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企画局長を呼べたのはある意味ラッキーではないかと思った=国会ネタです
 本日は日銀幹部の国会答弁をウォッチ。人繰りの関係で、私が対応したのは参院内閣委員会の方。この日は、同院財政金融委員会で半期報告があり、総裁以下首脳陣はこぞってこっちに出席していたので、私は超マイナーな裏番組をウォッチした格好である。
 もっとも、呼んだ方の議員(櫻井充氏、民主)としては、偉い人がこなかったので、大分お怒りになり、雨宮氏に向かっていろいろと難癖付けていた。確かに「局長」という肩書きは、そりゃあ総裁や副総裁、理事に比べると軽量級で、選挙民へのアピール度は弱い。でも、私は冒頭の難癖、その後のわずかな質問しかなかったのをみて、「ああ、もったいないなあ」と思った。
 なぜなら、肩書きは抜きにすれば、雨宮氏はエコノミスト諸氏はよくご存知のように日銀きっての論客であり、かなり論戦に応じるタイプである。裏を返せば、局長が出ざるを得なかったこの機会をラッキーとして捉え、金融政策論を深く追求していけば少なくともマーケット的にはかなり注目された可能性がある。
 参考までに、雨宮氏は量的緩和導入時の企画課長であり、その局面で果たした役割は決して小さくはない。公式の場でどこまで深いやりとりができるかは不透明だが、量的緩和政策への評価、金融政策運営における期待形成の重要性などではかなり興味深い論点が示されるのであないかと思う。もったいなかったねえ、やっぱり。

 ところで、櫻井氏の最初の金融政策に関する質問は、大企業と中小零細企業、都会と地方の格差を踏まえ、「本当に(政策)金利が一本でいいのか」、「東京に合わせればもっと金利の引き上げが必要な一方、東北の田舎に合わせると低い金利になる」と期待をもたせるものであったが、その後いきなり正常化論の支持を表明してがっくり。民主党が与党との対抗上、「日銀は与党の圧力を受けている」との前提で、日銀の金融政策をサポートするスタンスをとりがちなのは分かるが、対抗戦略抜きで金融政策の在り方を問うのがいいように思うが。
 ちなみに政策金融の在り方では、政府側の答弁より櫻井氏の主張に同調するところもあったので、金融政策の部分はその意味でももったいなかったと改めて感じた。
by bank.of.japan | 2007-05-10 21:01 | 日銀 | Comments(9)
Commented by 野党の悲劇 at 2007-05-10 21:17 x
民主党の中には経済政策の面でも外交政策の面でも『自民党以上に自民党』的な人が結構います。しかし、55年体制下の残滓か、近年はそれでもかなりマシになってきたとはいえ、『とりあえず何でもいいから与党の言う事は全部反対というポーズをとれ』、という風潮が民主党の中にもあります。結果として、そのような風潮に反感を覚えはするものの、泣く泣く自分の本当の意見とはまるで逆の答弁を強いられ、内心忸怩たる思いをしている議員も少なくないようです。(もちろん今回のケースがどうなのかはわかりませんし、そうほのめかす意味合いもありません)
じゃあ、自分の思っていることを言えば良いかと言えば、同業他社の方針に賛意を示し、公の場で自社の方針を批判すれば、それは社内的な問題のみならず、自社の経営活動の足を引っ張ってしまうことになるわけで、人生とは不条理なものよと思わずにはいられません。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-10 23:53 x
野党の悲劇さん、どうもです。例えば、今民主党が政権を取ったとして、それでも利上げ路線に賛成するのであれば本物なのですが…。ご指摘のように、大枠として政党内の風潮に従わざるを得ないのはよく分かります。会社勤めの身と重なるところがあり、まあどこにいっても不条理なことは付きまといますね(苦笑)。
Commented by 北の書生もどき at 2007-05-11 03:17 x
呼んだ議員も、企画局長って何する人?という感じだったのか(笑)
Commented by ??? at 2007-05-11 08:16 x
本石町日記さん、こんにちわ。たしか雨宮さんは2000年8月のゼロ金利解除の時にも企画課長でしたよね。みんなが本当に聞きたいのは、量的緩和政策なんかよりも、2000年8月の判断がどのように行われたか、今の状況に重なる部分はないか、ではないですか?本石町日記さんも、実はそのことを暗に言っているのでは?いずれにしても、国会の席上で、意味あるやり取りは期待できないように思いますが。
Commented by ウォッチー at 2007-05-11 10:15 x
偉い人が話してなんぼでしょう。
公式の場では、下っ端がいくら説明しても、責任者をだせということです。
実際に担当しても、責任とれない人や組織を代表できない人の話は聞いても意味ないでしょう。
担当者の「実はこれこれ・・・」というのは、バックグラウンドということでしょう。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-11 15:09
北の書生もどきさん、どうもです。「理事より格下」という意識しかないかもしれませんね(笑)。一方、“格下”クラスでは、理事や局長が「なんぼのもんじゃ」という剛の者もいないではない!?

???さん、どうもです。確かに公式の場でのやりとりは意味あるものにはならないですね。ただ、表情を読むのはなかなか味わいがありそう。

ウォッチャーさん、どうもです。せっかく呼んだのに刺身のツマみたいな質問をする議員もいたりします。櫻井議員の例では、正常化路線に賛成なら、その点をもう少し突っ込んだうえで、利上げに打撃を受ける地域のサポートを公的金融が担う、という組み立てをもっと鮮明にやればよかったのに、と感じました。バックグランドの場は、本当は必要なんでしょう(昔はあったみたいです)。
Commented by 椿ライン at 2007-05-11 20:36 x
 今週も楽しいエントリーの数々、お疲れ様でした。
 個人的に、櫻井さんが質問した「本当に(政策)金利が一本でいいのか」、「東北の田舎に合わせると低い金利になる」という部分が確信犯的で気になります。金融政策で地方と都会、大企業と中小企業の格差を解消できるのなら、日銀はさながら議員会館のように陳情団で溢れるでしょうねぇ。
 地方の問題が出たところで、金融政策とは外れますが、今週あわただしく出てきた「ふるさと納税」について本石町さんはどう思われますか? 香西さんは応分の法則が崩れるという問題点を指摘していましたが、主税局がかねがね言ってきた公平・中立・簡素という税の基本原則を考えると、菅さんがやろうとしていることは露骨なバラマキ策。NHKの受信料義務化&引下げ策を見るようです。
 安倍政権の重要政策の1つである同州制などで、カネや権限の分散を地道に進めた方が良いような気がするんですけどね。
Commented by 飛車 at 2007-05-12 00:39 x
「金利を変える」ためには「地方は別の中央銀行を作って別通貨を発行し、金融政策の自由を得るために変動相場制とする」事が必要です。それをしなかったら地方が低金利になった瞬間に資金が「全部」東京に飛んで行きます。今みたいに適当に飛んでいくのではなく、文字通り決済用以外は全部ですね。国内であれ資本移動規制をしたらIMFに顔が立ちませんので、それは不可能です。
というわけで、氏の発言を好意的に解釈すると、これは最適通貨圏理論に則り、日本をいくつかの国に分割し、連邦国家とする事を志向した発言だと思われます。

惜しむらくは櫻井氏が、自分がどれだけ大胆な質問をしたのか理解できていないだろう点ですw
Commented by bank.of.japan at 2007-05-12 21:42 x
椿ラインさん、どうもです。ふるさと納税、詳しくはフォローしておりませんが、地方への財政配分は交付税特会ルートが基本と思います。仕組みが複線化するのは好ましくないような…。

飛車さん、どうもです。まさにご指摘の反応お待ちしておりましよ。
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