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ドラめもんさん(11月29日の日報)が取り上げた「金融専門人材に関する研究会」は、ぐっちーさんのところで、現場は優秀だが、経営がダメ、という議論に発展した。この議論、個人的に思うところがあり、ちょっと付き合ってみたい。 「現場は優秀だが、経営はダメ」-。これは「現場が優秀だから経営がダメな面もあるかもしれない」と思ったりする。しばらく前、あるコラムに旧海軍の超能力(超人)水兵のエピソードが出ていた。ホントかどうかは知らないが、一発必中の猛訓練に明け暮れた旧海軍、(人力の)測定能力を高めるため、視力の強烈な兵を選りすぐり、日夜ヤツメウナギを食わせて視力3.5まで伸ばしたらしい(マジ?)。この超能力遠視兵、第一次ソロモン海戦で大活躍。日本の巡洋艦隊はほぼ同規模の米巡洋艦隊を撃破した。一方の米軍はその後、電探技術の開発を急ぎ、レーダーを実戦に持ち込んだ。超人水兵、仮に夜目が異常に効いてもレーダーには敵わない。 生身の人間(兵隊)が超人的能力&精神力&持久力を発揮しちゃうと、指揮官は楽である。艦隊決戦が人力測定能力に委ねられるなら、早く敵を発見し、月月火水木金金の猛訓練に耐えた方が勝つ公算が大きいからだ。これに対し、米軍は「人は常人(=普通)である」との前提だろうから、超人化という個人の能力に勝敗を委ねるのではなく、装備(電子戦)で対応するという方法を取ったのだろう。 話は現在に飛ぶ。日米金融調節技術の比較である。先日、コーンFRB副議長が金融調節面に触れた。東短リサーチの加藤さんのリポートからお借りすると、①1 日の早い時間帯に見られる、ドル資金調達市場における外国銀行の強いビッドが、我々の金利マネージメントを複雑にしている②Fed がフェデラルファンド金利を狭いバンドに納める能力は限られる-という。 量的緩和を解除した際、実は日銀も①のような事態に直面した。どうしたのか。朝方は金利が上がるからドカッと供給。そして午後に吸収(売手オペ)したのである。また、絶対金利水準は違うので単純比較はできないが、日銀はきめ細かなオペを打ち続けて無担保コール翌日物金利を異常に狭いレンジで誘導してきた。 日銀のオペレーションはわれわれには普通に見えるが、世界的な基準からすると、超人的なのである。オペにかける実務労力は並外れており、例えば売手が打てる限界的な時間(あまり遅いと事務が終わらない)をオペ先の負担まで考慮して算出したりする(と聞いた)。コーン副議長は、職員は常人であると思っているだろうし、まあインタバンクの現状を指摘したに過ぎず、午後に売手を打つなど、(FEDから見て)超人のようなオペをやらせる気もないのだろう。でも、日銀はオペの超人なので、日中の金利変動をならすなど、簡単に対処できるだろ、と思ったりするのですね。 戦時中の超人水兵から現在の日銀の超人オペレーターまで、まあ一般的に日本の現場は世界平均からすると優秀である。現場が優秀だと経営的には楽な面がある。尻を叩いて「気合いだあー」と精神論をぶち、超人的に働かせれば済むケースが多いからだ。一方、現場はあくまでも常人であり、超能力は発揮しないと思えば、経営陣は真剣に「経営」を考えないといけない。労働者が普通でも競争に勝つためにはどうしたらいいか。そのための人事管理とか組織運営とか、いろいろと発達するんじゃないんですかね。逆説的だが、経営が良くなるには、現場がダメになればいいと考えられる。、ただし、これは移行過程に時間がかかり、しかも社会的な混乱や経済的苦境がかなり続くかもしれないので、まあ取りえない方法でしょう。 今回は超人性の一般論となったが、次は「金融」に触れてみたい。 ps このテーマに関連して「マーケットの馬車馬」さんが興味深いエントリーをシリーズ化しているので、そちらもご参照ください。
by bank.of.japan
| 2007-11-30 22:55
| その他
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Comments(23)
ミッドウェー海戦よりも、100万の兵士が餓死したのが太平洋戦争であると子供に教育できる日本であって欲しい。
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こんばんはー。
最近読んだ以下のエントリと同じような話だなぁと思いました。 (ほんと直近だったので何となくコメントを) http://satoshi.blogs.com/life/2007/11/post-9.html
「ハーハッハ、何を言ってる?日本人が勤勉だとか、世界レベルで学力が最高にあるとか、現場レベルの管理レヴェルが世界最高とか、もうこれは都市伝説だから大丈夫。もう日本は普通の国に成り下がったから心配要らないよ・・・」by とある大企業の役員
ある意味、笑えないんですけど・・・「現場は優秀」言説も少しずつ都市伝説化してきているのは皆感じているところだと思います。
PKさん、どうもです。兵站が途切れても、現地で自活可能、という究極の現場任せが、戦死に比べて圧倒的な餓死者をもたらした教訓はなかなか生かされないです。
nniさん、どうもです。現場が優秀(機転がきく、融通を利かせる)だと、組織的なぜい弱性や、本来は経営が対処すべき課題が表面化せず、優秀な現場がいなくなると大変なことになる、というのはかなり多くの方が経験的に分かっているのではないか、と思います。普通の人でも十分に機能する組織を作るのが経営の役目なのでしょう。
焼き鳥さん、どうもです。まあ、そういう面がなくはないかもしれません。確かに笑えないですが…。ただ、この場合、優れたマネージメントを生み出す仕組みが構築されないと、徐々に衰退していく過程をたどりそうな悪寒がしますね。
日本人の労働生産性が下がっているのは、勤労意欲がなくなったからだみたいな精神論がはびこる始末。困ったものです。労働生産性を改善する唯一確実な方法は、資本投下なんですがね。
