民主党はワンボイス主義を=金融政策論議で考える党戦略
 本日、民主党の古本伸一郎議員が衆院財務金融委で日銀幹部を参考人招致。金融政策で質問を行った。「日銀は政府・与党に抑圧された存在」と位置付けて利上げを催促する例の臭いパターンかと思いきや、すげえまともだったじゃないですかあ。雨宮企画局長にもっぱら数字確認を求める質疑は「もったいない」とは思ったが、「利上げ→預金利息増大→消費拡大」というトンデモ利上げ論をぶったぎる形の質問には久々に好感を持った。要約すると以下の内容。
 「預金の利息で食える人は一握り、いや一粒だ」
 「(利息で食えるのは)超リッチな人だけじゃないのか」
 「ちょっと金利引き上げたって、スズメの涙の利息がモズの涙になるようなもんだ」 
 「住宅ローンを背負った家計には(利上げは)打撃じゃないのか、どうなんだ」
雨宮局長、住宅ローンのある家計が圧倒的に債務超過である数字を示したうえで、利上げが負担増加になると答えてましたな。もっとも、政策判断は経済全体を踏まえたものであるとの前提付きであったが。
 私は当初、「預金金利を上げれば消費が増えると思っているバカな中央銀行ではない」ことをアピールするために日銀が古本議員に上記質問を頼んだのかなと勘繰ったほどで、それぐらいまともでしたね。一般的に、国会での金融政策論は筋のおかしいものが多く、最近良くあるのは①低金利で預金者が犠牲になっている(トンデモ預金金利引き上げ論)②円安大変だ大変だ論(円キャリー誇大妄想派)③摩訶不思議・美しい金利論(佐藤ゆかり議員の専売特許)-など。消去法として、自民党・山本幸三議員(閣僚なので今は出番なし)のようなリフレ派の主張がロジック的に筋が通る存在となっている(私はリフレ派のロジックに同意しないが、筋を通した主張であるのは認める)。
 民主党の経済(特に金融系)戦略は、個人的には政府系金融機関(含む郵政)などの主張(国営のまま縮小)は支持できるが、金融政策については①独自のポリシーがない(与党に抑圧された日銀という対抗戦略のみ)②トンデモ系の利上げ論が横行-しているという印象だ。特に、日銀を与党に抑圧された存在とみなす戦略は、仮に与党になれば日銀を抑圧するのが見え見えで、薄っぺらな感じである。従って、金融政策で論戦を挑むなら唯一まともな古本議員のワンボイスにする(またはその主張にそろえる)のが対与党戦略上はいいような気がする。
 もっとも、基本的には与野党とも金融政策はさほど重要ではないのだろうな。選挙受けしそうもないしね。
 
by bank.of.japan | 2007-06-13 22:34 | 日銀 | Comments(32)
Commented by すなふきん at 2007-06-14 08:50 x
前々から疑問に思ってたのはbank.of.japanさんご自身が「リフレ派ではない」と公言されてることですが、エントリ内容はリフレ派から見てもあまり違和感がないように思えるんですが。どこらへんがリフレ派との相違点なんでしょうか?
Commented by 爆笑 at 2007-06-14 09:15 x
>摩訶不思議・美しい金利論(佐藤ゆかり議員の専売特許)

