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「イッパン族」から見た「エコン族」と日銀の関係
 BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎氏のWeekly Economic Report「エコン族の生態」が面白い。エコン族とは、氏によれば「30年以上も前に大経済学者のアクセル・レイヨンフーヴッド教授によって皮肉たっぷりに描かれた」もの。リポートから簡単に紹介したい。河野さん、お借りします。

 「エコン族は、極北の広大な地に居住する。彼らの土地は、他民族には荒涼かつ陰鬱に見え、旅することは困難だ。彼らは温暖な地で快適に暮らす隣国の政治学の研究を生業とするポルスシス族(Polscis)や社会学の研究を生業とするソシオグス族(Sociogs)を軽蔑するように子供たちを教育する。共通の祖先を持ちながら、これらの民族とは不仲で、社会的な交流はタブー。彼らの社会構造及び生活様式に関わる情報は断片的で、正当性も十分確認されていない。」
 「エコン族の社会構造は極めて複雑である。彼らの社会構造はカースト(階級、Caste)と身分(Status)の二つで構成される。外観上、エコン族はカーストによって区分されるが、カースト内部では複雑な身分関係がある」
「カーストにあたる言葉は『専攻分野(Field)』と呼ばれるが、これはエコン族にとって非常に重要である。例えば、成年男子は『**が私の専攻分野です』という言い方で自己紹介する。そして、いずれの『専攻分野』においても身分関係に共通パターンが見られ、『モデル』と呼ばれる道具作りと身分が深く関係している」
 「エコン族のカーストである『専攻分野』に、厳格な序列は見られない。序列が漠然としているものもある。例えば、ミクロ・カースト(ミクロ経済学)は、マクロ・カースト(マクロ経済学)より自分たちが優れていると主張するが、マクロ・カーストもミクロ・カーストより優れていると主張する(筆者=河野氏注:過去30年間で事態は大きく変わり、モデルの発達によってミクロ・カーストに同化したマクロ・カーストも多く、マクロ・カーストはミクロ・カーストに飲み込まれすでに消滅したと考える人もいるほどである)。ただ、その他の序列については比較的明瞭である。例えば、司祭階級であるマス・エコン・カースト(数理経済学)は、ミクロ・カーストとマクロ・カーストのいずれと比べても上位であり、デブロプス・カースト(開発経済学)は、下位に位置づけられている。ただ、この階級の序列は永続的なものではなく、移り変わる。例えば、マス・エコン・カーストの台頭は儀式用のモデルを一段と飾り立てようとするエコン族全体の最近の風潮と関連していると思われる。デブロプス・カーストが下位に位置づけられているのは、この階級がタブーを犯しポルスシス族やソシオグス族などの他民族と接触したためである」

 紹介が長くなったが、実は私は下のエントリーと同様に経済学の素養がないので、皮肉の面白さが漠然としか分からない。むしろ、興味を持ったのは、中央銀行(日銀)がエコン族とどのような関係であるのか、であった。推測するに、欧米中銀はかなりエコン族に近い一方、日銀はかなり距離がある気がする。また、場合によってはエコン族(の一部or多く)から反発されている存在なのかもしれない。仮に反発されるなら、その理由は法学部(ポルスシス族)を多く雇っているからであろうか。この場合、タブーを犯しポルスシス族やソシオグス族などの他民族と接触して下位とみなされたデブロプス・カーストと似た境遇に見えるが、日銀は一応はマクロ・カーストなので、ポルスシス族を内包する異端のマクロカーストなんだろうか。どうなんでしょうね。
 ちなみに私は、ポルスシス族でもソシオグス族でもない一般(イッパン)族であります(笑)。

ps のっぺりした組織に見える日銀も内部は様々な「族」に分かれる面もある。代表的な部族は「マネポ族」、「プルーデンス族」、「ケッサイ族」、「ハッケン族」etc。マネポ族は、キカク、シジョウ、チョウトウなどに分派するが、上位カーストはキカクかな? プルーデンスは最近、存在が希薄気味ですかね。
by bank.of.japan | 2007-07-01 21:52 | 日銀 | Comments(8)
Commented by 通行人3 at 2007-07-01 22:31 x
日本エコン族はエコン族の本拠地から見て極めて辺境の地にあたります。特にマクロカーストは過去20年、ガラパゴス諸島の生態系の様に独自の進化をしました。中でも金融政策というフィールドではポルスシス族と接触が顕著でむしろポルスシス族に隷従している有様です。このため本拠地のエコン族からは相当下位に位置づけられています。
Commented at 2007-07-02 05:05 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 通行人55 at 2007-07-02 09:57 x
通行人3さんの改訂

