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利上げに苦しむ地方金融機関の叫び=国債投資家懇談会より
 ドラめもんさんのところで見つけたネタですが、財務省の国債投資家懇談会における銀行関係者と思われる参加者の発言が興味深い。利上げが収益圧迫になる事情が率直に表れた発言だと受け止めた。具体的には以下の通りである。

 「日本銀行の利上げに預金金利は連動しているが、貸出金利は上げにくく、また、銀行間の競争も激化しているため、短期的には利ざやは縮小傾向にあり、債券運用への収益プレッシャーが一層高まると考えている。したがって、低金利状態が意外に長く続く場合もあり、長期金利は上期で1.7%程度と見ており、来期以降は割り切って残高を増やしていくしかないと思っている」
 「資金繰りを見る形でFB、TBをある程度購入する一方で、預金のコストが上がっているので10年に近いところの長期債を買って、ある程度バーベル型のような形の運用に今後はなっていくのではないか。20年債を購入できればよいのだが、10年超の債券の購入には内部では否定的な意見もあり、10年債が限界だろう」
 「一部の不動産業を除いた中小企業の資金需要はほとんど見えておらず、なかなか貸出金利を上げにくい状態が続いている。そういった中で、日本銀行の金利の正常化に関しては、超低金利の是正はよいが、中小企業への配慮をどのように行っていくのかに関心を持っている。
収益的に非常に厳しいものがあるので、運用セクターにかかるプレッシャーはきつくなるだろう。そのため、逆に金利はなかなか上がってこないとも思う」

 参加者の顔ぶれを眺めるに、恐らくは地方金融機関の方の発言ではないかと思った。下の二つの発言は同じ参加者によるものだが、「預金コストの上昇で…、20年債を購入できればよいのだが」という部分には収益確保に悪戦苦戦する現場の心情がよく表れており、アウトライヤーの悲哀を感じさせる。 
 そう言えば、日経新聞の商品面にガソリンスタンドの苦境が紹介されていた。元売りの高めの卸値に苦しむ弱小スタンドの姿は、金利の元締めの日銀の高めの金利に苦しむ弱小金融機関に重なるものがある。懇談会で機関投資家系は金利上昇を見込む発言をするが、それは願望であって、実際には運用部門への収益プレッシャーからベアフラット化するのであろうと思われる。

ps 日銀の利上げに苦しむ地方金融機関に金融庁はバーゼル2の攻撃。一体どうしろというのだろう。座して死を待て?
 
by bank.of.japan | 2007-03-29 18:33 | 金融システム | Comments(23)
Commented by すなふきん at 2007-03-29 19:00 x
ど素人の意見とことわっときます。おそらく「お上」の論理としては「そんなの知るか、企業努力で収益上げなさい」ということでしょうね。あと、銀行はただでさえ「暴利」を貪っており、懲らしめるにはいい機会だとか思ってる庶民感情に適合するものとか・・・。
Commented by osome at 2007-03-29 20:14 x
近頃のお役所は、批判を浴びたかつての「護送船団方式」を大いに反省し、「弱小は早めに淘汰されて然るべし」と思っているのではないでしょうか。金利がなかなか上げられないのは、事業者数が多すぎて過当競争になっているからだと・・・。
理屈はそうかも知れませんが、よくもまぁ、お金をいただいている(税金を徴収している)顧客相手に、こんなことを考えるもんだと思いますね。自分たちは、絶対安全なところに居るからでしょうか。
Commented by 椿ライン at 2007-03-29 21:31 x
 毎度ご苦労様です。
 明日30日で期末最終日ですが、決済上はすでにバーゼル2に突入ですね。頑張れ長期債投資! 頑張れオルタナ!!
Commented by bank.of.japan at 2007-03-30 00:19 x
すなふきんさん、どうもです。「努力しろ」または「工夫する」は、日銀関係者からもよく聞きますね。金融庁の動きは庶民感情を意識しているように思えるときがあります。まあ、間違いとは言いませんが、衆愚的に過ぎるとお上頼りを強めかねないですね。結果、当局の存在感は増すわけですが。
Commented by bank.of.japan at 2007-03-30 00:25 x
osomeさん、どうもです。意図はどうあれ、金利正常化と銀行行政の厳格化は、結果的に弱者への逆進性が強まり、再編に追い込む方向に作用しそうです。最後は、メガ都銀、メガ地銀、郵貯の戦いでしょうか。

