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川崎市の言い分は…=「第二の柱」の普及が垣間見える
 本日の日経金融新聞(一面)に地方自治体のデリバティブ利用に関する記事があった(マスコミ的には難しいネタだが、マニア的には面白かったですよ)。この件では以前害債さんTori Boxさんらが取り上げており、ここで改めて論評を加えることはないのだが、記事に登場した川崎市の言い分はかなり興味深いと感じた。
 まず、デリバティブを応用した資金調達とは、2-20年のスプレッドが0.75%以下になると、支払い金利が急騰する仕組み。フラット化するとヤラレるのだが、川崎市の説明を要約すると、①フラット化は日銀が景気過熱を冷やす利上げをしているため②そのころ(ここの部分は分かりにくい)は税収も多いし、借り入れ金利も高いはず-というもの。
 もとより、日銀の利上げは「第一の柱」(持続的成長・物価安定が見込める)に基づくもので、景気過熱を冷やすものではない。強いて言えば、景気過熱は「第二の柱」のリスク要因の一つで、しかもそのリスクは「蓋然性が低い」と日銀は位置付けている。
 私は川崎市の言い分は金融政策的に間違いだと言うつもりはなく、むしろ「第二の柱」の普及度合いが垣間見えたと受け止めている。既に何度か取り上げているように、利上げの理由としてはマーケット的にも世間的にも「第二の柱」が普及しており、そのことが川崎市の言い分にも反映されている、というわけだ。
 心配なのは、「日銀って景気過熱防止の利上げしているんだろ、でもゆっくり利上げすると総裁は言っているから景気は吹いちゃうかもね、フラット化でヤラレても税収増大してるだろうし、そのときには金利も高いから、結局はいっしょだよ」という楽観論が蔓延し、デリバティブの応用が広がってしまうこと(そうはならないと思うが)。
 トリガー系デリバティブは意外に簡単に引き金(トリガー)引かれちゃうリスクがあり、ピストルでロシアンルーレットやっているイメージだ。為替・金利のダブルトリガー物は両手にピストルのロシアンルーレットかもしれない。私のブログは、地理的にはかなり広範囲の地公体からアクセスがあり、やるやらないはみなさんのご判断ながら、問題意識を少しでも高めたいという気持ちで本エントリーをアップいたしました。余計なお世話であれば、ご放念を。

ps 日銀は地公体向けの対話も強化した方がいいと思ったが、いかが。地公体の方も資金調達上、金融政策が非常に重要であるなら、地元の日銀支店長にどんどん聞きましょう。埒があかないなら…。うーん、困ったねえ。
by bank.of.japan | 2007-06-07 22:13 | マーケット | Comments(17)
Commented by luke at 2007-06-07 22:40 x
リスクをヘッジせずそのまま取っちゃうんですか。それは何ともギャンブラーですねえ。自分の金ならともかく…
Commented by 地方自治 at 2007-06-07 23:38 x
金融・財務・会計・法務ってゼネラリスト中心の地方自治体にはほとんど専門家なんていないんですよ。多くの中小企業にそっくりそのまま当てはまることでもあるんですが・・・ここでもまた「専門家のいない日本の組織」といういつもの話になってしまうんですが。少し詳しいくらいじゃ使い物にならないんですけどね。。。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-08 01:02 x
lukeさん、どうもです。金利差と為替の両方にトリガーがある場合、日銀が利上げ路線を進めると、弾が二発入ったロシアンルーレットのようで…。普通にストレートで長期債出し、そのコストを考えて財政収支考えるのが無難のような気がします。

地方自治さん、どうもです。金融面で自由化すると、ユーザーはカモがネギしょった形になりやすいので、金融の基本教育(簡単なもの。うまい話には裏がある、など)が必要でしょう。難しい理屈は必要ないです。分からないものは手を出さない、とか。調達コストの引き下げは、財政そのものの健全化である、とか。専門家がいない場合は基本的なことを心がけるしかないような。
Commented by 安倍内閣 at 2007-06-08 06:24 x
大手新聞社の世論調査でここまではっきり「過半数割れを望む」世論が出るとは正直意外でした。世論は、急激に安倍内閣に対する態度を変え始めています。何か、橋本政権の消費税問題を思い出します。決して踏んではいけないものを踏んでしまった気がするのは私だけでしょうか。

<7月の参院選の投票先については、選挙区では自民、民主両党が25%で並び、比例選では民主党が24%で自民党は22%だった。参院選の結果、与党の議席が「過半数を下回る方がよい」は49%で、「過半数を維持する方がよい」32%を上回った。>
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070608i101.htm?from=rss
Commented by 某自治体財務担当 at 2007-06-08 07:47 x
金融の専門家が自治体にはいないのはそのとおりなのですが、
だからといって10年固定(3年据え置き半期3%償還)で地元
地銀から借り入れといった旧態依然の資金調達ばかりしているのも
いかがなものかと。

しかし、
>私のブログは、地理的にはかなり広範囲の地公体からアクセスがあり

これは一昔前なら考えられないことです。(一昔前に本石町日記のようなブログ(じゃなくても何かの連載でも)があったとしても。)

