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下のエントリーの解説=イールドカーブ比較の基本
 当ブログの読者は金利関係の方々が多いとは思うが、中にはFX系、株系など金利から遠い方々もいらっしゃるかもしれないので、下のエントリーの解説、すなわちイールドカーブを比較する際の基本的なことを念の為に述べてみたい。ドラめもんさん、システム5.1さん、パットメセニーさん、すみませんが、私もマーケット最前線で債券やスワップを手がけているほどのプロではないので、おかしな点や捕捉すべきところがあればご指摘ください。なお、長短金利逆転については、ドラめもんさんの27日&28日の分をご参照ください。
 まず、長短金利を比較する際、重要なことは同じ金融商品の金利を比較しないといけない。一般的に「長期金利」と言えば「10年物国債の利回り」を指す。従って、国債の短い物の利回りが「短期金利」となる。具体的にはTBやFBなどの金利ですね。もっとも、これら国債の期間は数ヶ月-1年で、短期とはいっても幅がある。それにあまり流動性もないので、自由に動く市場金利とは言い難い面もある。まあ、国債は長い物は30年債とかあるのだが、短いところから長いところまでを見渡した場合、市場で頻繁に売買される(流動性が高い)期間は10年とか、5年とか、ポツポツとしか存在しなくて、それに財務省が10年債を小刻みに発行しているもので、流通性が良くない銘柄とかあったりして、きれいにイールドカーブを描けない、という事情もある。
 そこで、(最も期間の短い)短期金利として登場するのが「無担保コール翌日物」である。これは無担保なんだが、邦銀の多くがやり取りする翌日物の金利なら「無担保であってもクレジットリスクはほとんどない」という前提条件があり、まあ「一日物国債利回り」とみなせなくもない。
 ただ、債券市場の方々が「長短金利」という時には期間の比較はいろいろあり、しかも無担保コールを取引するインタバンク市場は、債券の方々は関わっていないので、「長短金利」の「短」は「無担保コール翌日物である」と強力に定義されているわけではない。
 多少、言い方を変えて一般的な概念としての「長短金利の比較」を定義すると、長期と短期の金利を比べる場合、いずれも①クレジットリスクがない②ベンチマーク的な存在である(=異常値ではない)-といったことが肝要になる。「長期金利」(10年債の利回り)は流動性がある市場取引において成立した利回りであり、ベンチマーク的な存在である。一方、無担保コール翌日物(の加重平均)は、日銀が誘導する政策金利であると誰もが認めるベンチマークである。従って、流動性がほとんどないがゆえに簡単に跳ねてしまう年度末前後の資金取引(末初取引)をベンチマーク的な「短期金利」と認識するのはおかしいわけです。
 なお、金利関係の市場はいろいろあって、各ゾーンで参加者が違ったり、扱う商品によっても参加者が異なったり、短期金融市場とは言っても、その中では業態や商品によって顔ぶれが違ったりして、何と言うか「多民族国家」のような様相を呈しているので、簡単には説明しにくい。まあ、おいおい機会があればこの辺の事情も触れていきたいと思います。
by bank.of.japan | 2008-03-29 01:56 | マーケット | Comments(12)
Commented by stupid-market at 2008-03-29 09:09
ちょっと前に会社の同僚が(ドル金利の)Inverted Curveがどうのこうのと話していたので、ナンノコッチャ?と思ったら、彼はOvernightとかの超短期物から6ヶ月・1年物までのYield Curveをイメージしていたらしいのに対し、こっちはその先(1年~10年・20年とか)のイールドカーブのイメージしかなかったので、話がなかなか噛みあわなかったことがありました。
Commented by EURO SELLER at 2008-03-29 12:36 x
ベーシススワップをイメージする人は,一般に超短期のOvernightより長いものは全部長期とみなすのでしょうか。
Commented by bank.of.japan at 2008-03-29 23:52 x
stupid-marketさん、どうもです。私も市場関係者との会話でイールドカーブのゾーンニングでかみ合わないことがあります。予めゾーンを特定してからの方がスムーズです。

EURO SELLERさん、どうもです。日銀的には、1年までが「短期」、それより長いのが「長期」という分け方のように思います。ベーシス系もいろいろかもしれません。今度聞いてみます。
Commented by PK at 2008-03-30 11:06 x
なお、金利関係の市場はいろいろあって、各ゾーンで参加者が違ったり、扱う商品によっても参加者が異なったり、短期金融市場とは言っても、その中では業態や商品によって顔ぶれが違ったりして、何と言うか「多民族国家」のような様相を呈しているので、簡単には説明しにくい。まあ、おいおい機会があればこの辺の事情も触れていきたいと思います。


