答えは「ダイエットを兼ねた節食」であります。
まず、食品値上げの影響である。総裁会見では、体感物価の典型例である食品値上げをネタに「インフレではないか」と詰め寄る向きもある(利上げをそそのかす質問)。もちろん、所得が伸びない大半の方々には、これはスタグフレーション的であり、生活レベルの低下を意味する。もとより、中小・零細企業の多くにとって原材料高は「交易条件の悪化」なのだが、これが家計レベル(生活条件の悪化)で起きているわけだ。 たまたま第一生命経済研究所から「エンゲル係数から見た食品値上げの影響」というタイムリーなリポート(10月16日付)が出ている。こちらです。筆者は、経済調査部の永濱利廣氏。永濱さん、ちょっとお借りしますね。 「家計調査によると、エンゲル係数がこのところ上昇傾向にある。(略悪)家計の収入が増える中で食料費も増加しているのであれば、エンゲル係数の上昇を生活水準の低下と一概には決め付けられない。しかし、このところの雇用者所得(=就業者数×一人当たり賃金)は一人当たり賃金の減少により上昇幅を縮小させている」 「結果としてエンゲル係数上昇は、食料品価格の上昇に伴い家計が食料費の支出増を余儀なくされることで、食料費以外の出費が抑制されるという家計の厳しい姿を反映したものと考えることができる。(略)マクロ賃金の低迷が続けば、更なる生活水準の低下を示す形でエンゲル係数は上昇を続けることが想定される」 私の置かれた生活条件からすると、この通りである。これに対処するには「節食」しかない。ただ、単に腹を減らすのはさびしいので、「ダイエット」という前向きの動機を自分に付与することにしている。たまたまメタボ警報が出ていたこともあり、エンゲル係数の上昇を阻止する節食は好都合でもあった。 偶然ながら、ろじゃあさんもダイエットに取り組んでおられたが、実は私もそうだったのである。二ヶ月ぐらいですかね。やり始めて。この間、体重の10%前後を失いました。しかし、体というのは経済の需給ギャップとは違ってカロリー需給ギャップの変化に敏感です。(運動などで)カロリー消費を増やす一方、節食で吸収を減らして生じたネットのマイナスは効きました。 ちなみに、ズボンのウエスト出しは限界にきていたのだが、おかげで余裕が生じ、ズボンを買わなくて済んだという意味で衣服代の節約にもつながった。もっとも、これを多くの方が実行したら、内需セクターの低迷が強まるのは確実。 食品値上げ→インフレ→利上げでしょ、という発想には少なくとも私はついていけない。グローバル経済から隔離された内需経済圏(経済分断)にとって今起きつつあるのは供給ショック的な現象でありましょう。 しかし、腹が減るのはやはり侘しい…。
by bank.of.japan
| 2007-10-24 19:30
| 経済
|
Comments(11)
Commented
by
椿ライン
at 2007-10-24 20:20
x
毎度興味深いエントリーご苦労様です。
久々に総務省の品目別価格指数を見たところ、生鮮食品はやはり供給サイドの要因によるブレが大きいですね。秋刀魚、白菜、人参のように、前年同月比でマイナス2桁のセクター(?)もありました。注目のマヨネーズは+13.1%で上昇していますから、愛好家には危機的な状態です(^^; カップ麺しかり、エンゲル係数の上昇は低所得者層の生活苦を示唆するかも知れませんが、CPI全体への寄与度は低いので日銀的には影響は少ないんでしょうね。所得の再分配は政治マター! ダイエットといえば、今年ならブートキャンプのような新たな需要(?)を創造しますね。もっとも市場関係者なら、夜は羽目を外すにしても、朝・昼はまともに飯を食う時間はありませんから、食事制限の必要もないのでしょうけど。
0
Commented
by
ゴム3号
at 2007-10-24 21:43
x
鶏卵は供給過剰なので卵価が上がらずコスト割れで生産者は大変みたいですね。
鶏鳴新聞の記事より http://www.keimei.ne.jp/article/20071015t1.html マヨネーズ値上げは大豆油上昇が理由なのでしょうか。 穀物価格も上がっていますが、米国-日本の海上運賃が暴騰していることも大きな影響を与えています。とうもろこしだと輸送コストがCBOT定期の値段と同じ位ですし、円安の影響もありますね。 穀物不定期船海上運賃価格推移 http://pds.exblog.jp/pds/1/200710/16/15/b0118015_2332076.jpg
Commented
by
BUNTEN
at 2007-10-24 21:43
x
極限まで食費を落としている私の経験から言うと、過度のコストダウンはダイエットに大敵のジャンクフードの採用なくしては成り立ちませんです。(だから糖尿が悪化していく。orz)
Commented
by
飛車
at 2007-10-24 22:26
x
ダイエットは食費が増えますorz。
先日人間ドックで食事指導されまして、中性脂肪対策は晩飯のご飯を減らすところにキーがあるとの事。一方、各栄養素をバランス良く摂取するために、おかずの量も種類も減らしてはいけないと。おかず減らすと、筋肉が維持できないのでリバウンドしやすくなると。 というわけで、一番安価で一番カロリー効率が良いご飯を減らして、代わりに高価なおかず類を増やす事になります。弁当類はご飯で量と満腹感を稼いでいるので禁止。独身の身でそんな食事ができるのは近所の居酒屋くらいという事で、1食数千円という食事体系となってしまいました。 というわけで、米は今後消費量減少。一方、高価な商品作物は伸びる可能性ありという事でw
