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植田東大教授(元日銀審議委員)の主張は分かりやすい=追加あり
 あまり時間がないので、とりあえず簡単に書きます。本日の日経新聞に掲載された植田和男東大教授(元日銀審議委員)のインタビュー記事は良い。詳しくは記事をご参照頂くとして、私は植田教授の見解に同感である。特に①第二の柱を日銀が強調し過ぎたこと、そしてそのリスクを②物価安定の下限で強調するのは理解しにくい-というのは激しく同意です。
 それと「過熱は危ないから嫌だという態度を貫き過ぎると結局物価が上昇せず、一種の罠に陥る」との部分、“バブルになるぐらいなら不況の方がましだ”というメッセージになってしまうわけだが、さすが植田先生、スマートにお答えになる。ところで、このインタビュー、日銀関係者にもウケがよろしい感じだ。総裁待望論が根強いわけである。
 あっという間にたくさんのコメントを追加で頂きました。一つ一つに答えるのは難しいので、もっぱら私向けと思われるご質問から主なポイントを箇条書きにして、この場で対応します。
・飛車さんの「日銀の政策運営に隠されたインセンティブが何かあるんじゃないかと思うのですが、それが良くわからない」とのご指摘について。
 私は、日銀が何かインセンティブを隠し持っているとは思わない。むしろ、そういう風にみられてしまうのが問題ではないかと。日銀は量的緩和解除時に比べるとかなりタカ派度が弱まっているが、表面上は分かりにくい。日銀も官僚組織である以上、スタンスの振れを嫌う。この結果、ヘッジの多い表現が多く、わかりにくいメッセージになる。「景気も加速感が思ったほどないんだよね、物価指数も読みを外しちまった、ゴメンな。もっとゆっくり利上げするかさあ」とでも言えばいんだろうが、そういう声明は政策委の合意が得られない。困ったものだ。
・ただのとおりすがりさん そういう批判があって当然かもしれない。ある意味、量的緩和の解除が早過ぎた可能性もあるわけです。
・超右翼さん 資金循環&ケインジアン的なアプローチはかなり同調できるところが多いです。ただ、金融緩和したって意味ないとのスタンスを取りきれなかった日銀自身が、金融緩和で頑張る姿勢を見せた以上、財政の出番だとは言えないのだろうと思います。むしろ利上げで財政規律を正すみたいなメッセージ出してますしね(笑)。
・dellさん ご指摘のような反論がなぜ出てしまうのか。そこが日銀の対話がうまくいかないところであろうと思います。どういう風に受け止められるのか、特にマスコミを通じた情報発信は「見出し」がすべてですので。情報戦略はもっと考えた方がいい。
・Teddyさん 「利上げで個人消費が増えるという謬見がなぜまかりとおるのか」は私にも謎です(笑)。循環的な下降が目前でないことを祈るしかないすね。
・通りすがりさん バブル崩壊以降の成長期待の消滅。今でも余韻があるからでしょう。だから植田教授の言うように「経済をふかす」というメッセージが重要と思います。
・ただのとおりすがりさん 言わんとされるのは理解できます。もっとも、失敗かどうかの判断はこのブログではまだしも、世の中はどうみているのか。国会ではむしろ野党が日銀応援の側です。困ったもの。
・↑平仮名のみ何の意味があるのさん なかなか良いポイント突かれましたね(笑)。
by bank.of.japan | 2007-05-28 18:59 | 日銀 | Comments(47)
Commented by ファルマコン at 2007-05-28 21:08 x
私も植田教授が次期日銀総裁になる可能性はあると思いますし、物価安定の下限で利上げすることが分かりづらいことは理解できます。ただ、「
バブルになるぐらいなら不況の方がましだ」というのはバブルの意味を取り違えていると思いますよ。「バブル=その後の不況」だと考えるべきではないでしょうか?半年に1回ぐらいゆっくり利上げして、潜在成長率よりちょっと低めのところで緩和スタンスを維持すれば、さすがにデフレに陥ることはないと思うのですが、本石町日記さんはそんなに(ゆっくりとちょっとでも)利上げしたら日本経済はやばい状態になると思われますか???
Commented by dell at 2007-05-28 21:49 x
>「バブル=その後の不況」だと考えるべきではないでしょうか?

