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数字で見る北海道の農業と課題=日銀「さくらリポート」より(お知らせあり)
 日銀地域経済報告(さくらリポート)に、北海道の農業がトピックスとして取り上げられていた。個人的には農林業(or第一次産業)に多少関心があるため、興味深く読んだ。参考になったのは各種のデータ。これらは農業関係の資料をあされば見つかるのだろうが、手間が省けて助かりました。日銀さん、ときどき農林関係取り上げてね(できれば林業がいいな)。
 目に付いたポイントは以下の通り。
・シェア1位の産物 小麦、馬鈴薯、大豆、小豆、玉ねぎ、かぼちゃ、牛乳(米は2位)など。玉ねぎ、かぼちゃが1位とは知らなかった。
・生産性は上昇している→農家一戸当たりの耕地面積は19.8haに増大(全国平均の12倍)。ただし、耕作地の集約化進展は経営難の専業農家の淘汰という側面あり。土地保有の歴史が浅く、農地が流動化しやすい(先祖伝来の土地を守る意識の薄さ)、という指摘は興味深い。
・農業従事者における高齢層の比率は低い→可処分所得が相対的に高く、道外からの従事者を誘引(新規就農者の取り組みへの努力が効果)。
 気になったのは、グローバルな比較であった。例えば、生産性が上昇しているとしても、国際的な比較ではどの程度の差があるのか。国内的には生産性が断トツでも、世界の主要な穀物生産地と圧倒的な格差があると、「輸入品からのシェア奪回」との課題は絶望的(ニッチ産品では可能かもしれないが)。あと、農家の可処分所得における公的補助の比率がどの程度なのかが知りたいところ。北海道は542万円、全国平均は428万円。これに公的補助が入っているのかどうか不明だが、仮に含まれているならその比率は重要だ。北海道の専業農家がその他地域よりも手厚い場合、新規就農者の取り込みは公的事業の色彩を帯びる。
 個人的には、日本の農林業が活性化して欲しいと願っている。世界的な農産物需要の増大、これに加えてマクロ環境としては円安基調が続くのが望ましいわけだが…。狭い国土、しかも平野部が少ない、という状況では活性化は難しいすかね。高品質で勝負するとしても、手間もコストもかかるし。うーん、どうしたもんか。

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by bank.of.japan | 2007-10-15 21:50 | 日銀 | Comments(18)
Commented by 椿ライン at 2007-10-15 23:19 x
 毎度ご苦労様です。うさこさんのように、私も毎日、本石町日記で勉強させて貰っているストーカーさんです♪
 さて北海道の農業事情で、高齢層の比率が低いというのは興味深いですね。一方、生産性の上昇にも関わらずシェアが上がらないというのは、残念ながら日本ではもう無理なのかと・・・。

 ちょうど昨日から二夜連続で、NHKスペシャルが米作特集をやっていました。
○ライスショック
http://www.nhk.or.jp/special/onair/071015.html
 個人的にショックだったのは、大規模農業でも収益が出ない例として、秋田・大潟村の農家を紹介していたことです。八郎潟の干拓で大規模化を進め、1人当たりの耕作地は全国平均の15倍になった彼の地でも市場価格の下落トレンドの前には無力です(涙)。
 民主党じゃなくても、産業保護のための「農業円」でも作るしかないですかねぇ。冗談はともかく、他の先進国のように農家への所得補償(保証?)も必要でしょう。
 そもそも戦前と比べて小麦の消費が増える一方、外食が増えた現状、外米への抵抗も少ないんでしょうね。戦後レジームを変えるしかないでしょうか・・・。
Commented by K at 2007-10-16 00:16 x
その程度の規模では、まるっきり追いつかないのでしょうね。八郎潟で一つの農場位でないと。
今後は、廃村を丸ごと買い取って農場に転用するような事が必要でしょう。
Commented by bank.of.japan at 2007-10-16 00:36 x
椿ラインさん、どうもです。私もNHKスペシャルをチラッと見てました。コメの場合、国内的視野の集約など国際比較すると話しにならない、という感じでした。限界まで集約させ、後は財政的な支援をするしかない、のかもしれません。

Kさん、どうもです。主要穀物の場合、ご指摘のような集約までさせないとスタートラインも見えないのかもしれません。市町村を超えた集約も検討すべきなのでしょう。
Commented by EURO SELLER at 2007-10-16 10:18 x
どうせお金を使うなら,所得補償でばら撒くのではなく,もっと生産性を上げる構造改革に使ってもらいたいものです。若い人を従業員として雇える会社が作れるようにです。現状では,ワタミの社長さんぐらいしかできないかもしれません。
Commented by 飛車 at 2007-10-16 15:02 x
>先祖伝来の土地を守る意識
これって本当なんですかね。昭和の農地改革以後の所有者が大半ではないかと思ったりして。とはいえ、土地問題は古代の黎明、中世への転換を促した歴史的には重大なイベントではあるのですが。