爆笑してしまいました。佐藤議員ご本人も、まさか本当に「美しい金利」というものがあると思っておられるわけではなく、「あるべき金利水準とはどのようなものか」ということを、現政権のキャッチフレーズをもじって言われているだけだと思うのですが(本石町さんはそんなことはわかった上でのご発言だとは思いますけれども)。
ただしかし、国権の最高機関たる国会審議でバーナンキが見たら椅子から転げ落ちそうな議論がほとんどというのは本当に笑えないですね。既にバーナンキに日銀の「審議委員は一人を除いて・・・(省略)」と言われてしまった我が日銀ですが、神聖なる国会での審議が「オレ流金融政策論」のオン・パレードになってしまっているのは本当に嘆かわしい限りです。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-14 19:06
すなふきんさん、どうもです。疑問に思われるのは分かります。簡単に説明すると、リフレ派の方々は、金融政策の景気・物価への効力は高いとの立場で、量的緩和の解除・利上げを批判するのに対し、私は効力は高くない(量的緩和はほとんど無意味)との立場です。それでも日銀に批判的なのは、景気判断が楽観的で、利上げが結果として間違うリスクがあると思っているためです。また、ロジックの不整合、弱点なども批判対象となります。ただ、いずれにせよリフレ派も私も根拠は違えど利上げには批判的である、という点は共通します。同床異夢の批判者ということでしょうか(笑)。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-14 19:13
爆笑さん、どうもです。ウケてもらってありがとうございます(笑)。海外の中銀関係者が国会の金融政策論議を聞くと、確かにノケぞってしまうでしょうね。自民党にリフレ派の論客が多いのなら、民主党は実務的な見地で対抗戦略を練る(この辺は大塚・津村という日銀出身の議員がいる)のがいいかもしれません。ところで、佐藤ゆかり氏は「目を見ると吸い込まれる」ので、目を見るなと言われるらしい。本当?
Commented by 通行人 at 2007-06-14 21:40 x
>「目を見ると吸い込まれる」ので、目を見るなと言われるらしい。

表面を鏡面に磨き上げたイージスの盾を持って、そこに映った姿を見れば・・・
Commented by ニセ佐藤ゆかり at 2007-06-14 21:43 x
皆様、はじめまして。ニセ国会議員のニセ佐藤ゆかりでございます。

で、bank.of.japan さま、本当らしいです(笑)
実例
http://blogs.yahoo.co.jp/p_yukari_sato/folder/865069.html
では。
Commented by 飛車 at 2007-06-15 00:48 x
>>本石町日記さん
その説明だと、本石町日記さんは利上げの効果を疑っている=金融引き締めも効果が無いと考えている事になります。そうなると、中央銀行はインフレ率のコントロールができないという、それこそ日本でしか聞かれないトンデモ説になってしまいます。
今までの議論の中で、僕は「期待のコントロールは不可能であり、ゼロ金利になってしまった以上、日銀にできることはない」というスタンスだと理解していましたが、間違っています?
Commented by deep throat at 2007-06-15 03:25 x
大塚センセイ・津村センセイには、ぜひ、日銀関連企業のときわ総合サービスの話題や、共済会をめぐるオカネの流れなどを突っ込んで頂きたいですね。特殊法人のファミリー企業や、地公体の共済会の実態など、同じような話題で突っ込まれている話は世間にいくらでもあるのですが、こと日銀に関してはこうした「浮いた」話がありませんね。
センセイ方は、このあたりの実務はよくご存知のことと思いますので。(知っているから突っ込めないというカラクリなのでしょうか。)
Commented by 梅雨の晴れ間 at 2007-06-15 11:27 x
佐藤ゆかりは泣き落としがお得意だしいですよ。
一度だけ雑誌に載った昔の写真を見ると、はれぼったい目を
しているんですけどね。
まあ、整●疑惑はこのブログには無関係ですから。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-15 20:00
通行人さん、どうもです。何となく分かります…。

ニセ佐藤ゆかりさん、どうもです。 本当なんですね(笑)。

飛車さん、どうもです。さすがに利上げの影響力は認めますが、それでもこれまでの引き締めが景気を腰折れさせる、とはみていないです。あと、金融政策の物価をコントロールする精度は相当にラフじゃないかという気がするんですが。こんなこと言っていると、日銀イラネとなって、顰蹙買いそうです(笑)。

deep throatさん、どうもです。その方面は私も不案内ですね。センセイ方に期待したいです。というか、マニアネタだと大久保先生の出番かな?

梅雨の晴れ間さん、どうもです。そうなんですかあ。
Commented by 飛車 at 2007-06-16 13:29 x
こういうのは、言い合いをはじめるといくらでも可能ですが(^^;

物価をコントロールする精度はラフであるが故に、一般的に物価上昇率は1~3%と±1%のバッファが認められている。そこから10年以上逸脱し続けている日銀のパフォーマンスは低すぎるとは思いませんか?

