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日銀月報の「基調」動向は…=水野委員、Last Man Standing
 「金融経済月報」は様々な日銀文書の中でも重要度は高く、それだけ文学(修辞学)的にかなり力の入ったペーパーである。表現が多少でも変わると、それはそれなりに意味のある変化であり、この変化を読み解くのは日銀ウォッチ上、価値あることが多い(経済的な付加価値はない)。日銀文学上の変化として注目される事象の一つは「基調」の数である。
 「基調」が挿入されるのは、統計動向が想定からズレたときであり、このところ「基調」は増加基調である。今年に入ってからの「基調」動向を思いつつままに挙げると以下の通り。
生産は増加→生産は増加基調
設備投資は増加→設備投資は増加基調(今回くっついた)
このほか、物価はプラス「基調」とか、ありますね。
 また、「基調」に順ずる用語として「全体として」、「均してみれば」、「平均的には」といったものがある(ほかにあればご指摘を)。今月は、「世界経済の拡大」が「世界経済は全体として拡大」となった。これは米経済の下振れリスクを認めたもので、微妙に下方修正であろう。まとめると、今月は「基調」が一個、「全体として」が一個の計2個の増加となった。「基調(&似た用語)」が増加することは、日銀文学的には経済見通しが外れつつある兆候である公算が大きい。まあ、短期間で「基調」はなくなることもあるが、今後の「基調」傾向は要注意である。

 ところで、本日の債券相場は午後から下げ足が速まった。ちょうど決定会合の結果が出たあたりで、私は「現状維持が何で売り材料なの?」と思った。聞くところによると、「全員一致の現状維持」だと売り方は踏まれるリスクがあり、水野委員の利上げ提案が確認されたところで海外勢を中心に売りが強まった、とされていた。実際はどうだったのか分からないが、水野さんの一票、影響力ありましたね。引き続き提案し続ける姿勢に敬意を表したいと思います。どんなに逆境になっても最後まで立っている男、Last man Standing を期待します。

ps Last…、はウォールストリート日記さんのエントリーから拝借しました。個人的には次の政策変更は利下げじゃないの、と思うが、もしかしたら利上げできるかもしれないし。チキンホークスの中で唯一ホーク役で突っ張るポジションはつらいでしょうが、頑張ってください。
by bank.of.japan | 2007-09-19 22:07 | 日銀 | Comments(4)
Commented by 飛車 at 2007-09-20 01:17 x
「基調」の件、面白いですね。いわれてみれば事業報告書とか書いていると、昨年からどう変化したかを表現で誤魔化そうとしたり、自分もしちゃいます。
でも、過去に自分が書いた文字の羅列との整合性に四苦八苦するのはバックワードルッキングではないかと思ったりして。頑張っているのは過去との整合性をとることですから。
フォワードルッキングというのは、ちょっと前まで利上げしまくっていたのが、ある日を境にいきなり50bp利下げしちゃうようなw。予想は当たらないし、予想する都度、予想像は変わると思うんです。本当は。

ところで、水野委員の件はほめ殺しですか?自分的には、いくら議論を尽くしても意見を変える見込みの無い「主義」に染まった人とは、会話しても仕方が無いから、使えそうな時以外は口も利かないし情報交換もしない扱いするんですけどw
Commented by EURO SELLER at 2007-09-20 01:57 x
まあ,水野議員のスタンスは今回は日銀の待ちを表向き広く見せるための政策的な意味合いが強いかと・・・全会一致だと福井さん退任まで利上げなしを市場は織り込みかねません。今回は,FEDの手前もあるし見送ってやるわ,でも決して景気が弱いわけではありませんからと強調するためです。

ただし,こういうタイプの人を好きかどうかは別の議論です。
Commented by 米長期債下落 at 2007-09-20 07:12 x
ロイターですが、ちょっと気がかりなニュースですね。
・・・商品価格の大幅上昇を背景に、債券トレーダーは長期債の下落が進むとの判断から売りを出しているようで、10年債<US10YT=RR>は19/32安、利回りは7bp大幅上昇の4.54%となった。・・・
http://today.reuters.co.jp/news/articlenews.aspx?type=marketsNews&storyid=2007-09-19T214856Z_01_JT8029210_RTRIDST_0_ZHAESMB08321.XML&src=rss&rpc=155
Commented by bank.of.japan at 2007-09-20 19:44 x
飛車さん、どうもです。日銀文学は、誤魔化し文学の側面もありますので、ヘッジ表現は色々と用意されております。間違いを認めるのが遅くなりやすい(特に景気悪化の局面で)要因の一つでしょう。利上げは個人的には賛成しないですが、絶対に利上げできない、と断言できるものでもないですので、褒め殺しではないです。勇気ある逆張り、と見ています。

EURO SELLERさん、どうもです。確かにご指摘のような側面もあると思います。全会一致であったら、短期カーブはもっと寝たかもしれません。

米長期債下落さん、どうもです。商品市場高のインフレ、スタグフレーションを織り込む動きなのでしょうかね。これは福井総裁も言っていましたが、パズリングな感じです。
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