ところで、農業については、農家の人の自助努力で企業化させても無理ですよ。まずは人から。企業家として農業に取り組むプレイヤーが少なすぎます。でも、そういう企業家が少ないのは、何故でしょう。そこから考えないと、集約を幾ら進めても机上の空論にしかならないと思う次第。

ちなみに、ワタミは牧畜事業は焼肉事業から撤退する中で先行き不透明です。飲食事業者の特農事業進出は、分業による効率化の否定ですので、うまく行かないと思います。いわば宣伝広告費なのかなと。
Commented by PK at 2007-10-16 15:35 x
生産性はとりあえず当面目をつぶって、経営ノウハウを蓄積できる主体を形成確立して欲しい。株式会社が入ってもいいと思う。それ以外は、趣味で有機農業でもやってほしい。(野生生物が生きていけるので)
Commented by 飛車 at 2007-10-16 17:01 x
昨夜のNHK特集、チラっと見ましたが、米は厳しいですよ。思いっきり手間隙かけてブランド米にする方がまだ可能性があると思います。カリフォルニア米は十分美味しいので、正直普及品で戦うのはあきらめた方が早いと思います。気候の問題があるのだとは思いますが、もっと畑作や花木などの高付加価値産品に切り替えた方が良いと思います。

日本の果物・野菜系の旨さは既に知れ渡っています。というわけで、皆さんがあんまり知らないところで、県・経済連レベルで、県単位での海外への売り込みが最近は妙に活発化しています。九州は昔から盛んです。とはいえ、公的機関主導だったり、手先となって動ける企業が地域特産物の会社ばかりという事で、「地域文化の輸出」みたいなバイアスがかかっていて、日本国内ですらマイナーな食品を売り込んだりと多少頓珍漢なところはありますが。
Commented by bank.of.japan at 2007-10-16 19:45
EURO SELLERさん、どうもです。公的支援を行うにしても、生産性が向上する方向に作用するのが望ましいのはその通りですね。

飛車さん、どうもです。戦後の農地改革が土地保有に与えた影響は確かに大きいですね。私の実家も少なくとも山林保有したのは戦後でした。ご指摘は盲点でした。起業家の農業参入は望まれますが、まだ収益源として有望視されるには至っていないのでしょうか。付加価値の高い農産物もノウハウが必要で、参入ハードルが高いような気もします。
 コメはご指摘のように海外のあの広大な農地を見ると、(味も良いとなれば)なかなか太刀打ちは難しそうです。海外向けにどのような農産物が売られているのかということすらあまり知られていないですね。もう少し宣伝して取り組みを広げる努力が必要かもしれません。

PKさん、どうもです。ノウハウ蓄積がないと将来の展望が開けないので、ご指摘は重要です。現状、一般レベルでは趣味で取り組む人(団塊世代?)が農業に向かうぐらいでしょうかね。
Commented by 椿ライン at 2007-10-16 19:52 x
 EURO SELLERさん、ご指摘ありがとうございます。田舎の閉鎖性・硬直性に嫌気がさしていますので、私も安易なバラマキには大反対です。農道やダムなど、無駄な農業関連の予算を削っていって、新規参入や若い人を支援するような方向にお金が回ると良いですね。

 飛車さんの「企業家が少ない」というのも仰る通りです。農家とは、財務や天候リスクも分かる経営者であり、売れる食物を探すリサーチャーであり、実際に肉体を動かす労働者であります。自分の親を見て思うのですが、それをこなせるスーパーマンは殆どいませんね(^^;
 規制ががんじがらめで、そこそこ米価が安定した(国が決める)時期には「農協指導」で経営感覚がなくても乗り切れたと思います。しかしグローバル化が進む現状、スーパーで並んでいる海外作物に勝つのは無理ですよねぇ。
 ちなみに、実家は昭和の前から農業を続けていたようですが、先祖の土地を守るという意識は苦労した彼らの世代でなければ分からない価値観だと思います。価値観は宗教のようなもので外部の第三者が言うことではありませんが、農業にも市場原理が必要なことは確かですね。乱筆失礼しました。
Commented by 飛車 at 2007-10-16 23:16 x
亡くなった母方の婆ちゃんの実家は庄屋だったようで、ことある毎に「国に土地を騙し取られた」とブツブツ言っていました・・・。脱線ついでに、歴史を勉強していくと、先祖伝来と言えるのは、どちらかというと海系の人たちかなと思ったりして。瀬戸内の水軍の末裔で、定年になったら島に帰って先祖伝来の役職が待ってる人とか、いまだにリアルにいます。

「お米って、実は労働生産性はかなり高いんです。だから兼業や、高齢者でもやってられるんです。」という話も、某ブログで聞いた事があります。本当かどうか知りませんが、これも盲点でした。
Commented by luke at 2007-10-16 23:20 x
OECDの試算では、2004年の日本の農業収入の56%は国の補助によるものだそうです。(EU平均33%, 米国18%)
http://www.eooo.jp/blog/news/archives/2006/07/56.html
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/0308.html

