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地公体の“仕組み”を使った調達は必要ないのでは
 やや古いネタだが、当ブログは地公体の方々もご覧になっているようなので、念のために取り上げたい。既に厭債害債さんが触れ、さらにTori Boxさんも反応されているので、敢えて付け加えることはないのだが「調達でデリバティブを応用するのはよくよく考えた方がいい」と私も思った。
 地公体にとって資金調達のコストは財政運営上は非常に重要であろう。ただ、現状の金利水準は非常に低く、機関投資家の運用難の事情を考慮すると、発行体に有利な市場環境になっていると思う。国債との比較で多少スプレッドが付くにしても、十分に低い金利で調達ができていると考えるのが妥当なように思える。
 元ネタは日経新聞3月29日付の朝刊一面の記事だが、私が「エッ?」と思ったのは、「仕組み」の内容。要はイールドカーブが一定以上にフラット化するとトリガーが引かれて調達金利が跳ね上がること。例としては「支払い金利が5%前後に上昇するとみられる」というのがあった。
 運用もそうだが、リスクのとり方はプレーンが一番ではないか、と私は思う。以前もエントリーで書いたように特約付きとか、EBなど転換系などは、複雑な仕組みなった分、サヤが抜かれて取ったリスクに対して見合ったリターンはないように思う。調達もシンプルに普通に固定調達するのが今の市場環境としてはベストの判断ではないかと考えられる。相当に低く調達できても、抱えたリスクに対して本当にメリットがある調達かどうかは疑問だ。
 そもそもイールドカーブに関するマーケットコンセンサスがフラット化の進行であることを承知した上でフラットでやられる調達を行っているのだろうか。法律上可能かどうかは分からないが、どうしてもデリバティブを使うというならスワップでレシーブすることではないか、と思った。→金融債を発行していた銀行(旧IBJなど)のALMですね。
 それとも十分に低い金利で調達できるのに、もっと調達コストを切り詰めないといけないほど切羽詰っている、ということだろうか。これだと負け込んだディーラーの「一発逆転・死んでもともと」を狙った大勝負の様相を呈して悲惨な結果になりやすい。余計なお世話かもしれないけど、デリバティブの活用はよくよく考えた方がいい。 
by bank.of.japan | 2007-04-09 20:51 | マーケット | Comments(6)
Commented by 4月のお魚 at 2007-04-10 00:37 x
本石町様ご指摘の通り、仕組みが複雑かつ関わる人間が多くなるほど、投資家が不利になる気がします。
多くの市場参加者がフラットを見込んでいて、
フラット化商品を作れば売れるのが分かっていても、
カウンターパートがいなければ商品になりません。
この場合、
資金はあるけれど金融知識も投資経験もない投資家に、逆張りさせるしかいないのでしょう。
その点、地方公共団体は、逆張りさせるにはピッタリかと存じます。
数年前ですが、ある報道機関が米金利低下でインザマネーになるスワップを組んで、笑いものになったことあります。
Commented by ぽん at 2007-04-10 02:28 x
地銀のアセットサイドにずっと売り込んできたCMSものがこれだけカーブが寝てくるとバリューが出なくなったのが原因じゃないですかね。
そうするとどうやってバリューを出すかというと逆サイドが取れる側に売り込んだ結果、こうなってしまったのかもしれません。
いろいろ地銀のリスク管理については某所よりいろいろいわれておりますので、そっちがだめなら調達側だっていうことのような気がします。
そうすると地銀サイドではフローターに結構乗ったものが出てきて、リスク管理についてはいろいろ言われないし、業者のディーラーはポジション軽くできるし、地公体には某所の検査は入らないし(地公体の元締めのところって、調達方針についていろいろ言うんですかね?)、目先は良い事づくめに見えるんでしょ。きっと。
Commented by 完了形 at 2007-04-10 09:03 x
ALMのない地公体で、どんなメリットがあるかもアセットサイドとの関係で説明できずに、そうした資金調達を行うこと自体がおかしいです。
地公体や国は、すべての国民が監視できるようにするためにも、プレーンでの調達にすべきです。
しかも、金融のプロがいれば、地公体や国が長期間存続することを利用して、プレーンの組み合わせででやりたいことはだいたいできるはずです。スワップのレシーブすら不要です。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-10 12:39 x
4月のお魚さん、どうもです。狙われた獲物、という感じですか。報道機関の例、経緯は知らないですが、あれはすごく驚きました…。

ぽんさん、どうもです。ある意味、売る側にとってのラストリゾートが地公体というわけでしょうか。大学もこれに含まれるかもしれません。抱えた地雷が将来、爆発さえしなければハッピーですね。

完了形さん、どうもです。ご指摘の通りです。プレーンで十分のように思います。投資家が高利回りに目がくらむように、調達側が低利回りに目がくらんだ、のでしょうかね。売り込み側の目くらまし術はなかなかです。
Commented by マーケット関係者 at 2007-04-10 20:28 x
WTIの価格が北海ブレントやドバイの価格より低くなってますが、これも目くらましなんですかね。
Commented by 北の通りすがり at 2007-04-10 20:34 x
こんばんは。
>ぼんさま 総務省のグリップの程は分かりませんが、一応、政令市クラスであれば、同省の地方債関連部署へ短期出向された方がいるみたいです・・・でも購入してしまうんですね(汗)
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