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戦犯容疑は大本営(政策委)にあり=現場部隊は無実
 たまには日銀の肩を持ってみたいと思う。と言っても、持つのは(日銀の)金融市場局金融調節課である。すでにドラめもんさんが9日分のリポートで紹介済みなので、詳細はそちらをご覧頂きたい。
 ここでは金融調節が稚拙に見える理由を解説したい。インタバンク市場は昔と違って資金の偏在構造が一変した。かつては「都銀」が調達側、「地銀・信託・生損保など」が運用側ときれいに分かれ、長年培った日銀調節芸の下、無担保コール翌日物は見事な着地を示していた。ところが今では、都銀が預超転換して運用側に回り、「海外勢」が最大の調達者となった。
 問題は、「海外勢」の資金繰りが振れやすいこと。これは東京拠点がグローバルな円資金需要の尻になっているに過ぎず、当日まで調達額が確定しにくいためだと推測される(この点詳しい方の解説あれば有難い)。この結果、朝からビッドアップするときもあれば、そうでもないこともあり、日々その行動によってレートは振れやすく、日銀は供給したり、しなかったりと金融調節は安定化しない。つまり、海外勢の振れやすい資金繰りに日銀が振り回されている構図である。
 なお、日々のレート変動が円キャリー取引に影響を与えることのおかしさは、ドラメもんさんが解説された通りである。
 世界同時株安で日銀に戦犯容疑がかかるとするなら、利上げを決断した政策委員会であり、その手足となった金融調節課に容疑を課すのはおかしい。大本営の戦犯容疑を現場部隊にかぶせるようなものだ。
 最後に戦犯容疑について。利上げと世界同時株安(or円キャリー取引の巻き戻し)因果関係は直結しない。戦犯が確定するのは、世界的に株がクラッシュし、実体経済がダメージを受けたときに、利上げしたタイミングの「間の悪さ」を世界が認知したときであろう。または、バブルの崩壊リスクを見抜けなかった日銀の判断の甘さも責任を問われる。または株のクラッシュが米経済の悪化によるものであった場合、まさに米経済のソフトランディングを盲信した判断ミスが問われる。
 この点、円安をもたらす円キャリーを問題視し、世界中に過剰流動をばら撒いているぞー、利上げしろーと、日銀に迫り、同時株安・円キャリー巻き戻しを日銀利上げの成果と評価している向きは、世界株価が本格的にクラッシュした場合には日銀を戦犯に追い込む主張をしていることになる。「無能なる味方は有能なる敵より害が大きい」ことを日銀は痛感しているに違いない。
 私と立場は異なるのだが、bewaadさんのエントリーは識見であろうと思う。
by bank.of.japan | 2007-03-09 22:13 | 日銀 | Comments(5)
Commented by dell at 2007-03-10 23:06
>利上げと世界同時株安(or円キャリー取引の巻き戻し)因果関係は直結しない。

ここがよくわかりません。少なくとも、利上げによって円キャリー取引の巻き戻しが起こることは論理的に何の矛盾もない思います。
もちろん、そもそも円キャリー取引の巻き戻しが本当にどの程度あったのかという根本的な問題は残りますが。
Commented by bank.of.japan at 2007-03-11 12:12
dellさん、どうもです。金利差を裁定する円キャリーが利上げに影響されるのは理論的にはそうですが、今回の利上げの反応を見ると、利上げ後、しばらくは円安・株高が続きました。追加利上げは相当先になるとの見方が背景にあるようです。あと、bewaadさんのエントリーにもあったように、金融政策と市場動向を直結させる(もちろん影響はあります)と、移ろいやすい後者の動きで政策評価が揺れ動く(褒めたり貶したりになる)ので、市場も重要ですが、基本的には実体経済に結びつけた方がいいと思います。
Commented by dell at 2007-03-11 12:33
>追加利上げは相当先になるとの見方が背景にあるようです。

たしかに利上げ直後はそういう見方もありました。しかし、2月22日でしたか、福井総裁は「可能な限り金利を上げる」と発言し、今後も利上げしていく姿勢を明確にしていましたよね。その時点で、追加利上げは相当先かどうかはかなり怪しくなっていたと思われます。個人的には、次の利上げが4月にあっても驚きません(もちろん利上げには絶対反対であり、むしろ利下げすべきだと思いますが)。
Commented by ドラめもん at 2007-03-11 19:44
ご紹介いただき恐縮です。日銀の稚拙な金融調節云々はさすがに「お前が言うな」でしたので、ちょっとネタにしてしまいました(苦笑)。
>dellさん
金曜の引け値ベースですと、新発6か月FBの利回りが0.595%で、既発1年物TB(新発の入札は今週)の利回りが0.645%と、市場価格から見ると追加利上げは相当先(半年どころかもっと先)という見方になっております。ご参考までに。
Commented by dell at 2007-03-11 23:09
>ドラめもん さん
なるほど、短期金融市場のコンセンサスとしては、目先の追加利上げは織り込まれていないわけですね。だとすると、少なくとも福井総裁のコメントを円キャリー取引の巻き戻しの根拠とするのは、短期金融市場と為替市場でコンセンサスに差があるという証拠がない限り難しいことになります。参考になるコメント、ありがとうございました。
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