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日銀の通貨スワップ協定は…
 このエントリーは備忘録です。ご参考まで。
 昨年末の流動性危機を乗り切るため、ECBとFRBは通貨スワップ協定を活用し、欧州インタバンク市場でもドル資金を供給できるようにした。では、日銀の他中銀とのスワップ協定はどうなっているのか。以下は、1999年 5月28日に公表した「業務概況書」の一節である。

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(4)スワップ取極の終結
日本銀行は、これまで為替相場の安定等を目的に、ニューヨーク連邦準備銀行、ドイツ・ブンデスバンク、スイス国民銀行との間で、以下のようなスワップ取極を締結してきた。
・スワップ取極の概要
ニューヨーク連邦準備銀行          
当初の取極締結日 昭和38年10月29日
円と米ドルのスワップ取引。双方が依頼可能 極度額50億ドル

ドイツ・ブンデスバンク
同昭和55年5月2日
円と独マルクのスワップ取引。双方が依頼可能 極度額25億独マルク

スイス国民銀行
昭和55年4月1日
円とスイスフランのスワップ取引。双方が依頼可能 極度額2千億円
 本件については、米国連邦準備制度理事会及びニューヨーク連邦準備銀行から取極終結の提案があった。日本銀行では、平成10年10月23日の政策委員会において、他の2中央銀行への対応と合わせて検討を行った。この結果、①本邦外貨準備高の増加に伴い、現在では外貨準備高の補強といった本取極の意義が低下していること、②同取極が有する「通貨当局間の協力の象徴」という意味付けも、他の手段により代替されていること等も踏まえて、各スワップ
取極を、平成11年3月末までに、それぞれの取極の期限到来日をもって終結させることとし、各相手方に対し取極を更新しない旨表明することを決定した。

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 ということで、先進国とのスワップ協定はない(再締結を極秘にしていたら別)。一方、チェンマイ・イニシアティブの一環として、人民銀行と韓国銀行との間では、円を対価としたスワップ協定がある。現状、他国のインタバンクで円資金の需要がひっ迫する、ないしは東京インタバンクで他通貨の需要がひっ迫する、という事態は考えられないので、協定網を拡大していく必要性はない。まあ、あるとするなら「通貨当局間の協力の象徴」の意義を再認識するかどうかであろうか。なお、ここでの協定は為替市場での介入目的のものだが、これはそのままインタバンクへの供給でも応用できるはず(違ったらご指摘を)。
by bank.of.japan | 2008-02-05 22:24 | 日銀 | Comments(5)
Commented by Teddy at 2008-02-06 10:50 x
お久しぶりです。bank.of.japanさんのこの書き込みとはやや離れますが、昨晩の1月ISM非製造業、ついに来た、という点はあちこちで書かれているとおり。サービス業指数は振幅が通常小さいのであれほどの下ぶれは意外でした。でも、来月の数字での揺り戻しもありそうな。マクロの方向感は合っているので文句はありません。で、ですがこれは、我田引水の妄想ですが、一つの地殻変動の象徴なのかなとも思います。つまり、米経済のサービス志向からモノ志向へのシフトです。そう截然と、あるいは綺麗に起こるわけではないですが、付加価値の高い金融資産を輸出できなくなった以上、仕方ない、ともいえます。すると、「モノ作り日本」は邪魔ですねぇ。もちろん中国も。だから、欧米結託しての「プラザ合意Ⅱ」が現実味を帯びます。国富ファンドは金融なんかより、実業企業をどしどし買うべきでしょう。妄想が過ぎましたか?
Commented by luke at 2008-02-06 12:15 x
> 米経済のサービス志向からモノ志向へのシフト

単にドル安になったから、とか。(消費冷え込みとあわせて、経常収支は改善したりして。)
Commented by Teddy at 2008-02-06 13:31 x
自分の議論は、少し長め(といって、検証を逃れようというわけでもなく、)の展開の推量、その始まりの象徴として見ています。ドルの下落の結果、というlukeさんのご指摘もあるでしょう。
民主党政権になったらましてや「職を奪っている」東アジアの国々には非常に不寛容な政策が追求されるのでは、と。そううまくはいかない可能性も無論ありますし、途中、内需低迷で貿易収支は改善するでしょう。でも、経済の縮小均衡は、世界中の当局が阻止するでしょう。すると、アジアの内需拡大要請が澎湃と湧き起こり、という・・・
Commented by PK at 2008-02-06 16:19 x
日中韓のドルに対する協調した行動が必要。韓国の自分勝手が一番心配。日本は韓国製品の心理的輸入障壁の解消に努力すること。
韓米FTAも一時凍結すべき。
日本企業は体力が回復しているので独力で頑張るべし。
企業は複数通貨の購買力を選択できる。
Commented by bank.of.japan at 2008-02-06 20:48
Teddyさん、どうもです。ISMの件は別途取り上げましょう。lukeさんもご指摘のように、結果的にドル安になる可能性はあるでしょう。フェルドシュタインは、ドル安容認して景気を刺激しろ、と日経のインタビューで言っています。もっとも、アジアが機関車になれるかと言えば、これも難しいような。

PKさん、どうもです。極東経済圏の一体化ですかあ。うーん、ハードル高い気がします。
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