Commented
by
飛車
at 2007-10-24 22:31
x
連投失礼。
僕の記憶が確かなら、インフレ率が2%台だった数十年前の時代でも、年に2回くらいは激震が走るような大手メーカーの値上げがあったと思います。長らくデフレになれてしまったので、世界的な石油需要の増加に起因する相対価格の調整で生じる一面的な値上げに、過剰反応している面はあろうかなと思う次第。 そんなことより、消費者にまで価格転嫁できないと、利益減少で吸収せざるを得なかった階層での業者数の集約が進んで、上から下まで寡占価格になっていくぞというのが心配。
Commented
by
PK
at 2007-10-25 00:46
x
7000kcalで体重1kgに相当するそうです。毎日の余分なカロリーは本当に些細なもので、それが10年積み重なって10kgオーバーとなったりする。ダイエットでは、これを1年ほどで減らすのだから無理が掛かります。米はダイエット食です。カロリーの割りに満腹感があり持続するので。重要なのは、間食をしないことです。間食をすると、その食べた時刻を体が覚えていて、同じ時刻に同じ量を食べたくなります。運動は歩くだけで十分ですが、時間が無い場合は階段の昇降で3分の1程度に短縮できます。
Commented
by
asakura-t
at 2007-10-25 00:48
x
食品などの一部の製品の値上がり≠インフレという話はこちらでもしてました。
(そろそろ「実感」より「現実」を見ませんか?/飯田泰之) http://wiredvision.jp/blog/iida/200710/200710221100.php 生鮮食品に関する話だと、こちらが気になりました。 (時論公論 「穀物価格高騰とコメ余り」) http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/5045.html
Commented
by
bank.of.japan at 2007-10-25 20:53
椿ラインさん、どうもです。指数への寄与度は小さいですが、体感景気的には圧迫感ありますね。食事はゆっくり取った方が健康的。かきこんで食べるのは太りやすいかも(笑)。
BUNTENさん、どうもです。それはよく分かります。私が太った原因の一つでした。ジャンクフードの誘惑に負けないようにしないと。 飛車さん、どうもです。それなりに健康に気を使うのは大変ですね。でも、健康が第一ですので、食事指導がうまくいくようお祈りします。 あらゆるレベルで寡占が進むと、家計は打撃受けそうですね。うーん、独禁法の厳格化でしょうか。 PKさん、どうもです。間食の件、しかと受け止めました。気をつけます。 asakura-tさん、どうもです。情報提供ありがとうございます。参考にさせてもらいます。コメ余りは、内外生産性格差など構造問題が大きく、解決は容易ではないです。輸入穀物が暴騰、コメが安い、というくらいにならないといけないでしょう。
Commented
by
bank.of.japan at 2007-10-25 22:22
ゴム3号さん、どうもです。うっかりコメント見落としました。すいません。情報提供、ありがとうございます。卵は供給過剰だったのですね。知りませんでした。海上運賃の上昇はかなり影響大でしょう。かといって円高に誘導するのも経済全体としてはマイナスなので、難しいです。ところで栄養源の補給では卵シフトを検討したいと思います(笑)。
Commented
by
ろじゃあ
at 2007-10-31 17:27
x
外に行っている間にダイエットネタでご言及いただいているとは・・・亀レスすいません。
この一週間で1キロほど戻ってしまいましたが、筋肉がついてくれたせいか、代謝が結構活発になったようです。 卵はコレステロールの関係で医者にはごはんと同様少なめにといわれてしまい、一日呆然としておりました。 黒ウーロン茶やヘルシア飲んで吸収させにくくするか燃やしやすくするかで食べ物替えないか、節食するかの選択・・・・前者は結構高くつきますが、結構リバウンドしないですんでます・・・このネタをサブプライムとCDOと各国の通貨当局の流動性供給と絡めてエントリー書いてみたのですが・・・珍しくボツにいたしました(苦笑)。
Commented
by
bank.of.japan at 2007-10-31 21:08
ろじゃあさん、どうもです。私は単純に節食です。まあ、目標圏にほぼ到達しましたので、節食もスローダウン中。あとはリバウンドに注意、といったところでしょうか。やせ過ぎると、ズボンのウエスト詰めなど出費がかかりますので。ほどほどにしておきます。
|
ライフログ
検索
最新のコメント
カテゴリ
全体 リンク 連絡先について メルマガ 日銀 経済 マーケット FRB&others 金融システム 替え歌 欧州便り ユーロ マスコミ ブログ紹介・お知らせなど ALM 大機小機 その他 議事録 一万田総裁 未分類 以前の記事
最新のトラックバック
ブログパーツ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||