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米国版「赤い(黄色い)ダイヤ」の行方=NHKスペシャル
 NHKスペシャル「ファンドマネーが食を操る」(再放送)を見た。バイオエタノール原料のコーン(トウモロコシ)の高騰に関する番組であった。これに先立ち、Tori Boxさんのこのエントリーを読んでいたので、ある程度予備知識をもって視聴できた。Toriさん、多謝。感想を箇条書きに。
・生産工場の急増でエタノール価格が低迷している件は触れられなかった(と思う=全編きっちりとは見てません)。従って、相場高騰は一時的じゃないかな?、というのが全般の感想。
・生産農家はウハウハでしたね。各農家は最新サイロを設置し、備蓄量の調整によって「これからは売り手が価格を支配する」との声もあったが、どうだろう。エタノールバブルが弾けると、結果的に各農家はカルテル形成など無理なので一斉放出するような気がするが…。
・米商品ファンドのオジサンが登場。こちらの人。どっかの投資家(顧客)への売り込みで、「私はホームランしか狙わない。コツコツ稼ぐようなことはしない」と豪語しておりましたよ。手口はまさに超短期筋。米国版「赤いダイヤ」、まあコーンなので「黄色いダイヤ」ですが…、究極のアルファ狙い?または一発屋かな。こういう売り口上でお金預ける機関投資家はいるんでしょうか。まあ、短い会話でしたので、これだけがセールストークとは思えないのですが。
・コーンを輸入する商社の方、ご苦労さんです。米農務省穀物生産予想の発表に際し、豊作で寄り付きから下落するとの予想は外れましたが、お客さんの肥料会社(?)は買わなくて良かったじゃないですか。それからしばらくしたら急落しておりましたから。
・ところで、商社の方、価格の低い日本向け作付けを渋る米農家に「消費者が困っておりますので」というトークはまあ気持ちは分かりますが、あまり説得力はなかったです。市場原理を力説する相手には、市況が崩れたときに「安く買い叩く」という市場原理で対抗するしかないでしょう。

 「赤い(黄色い)ダイヤ」の行方は、エタノール需要、原油動向、(食料としての)実需、天候、サブプライム問題など複雑な要因が絡んで読みにくいが、エタノール工場の閉鎖が起きているようだと上値は限られる(むしろ低迷?)ように思う。ただし、私は長期的には世界人口は増大しているほか、穀倉地帯の水不足の懸念、温暖化による気候変動などもあってブルである。どうでしょうかね。

ps 20年近く前(今の職業に就いたころ)、海外市況(コモディティ)の翻訳に明け暮れていた。米農務省の穀物生産予想はビッグイベントで、ロイターの電文(当時は紙に打ち出されていた・モニターではなかったですよ)を懸命に千切っていた。農家の人、商社の人、ファンドの人、肥料会社の人、みんなが発表を見守るシーンは懐かしかったです。NHKさん、この場面は個人的に気に入りました。ありがとうございます。私、今でもコモディティは密かに興味があるんです。
by bank.of.japan | 2007-11-22 23:04 | マーケット | Comments(7)
Commented by abekoji at 2007-11-23 01:38 x
はじめまして、こんばんは。
私も見てましたが、エタノール価格やエタノール産業の現状の事は取上げていませんでした。
長期的にブルであるには賛成です。黄色いダイヤの命名者、おめでとうございます。
Commented by bank.of.japan at 2007-11-23 02:11
abekojiさん、どうもです。やっぱり取り上げていなかったのですね。ご指摘、ありがとうございます。コモディティ(特に穀物関係)は波はあるでしょうが、長いスパンではブルじゃないかとの見方を強めつつあります。まあ、詳しくはいずれ取り上げようかな、と思います。黄色いダイヤ、ただの思いつきなんですが、ありがとうございます。
Commented by カナリーワーフ at 2007-11-23 10:46 x
「ロイターの電文(当時は紙に打ち出されていた・モニターではなかったですよ)を懸命に千切っていた。」

このくだり、懐かしいですね。ロイターやナイトリダーを千切る仕事(この「千切る」という語感が当時のほろ苦い記憶を思い起こさせて◎)これって、90年代前半の私の職場でも新人の仕事で、5月の連休や年末年始で日本が長い休みに入ってしまうときには、休日出勤してロール紙の入れ替え作業をしたものです(笑)。
Commented by bank.of.japan at 2007-11-23 21:27
カナリーワーフさん、どうもです。電文受信機を「チッカーorティッカー」と呼んでましたね。ナイトリダーもありました。最初は慣れずに苦労しました。電文の海に溺れる悪夢を見たり(笑)。でも、慣れると切る作業がリズミカルになり、ある種の伝統芸みたいになります。先輩らは達人でした。情報伝達のIT化の速度は凄いです。
Commented by EURO SELLER at 2007-11-24 01:19 x
>米商品ファンドのオジサン
結構,昔の私の手法に近いですね。(笑)
損小利大ができればいいのですが,トレンドの転換では損大利大もありえます。生き残っているということは,ドローダウンが大きくてもポジションサイズは結構厳密に管理しているはずですよ。
Commented by はじめましてではないですけど at 2007-11-25 14:59 x
水資源が一時期とりざたされていましたが、その後どうなったのでしょうか。
穀倉地帯の中西部の地下水も大分干上がっているとか。
オーストラリアはあのまんま中国に飲まれそうな勢いですしブラジルも相変わらず。
急激すぎますね。何もかも。
Commented by bank.of.japan at 2007-11-26 21:52
はじめましてではないですけどさん、どうもです。穀倉地帯の地下水が干上がりつつあるとの報道は見たことあります。その後、どうなったのか。この辺の詳しい事情を知りたいところです。一方、温暖化による気候変動では、降水量が減る地域、増える地域とまちまちですが、ネットではやはり降水量減るのですかね。よく分からないところです。
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