椿ラインさん、どうもです。しばらくバーゼル絡みのネタがマスコミ紙面では散見されそうですね。長期債は安定すると思われます。オルタナはどうでしょう。世界経済がどうなるか次第ですね。
Commented by 北の書生もどき at 2007-03-30 02:31 x
こんばんは。国債懇の話については、田舎におりまして実感に合うと思います。多少、中小製造業あたりで資金需要が出てきても、地元地銀同士で獲りあいなのでは・・・
追伸:トンボ帰りながら久々にお江戸へ。桜満開ですね。
Commented by 名無之直人 at 2007-03-30 11:41 x
ど素人の身の感想なんですが、10年債の金利が落ち着いてるのって、こういった(地方)金融機関の国債頼みのやりくり事情が絡んでるのかなぁ、と感じました。

今後景気が減速してCPIもマイナスに逆戻りが継続してしまうと金利も上げられないでしょうから、ますます国債頼みに・・・?

さらに財務省の個人向け国債キャンペーンで一般預金者も銀行預金から離れてしまうと、その先には・・・?
Commented by bank.of.japan at 2007-03-30 12:26 x
北の書生もどきさん、どうもです。お江戸にいらっしゃる機会があれば、お会いしたいものです。気が向けば非公開コメントにてご連絡先を教えて下さい。

名無之直人さん、どうもです。機関投資家も含めて全般的な運用難から長期金利は上がりにくい状態です。なお、預金が個人向け国債にシフトしても、大雑把には銀行の国債購入が減ると同時に個人の国債買いが増える構図になりますので、大勢への影響は中長期的には中立と思われます。
Commented by GS at 2007-03-30 16:18 x
達観すれば、似たような現象は金融業だけでなく、いろんな現場で起こっているのではないでしょうか。商品市況が高値圏にあっても、製造コストをリテールに転嫁できない(だから、70年代などと比べれば物価はかなり低位で推移している)といった話は世界的な現象のような気がします。金融業は破綻したときの外部不経済が大きいので特別扱いするといった前提を考え直す必要はないのでしょうか。庶民的な意見ですが。
Commented by Teddy at 2007-03-30 17:31 x
bank.of.japanさん、日銀と「庶民感情」は、どうにも、その昔の某局長、後総裁の自作自演の「開かれた日銀」スローガン以来、<いまだに>脈々と息づいているのでしょうか?金融政策がポピュリズムに走ると、その後、どういうことが起こるか、身をもって知ったはずなんじゃないんですかねぇ、と毒づきたい気分です。
にしても、オーバーバンキング問題は、悪化している感が強いですね。
オルタナはひとくくりにはできないかもしれないですが、例えばヘッジファンドのエクスポージャーに対し、欧米銀行勢がそろりとプロテクションを買い始めている、と今日のFTは報じていました。ここから出て行くのはどうもですねぇ・・・
Commented by ろじゃあ at 2007-03-30 18:49 x
ご無沙汰してます。
ろじゃあです。
TBさせていただきましたが財投の証券化とか上記金融機関の方々はどう見るのでしょうかね。
追伸:オフ会の件、...みたいなさんにご連絡申し上げておきました(^^;)
Commented by bank.of.japan at 2007-03-30 20:02 x
GSさん、どうもです。恐らくは利ザヤ圧迫はグローバルでも見られる現象だと思います。金融システムはペイオフ解禁によって特別扱いから外れた格好で、それが試されるのは実際にペイオフがあるかどうかですね。