それはプロパガンダに騙されていると思います。
80年代の好況が「バブル」だったとして、それを弾けさせた後の不況がこれほど深刻で長期でなければならなかった必然性は全くありません。「バブル」崩壊後の不況が深刻かつ長期にわたったのは、いまだに羹に懲りて膾を吹いて緩慢な金融緩和と早急な利上げを続けた日銀の政策ミスの結果に過ぎません。

>利上げしたら日本経済はやばい状態になると思われますか???

デフレの現状は世界に例をみないヤバイ状態ではないでしょうか?
デフレはたいした問題ではないとでも考えているのですか?
デフレの危機ともなれば、なりふり構わず大胆に金融緩和してデフレだけはなにがなんでも回避するというのが世界標準ではないですか?
Commented by 通行人 at 2007-05-28 22:30 x
>半年に1回ぐらいゆっくり利上げして、

これは引き締めスタンスといいます。

>潜在成長率よりちょっと低めのところで緩和スタンスを維持すれば

これは緩和スタンスですから、利下げするということですよね?

両者は並存できませんので、この文は一見もっともらしいけど、
実現不可能というか、自己矛盾しちゃってるわけです。
厳しい人が相手なら、頭を空けて誰かに見てもらえといわれます。
Commented by 芋焼酎 at 2007-05-28 22:48 x
ファルマコンさんのご意見に私は賛成です。
皆さん、(ファルマコンさんの言葉をかりれば)ゆっくりとちょっとでも利上げしたら日本経済はやばい状態になると本気で思われているのですか?
また、記者会見や講演等の内容を読む限り、福井総裁は日本経済をぶち壊すほど利上げをしようなんて意図は私には全く感じられません。持続的な経済成長軌道をたどる蓋然性が高く、かつ、経済・物価情勢の度合いに応じて利上げを行うと言っているのですから。つまり、経済がこけそうになったら利上げはしませんって言っているわけですよね。むしろ、そういった状況になれば、福井総裁はなりふり構わず大胆に金融緩和をすると思いますよ。
Commented by dell at 2007-05-28 23:05 x
>皆さん、(ファルマコンさんの言葉をかりれば)ゆっくりとちょっとでも利上げしたら日本経済はやばい状態になると本気で思われているのですか?

デフレであると言う現状は既に十分やばい状態だと思います。
むしろ、デフレがやばいという当然過ぎるくらい当然な認識が必ずしも共有されていない現状に非常に危機感を覚えます。
「良いデフレ」などという日銀のプロパガンダもありましたが、ちょっと思考がデフレ慣れし過ぎてませんか?
Commented by bank.of.japan at 2007-05-29 00:25 x
みなさん、またまた多くのコメント多謝です。ここで私の考えを改めて申し上げるなら、①現状程度の利上げが日本経済をヤバクするとは思わない②しかし、経済の先行きは誰にも分からず、アップサイドよりダウンサイドのリスクが大きく見える④ダウンサイドのリスクが実現したら日銀の利上げのせいになる(結果責任を負う)-従って、私は植田教授の言うようにアップサイドリスクを許容する利上げ路線が望ましいと思います。なお、芋焼酎さんがご指摘されるように、日銀は経済をダメにするために利上げをするつもりはなく、経済が良くなるという前提での利上げ路線です。もっとも、経済が良くならないリスクもあるわけで、それを過小評価しているように見えるロジックがいかがなものかと思います。
Commented by 飛車 at 2007-05-29 01:37 x
>ファルコマンさん
潜在成長率ターゲットを主張されているようですが、
1.潜在成長率は過去の基準年のGDP成長率からの乖離として計算され、基準年が変わればギャップ幅は変わる。よって、「ギャップが小さい状態」なんて誰にもわからない。
2.潜在成長率は天与のものではなく、マクロ環境で変わる可能性がある
3.潜在成長率は事後的に推計するしかなく、タイムラグが大きい
4.政策変更の効果がGDPギャップに現れるまでのタイムラグも大きい
この4点から、金融政策運営の指標とするのは不適切だと思われます。

