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「早期利上げ論」、「市場との対話」などの考察
 私は早期利上げはないとの立場だが、あるエコノミスト氏は「ある」との見方だった。根拠は、①最近の日銀の対話に基づけば、スケジュール感のない金利水準の調整は“利上げできるときに利上げする”という意味②米経済は後退し利下げ局面に入るため、時間が経つほど(日銀は)利上げできない③早い時期ほど“利上げできる”のであれば早くやる-であった。
 私は「それだと利上げ後に景気が悪くなるのだから“失敗”となる。日銀はそんなことはしないのでは」と言ったが、「いや、早くやるでしょう」との反応であった。この会話で私が思ったのは、同じ「日銀の対話」を耳にしながらも、解釈が分かれることだ。私も日銀の政策運営が“利上げできるときに利上げする”というものだと思うが、“できる”とは経済情勢に照らして利上げが“できる”という意味だと考えている。これに対し、エコノミスト氏が解釈する“できる”とは経済情勢はさておき糊代を作ることが“できる”タイミングのことであった。
 似たようなケースは金融市場でも起きている。先週、ユーロ円金利先物市場はヘッジファンドとみられる売りなどでやや下落した。聞いた話によると、先週前半に欧米のファンド関係者が某セミナー出席のために来日。ついでに日銀幹部らとも面談し、その際の幹部らの説明が強気の印象を与えたことが金先売りにつながったらしい。同席したある人によると、日銀側の説明は「いつもの想定問答通りであった」という。
 これは、同じ「想定問答」であっても、いつも聞いている場合と、たまに聞く場合とでは、受ける印象が異なることを意味しているのかもしれない。同じ言葉でも解釈が異なり、同じ想定問答でも、聞く頻度によって印象が異なる。市場との対話は、それほど難しい。または、日銀のメッセージが分かりにくい面もあるのだろう。どう説明すればよいのか。
 「今のところ、景気は良くなり、物価も上がると思っている。いずれ利上げできると思うが、でも先のことは良く分からん。利上げできる経済情勢になればそうしようと思うが、今はなんとも言えないなあ」であろうか。どういう言い方が分かりやすいですかね。
 ちなみに私の景況感は、先のエコノミスト氏といっしょである。違うのは「利上げしない方がいい(or利上げできないかも)」と思っていることだ。
by bank.of.japan | 2007-04-25 23:10 | 日銀 | Comments(9)
Commented by 同意 at 2007-04-26 01:24 x
ワタクシ、「利上げ」自体の意味は本石町さんより少し意義を見出しているクチなんですけれども、少なくとも夏前までは、弱含みとそうでない指標が入り混じる今の状況がどうなるかをきちんと見極めるまでは利上げはしない方が良いというスタンスですね。どうもアメリカの景気後退は当初予想されたものより小さくなりそうだとか消費者マインドが改善しつつあるとかいった好材料もある反面、中小企業の経済活動にやや翳りが見え始めていますし、今この時点で利上げを正当化するのは2月の利上げにもまして難しいでしょうし、私は反対です。
Commented by 同意 at 2007-04-26 01:43 x
今の日銀幹部層は20年前に当時の金融論が「金融政策は物価水準を見ておれば良い」と言っていたのが、悲観的な景気予測の下金融緩和を続けていたら、物価水準には跳ね返らず、いきなり資産価格のみが急騰してしまったという苦い経験があるので、デフレを脱却しきれていなくても資産価格がどうしても気になるというのはよくわかるのですが、それならそれでもっと経済の好調が後付けで裏付けられた段階で利上げを少し強めに行えばそれで良いではないかというのが私の考えです。ただ、客観的な予想としては、本石町さんがお聞きになったようなエコノミストの意見は聞く事はあります。人数としては、秋まで利上げなし派の方がかなり多いと思いますが、いらっしゃることは事実ですね。景気予想としては国内的にも国際的にも「日本はなんとなく景気回復が続くだろう」と見ている人が多いだけに日銀が絶対に利上げしないとも言い切れずなかなか難しい局面ですね。それにしても金融政策というものは「全知全能の神ではない人間が、まさに神のように重大な決定をしなくてはいけない」という意味で本当に大変な仕事だと思います。
Commented by dell at 2007-04-26 10:30 x
>私も日銀の政策運営が“利上げできるときに利上げする”というものだと思うが、“できる”とは経済情勢に照らして利上げが“できる”という意味だと考えている。

これはあり得ないでしょう、デフレ下でも利上げしたりしているんですから。現実には、日銀がしたい時にいつでも利上げする、でも責任は一切取らない、というのが新日銀法に則った日銀クウォリティーではないかと。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-26 18:56
同意さん、どうもです。現状、利上げできるかどうかの判断はご指摘のように難しいように思われます。市場も夏前の利上げはほとんど織り込んでいないので、これに抗して日銀が動くのはちょっと予想しにくいです。資産価格を注視しつつ、「経済の好調が後付けで裏付けられた段階で利上げを少し強めに行えばそれで良いではないか」には私も同意です。いずれによ、金融政策は先行き不透明な中、分かったつもりで判断しないといけないので、大変ではあると思います。

dellさん、どうもです。相変らず厳しいご意見ですね。したいようにやるように見えますが、さすがに経済・物価情勢を全く無視はないと思います。足元物価のマイナスも、ちょっと日銀を苛めたくなる動きですが、私自身はあまり気にはしない立場です。
Commented by dell at 2007-04-26 20:40 x
>さすがに経済・物価情勢を全く無視はないと思います。

ええ、過去の例を見てもそれはないと思います。でも、日銀はデフレが深まり経済が崩壊する懸念が出てくるぐらいにならないと金融緩和をしませんよね。そして、ちょっと資産価格が上がると、デフレだろうがなんだろうが引き締めに転ずる。デフレの懸念が出てきただけで必死に緩和してデフレを防ぐのが世界標準であることを考えると、この日銀の姿勢はおおよそ標準からかけ離れています。
デフレは低成長をもたらします。失業を増やし、起業を困難にし、財政赤字を増やし、年金・福祉のシステムを破綻させ、そして何より国民の夢と希望を奪います。これが気にしなくて良いことなのでしょうか?
Commented by bank.of.japan at 2007-04-27 22:09
dellさん、どうもです。緩和する際の判断が遅れ気味なのは否めないですね。現状、まだ成長率はプラスですので、物価指数のマイナスだけで「デフレ」と言い切るのは難しいですが、まあ先行きは不透明ですので、ダウンサイドをケアするのが無難ではないかと思います。
Commented by 飛車 at 2007-04-28 00:37 x
本石町日記さんは、「金融市場関係者が日銀の利上げはしてい無い」と言いますが、産業界の方では「いつとは言わないけど、日銀は間違いなく利上げする」と考えています。
企業規模・市場内での立場により、反応はわかれます。強いものは「正常化は望ましい」と言います。これは、自分のところより弱いものが更に弱るからです。弱いものは「利上げしては困る」と言います。マスコミ経由で発言権があるのは当然前者です。
そして、一番大事なのは、企業経営者は「利上げはある」という前提で、投資行動を決めている事です。
Commented by dell at 2007-04-28 00:46 x
あのー、デフレというのはあくまで物価がマイナスのことを言うのであって、成長率は無関係なはずなんですが・・・。
Commented by 飛車 at 2007-04-28 12:12 x
うん。デフレの定義は、「一般物価の持続的な下落」です。だからこそ、「良いデフレ」などという衒学が持ち出されたわけです。
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