ただし、日本の補助は直接補助金によるものではなく、関税による保護(一般消費者の負担)によるもので、農水省はこれを補助金と認めることに抵抗しています。
http://www.kanbou.maff.go.jp/kouhou/jimujikan/070201jimujikan.htm
Commented by 飛車 at 2007-10-17 00:09 x
>>椿ラインさん
経営計画もさることながら、「商品開発」と「営業部門」ですね。農業やりながら、営業とか商品開発なんて、本当にスーパーマンじゃないと。企業化して営業部門が抱えられるだけの粗利益が簡単に取れるかというと、それも期待薄。

食品というのは、「口の数で売れる数量が決まってしまう」わけで、産品ごとの市場の奪い合いを捨象すると需要曲線はほとんど垂直(豊作貧乏の理論)です。売上を増やして、利幅を稼ぐには、市場の細分化による独占的価格形成をするという高付加価値化の努力が必要です。皆がそろって汎用品の大量生産してしまうと、あっという間に供給過剰となって価格が暴落します。だから、「生産性の向上が必要」という意見には、同意できません。

企業化するにしても、カリスマ経営者が年商数億円の規模で自ら先頭にたって頑張るあたりが一番利益率が良くなるのかなと。大規模資本の雇われ経営者には絶対に無理です。

付け加えるなら、日本の汎用的な農作物が競争力を失ったのは、円高の結果です。農家や農協の努力不足に帰すのは不公平です。カリフォルニア米が安いのは、高効率なわけではなく、単に米ドルが安くなったからだと思いますw
Commented by bank.of.japan at 2007-10-17 00:51 x
lukeさん、どうもです。情報の提供、有難うございます。参考にさせてもらいます。やはり生産性の格差が大きい分、補助金の比率は高めですね。せめてEUには接近して欲しいと思う次第です。関税保護の形を変えた補助金だと思いますが。個人的には、ある程度の保護は必要だと思うので、農水省も素直に認めたらよいのに。
Commented by PK at 2007-10-17 08:40 x
世界の農業をみると、大規模農業と破綻した途上国農業と保護された先進国の自営農に分かれる。農業はとても難しくて、天候にも国の政策にも通貨や国内他産業の影響にも左右される。優秀な日系人の農場もブラジルでインフレや政策やで振り回されて全滅したりする。農業を取り巻く天候・政策その他の統合されたパターンを幾つか見出せば、それを他国でコンサルしながら生き残ることができるように思う。
Commented by luke at 2007-10-17 12:04 x
本石町日記さん、保護貿易は「悪」とみなされるので、生産補助・価格補助でない所得保障としての直接補助金がWTOの流れですが、日本が抵抗しているのは補助金を払う対象を専業農家だけに限定したくないということのようです。
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/yamashita/24.html
あと、直接補助に切り替えると財源も問題でしょう(GDPの1.7%の農業のために、GDPの1.3%(6兆円)もの補助を行っています)。

飛車さん:
年商数億円の規模で独占的な値付けができるような少量産品を1000種作っても出荷額は今の数分の一では...

>日本の汎用的な農作物が競争力を失ったのは、円高の結果です。

それでも輸出できている産業があるのですから、レートが(3倍も)円高過ぎるというわけではないですよね。まさに比較劣位になったということでしょう。カリフォルニアに負けたのではなく、トヨタに負けた。

生産性を高めるのが難しいのは同意です。たとえ今、競争できるようになったとしても、生産を続けるためにはトヨタと同等のペースで生産性を向上させないといけませんね。
Commented by bank.of.japan at 2007-10-17 19:00
lukeさん、どうもです。農業の生産性向上(海外と勝てるかは別にして)では兼業農家の扱いは悩ましいですね。ちなみに、実家も兼業だった経験では、家族労働はシンドイだけで、農業面では生かさず殺さずを続けさせられた、という思いが強いです。
Commented by 飛車 at 2007-10-18 00:05 x
>>lukeさん
商品作物は数百種類はあるかなと思います。まあ、要するに大規模化・大資本参入では成立しない産業だという事が言いたかったのでした。スーパーマン型のプレイングマネージャーが特農家となってブランド作物を出荷するようなイメージですね。うまく行ったら契約農家方式でもうちょい成長できるかも知れません。例えば梅津野菜道場とか。

つまりトヨタと同じペースで生産性を上げる必要は無いのです。例えば光岡と同じペースでブランド力を強化するので良いと。

企業経営の話になると、皆さん規模の経済型の設備産業をイメージされるようですが、そんなのに合う産業は、日本を代表する企業群を構成する産業ではありますが、日本のGDPにおいても小数派じゃないかと。もうちょっと中小サイズが適正な産業の存在も認知してあげて欲しいなぁと思う次第。
Commented at 2007-10-18 22:43
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