>デフレに陥ることはないと思うのですが

まだデフレです。既に利上げした行為と「物価無視の説明」で意図せざる(意図してるかも知れないけど)デフレターゲットとして機能してしまう可能性があります。

最近では、期待のオーバーシュート抑止は「宣言」で行う傾向が強いようです。「物価誘導目標の2%を超えてオーバーシュートしやがったら即刻利上げしやてやるぞ」と宣言して、もし超えたら即時実施することですね。下手に手前からブレーキをかけると、目標インフレ率に到達するまでの時間が延びます。つまりデフレ脱出が遅れます。
Commented by 飛車 at 2007-05-29 01:37 x
>>本石町日記さん
日銀は経済が良くなるという前提で利上げしているといいますが、こう何度も日本経済の成長力を楽観方向にはずしていると、しかも状況証拠は揃っているのに無視していると、その判断には何がしかのバイアスがあるのではないかという疑念を抱かざるを得ないんですよね。
日銀の政策運営に隠されたインセンティブが何かあるんじゃないかと思うのですが、それが良くわからないんです。
Commented by ただのとおりすがり at 2007-05-29 01:42 x
これまでの金融政策を評価すればいいのではないでしょうか?
2006年度のデフレが脱却できなかっただけで、「やばい」でしょう。
OECD国中ビリの名目成長率は「やばい」でしょう。
株価の出遅れも「やばい」でしょう。
Commented by 飛車 at 2007-05-29 01:43 x
>>ファルコマンさん
すみません1箇所修正します。
>1.潜在成長率は過去の基準年のGDP成長率からの乖離として計算され、基準年が変わればギャップ幅は変わる。よって、「ギャップが小さい状態」なんて誰にもわからない。

「ギャップが小さい状態」は、結局のところ物価上昇率や失業率から推定するしかありません。3~4の問題も含め、消去法で選ばれているのが速報性の高いCPIです。より正確だと言われるGDPデフレータですら、速報性が低い&速報値の誤差が大きいという理由で却下されています。
Commented by 超右翼 at 2007-05-29 07:07 x
一連の金融緩和(ZIRP、QE)は景気回復に寄与したか?はなはな疑問だ。マネーサプライを見るかぎり金融安定化と一部の借金漬け企業の延命以外何の効果なかったような気がする。96年ぐらいからゼロに近い金利になっていたが、資金循環統計上での民間法人部門の資金余剰は高まり続け、これを要約すれば「ゼロ金利なので、預金する(借金返済を急ぐ)」というわけわからん現象が続いてきたわけだ。本当に金融政策が重要であったなら、このような結果にはならなかったろう。

Commented by 超右翼2 at 2007-05-29 07:08 x
資金循環のみで考えれば、需要は国にしかない(国が唯一の借り手
)なわけだから、金利が上がれば利払い分だけ自動的に需要が増えるわけだ。福井総裁は前回の会見で家計の利子所得に触れた。96年の19兆円から昨年は3兆円未満にまで減少してるらしい。これでもまだ「利上げで個人消費失速した」なとという政治家がいるだろうか。これを言われて選挙前に明らかに利上げに異議を唱えられる人は殆どいないだろう。