優れたマネージメントを生み出す仕組みは、マネージメントが仕組みを作る以上、自己抑制の力が必要になろうかと思います。自己改革に近くなるので、歴史事例教育や、宗教的道徳感のようなものに頼らざるを得ないのかなぁ。 ちなみにWW2の戦闘機パイロットの養成・戦術の選び方・機体の開発方針などに露骨に日米の差が出ていて、切なくなります。この辺は長くながーくなるので割愛。 餓死というとインパール作戦。最近地元NHKのドキュメンタリー番組で恥ずかしながら今更地元の連隊がインパール作戦に参加して被害甚大だった事を知りました。先日、護国神社に通りかがった際に、立ち寄りそっと手を合わせてきました。
「経営がダメ」問題には、こんな理由もあるかもしれませんね。w
Wikipedia「ピーターの法則」より ピーターの法則とは組織構成員の労働に関する社会学の法則。 1. 能力主義の階層社会に於いて、人間は能力の極限まで出世する。すると有能な平構成員も無能な中間管理職になる。 2. 時が経つに連れて人間は悉く出世していく。無能な平構成員はそのまま平構成員の地位に落ち着き、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は無能な人間で埋め尽くされる。 3. その組織の仕事は、まだ出世の余地のある、無能レベルに達していない人間によって遂行される。
飛車さん、どうもです。兵の鍛錬、なぜ「精神注入棒」なのか。この辺の暴力的な風潮が私は好かない。インパールの番組、私も見ました。暗澹たる気持ちになりました…。
Kさん、どうもです。東部戦線の悲惨さは、まさに人も含めた「物量の消耗」の極みという感があります。戦争はあらゆる場所、あらゆる側面で悲惨です。 Baatarismさん、どうもです。エリートを10人集めると、それなりに序列ができて、有能・無能に分かれる、というのに似ていますね。ある意味、人間の本質に関わることかもしれません。国(風土)によって程度の差がある、ということでしょうか。
ご無沙汰しています。
”超人的”なオペレーションの事例としては「補完貸付」もそうでしょうね。 利用細則が日銀のホームページで公開されているんですけれども、 最短15分で審査を終えるスキームですから(苦笑)
戦略を練る頭は弱いが、単純労働は得意ということですね。
いっそのこと、日銀はFRBの支店か子会社になって、オペレータなどの単純労働を引き受け、日銀幹部の仕事はFRB幹部にやってもらうほうが、日本のためになりますねえ。
ミタルのニュースと日本勢のコメントを見ていると
負けたときの責任を技術陣・現場に丸投げするために”ハイテク指向(嗜好)”なんじゃね? と思ってしまうときが時々ありますねw 携帯電話開発なんかも、現場は忙しいんだけど歪な技術発展してるし、基幹技術はほとんど海外製品だし、こんな犠牲者まででているし(涙 【軍曹が】携帯電話開発の現状【語る】 http://s03.2log.net/home/programmer/archives/blog38.html http://s03.2log.net/home/programmer/archives/blog39.html まぁネタ元が2chの携帯開発スレなので真偽のほどは不明ですが、決して他人事ではない、ってのがオイラを含めたスレ住人の感想だと思います。 ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
最近の例では、京都議定書なんかが戦略的ミスの典型例
優秀な技術を持っていても、頭がボンクラではどうしようもない。
ただ、じゃあ、自分が戦略を立てる側の立場にたったときに、ちゃんとしたことができるかというと自信はない。自分が変なことをしつつあるのは察知して、やめる事はできても、何をすればよいのかはわからない。多分、何かの教育・常識が欠けているんだと思う。
なるほど、日本人の経営者の給料が欧米に比べて比較的低い水準に抑えられてきた理由が良く分かりました。
PKさん、どうもです。戦略的発想をするのはある意味リスクを取る行動ですので、それが好まれにくい風土であると、優秀な技術を持つことだけで満足を覚えるのかもしれません。
飛車さん、どうもです。教育の問題なのか、それともそれ以前の性質(性格)の問題なのか。なかなか難しいです。 ヒロポンさん、どうもです。まあ、そうとも言えるかもしれません。サラリーマン社長、という言葉もあるくらいですから。
非公開さん、アドバイス多謝です。やってみました。
北の書生もどきさん、どうもです。恐らくECBやFEDなど日銀ほどの迅速性(かつミスなし)は無理なんでしょう。日銀に事務委託する、というのはどうでしょう(笑)。
変人さん、どうもです。円をドル化すれば、日銀は自動的にTOKYO連銀になります。地区連銀として認知してくれるかどうかは不明ですが…。 携帯プログラマさん、どうもです。情報提供、多謝です。得てして現場は貧乏暇なしの度合いが強まりやすいです。額に汗して、が美徳とされる風土では、付加価値を生んでいるかどうかはともかく、忙しいのが良しとなりがち。暇でも忙しそうにする、という状況にもなりかねないですね。
飛車さん、まさにそういう話で本日の取材は盛り上がった次第で(笑)。世界最強の中央銀行は、FOMCと日銀事務方の組み合わせではないかと…。
はじめまして
今回のお話をみて、最強の軍隊とはという世界のジョークを思い出しました。 曰く、最強の軍隊とは「アメリカ人の将軍・ドイツ人の参謀・日本人の兵 」であると。 対象が軍でも、金融でもあんまり変わらないんだなと思いました。
鳴神さん、どうもです。金融の最強バージョンを軍隊に例えるのはよく言われます。アルファブロガーになられたぐっちーさんがかなり前に指摘していました。
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