日本エコン族はエコン族の本拠地から見て極めて辺境の地にあたります。特にマクロカーストは過去20年、ガラパゴス諸島の生態系の様に独自の進化をしました。中でも金融政策というフィールドでは厨銀人というポルスシス族が支配している異人からエサをもらって生活しています。厨銀人と対立するマクロカーストは、日本エコン族の中では異端ですが、異端の異端は正常ということで、本拠地のエコン族と似ています。一方、実質的にポルスシス族と接触している日本のマクロカースト金融政策フィールドは、本来であればエコン族の下位になるべきですが、厨銀人を経由していて、しかも厨銀人が日本という辺境の支配者であるので、日本エコン族の中では上位に位置しています。
日本のマクロカースト金融政策フィールドが、一部のマス・エコン・カーストも従属させているのは、厨銀人の資金力の賜である。厨銀人の一部は日本のマクロカースト金融政策フィールドとも交配し、厨銀系マクロカースト金融政策フィールドが増殖中である。
Commented by bank.of.japan at 2007-07-02 20:04
通行人3さん、どうもです。なかなか面白い解説です。ポルスシス族の絡みは本拠地から見ると特異な現象かもしれません。特にシカゴ大のカシャップ教授には理解しにくいでしょう。ただ、新法以降は、ポルスシス族の存在感は低下している感があります。閥はないです、少なくとも。

非公開さん、どうもです。ご指摘、受け止めました。非力ですが、がんばります。

通行人55さん、どうもです。さらなる深い解説、ありがとうございます。各部族、複雑な相関にあり、これまた面白い見立てです。「厨銀人の一部は日本のマクロカースト金融政策フィールドとも交配し、厨銀系マクロカースト金融政策フィールドが増殖中である」というのは留意しておきたいと思います。
Commented by three-hyphens at 2007-07-03 00:02 x
Fieldのカースト以前に,PhD取っているかどうかのカーストが厳然と存在しませんでしょうか? PhDを取っているわけでもない中銀の人たちが幅を利かせているのが,辺境ならではのねじれた構造でもあるのでしょう.

河野氏がPhDホルダーだったかどうかは忘れました.ただ,辺境の地の日本で,この舶来の身分であるPhDを持ち出すと,かなり多くの方から感情的な反発を受けるため,あえて書かなかったのかもしれません.

佐藤ゆかり氏がPhDホルダーであることなどを見ると,あまりあてになる目印ではないかもしれません.PhDの質(付与までの厳しさ)にも以前はかなりムラがあったやにも仄聞します.
Commented by Texas Longhorns at 2007-07-03 04:32 x
By the way, when it comes to "econ", you don't pronounce "ekon", you pronounce "iikon." Also, just to update on Mr. Kono's blog, mathematical economics are no longer considered to be fashionable.
Commented by bank.of.japan at 2007-07-03 20:33
three-hyphensさん、どうもです。PhDは社会的ランク上の重要なシグナルだと思います。なお、辺境の中銀でも、PhDホルダーは少しずつ増えておるようです。支配カーストになるまでの道のりは相当に遠いようには思えますが(笑)。

Texas Longhornsさん、どうもです。イコン(orイーコン)ですね。計量経済はもはやありふれたものになったのかもしれないと、土地カンのない私も感じております。
Commented by 元math-econ at 2007-07-04 00:27 x
本石町日記さん
math econ は計量経済ではなく、数学の応用みたいなものです。このため、実際の経済問題とはあまりにかけ離れたものなので、今ではあまり魅力的でなくなっています。
ですから、「ありふれたもの」というより、「奇想天外なもの」でしょう。
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