Commented by 超右翼3 at 2007-05-29 07:09 x
循環統計は国内に政府以外の資金需要が未だないことが明示している。無い需要を金利でコントロールしようというのがまず間違いだ。低実質金利化で活発化するのは資産投資のみで、放っておけばいづれモラルハザードを起こす。しかし資産価格の上昇は国内需要の創造に殆ど寄与しない。このことろ民間法人の余剰は幾分減ったが未だ資金余剰であることに変わりは無い。それどころかそれ以上に政府の不足の減少ペースが速いことは問題だ。少なくても民間法人部門の余剰が不足に変わるまでは、政府部門が代わって需要を造り続けることこそが重要だ。つまり効かない金融政策より財政だ。財政を過度に緊縮にさせないよう、予想を大きく上回る歳入増に対しては時限的な歳出増で望むべきだ。その際金利は資産投資にモラルハザードが生じず、家計部門に過度の負担を強いない潜在成長率の手前ぐらいまでは正常化させるべきだ。
Commented by 超右翼締め at 2007-05-29 07:12 x
日本経済が見た目以上にしっかりしないのは国内需要の根本的な減少に目処がつかないからだろう。循環的な問題はあるが強い世界景気や世界鉱工業生産という「漁夫の利」的な外需の恩恵で全体のギャップはプラスになってるが、その外需依存度は高まっている。円安への依存も高まっており世界の目も中国元から円に向きつつある中、ずっと外需にオンブニダッコというわけには行かない。

低金利万能主義的な考えには根拠がない。しばらくは需要創出ではなく需要維持こそが重要だ。
Commented by dell at 2007-05-29 08:25 x
>日銀は経済をダメにするために利上げをするつもりはなく、経済が良くなるという前提での利上げ路線です。

そこですよ問題は。その場合の「経済の良くなる」状態というのはどういう状態なのか。GDPを高めたいなら利上げはおかしい(むしろ利下げすべき)、デフレ脱却をしようというわけでもない(それなら利下げすべき)、となれば、株や不動産などの投資家が多額の「不労所得」を得られなくすることを日銀は「経済の良くなる」と考えていてそのための利上げとしか考えようがないのではありませんか?
もちろん、このような政策は低成長を必然化し、経済のみならず年金、福祉、医療にいたるまで甚大な影響を及ぼしますが、日銀はそのことに思いが及んでいないんでしょうね、きっと。
Commented by Teddy at 2007-05-29 08:50 x
日銀の今の政策運営にはbank.of.japanさんが正しく指摘するように、どちらにいくかわからないということ、時には全く予期せぬショックが襲うこと、に対するリスク・マネジメント的発想が何故か感じられない。植田さんの平明な警告以上の論理を越えるものがあれば主張してみたらいい、と思うのです。あと、利上げで個人消費が増えるという謬見がなぜまかりとおるのか。企業にせよ個人にせよ、(その結果的当否はあるにせよ)借金してリスクをとる行為が経済を引っ張っていくのでしょう?民間法人の資金余剰は、バブルの負の教訓が活きているからで、他人資本をある程度有効に使ったほうがいいということに(集合的に)意識がシフトすれば、自ずと資金需要も出てくる。その前に循環的下降がありえますが・・・外需におんぶにだっことはいかないというのは、(財政・規制環境など他の要因は無視しますが)内需がない以上、そこからのトリックル・ダウンで成長の波及を期待する、金融緩和にはそういうパスもある。それが他国の重商主義的反発を買うので(政治的に)歯止めをかけるのはありうる選択ですが。
Commented by 通りすがり at 2007-05-29 09:00 x
ふと思ったのですが、低金利⇒企業または個人が借金する、、、ということを前提にずっと金融政策を続けてきています。TEDDYさんご意見もそうだと思います。これは経済のごく基本的な前提でもありますが、日本では過去を振り返る限りこれに従っていません。
何か他に問題がるというを部分を考え始めたらいかがでしょうか?
Commented by ただのとおりすがり at 2007-05-29 09:08 x
みなさん(含むbank.of.japanさん)、なぜ、よくわからない今後の話をするのですか?
昨年3月から、金融政策は変わっているのです。
金融政策以外は、マクロ経済政策に変化はないです。
それにもかかわらず、予定されていたデフレは脱却できないわ、名目成長率は先進国ビリで、「やばく」でしょう。
今後の話をするのは、これまでの金融政策の失敗を糊塗します。
Commented by あうとさいだー at 2007-05-29 09:19 x
でふれがながびいているさいだいのりゆうは、きんしゅくざいせいにあるとおもいますが
Commented by あうとさいだー at 2007-05-29 09:24 x
でふれーたーみてもそうですが、ぜんたいではそこそこ、もんだいはないじゅです。
Commented by osome at 2007-05-29 12:56 x
> あうとさいだーさん