ちなみに、マネーサプライ成長率はやっと回復してきましたが、昨年の量的緩和解除でへっこんだ分を未だに回復できていません。これはすなわち、量的緩和解除が無ければもう少し景気が良い状態を実現できたという事ではないかと思います。こういうのを、「機会損失」と言いまして、見掛けは損をしていないように見えますが、実現可能だった利益が未実現だったという点では明らかに損失です。
Commented by 飛車 at 2007-06-16 13:32 x
という2点が、恐らくリフレ派と呼称される人と、本石町日記さんのスタンスの違いだと思われます。

僕はリフレ派というネーミングが良くわからない面がありまして。だって、インフレ率が3%超えそうになったら、「即刻利上げしろ」と主張するわけですから。でも、その時は今構造改革大好きと言っている人は、「利上げなぞしたらバブル崩壊するぞ!」と大騒ぎになるでしょうね。個人的には、主観(プレイヤー)派と客観(オブザーバ)派で分類した方が良いのかなと思います。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-16 20:16
飛車さん、どうもです。確かにきりはないです(笑)。パフォーマンスは結果として低過ぎると思います。量的緩和の解除がなかった分の回復度はちょっと同調できないのですが、ゼロ金利を続けていたら多少はあったかな、とは思います。リフレ派の定義として、私はやや雑なくくりですが、「金融政策で物価を押し上げることができるとの立場」と考えているのですが。どうでしょう。高いインフレを利上げで抑制するのは日銀も「リフレ派」も同じだと思います。
Commented by 飛車 at 2007-06-16 23:13 x
主観派は日銀じゃありませんね。毎日新聞みたいな人たちのことです。
日銀はインフレファイター派に決まっているじゃないですかw
Commented by おおお at 2007-06-18 01:46 x
本石町日記さん

>リフレ派の定義として、私はやや雑なくくりですが、「金融政策で物価を押し上げることができるとの立場」と考えているのですが。

これでは、ほとんどすべての人が「リフレ派」になってしまいますよ。

この定義での「リフレ派」でない人は、「金融政策で物価を押し上げることができない」と考えますね。ということは、「金融政策で物価を押し下げることもできない」と考えるはずですね。そうだとすれば、金融政策は物価に無力ということですね。
そうなら、世の中に中央銀行が不要になってしまうでしょう。

ちなみに、日銀は、この定義での「リフレ派」だけど、物価を押し上げることを「しない」ということですね。
実際、物価が上がりそうになると、金融引締めしていますからね。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-18 19:23
おおおさん、どうもです。すみません、くくりが雑過ぎましたね。金利がゼロになった後、マイナスになった物価を能動的に押し上げることができない(含む量的緩和)、でしょうか。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-18 19:24
続き。
>実際、物価が上がりそうになると、金融引締めしていますからね。
これはそうですね。
Commented by 飛車 at 2007-06-18 19:41 x
という事は、バーナンキの背理法を信じる人がリフレ派という事でしょうか。あれを否定するのは相当難しいと思いますが。

P.S.
「金利がプラスの間は、マイナスになった物価を能動的に押し上げることができる」なんて意味ではないですよね?
Commented by bank.of.japan at 2007-06-18 20:30
量的緩和では物価は押し上げられない、ということですかね。ところで、
psの部分ですが、小林慶一郎氏が16日付の朝日朝刊(けいざいノート)で、デフレ脱却のために金利を上げる、ことを考えるべきでは、と書いておられました。どういうことでしょうかね。
Commented by 飛車 at 2007-06-18 22:42 x
それで外為介入経由のヘリコプターマネー政策に好意的な言い方になるのですね。一方でリフレな人って外為介入だろうとヘリマネだろうと財出だろうと何だって効果はある奴ならやれば良いというスタンスの人の方が多いと思います。その中で、あれは効果が薄い、これはレント問題がある、こいつは財政赤字じゃ政治的に無理などを理由に、捨てる政策が各人違うだけで。

