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プール・セントルイス連銀総裁の“倫理的”発言=気持ちは分かるが…
 東短リサーチ・加藤さんのリポートを読んでいたら、サブプライムローン問題に関して米セントルイス連銀のプール総裁が興味深い発言を行っているのを見つけた。加藤さん、一部お借りします。具体的には以下のところである。
「今年の市場は、悪い関係者や酷い貸出慣行を懲らしめていると判断すべき」
「悪事を行ったり、間違った判断をした人々は罰を受けるものだ。打撃を受けている企業やヘッジファンドは報いを受けるにふさわしい人々である、という証拠が集まりつつある」
 プール総裁は、知り合いの日銀マンによれば、非常に有名な学者であり、ボードの中ではややハト派(違ったらご指摘を)に位置する。マーケット動向については、距離を置いた冷静な発言が似合いそうなキャラで、懲らしめているとか、罰を受けるものだとかのフレーズは、随分と過激である。
 イケイケドンドンで投機に突っ込み、シナリオが狂って爆沈、という図は、傍から見ていれば「ざまあみろ」で、私もそう思わないでもない。個人的には、プール総裁の気持ちは大変良く分かる。しかし、金融当局の高官としては公式の場ではあまり言わない方がいいような気もする。
 サブプライムローン問題を契機にしたクレジットマーケットの動揺は、健全な調整である可能性は高いが、かといって安心も出来ない。場合によっては、マクロ経済に影響が及ぶかもしれない。「罰が当たった」と今は倫理的な観点から物を言えても、クレジットバブル崩壊が経済に深刻な影響を与えたら、言った本人が青ざめてしまう。これで利下げしなきゃいけなくなったら、なんだか市場に復讐された形である。
 今日、ある日銀幹部と会った際、プール総裁の発言が話題になった。このとき、二人して同じことが思い浮かんだ。昔々、某国の中央銀行総裁がバブル潰しで世界から喝采を浴び、某国では「平成の鬼平」として奉られたことを。バブルが潰れる様はそれはそれは小気味良いものだが、後始末は大変である。
 某国、すなわちかつての日本と今の米国を比較するのは間違いだろうが、私としては米クレジットバブル崩壊→米景気後退→日本ドツボとなって欲しくないので、米連銀総裁が「天誅である」的なことを言う姿はデジャブーのようでちょっと落ち着かないです。気にし過ぎですかね。
by bank.of.japan | 2007-08-07 21:45 | マーケット | Comments(12)
Commented by dell at 2007-08-07 23:24 x
>これで利下げしなきゃいけなくなったら、なんだか市場に復讐された形である。

べつに、利下げ=悪とは思っていないのでは?どこかの中銀と違って。
Commented by wha_man3 at 2007-08-07 23:34 x
流動性のcommanding heightを中央銀行からファンドに奪われつつあるという焦燥感は、世界のバンカーの共通心理だと思います。それゆえ、発言は正直な吐露だと思いますし、態度が懲罰的になるのも仕方が無いかと思います。蛇口を最後に占めて経済を殺してきたのは、毎度中銀でしたし、、、歴史からなかなか学べないのかもしれません。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-08 01:07 x
dellさん、どうもです。FRBはマクロ政策上、利下げが必要ならそうすると思いますが、プール総裁も現時点ではそこまでやる必要があると思っての発言ではないような気がします。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-08 01:14 x
wha_man3さん、どうもです。初めまして、ですかね。興味深いブログをお持ちのようで、参考にさせてください。commanding height=管制高地、調べたところ、そういう意味でよろしいのでしょうか。資本移動の自由化、ITの発達、金融技術の高度化などによって、市場取引が世界規模で膨張する中、確かに中央銀行として制御の難しい時代になってきたのはご指摘の通りで、かつて山口泰副総裁が中央銀行の存在感の希薄化を指摘したことがあるように記憶します(ちょっとあやふやなので今度調べます)。ご指摘の点を突き止めると、「第二の柱」の重要性に帰着し、これはBISのビル・ホワイト局長らの問題意識につらなるでしょう。市場経済にバブルは付き物で、それが多発しやすい状況の中、中央銀行の新たな試練であり、対処は非常に難しい問題であると思います。興味深いご指摘、有難うございます。
Commented by dell at 2007-08-08 08:08 x
いや、プール総裁が現時点で利下げを意図しているという話ではありません。たとえこれで利下げの必要が生じたとしても、それを「市場に復讐された」などと日銀のようにネガティブには捉えないだろうという話です。
Commented by システム5.1 at 2007-08-08 08:36 x
倫理・道徳観的には分かりますが...。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-08 13:18
dellさん、どうもです。了解しました。日銀はどうですかね。ネガティブには捉えますが、己の不運を呪うかもしれません。

システム5.1さん、どうもです。倫理的発言は、マスコミ的には面白いですが…。まあ、それだけでしょう。
Commented by EURO SELLER at 2007-08-08 23:24 x
FOMCは至って冷静で,「サブプライムちゃんと注目していますよ,でも特別扱いの対象ではないですよ。」と王道を行く文言でした。日銀もこんな感じで市場との対話をやってもらいたいものですが,外圧に弱いからどうなるか・・・
Commented by Teddy at 2007-08-09 09:54 x
Wall Street系のブログでは、緩和したらモラル・ハザードを助長する、絶対いかん、と「倫理的」批判が目立っています。クレジット市場の動揺は、GMショック、LTCMショックも結局どうってことなかった、と・・・個人的には、それより以前、S&L危機にまで遡ったほうが良いのでは、と。今回は「クレジット系ヘッジファンド=S&L」ではないかなぁ、と愚考しますが。畏友はBOJに関し、「お盆前後の市場の混乱に注意」と言ってますが、ヘッジファンドからの資金引き揚げリスクがその頃顕在化するのではと(確か)WSJが。BOJはお盆波乱なしでやったら2月同様市場の混乱の種を蒔く結果となるのでしょうが・・・
Commented by bank.of.japan at 2007-08-09 13:32
EURO SELLERさん、どうもです。FEDが冷静なのに、日銀がサブプライムに動揺する、という図はやや不自然ではあります。利上げが正常化路線であるなら、堂々とやって欲しいですね(その方が対話はスムーズ)。

Teddyさん、どうもです。今回のクレジット市場の波乱は大事にはならないだろう、とは思いますが、あくまで希望的観測でして、実際はどうなるか分からないです。今月、利上げがスムーズにできても、その後の展開は不透明でしょう。
Commented by Teddy at 2007-08-09 17:29 x
本石町さん、ありがとうございます。米国の銀行業が総じて無傷でも、そのgarbage in, garbage outの資産を世界中に売った咎で、資金流入が細る恐れはないのでしょうか?
面白いかどうか、少し前のNew York Timesでは中国のブロガーたちがBlackstoneの株の下げにかみついているとの報。ディスクローズもされないでしょうが、四大銀行がサブプライムで巨額損失、とかなりませんかね?
CDOの特定アセットの焦土化の歴史からは、少なくともサブプライムは死んだ、といえそうですね?
Commented by bank.of.japan at 2007-08-09 20:55
Teddyさん、どうもです。中国のブラックストーン出資は、まあなんと言うか、もともとブラックストーン経営陣がエグジットするための受け皿みたいに見えますから、ライアーズポーカーに負けたということでしょう。
 ところで、ECBが緊急オペ・無制限打ちました。ちょっとまずい感じです。
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