Teddyさん、どうもです。「金融政策がポピュリズムに走る」と当座預金は30兆円になる、わけですね(笑)。オーバーバンキングは当面解消しようもないと思われます。結果、代替運用でやられるリスクは高まるかもしれません。
Commented by bank.of.japan at 2007-03-30 20:10
ろじゃあさん、どうもです。財投の証券化はリスクウェートとか会計上の扱いとかで有利な運用先になるなら、人気商品になると思われます。政府保証付きなんですかね。興味深いです。オフ会の件、了解です(笑)。
Commented at 2007-03-30 22:36 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 飛車 at 2007-03-31 00:05 x
銀行業界におけるオーバーバンキングというのが何を指すのか考えております。やっぱり、手元資金に対して貸出先が少ない事ですよね?小売店の店舗数や企業数のような問題じゃないと思います。もちろん、一部銀行が撤退する事で、業界全体として人員削減が進んで、個々企業の収益は改善する面はあろうかと思いますが、元が貯蓄超過にあるわけですから、その分スプレッドを減らす羽目になって賽の河原状態ではないかと想像しております。
しかし銀行の営業の人はかわいそうです。これで天気になったら思いっきり仕返しされちゃわないか心配になっちゃいます。

P.S.
オフ会僕もよろしかですか?
Commented by a-kun at 2007-03-31 00:41 x
個人的に怖く思っているのは、債券市場の雰囲気が2003年の大相場の時のような楽観論に傾きつつある気がすることと、これだけ「金余り」と言っておきながら、ターム物金利が下がってこないことですね。2007年度の債券市場は上下どちらに振れるか分かりませんが、意外とボラティリティが高くなりそうな気がします。
Commented by 北の書生もどき at 2007-03-31 03:13 x
こんばんは。お声かけ頂き感謝です。また当分田舎生活ですので、いつ頃となるか分かりませんが(トホホ)、その節は改めてご連絡致します。
北の書生もどき
Commented at 2007-03-31 12:07
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2007-03-31 20:01
飛車さん、どうもです。オーバーバンキングは数の面と、ご指摘のように借り入れ需要に対する資金(預金=供給)両の面があり、後者は結構重要ではないかと。賽の河原、うまい表現ですね(笑)。オフ会の件、今後色々企画しようと思っており、具体化したらお知らせします。

a-kunさん、どうもです。確かに油断するとみんなの予想とは逆に行くリスクはあります。ターム物関係はドラめもんさんのブログが参考になるのではないでしょうか。
Commented by bank.of.japan at 2007-03-31 20:02 x
北の書生もどきさん、その時にはよろしくです。
Commented by うさこ at 2007-03-31 22:31 x
楽しく勉強させて頂いてます。まだ、無知なことばかりですが。
利上げ局面では短期ポジションの運営は大変です。ついこの前までは短国を買い、2年に手を出し、でもそこは無担保コールと絶対利ざやがありました。でも今は足元のぶれは大きく下は50%もあり、上はロンバートでバーを張られています。そろそろロンバートの上限金利が上がらないかと。(これは銀行の運用サイドの意見ですね)

また、金利上昇局面や、金利のある状態を体験した人が短期マーケットに少ないことにも心配しています。今まではとりあえず資金を調達すればよし。今後はそうもいかないでしょうから。

Commented by Teddy at 2007-04-02 10:40 x
短観の出た日になんですが、遅ればせながら、bank.of.japanさん、いつもフォローコメントありがとうございます。
なかなか周りの目が気になってeye-openerなかきこができないですが、このブログの末永い発展を改めてお祈りします!
Commented by bank.of.japan at 2007-04-02 13:22 x
うさこさん、どうもです。短期関係のお方でしょうか。取り手か出し手かで判断が分かれるでしょうが、ロンバートは高い方がいい、という意見は結構耳にします。ドラめもんさんのブログなど参考になるかもしれません。レポ関係は古株の人が戻りつつある、との声もあります。今後ともよろしくお願いします。

Teddyさん、どうもです。こちらこそコメント頂き多謝です。ブログ、なるべく続けていきたい、と思っております。よろしくお願いします。
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