P.S.
PSの部分は糊代論ネタです。
小林慶一郎氏のネタは、どんな理由が書いてありましたか?
Commented by bank.of.japan at 2007-06-19 20:40
円安を企図した外為介入による量的緩和でしょうか。中原伸之元審議委員が一時提案してました。日銀がやった量的緩和は日銀的には「(不健全な政策に突入しないですむための)時間稼ぎができた」というものだと思います。
 小林氏の主張は、私には難しくて理解できなかったです(笑)。「需給がバランスしている状態でデフレ続いている」、これは「低金利が続くという期待がデフレを再生産する」というものですが…。「現実感は乏しい」と前置きしているので、真剣な提案ではないかもしれませんが。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-19 20:43
小林さんのネタは、愉快痛快(^_^)奇奇怪怪さんのブログを参照した方がいいかもしれません。http://d.hatena.ne.jp/yumyum2/
Commented by 飛車 at 2007-06-20 00:55 x
読みましたが、2002年頃の状態を「長期的均衡状態であり、その間経済構造の変化すらなかった」とするアドホックな仮定に全てをかけた議論を展開されているようで。僕なら見なかった事にします。
Commented by 飛車 at 2007-06-21 21:28 x
>>本石町日記さん
ところで、インフレ率が正になった暁には、インフレ率の低下(下限である1%突破)に対して利下げや量的緩和で押しとどめる事はできると思いますか?
Commented by bank.of.japan at 2007-06-21 21:37
飛車さん、どうもです。小林さんの主張は忘れます(笑)。上昇した物価が再低下して、1%を割るとき、という前提ですね。うーん、微妙です。できるかも知れないし、できないかもしれない。そのときの金融緩和に企業・家計の資金需要が刺激されるかどうかは、やってみないと分からない、というのが正直なところです。
Commented by 飛車 at 2007-06-22 22:01 x
やり方次第という面もあるのですがね。too little, too lateじゃあぜんぜん効果出ませんので。

たとえば、デフレ傾向にあるときに、消費者側の値ごろ感に追従して値下げをしていっても、購買意欲はかきたてませんよね。一気に、消費者がびっくりするほど値下げをするからビッグサプライズになって売上アップにつながるわけで。日銀の利下げも同じようなところがあります。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-23 21:35 x
フォワードるっキングに利下げし、アナウンスメント効果を最大限狙ったやり方ですね。日銀にできるでしょうかね(笑)。
Commented by 飛車 at 2007-06-24 09:45 x
バックワードルッキングでも大丈夫ですよ。下限突破しそうな時にアリバイ作り程度の利下げしなかった一方、デフレがやっと回復しそうになると前のめりに利上げしていくことをもって批判しているのですから。

昨今の利上げだって事後追認と言いきれば良いのに、変にフォワードルッキングなどと理屈をこねるでしょ。本人はコミュニケーションのつもりだろうけど、相手の反論を聞かなくて済む立場の人が、単に一方的に言い訳を積み重ねているだけなんじゃないの?と思ってしまうわけです。

ともあれ、できない日銀を許してしまう温情の持ち主が本石町日記さんだとすると、僕らはできないんなら辞めて頂戴となるわけです。ここが違いですかね。
Commented by 縦横無尽? at 2007-06-24 13:34 x
リフレ派だか何だか知りませんが、もう少しだけ勉強して下さい。
縦横無尽、速達即配は結構ですが、実情を把握するためには、
皆様が好む座学だけで上手くいくとは思いません。少なくとも、
private sectorの価格設定行動についてリサーチした上で発言
して頂きたいものです。GDP2位の国でこのような稚拙な議論が
展開されていることが、個人的には大変恥ずかしいです。
Commented by 通りすがり at 2007-06-25 10:06 x
1.勉強してください(決め付け)
2.座学だけでは上手くいくとは思いません(言い訳)
3.リサーチした上で(論点そらし)
4.このような稚拙な議論が・・・恥ずかしい(罵倒・決め付け)
偉そうだけど中身がない典型的なチラ裏ですね。まるでコミュニケーションを拒絶しようとしているかのようです。

このように捉われるのは本意ではないでしょう。ここは民間部門の価格設定行動と、それが金融政策に与えるインプリケーションについて説明すべきです。是非高説を賜りたいものです。
Commented by 人様のお庭で at 2007-06-25 10:16 x
喧嘩イクナイ。。。コミュニケーションの苦手な日本人。。。
Commented by 飛車 at 2007-06-25 17:30 x
あれれ。

>>縦横無尽?さん
「あてにならない実情を手間隙かけて把握し、説明に窮して意味不明の対話をした上で、ミスを連発するくらいならCPIだけで考えれば良いのでは?楽になれますよ。」と、周囲に言ってもらっていると理解していただければ幸いです。
<< 「一部地価を副次的要素として考... マクドナルドの地域別価格は… >>


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