営者の人物像・力量を見ていればOK」というのはうなずけます。

スコアリング主義は消費者金融さん、どうもです。まあバランスは大事だと思います。
ここに出てくるエリート君たちさん、どうもです。政治的変数の計量化は確かに難しいでしょう、まあ重要な要素ではあると思いますが。

壱万円札さん、どうもです。経営悪化を金融庁のスコアリング推奨のせいにするのは面白いですね。都は、そうすればいいのに。

Commented by bank.of.japan at 2008-04-08 22:35
通行人さん、どうもです。まあ、そうかもしれません。

PKさん、どうもです。中小零細企業はこれからより厳しい経営環境になっていくだろうと思います。

椿ラインさん、どうもです。融資競争が激しいとスコアリングがワークしない(orモデルを曲げて融資をやっちゃう)のであろうと思います。

飛車さん、どうもです。やっぱり地元の銀行さんもそうでしたか。ありがとうございます。
Commented by 読売朝日 at 2008-05-15 02:56 x
昔、話題になっていたドクターホルダーでBOJを辞めた平田さんが、スコアリングの研究もされていたようですね。彼のWebにも論文が出ていました。なかなか面白いですよ。
Commented by bank.of.japan at 2008-05-16 00:46
読売朝日さん、どうもです。情報提供、ありがとうございます。参考にさせてもらいます。
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