期待しています
日本のあらゆる市場は書かれて分析されてチェックされるべきだと思う
Commented by パットメセニー at 2008-03-31 01:21 x
3月の債券市場は、外人さんに振り回されました
とは言いましても、ほとんど彼らの敗戦処理でして、持ってるポジションのクローズ殺到
その結果、20年国債ぶん投げ、債券先物買戻し、15年変国ぶん投げと、南無南無状態でした(日本人も大迷惑だこら)
3月17日は、チーペストの残存7年の国債が、5年国債の利回りを下回った日として、長く語り継がれることでしょう(ほんまかいな)
・・・しかし翌日の朝刊には華麗にスルーされていました 別にいいけど
Commented by bank.of.japan at 2008-03-31 22:08
パットメセニーさん、どうもです。外人勢の撤退は凄かったですね。流動性の乏しいものはことごとく投げられた感じでありました。その余波を食らった本邦勢も多かったことでしょう。まあ、マスコミは分りやすい現象(長短金利逆転の誤解も含め・苦笑)しか報道しませんので、仕様がないです。日経ぐらいはちょっと詳しく報じて欲しいと願いますが。

PKさん、どうもです。頑張ります。
Commented by ど素人の皆さんこんにちわ at 2008-03-31 23:49 x
イードル(失礼)イールドカーブのお話ですね。でもイールドカーブのお話は短期金融市場では議論されることはないのですよ。PKさんおっしゃるように、各ゾーンの方々によって市場形成がまったく違うのが、短期金融市場のすげーところなのですよ。
そういう意味では市場が分断されているので、色々な面白いところが起こるので、裁量余地があるのですがね。
ということで、解説しましょう。玄人の方には耳たこですが、一口に短期金融市場は4つの全く違う市場に分断されています。IB市場、もうないかもしれないけどオープンマーケット、ユーロ市場(含む為替スワップ)&レポ市場(いわゆる債券現先でしょうか)といったところで、日経金融面ちゃんにも同じ3Mでも全然違う気配値なりが乗っているのですよ。
ちなみに、短期禁輸市場での長期は確か1Yまででしたっけ。という中では常にイールドカーブの逆転なんて日常茶飯事です。年末越えで、今回のように外銀ちゃんが、どうしても取らなくちゃいけないときは足元金利が10%超えることも、其の中で2月にマル公下げが予想されるときには、当然のように逆転するのですよ。
Commented by (続き)ど素人の皆さんこんにち at 2008-03-31 23:52 x
で、市場参加も色んな配役がいるので、出しそびれた地銀さん、余裕資金を運用委託されてる投信ちゃんとか、信託ちゃん(この手の人は結構うといので)のマネー担当があわてて出すと、O/Nの出来値が妙に下がったりするケースもありで、このあたり本当に短期金融市場は生ものなのですよ。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-01 00:14 x
ど素人の皆さんこんにちわさん、どうもです。詳しい解説、ありがとうございます。インタバンクの「種族」構造、それに伴う日銀の全方位外交オペとか、おいおい触れようかと思っておりました。もしかして短資関係のベテランの方とお見受けしましたが、違ったら御失礼をば。
Commented by システム5.1 at 2008-04-01 08:42 x
実はこれ、なかなか難しい質問ですね。国債の場合、ショートエンドは2年、一方、ロングエンドは10、20、30年のケースバイケースでしょうか。また、ショートエンドも、今回のような取り上がりのない、もしくは、政策金利を前提とした上で、無担保コールO/Nを使う場合も。意外にTBは意識しないですね。国債なのですが、割引債というところが引っ掛かるからでしょうか。他の方のご意見も拝聴したいですね。
Commented by bank.of.japan at 2008-04-02 00:29 x
システム5.1さん、どうもです。扱う商品&立場が変わればカーブゾーンの概念も変わる、でやはりいろいろですね。ちなみに私の場合、10年から先は辺境地帯?のような遠いところ、という印象を受けます。生損保の方々には庭先なのかもしれませんが…。
Commented by 生保の皆さん at 2008-04-07 23:14 x
そうなんですよ。生保とか年金の皆さんにとっては、目先の金利、為替相場なんて関係ないのですが。しかし年度で評価されちゃうとが、悲劇です。で確か生保の皆さんは20年前に160円で買った、5%以上の米国30年債をホールドし続けているわけで、確かこの前の円高のときは相当含み損くってたはずだけど関係ないわけですね。だってその間に100円きったってさー、既に倍の元本は確保しているわけですよ。
で最後の償還の時に笑うのですよ、ほら200円になったでしょてね。
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