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原油高に焦点を当てた円高歓迎論は…=やっぱりおかしい
 原油高の観点では為替は円高の方が好ましい、みたいな声を聞く。日銀支店長会議の会見でもそういう感じの見解が聞かれることがある。部分的にみれば、円高になれば原油価格(ドル建て)は下がるのだが、一方で輸出採算は悪化するので、外需主導の景気回復(していないように思えるが)は抑圧される。従って、経済全体としてはマイナス。これは原油面でのコストプッシュインフレを抑えるために円高というデフレ圧力を全身(経済全体)に浴びるようなもの。部分的火傷を治すために全身に氷を浴びるイメージであろうか。
 似た議論として、首都圏バブルを抑制するために利上げする、というものがある。もとより、政策金利は一つであり、地域を選ばない。都市部の地価高騰を抑制する利上げを断続的に行えば、全国に効いてしまう。部分的な病気を治すために全身的な副作用の大きい薬をどんどん飲むようなもので、部分は直っても全身疲弊して倒れてしまう。
 利上げして預金利息が増えれば(利息分の)消費が増えて景気良くなる、という主張も同じ。利上げするほど景気が良くなれば、将来の景気過熱を心配して早目に利上げしたい、という日銀の政策ロジックは根本的に間違えている。将来の景気過熱が心配なら利息を減らすために利下げして、また量的緩和に戻ればいい。時間軸効果を強化して長期金利ゼロをめざし、全ての定期預金の利息がゼロになることを促せば消費は悪化し、景気過熱が防げる。
 ところで、円安はバブルだから利上げだ!、という議論はどうなってしまったのか。円安が行き過ぎるといずれ破裂して急激な円高になるから利上げが必要だ、というものだったと思う。つまり、円安バブル論者は円高を恐れていたわけで、円高(実体はドル安ですが)が進むと「利下げだ!」と主張しないといけないのではないか。為替の動きに合わせた金融政策論議はあれですね、やっぱり固定相場制への回帰願望ないし為替変動への恐怖があるのだろうか。よく分からない。
 為替は相手がある話なので、円サイド(日本要因)とドルサイド(米国要因)の両方が材料になる。ドル・円は歴史的にはドルサイドが材料になることが多く、円要因(例えば低金利)はあまり大きな材料にはならない(なっても一過性)。というか、美人・不美人投票の結果が移ろいやすいので、「デフレ色の強い日本は当面は円安基調が望ましい」という基本路線さえ押さえていればいいのだろう。国民的(&マスコミ的)には円高も円安も恐れるので、管理フロート制(人民円)が似合うのかもしれない。
by bank.of.japan | 2007-11-26 22:41 | マーケット | Comments(11)
Commented by 飛車 at 2007-11-27 01:22 x
オーバーキルみたいなものですね。当方石油価格はモロに影響を受ける業界なのですが、この際10%(例)値上げして売上が10%増えて利益が改善するんなら、値上げに反対する顧客は10%までなら捨てても良いよなんて話しになりつつあります。(少なくとも短期的には)需要の価格弾力性は1以下だと踏んでいるわけですorz