では、ないじゅをかくだいするために、ざいせいあかじをもっとふくらませろといっておられるのでしょうか?
内需が伸びない大きな原因の一つに、既に膨大に膨らんだ財政赤字が将来不安を予想させる、ということがあると思うのですが。早くデフレを抜け出して、名目成長率を高めないと手遅れにならないかと心配です。財政出動なしに名目成長率を高めるには、金融緩和を続けるしかないのではないかと思うのですが、ほんのちょっとの物価上昇、あるいは物価上昇の予感がするだけで実際はデフレでも利上げしたがる中央銀行ってのは、まったく・・・・。
Commented by あうとさいだー at 2007-05-29 13:15 x
OSOMEさま、ごいけんありがとうございます。きほんてきにいろんはありませんが、みなさんおなじことをおっしゃるのです。「でふれこくふく⇒きんゆうかんわ」。しかしわたしのようなしろとがみても、かこかんわはさんざんやってきたわけす。しかしまねーさぷらいはげらしつづけているのがげんじょうです。ようはきんりがじゅうぶんにひくくないからでふれなのではなく、でふれなので(ちょうき)きんりがあがらないのです。わたしはざいせいろんじゃではございません。ですが、げんじょうはまず、こくないじゅようをきんこうさせることにしゅがんをおいてはいかがでしょうか?
Commented by ↑平仮名のみ何の意味があるの at 2007-05-29 16:08 x
過熱容認論か。
こういうこと言い出す人が出てくるってことはもう崩壊前夜ってことだな!
米中発の世界同時不況くるーーーー。
Commented by osome at 2007-05-29 19:53 x
> あうとさいだーさん

ご指摘の通り、表向き「ゼロ金利+量的緩和」をやっていた時代にも、マネーサプライの伸びが低いまま~一時的にマイナスだったわけで、そこらへんを竹中さんなどが日銀の背信行為のように大いに怒っていたのを記憶しています。当座預金残高は積み上げていたものの、一方で市場からせっせとお金を吸収していたんじゃないかという話だったかと。
このところ日銀はずっと、政府に対して面従腹背が基本姿勢であるように見えて仕方ないです。
Commented by ただのとおりすがり at 2007-05-29 20:48 x
> あうとさいだーさん

>きんしゅくざいせい

事実でないですね。
日本の財政赤字(プライマリーバランス)は先進国中最悪です。
これも「やばい」ですね。
Commented by ただのとおりすがり at 2007-05-29 20:55 x
先進国ビリの名目成長率
先進国ビリのインフレ率
先進国一番の拡張財政
これでわかるのは、
先進国一番の金融引き締め
Commented by 飛車 at 2007-05-29 22:56 x
金利の高低を図る際には、実質金利というのを考えなければなりません。実質金利=名目金利-物価上昇率です。名目金利として何を使用するのか。物価上昇率として何を使用するのかの問題はありますが、ある金利・ある物価上昇率に直面した際に、実質金利がマイナスなら明らかに借金をして物を買った方が得です。これが金融緩和の意味です。

さて、日本はデフレになっていましたので、名目金利を0%にしても、実質金利は高い状態でした。そこで「量的緩和」という、さらに「押し込み」をおこないました。というわけで、今までは金融緩和をしていたのではなく、デフレによってゼロ金利にしても緩和が足りない状態にスタックしていたのです。

