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私の周辺の「さらば日銀」
 ここ1年で日銀の知り合いが相次いで辞めた。しばらく前の日経金融新聞(4月18日付)に「さらば日銀」との記事があり、そこではエコノミストへの転進組が具体例で紹介されていた(名前入りで紹介できる職種がエコノミストでもある)が、私の知り合いはいずれもビジネス(金融関係)の世界へ飛び立った(従って具体的な紹介は避けます)。
 記事では「この一年で少なくとも4-5人の総合職が去った」とあったが、うち二人が顔見知りであり、何だかバタバタと辞めた印象である。なお、下のエントリーに登場する平田英明氏も元日銀マン(確か平成8年入行)だ。私は面識がないが、ドクター取得者であった彼が辞めたのは日銀内で話題になったので、名前は知っていた。「経済教室」は転進後の動向を知るで有意義であったとも言える。ちなみに、経済教室にちらっと名前が出ていた加藤涼氏(IMF)は現役の日銀マン(平田氏と同期入行のドクター)である。
 若手の人材流出は、日銀的には痛い話であり、私自身も寂しく思うが、民間部門で活躍できれば経済的にはプラスであり、一つの貢献の在り方でもあろう。新法導入で出世しても理事どまりになったこと自体は新法前後は閉塞感をもたらしたが、今はそういう感じはない。むしろ、セントラルバンキングを一つのキャリアパスと位置付け、自らの専門性・志向性が民間でより生きると思えば、昔に比べてより簡単に転進できる風土になった、ということであろう。
 日銀の新卒者も役所との掛け持ちではなく、民間金融機関との掛け持ちが多くなってきた、との声も聞く。日本銀行が役所的でなくむしろ民間金融に近いと受け止められ、人材が移動しやすくなれば、将来的には日銀・民間の人材交流が自然な流れになるのではないですかね。そうなればいい意味で活性化すると思うのが…。
by bank.of.japan | 2007-05-01 21:02 | 日銀 | Comments(17)
Commented by 害債 at 2007-05-01 23:00 x
この間とある会合でちょっと存じ上げている某局長と立ち話したらやはりそういうお話をされていました。外資系金融機関なども多いようですね。収入面では明らかに「アレ」なわけで、さすがに渋い顔をしておられました。日銀というだけで箔がつくのでそういうことは大いに起こるのでしょうが、セントラルバンカーとしての矜持を全うしてくれる方も必要かと思いますね。
Commented by ななし at 2007-05-01 23:08 x
こういうのって天下り規制とか影響するんですかね?
個人的には「天下り禁止」より「天下っても影響のない制度導入」のほうが重要だと思うんですがねぇ・・・
人材の流動化って意味でも天下りだけでなく、外部の人間をスタッフとして取り込めたらいいのに
Commented by bank.of.japan at 2007-05-01 23:35 x
害債さん、どうもです。どの局長が何となく分かる気がします(笑)。ところで、日銀というだけで箔が付くかどうかは微妙かもしれません。ヘッドハンターの対象になりやすいのは、MBAやロースクールを経た人材、専門性がある人材のように思われます。逆説的に、企画系人材(極度に日銀向け人材)は残りやすいかもしれませんよ(笑)。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-01 23:37 x
ななしさん、どうもです。ここで取り上げた人材は天下りでは全然なくて自力で転職していった方々でありまして。天下り規制に影響するのは、局長級以上だと思います。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-01 23:47 x
みなさんへ。2、3日の間、私用のため帰郷せざるを得ず、ネット環境が非常に劣悪になる公算が大きいため、レスポンスは落ちると思います。よろしくお願いします。
Commented by 椿ライン at 2007-05-03 21:17 x
携帯から失礼します。
民間軍事会社(PMC)について書かれた菅原出さんの著書『外注される戦争』によると、2004年に志願入隊の米陸軍特殊部隊員の13%が辞職したそうです。米GAOでも、高給を出すPMCなどに人材が流れていることが一因と指摘しています。
待遇がいい職場を選ぶのは日銀マン、米軍人も同じかも知れませんね。しかし同書では、PMCに移った元隊員のコメントとして『民間の方がより実践的で、応用的な戦闘技術が学べる』との考えを紹介しています。
待遇だけではなく、民間で実践的な業務をやりたくて日銀を辞めた方もいらっしゃいますよね。人材交流がますます進んで欲しいなと思う次第です(´∇`
Commented by bank.of.japan at 2007-05-04 23:07
忍び寄るバブル崩壊(in中国)さん、どうもです。確かに、現在の日本経済にとって外需動向は生命線であると私も思います。中国もオリンピックを過ぎると失速するリスクがないとは限らないですね。祈るしかないです(笑)。

