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日銀、出し過ぎでしょ=ゼロ金利じゃないか(追記・トリシェが緊急声明)
 本日の無担保コール翌日物は加重平均で0.235 %、最低は0.010 %であった。
 昼前後であったろうか、私はあまりマーケットの数字を見ていなかったのだが、誰かが「金利が0.1%で…」とか言っており、何の金利のことかと思ったら、政策金利だったじゃないですかあ。ちょっと驚いた。午後にはゼロ金利になっちゃったが、何となく過ぎ去りし日々を懐かしく思う気持ちにもなったな。イジワルなことを言えば、近い将来にマジでゼロ金利になるという嫌な予感もしたのだが(笑)。
 私は、最初からノーオペで通せばいいんじゃないかと思っていた。最初の1兆円はそれでも加重平均は下がらなかったら、まあしようがねえとしても、結果的には昨日の供給がかなり余計(出し過ぎ)であったわけだ。だからガシガシ吸収していたのね。欧米にちょっとお付き合いしたら、この「ちょっと」が積み最終日も近いとあって「かなりの余計な余剰地合い」を作り出してしまったのだろう。金利上昇への「少し余計」な配慮が、金利を崩落させた格好で、調節のやり方としてはドタバタ感がある。
 でも、今回の事例は、日銀のオペに対する一つの誤解を解くことに使えるかも。ドラめもんさんも酷評していた(今年3月9日分)某社のリポートのことだが、春の株安局面でこのリポートは、『日銀の稚拙な金融市場調節が「世界同時株安」の一因となった』と非難しておった。金利崩落も逆の意味で稚拙なのだが、この非難を逆手に取れば、稚拙な調節によるゼロ金利は世界の株高の一因になるのかも(ならないか)。
 
追記 さっきトリシェ総裁が緊急声明を出した。ホームページでみれます。大丈夫、安心しろ、という内容だが、対応がやや仰々しい感じである。総裁が緊急声明を出さないといけないほど不安要因がある、という風に受け止めてしまうのだが。どうなんでしょうね。
by bank.of.japan | 2007-08-14 22:39 | 日銀 | Comments(16)
Commented by 宴よ終るな at 2007-08-15 00:43 x
国際金融のスーパースター、ケネス・ロゴフ教授に続いて、若手の星、プリンストン大学のポール・クルーグマン教授も一連の問題についてコメントしています。(英語版→http://www.commondreams.org/archive/2007/08/10/3100/ 有志の方による翻訳版→http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2007/08/post_090e.html)
クルーグマンはこんなことを言っています:
<これはちょっとした恐怖では収まらないかもしれない。最悪の場合、焦げ付きの連鎖を引き起こすかもしれないのだ。
現在の危機的事態は、過去数年間における経済的愚行に端を発しており、思い返せばドットコム熱と同じくらい不合理さに満ちている。住宅バブルは理由の一部に過ぎない。総じて、国民はまるでリスクがなくなったかのように振舞い始めていたのだ。>
Commented by 宴よ終るな at 2007-08-15 00:57 x
そして、ケネス・ロゴフ氏も、現在の状況を「国際的な金融イノベーションが大きな恩恵をもたらしていると信じている経済学者でさえ、現在のヘッジファンド・ブームをかつてのハイテクバブルとだぶらせるようになっている」と指摘した上で、こんなことを言っています(http://www.toyokeizai.net/online/tk/column9/index.php?page=2&kiji_no=17):
<問題は、多くのファンドが同じ方向を向いて投資している今の状況において、彼らのフロンティア精神が、国際金融にとって大きなリスクになっているということだ。もしファンドが損失を被れば倒産の連鎖が起こり、ヘッジファンドへの融資で巨額の利益を得ている金融システムが、深く傷つくおそれがある。>
示し合わせたわけでもないでしょうに(笑)、二人がほとんど全く同じ視点で状況を見つめているのが大変気になります。私は、これ以上、延焼が広がらないことを願っていますが、長い長い宴の終りである可能性も、全くないとは言えなそうな状況です。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-15 01:23 x
宴よ終るなさん、どうもです。情報提供、多謝であります。確かに、「長い長い宴の終りである可能性も、全くないとは言えなそうな状況」であることはないではないです。市場経済にブーム&バストは付き物であり、いろいろな形を伴って再来するものでありましょう。私は運命論者でありますので、そうなったらそうなったで人事を尽くして天命を待つしかないであろうと思います。FEDはまだ糊代がありますし、議長はバーナンキ氏ですから、危機からの脱却で手腕を発揮せしめるものと、この際期待しようではありませんか。その行方を目撃できるというのも、この時代に金融記者をやった冥利に尽きると思うのです。でも、宴は続いて欲しいなあ。
Commented at 2007-08-15 02:57 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by three-hyphens at 2007-08-15 03:56 x
同じように資金吸収のニュースを見て,政策金利が0.1%台にまで下がっていたことを知りました.自席の隣が都銀OBだったのですが,2人で大笑いしてしまいました.