最近やっと、CPIが-0.1%くらいまで来て、あと少し待てば本格的に金融緩和をできる状態になったのです。が、先行して利上げをしてしまいました。日銀は「慢性的に金融引き締め」状態を維持したいという癖があるのです。

頼みますから、金利を語るときは、名目金利ではなく実質金利で考えるようにしてください。
Commented by dell at 2007-05-29 23:10 x
>最近やっと、CPIが-0.1%くらいまで来て、あと少し待てば本格的に金融緩和をできる状態になったのです。が、先行して利上げをしてしまいました。日銀は「慢性的に金融引き締め」状態を維持したいという癖があるのです。

そうなんですよね。ゼロ金利の時は、「金利はゼロなんだからこれ以上緩和のしようがない」などとうそぶき量的緩和に反対しておきながら、ゼロ金利が効くような状況になると利上げしてしまう。「資金需要がないから金融緩和は効かない」などと金融緩和に反対しておきながら、資金需要が出てくると利上げしてしまう。緩和すべき状況では金融緩和無効論、緩和が効きそうになると即利上げ、これがこの15年以上続いている日銀の金融政策です。これでは日本経済が低成長から抜け出せなくなるのは当然です。日本経済を低成長に貶めている主犯は間違いなく日銀ですね。
Commented by 飛車 at 2007-05-29 23:15 x
>私は、日銀が何かインセンティブを隠し持っているとは思わない。

その後に続く本石町日記さんの文章で、2つのインセンティブが指摘されてます。

1.タカ派な行動をとる人がいる。
タカ派な行動をとる人には、そのような行動をとるインセンティブがあるはずです。仲間内での評価を高めるなどです。

2.政策委員はヘッジの多い表現が多く、わかりにくいメッセージになる
彼らには名誉という追加報酬しかないため、失敗して名誉を失うことがリスクになっています。そのため誤魔化しの自己正当化に走るわけです。インフレターゲットなどで指標を明確化して、正しい目標と正しい報酬を与えなければなりません。

最後に、今思いつきましたが、日銀の官僚組織が意思決定者に提示するデータで判断を誤らせる偏向が存在する可能性もあります。データを常に良い方向に出してしまう傾向は、以前に御前会議で支店長が良い景気報告ばかりするという指摘がありました。良い報告をすると褒められるという内部統制上の間違った評価制度がある可能性があるということです。

組織の行動を改めるには、まずは評価制度の改革、意識改革が必要でしょう。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-29 23:34
飛車さん、dellさん、どうもです。金融政策への考えはお二方とは必ずしも一致しないですが、「資金需要が出てくると利上げしてしまう」というご指摘には激同です。
支店長会議の御前会議バイアスは日銀も自覚したようでありまして、前回会議では何らかの対応が取られた、と某支店長から聞きました。今度、詳しく聞いときますね。意思決定者に対するブリーフィングである種のバイアスが生じるのは、幹部それぞれのキャラも見逃せないと思います。これは結構面白い話があるのですが、ここでは避けますね。スイマセン。
Commented by 通りすがり at 2007-05-30 05:18 x
飛車さんは言う意味は:
CPIのマイナス幅が大きく実質金利が十分に緩和的でなかったため、金利政策の意図が十分に機能せず国内に未だ資金需要が生まれないでいる、もっと言えば、実質金利が十分に低くなかったため、借金するどころか皆で借金を返し、現在も余剰を積み上げている。
ということでしょうか?日本の実質金利はとても高いんですね。。。すみません、勉強不足でした。
Commented by 飛車 at 2007-05-30 19:07 x
>>通りすがりさん
>実質金利が十分に低くなかったため、借金するどころか皆で借金を返し、現在も余剰を積み上げている。ということでしょうか?