椿ラインさん、どうもです。私の知り合いの一人はまさに民間でやりたいことがあり、随分前に辞めてしまいました。辞めるだろうなあ、と思わせる猪突猛進型のタイプでしたので、さほどびっくりはしませんでしたが、辞めた後は活躍しており、本人は満足でしょう。日銀に将来戻って欲しいと思う人材で、そういう機会が多くあればいいなあと願っております。
Commented by 興味本位 at 2007-05-05 04:17 x
日銀を若くしておやめになった方々って、木村剛さんとかの塩崎先生とかの目立つ方々のほかにも、若手でしっかり活躍している方々っているんですよね。「えっ、この人もそうだったの?」とかの、面白エピソードをもっと知りたいですね。
Commented by cogito at 2007-05-05 05:36 x
古くはGSの山川さんとか。
いわゆる外資系金融機関に関する限り、最終的に利益に貢献できるかがすべてなので、移動した人が稼げそうなら継続的にリクルーティングのターゲットになるでしょうし、だめなら、市場からそういう評価を受けるだけのことです。track recordを見る限り、半々よりやや活躍している人が多いような気がします。
霞ヶ関もそうですが、人が抜けて、中途採用をせざるを得なくなることで、人材の流動化が進むと良いのですが。
Commented by ダボス会議 at 2007-05-05 16:32 x
実感として、辞めていく人をタイプ分けすると、辞めそうだった人と辞めなそうだった人がいます。とくに、内部の方からすると、後者の方が辞めるのが予想外と言うことで、困るのだと思います。辞める理由としては、①やりたいことがある、②金がもっと欲しい、③ものがいつまでも申せない、といったことがあり、おそらく①と③が多いと思います。結果論として、②になることも多いと思いますが....。日銀は、外に出た人に聞き取り調査でもして、なぜ出て行ってしまうのかを理解し、どうすれば居続けたい組織になるのか、そしてどうすれば、新しい人材をスムースに組織に入れられるのか研究するといいと思います。どうも、「去る者追わず」でそういった努力は余りしていないように思われますが...。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-05 21:26 x
興味本位さん、どうもです。私も知り合いの活動を紹介したいところですが、名前を出せるエコノミストとは違って匿名を重視せざるを得ない面もあり、難しいところです。

cogitoさん、どうもです。日銀の中途採用ももっと幅広くなるとよいですね。企画に中途採用が入るようになれば結構面白いと思ったりします。

ダボス会議さん、どうもです。霞ヶ関も同様だと思いますが、可能な限りの引きとめはするものの、本人の意思が固い場合には結果的に「去る者は追わず」になるのかもしれません。なお、辞めるケースとしては、私の知る限りでは①か③のような気がします。
Commented by 通行人55号 at 2007-05-06 11:45 x
日銀はたこつぼ組織ですね。
もっとも日銀に限らず日本の官庁、大企業にみられることですが。
日銀を若いときに辞めてまた日銀に戻ってくれば、風通しのいい組織といえるのでしょうけど。
もう少し時間がたてば、日銀を辞める人がいても話題にならなくなるし、中途採用しても話題にならなくなるでしょうね。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-07 12:03
通行人55号さん、どうもです。確かに「中途採用」が珍しいことでなくなるのが人材の流動化では理想な状態です。そうなれば、風通しも良くなると期待したいですね。
Commented by 市場参加者 at 2007-05-08 09:10 x
過去にわたしの知ってしる日銀の方も何人かお辞めになりました。わたしが勤めている金融機関(日系)でも転職は当たり前のようになっております。辞める、辞めないというよりも中央銀行と民間の金融機関の意思疎通を円滑にするためにレベルの共有って必要と思います。日銀から民間への出向、民間から日銀への出向をもっと活発にやってほしいと思います。調統、金融機構、金融市場などで交流が活発になるとリスク管理のレベルとか向上して金融政策にもよい影響があるような気がします。手の内を見せたくないと言われればそれまでですがね。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-08 13:31
市場参加者さん、どうもです。現状ではまだ限定的ですが、金融市場局などは民間金融機関から人材を受け入れているようです。今後は、日銀から民間金融機関への出向再開が期待されます。ハードルは高いですが、政策委員会や企画局も交流すると面白いかもしれません。
Commented by リストラ対象者 at 2007-05-26 01:49 x
 外部から専門性を見込まれ個別事務委嘱として有期限で雇用されていますが、先日リストラを言い渡されました。人員削減5%カットの対象になっているからです。
 仕事の全くできない正規の日銀マンに個別事務委嘱が仕事を与えているというネジレ現象が起きています。正規の日銀マンが「水族館」で紫煙をくゆらせてダベッている間、個別事務委嘱は必至になって働いています。日銀は、そんな彼らを厚遇し、どんなに仕事ができなくても、定年後はシニアスタッフとして働けるのに、我々は退職金もナシでポイ捨てです。
 今まで正規の日銀マンの陰湿なイジメにも耐えて、文句も言わず働いてきました。正規の日銀マンは、ちょっと体調を崩したりすると「保存休暇」をとって休みますし、10年に1度は数十日間の有給休暇をとれる「リフレッシュ休暇」なるご褒美がありますが、そのしわ寄せは個別事務委嘱に襲いかかってきます。「誰のお陰で組織がまわってると思ってるんだよ」と正直思います。
 でも、仕方がありませんね。国の方針には逆らえませんから。気を取り直してハローワークのお世話になります。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-28 18:44 x
リストラ対象者さん、どうもです。雇用形態の違いから、格差が生じてしまうのは日銀も例外ではなく、逆進的なシワ寄せを受ける立場ではないかと思います。根っことしては、日銀も特殊法人改革のまな板に乗せられ、人員カットせざるを得ないのが大きいと思います。首都圏はまだしも、地方圏の景気が厳しいのは地方自治体の給料削減も影響しているようで、現状程度のマクロ経済の回復ではミクロレベルの厳しさはほとんと変わらないですね。
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