まあ、金融政策は国内経済のためのものなので、為替がどうのとか考えないで欲しいですね。今管理フロートなんかにしたら、モロにアメリカの影響を受けちゃうという事すらわからないのかなぁ。
Commented by PK at 2007-11-27 07:54 x
国も企業も購買力に焦点をあてた経営をすべきです
円高円安論は、購買力に焦点が当たっていません。どの通貨を持って入れば何がどういう価格で買えるか?
相対価格が変動する時は、購買力を経営のものさしとすべきです。
欧州がユーロ高を黙認するのは、昔から欧州が購買力中心に思考していたからです。それがユーロに繋がっていった。日本は企業・組織の存続を中心に思考しているので購買力に比較的無頓着ですが。
Commented by パットメセニー at 2007-11-27 11:27 x
今年の春先を振り返ると・・・「円安を放置するとキャピタルフライトが起こる」「輸出産業は円安というぬるま湯につかっている」「株価は高いのが望ましい。自国通貨も同じだ」「円安政策は国家の安売りだ」
「円安は庶民の生活を犠牲にする」・・・これらの発言は、大学教授とかエコノミストのものでした。
そしておしなべて金利引き上げ大賛成派でした。
今、彼らはなぜ黙っているんでしょうかねえ・・・授業を受けている学生諸君にぜひ聞いてもらいたいですねえ・・・
Commented by ゴム3号 at 2007-11-27 15:25 x
石油販売業者も、納入先が役所だと(財政難を理由に)価格改定時期を延ばすように要請されたりして大変みたいです。
北海道石油新聞の記事より
http://www.sekiyu.net/page/backnumber/newbacknumber.htm
Commented by bank.of.japan at 2007-11-27 20:51
飛車さん、どうもです。円高で原油高を抑制しようとするとオーバーキルになりかねないです。値上げは、これだけマスコミが騒ぐと、しょうがない、と思う消費者が多いのかもしれません。ただ、本当にそうかは読みにくいですが。為替を重視すると米国に隷属しかねないです。

PKさん、どうもです。競争力に見合った為替の水準が望ましいのでしょうが、国全体としてどの水準が適切かは難しいです。また、ある程度適切な水準が把握できても、そこで安定するかどうかも難しい。まあ、あまり変動に騒がない、ということが肝要かと。

パットメセニーさん、どうもです。ある種のファッション、または(日銀の)利上げに乗っかったチョウチンであったかもしれません。日銀は時にサポーターを裏切るので、あまり同調しちゃいけない存在なんですよ(笑)。

ゴム3号さん、どうもです。特権的立場の濫用(?)なんでしょうか。業者としては、重要な得意先でしょうから、拒否しにくいですね。
Commented by EURO SELLER at 2007-11-27 22:17 x
為替の議論の前に日本は生産性が向上しないと経済が伸張するとは思われないです。外需はほっておいても国際競争力にさらされるのでOKですが,内需およびサービスは,教育改革によって国民全体がよりソフィスティケイトされてより良い暮らしを求める向上心を持たないとやはりBRICSの上昇志向には勝てないと思います。経済が成長していけば国力に応じて為替はなるようになるものです。
Commented by bank.of.japan at 2007-11-28 00:37 x
EURO SELLERさん、どうもです。「経済が成長していけば国力に応じて為替はなるようになるもの」というのはその通りではないかと。これからどうなるのかは国民の選択でありましょう。向上するにしても、なかなかシンドイ道であろうと思います。追い上げもきついでしょうから…。
Commented by あsh at 2007-11-28 11:22 x
どんどん円安にするべき。まだまだでふれです。
Commented by bank.of.japan at 2007-11-28 17:38
あshさん、どうもです。少なくとも「円安はバブルだ」とか、「不自然だ」とか、あまり一方的な評価を下すのはよろしくないかな、と思います。基調的に円安なら国内経済的には望ましい、という理解を広めた方がいいかな、と思います。
Commented by 飛車 at 2007-11-28 23:31 x
競争力は、資金が潤沢で投資意欲が旺盛なら勝手に上昇していくものじゃないかと思います。起業も活発になり、失業という痛みを伴わない調整ができるし。というわけで、円の供給元の発想転換に期待するのか、制度で縛ってしまうのかという話になるわけです。

それと、円高・円安それぞれに利益を得る人たちは居ます。円安なら「輸出産業」には望ましいという事になろうかと思いますが、それが果たしてよいことなのかはわかりません。というか、為替の動向に陰謀論的な意味を見出す人たちって何時の時代になってもいるんですよね。困ったものです。
Commented by bank.of.japan at 2007-11-29 13:54
飛車さん、どうもです。金融政策のご指摘の件はたまわりました。為替の動向は、まあ短期的な動きにあれこれ気にかけても不毛ですね。為替は相対価格、つまり相手国の動向も影響が大きいので、国内経済重視でみていくしかないですね。
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