そういうことですね。
大雑把な話、ゼロ金利でCPIが-3%とすると実質金利は3%。この状態にじっと耐えてやっと戻ってきた景気です。量的緩和とか外為介入でのベースマネー供給などからの後押しもあったと思います。

消費・投資を減らして貯蓄をするより、借金をしてでも消費・投資をした方が得な状況にしてあげるのが金融緩和の目的です。今支出した方が良いのか、いったん貯めて将来支出した方が良いのかですね。
Commented by なんだかな at 2007-05-30 20:29 x
飛車さん

ご指摘の趣旨は賛成ですが・・・
日本で実質金利が高いというと、どこの国と比較してなのよ、とつっこまれませんか?
たとえば、10年金利でみて、日本は実質1.3%くらいですが、アメリカは2.5%くらいです。これだと日本が高いとはいえませんね。
Commented by 飛車 at 2007-05-30 21:29 x
アメリカは今景気鎮静化の真っ最中ですよ。コアCPI誘導目標の上限2%を突破して3%に近づいたので、利上げをしました。その結果、コアCPIは2%近辺に戻ってきたので、そろそろ利下げがあるのではないかと言われています。

2003~2004年頃は、コアCPIが下限の1%に近づきましたので、この期間はCPIに先行する形で段階的にFFレートを引き下げています。例2003年11月はコアCPIが1.09%でFFレートは1%にまで下げています。

実データに興味があるようでしたら、こちらを参考にしてください。
米CPI統計:http://www.bls.gov/cpi/home.htm
FFレート:http://www.federalreserve.gov/datadownload/
Commented by 飛車 at 2007-05-30 21:39 x
確かに、どの金利で話をすべきかというのが曖昧ですよね。
金融当局の政策態度についての話ですので、日本なら無担保コールO/N、アメリカならFFレートで見るのが妥当ではないかと思います。
Commented by 市場参加者 at 2007-05-31 11:54 x
量的緩和政策って金利の水準の問題ではなく、お金の量の問題ですよね。なぜ、お金の量が必要だったかというとデフレというよりは不良債権が重かった大手金融機関を救済するためにマクロの資金供給という手段で治療を行なったということでしょう。量的緩和の結果、足元金利はゼロになったわけですが「ゼロ」という金利水準を日銀は「よし」としていたわけではないのでしょう。もともと誘導金利は1%でもよいと思っていたとしたら、いまは金融システム危機から正常に戻ろうとしているだけで水準の議論をしてもあまり意味があるとは思いません。誘導金利が1%になって不況になったら日銀は今度は引き下げに転じるでしょう。政策の自由度って必要なんじゃありませんか。
Commented by 傍観者 at 2007-05-31 12:30 x
市場参加者さん、すばらしいご意見有り難うございます。
ご意見に聞き入るばかりなのですが、ひつだけ。。。
正常化が必要なのは家計に過度のシワ寄せが行ったままになってるからです。福井総裁もゼロ金利による家計の負担はのべ200~300兆円に上ると言ってたそうですね。
ここ数年日銀が(いやいや?)やってきた超超低金利政策が功を奏したと思っている人が如何に多いか、このサイトを見ると考えさせられます。実際は民間のバランスシート修復が終了したのと、世界景気の大きな盛り上がりから漁夫の利を得てるだけだと思ってます。
一日も早く金融政策が機能するような普通の経済に戻って欲しいとここから願うばかりです。
Commented by 一読者 at 2007-05-31 13:22 x
何度も出ている話と思いますが、金利の正常化はいずれは必要とはいえ、それを自己目的化することは本末転倒です。金融政策の自由度を得るために景気を悪くしてしまうのでは意味ないですから。それと、金利が低くて家計が大変という話もよく出ますが、金融政策の目的は適度な物価上昇率の実現であって、所得再分配ではありません。今の金利が正常か異常かはともかくとして、日銀が金利を上げられるようにするためには、コアCPI上昇率がゼロとかマイナスという現在の状況から一刻も早く抜け出すことが必要なのだと思います。
Commented by 傍観者・再登場 at 2007-05-31 16:08 x
一読者さん、シャープなコメント有り難うございます。
言わんとすることはよーくわkりますが、それは金融政策が機能してきたという前提があっての話だと思われます。私は全くといって良いほど機能していないという前提でおります。
別に再配分を目的に正常化するわけではありませんが、家計が多くの負担をこの政策からしいらえていることも、また序要不足を家計の貯蓄率の低下が補ってきたことも事実です。
Commented by 飛車 at 2007-05-31 19:43 x
利子所得を増やすより、賃金を上げるというか、賃金が上昇していくという期待感を生ぜしめる事の方がずっと重要だと思います。
Commented by osome at 2007-05-31 21:11 x
「家庭が得るはずだった利子所得を、銀行の不良債権処理のために低金利にして所得移転した」という話は、正確ではないと思います。
一般家庭といえど、貯蓄もあれば借金もあり、金融収支としての数字でどれくらい失われたのかを話してもらいたいものです。
まったく、利上げに好都合な話・数字なら何でも使っちゃえ、みたいな総裁の談話にはウンザリです。
Commented by 傍観者・再再登場 at 2007-05-31 23:44 x
外需でもってるわけです、わが国は。海外売上比率も年々高まり、年々需要が減ってる国内の賃金をやたらに上げるのはどうかと。Wageも一人当たりはテクニカルな理由で減少してますが、総額は名目GDP並には増加してますし、これで十分でしょう。
家計の可処分所得の主な項目中、ネット財産収支のみが未だ大きくマイナスになっています。この部分の改善は重要です。
循環統計のフロー中で、ネット資金不足は政府のみです、民間は家計も法人もネットで余剰です。これで見る限り、超低金利とは国の助ける以外の何者でもありません。
Commented by 市場参加者 at 2007-06-01 08:02 x
名目金利=実質金利+インフレ率 としたらCPIが上がらないほうが財務省には好都合なわけですよねと思うわけであります。
Commented by luke at 2007-06-01 09:14 x
>超低金利とは国の助ける以外の何者でもありません。