私も当初からずっとROMさせていただいて、勉強させていただいていますが、同じような自治体職員は多いと思います。
bank.of.japanさんは総務省地方債課や地方債協会から表彰されてもおかしくないくらいかと。
Commented by この道20年 at 2007-06-08 08:45 x
デリバティブのついた債券は海外からの購入が多い聞きます(勿論こちらはヘッジをかけてるとか)。ならば同じく需要のある物価連動債を海外投資家向けに発行すればと思うのですが。CPIの問題はあるものの税収との相関を考えるとデリバティブ付きやストレート債よりよっぽどリスクは少ないですからね。
Commented by PK at 2007-06-08 10:07 x
財務省の為替介入に関して、名目GDPの10%程度を基礎的保有残高とし、一人当たりGDPを先進国水準のちょっと上あたりに合わせるように目標レートを決め、為替が急激に上昇する場合には大量買い介入、現在のように円安に進むなら、企業行動で対応可能な5年間で前回30兆円分を売り介入するダーティーフロー制にすべきだ。二ヶ月に1回1兆円づつ売り(グリンスパンの0.25%操作を見習って)ペースを調整するような。
Commented by システム5.1 at 2007-06-08 10:19 x
正直申すと今回のエントリーは??????????です(笑)。
Commented by 飛車 at 2007-06-08 15:11 x
>10年固定(3年据え置き半期3%償還)で地元地銀から借り入れ

今なら正しい判断かもw

オプションを全部はずして、最終的にTOBORなどの調達金利にどれくらいのスプレッドをつけているのかを裸にしてもらって、見かけの金利ではなく実質的な得失の判断をしたいなぁと常々思っています。
Commented by 害債 at 2007-06-08 15:41 x
トリガー系のものについては、オプションセオリーからみちびかれる自己実現的な性質がありまして通常のものよりも近づくにつれて「吸い寄せられる」ことが多いと思われます。この辺のコスト計算が予算措置にどのように反映されているのか、あるいは反映されていないのか、住民として興味あるところではなかろうかと思います。
いずれにしても、発行サイドがどうして現状の金利ではご不満なのか?バーゼルIIにおける有利な扱いによってスプレッドも有利に発行できるし買い手にも困らないのに、発行体として何がご不満なのか、という疑問が消えません。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-08 21:36
安倍内閣さん、どうもです。年金問題の影響が大きいのでしょう。政権の起死回生の策、何かあるんでしょうかね。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-08 21:45
某自治体財務担当さん、どうもです。自治体さんの財務状況にもよるでしょうが、銀行は全般に運用難ですので、地公体向けの貸し出しは積極的ではないかと思うのですが、そうでもないですかね。個人的には、地方銀行は地元と運命共同体(暴論かもしれません)なので、旧態依然の地銀からの借り入れでいいんじゃないかと考えます。アクセス解析すると、地方公共団体から薄く広く読まれているので、私としても有難いことです。今後ともよろしくお願いします。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-08 21:48
この道20年さん、どうもです。面白いアイデアですね。ただ、日本の低い物価上昇率(足元はマイナス)でニーズがあるのか、なかなか私には判断がつかないです。

PKさん、どうもです。ご指摘の手法で果たしてフロート管理できるか。結構難しいかもしれません。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-08 22:04
システム5.1さん、どうもです。?が多くなってすいません、努力します(笑)。

害債さん、どうもです。昔為替を見ていた頃、トリガーポイント前後で複雑な攻防戦がみられたました。ある銀行は意図的にトリガーを引きにいった、といわれ、引き寄せられるというのは分かります。地公体がこの手の商品に惹かれる理由は確かに謎ですね。私も同じ疑問を持ちます。
Commented by 円は強い子 at 2007-06-09 14:16 x
今だってドル円では強引にトリガーを引きに行きますよ。
その動きを見ている筋が追随する以上、かなり強引であってもそれを
防衛することは不可能であるかと。そもそも地方公共団体はトリガー
防衛なんてしないのだから、完全にお客様でしょう。
そんな変なもの買うのなら、もっと自分に都合のいい商品を考えて
それをどこかに個人にでも売りつけろよと思う。買うとか絶対にアリエネ。
Commented by luke at 2007-06-10 16:04 x
よくわかってませんが、オプション系の商品を売り付けた側が、直物や先物の組み合わせを動的に変えて自分のポジションをニュートラルに保とうとすると、トリガーあたりでは引きにいく方向のマーケットインパクトを与えて、それが「市場操作じゃないか」と問題視されたことがEB債なんかの時もあった気がします。

いずれにせよ売りつけた側は反対ポジションをとるはずなど無く、ニュートラルに保ってなおかつ十分にうまみのある手数料がとれる商品なのでしょうね。

ということは、地方公共団体にとって決して得な商品じゃないんだと思いますが。
Commented by bank.of.japan at 2007-06-11 18:59
円は強い子さん、どうもです。なるほど。やっぱりそうなんでしょうね。地公体は、トリガーが引かれるのを黙って見守るしかないですね。残念ながら。

lukeさん、どうもです。デルタヘッジ操作が恣意的だと問題視されたことが確かにありました。ご指摘の通りに、売りつけた側の手数料は相当なもので、トリガーが引かれさえしなければいいのですが、その確率はどうなんでしょうね。かなり低いのでは。
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