意地悪な見方をすれば,「第二の柱」を使って殊更にリスクを強調してきたBOJのスタンスに,どこか,リスク対応で出番を見せたい(たとえばLTCMの時のグリーンスパンのような格好良い所を見せたい)ような色気が見えました.そんな経緯から,今回の問題のマーケットの動揺を見て,「さあ,ここが腕の見せ所」と張り切りすぎてしまったとお見受けします.ところが,ところが,肝心の金融調節の技術面で,ゼロ金利・量的緩和のせいですっかり足腰が弱ってしまっていたのが,ここにきて露呈してしまったというオチですかね.
(何でもオチをつける必要はありませんが…,ついこう見てしまいます…)
Commented by うさこ at 2007-08-15 05:17 x
本石町さんは宴続いて欲しいかもしれませんが、当事者や金融機関は嫌です。日銀も調節大変だろーし。景気減速さえならなければ面白そうなのでよしとして。先月のんびりし過ぎた反動で。15〜16日のOIS0.30〜0.40あたりで気配だけありました。
Commented by dell at 2007-08-15 08:19 x
そもそも金利を上げたこと自体が間違いなのだから、誤ってとは言え金利が下がったことは良かったのではないでしょうか?昨日のNYも大きく下げたことだし、今日あたりはさらなる超大型買いオペ、さらなる利下げを期待したいものです。円高進行を止めるだけでも、かなりの世界貢献だと思いますよ。
Commented by PK at 2007-08-15 08:45 x
そもそもクルーグマンとかって、こういう問題に分析力を持っているの?
Commented by システム5.1 at 2007-08-15 10:11 x
最近のBoJウオッチャーと呼ばれる人は短期金融市場を見ていなかったり、所要対比の積数計算もできないんでしょうね。まあ、昔と違ってオペが金融政策変更のヒントにならないのだからそれも仕方ないとは思います。それでも、資金吸収によって次回の利上げ余地を残したとの解説はいただけません。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-15 18:51
非公開さん、どうもです。現場は大変ですね。めげずに頑張ってください。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-15 19:19
three-hyphensさん、どうもです。日銀の余興で、面白いものを見せてもらいました。本日も、売り手が足元見られて0.75%で差されてましたね。金利はゼロから上限までフルレンジで見れました(笑)。

うさこさん、どうもです。欧米の宴が終わると、流石に経済も減速。外需頼みの日本はあおりを食らうので、もう少し宴が続いて欲しいなあと。OIS、さらに下がりましたね。

dellさん、どうもです。ご期待に沿えずに吸収でした。各国、利下げ局面に入っていくのでないかと思ったりします。量的緩和に後戻りですかね。

PKさん、どうもです。ご指摘の件、ちょっと分からないです。発言している、ということは分析力があるのではないかと。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-15 19:21
システム5.1さん、どうもです。「資金吸収によって次回の利上げ余地を残した」との解説、私は目にしていませんが、本当にそういう意見があったとすれば、驚きですね。日銀の調節課には「ギャグ」としてウケたのではないかと思います。
Commented by 通行人 at 2007-08-16 12:15 x
年初来最安値は日本だけではないですか?
もうそうなら、やはり日銀の「稚拙な金融政策」=先走った利上げのせいではないでしょうか。
必要のない利上げをしておいて、こうした危機に対応できたなんて、これまでの利上げを正当化するのはおかしいですね。
オペを妙にちびらないで、この際量的緩和をバンバンやればいいんでしょう。そうすれば、世界も日本を見直すでしょう。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-17 00:14
通行人さん、どうもです。一応、危機対応と金融政策は切り分けて考えております。金融政策については、個人的には量的緩和はともかく、利下げしてもいいんじゃないか、とは思っております。それで効くかどうかは分かりませんが…。
Commented by 市場参加者 at 2007-08-17 15:06 x
きょうの株の下げをみると中央銀行の本気度が試される場面になりつつあるように思います。日本の絶対金利がこんなに低くなければ協調利下げでもよいのではと考えてしまいます。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-17 18:42 x
市場参加者さん、どうもです。凄まじい下げでしたね。特にFEDは試されていると思います。ただ、投機失敗を救済するようなアクションは取りにくいので、対応は遅れ気味になるのではないかと。
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