でも金利上げたら国内民間消費も民間投資も減るでしょ?(教科書に載ってますよ。1+1=2ぐらいの理屈で。)もし金利上げたほうが景気よくなるなら、0.25%なんてけち臭いこと言わずに毎月1%ぐらい上げればいいのに。

>名目金利=実質金利+インフレ率 としたらCPIが上がらないほうが財務省には好都合

ところが先進国の場合、「実質」GDP成長率がインフレ率に応じて(線形ではないけど)増えてるわけでして(データは「円の足枷」お読みください)。税収は累進税率の関係で名目GDPよりさらに増えますから、インフレ率上れば容易にプライマリバランス改善。
Commented by luke at 2007-06-01 09:34 x
不況時に金融政策の効果が薄いのはしょうがないですが、それにしても
日本で「金融政策の効果がない」ように見えるのは、日銀が
・自ら約束した量的緩和解除の条件が満たされないうちに解除してしまう
・目標としている物価上昇率が非常識に低く、まともな金融政策をやる気がないように見える
など、自ら金融政策への信頼を損ねている正じゃないでしょうか。

まあ、少なくとも「金融政策に効果がない」と考える人なら利上げに賛成する理由はないでしょう(賛成するなら明らかに矛盾)。
Commented by あれですよあれ at 2007-06-01 11:12 x
金融政策に関しては「効果が無い」派と「効果はある」派、これはもうほとんど教義の対立のようなもんで、いくら議論しても絶対どちらが正しいかは決まりませんからねぇ・・・人間というのは「自分こそ正しい」と信じてやまない生き物ですから、議論してもね、喧嘩して終るだけになるだけなんじゃないかと思いますよ。
Commented by 通行人 at 2007-06-01 11:32 x
デフレの時には金融政策は無力という意見は拝聴に値しますが、常に金融政策に効果が無いとする意見はさすがに電波だと思いますよ。
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