表題は昨日取り上げようと思ったネタたが、バタバタしており、今日になってしまった。既にbewaadさんが紹介済みなのだが、かなりスカッとする発言であったので私も相乗りしたい。
イングランド銀行(英中銀)のキング総裁、14日の記者会見。 ・ドイツやフランスなど欧州諸国の円安批判については、「日本に国内景気を弱める円高政策を求めるとは理解に苦しむ」 ・過去10年、G7は日本に景気浮揚のため低金利を求め続けたと指摘したうえで、「日本に景気拡大を望む一方で(低金利の結果である)円安に文句を言うのはおかしい」 <日経参照> 本来、金融政策は各国の経済情勢に則して運営されており、仮に円安・ユーロ高が両国の金利差であったとしても、それ自体は経済格差を反映したもの。また、為替相場は恒常的に金利差のみで形成されているわけではなく、金利差を修正したって為替相場が別の材料で動き始めれば、円安是正で利上げする行為は百害あって一利なしである。 そもそも日本の通貨水準に文句を言う前に、欧州の通貨が不当に高いと思うなら、その原因が日本の低金利なのか、欧州の高金利なのか、各国の外貨準備のユーロシフトなのか、円キャリーなのか、ぐらいは分析して欲しいと思うのだが。例えば、対ユーロの円キャリーが円安の原因なら、各国が調査して「こんなに問題だよ」と証拠を示せばいい。 欧州の円安批判が必要以上にクローズアップされた日本だが、キング総裁の正論は国内でもっと聞かれるべきなのだろう。日銀内では、少なくとも私が接触する限りでは、キング総裁と似たような感想が多かった。為替は財務省の所管なので、日銀が表立って正論を唱えるのが難しいのだが。キング総裁の正論、日銀も激しくうなずいたはずである。えっ、違うの? 利上げできる経済じゃないと思われたみたいでいやだ? だったら「景気は良くなる、物価も上がる」と宣言して利上げすれば済む話である(目茶自信あるなら断続利上げの示唆もオッケー)。
by bank.of.japan
| 2007-02-16 23:11
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Comments(9)
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為替政策
at 2007-02-17 20:37
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ご指摘の通りですね。利上げはどうなるでしょうか。私はどうも行われる気がしています。
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Pk
at 2007-02-17 21:37
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金利と為替は今は余り関係が無いと思いますね。日本人が海外資産を買うことと、外国人が日本資産を買うことのバランスですから、前者は外交で、後者は買い易さですね。日米関係が安定している限り、極端な円高にならないと思いますが、民主党の議会ですから日本人は敏感になります。しかし、それでは三角合併でうまれた新しい日本資産市場が割高になりますから、日本批判は抑えられると思います。日本人が海外資産を買えば買うほど、日本国内のM&Aは活発になるでしょう。反対に民主党の批判に過剰反応して日本人が海外資産を買わなければ、M&Aはそれほど活発にならないと思います(グロスの関係)。そして、その差(ネットの関係)は、日米関係で決まると思います。
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通行人
at 2007-02-17 22:33
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↑陰謀論を語るとヤオイ系認定されますよw
ところで、昔々の2ちゃんねるでの議論を思い出した。インタゲ(俗称のインフレ誘導政策の方)やるとキャピタルフライトがおきる!って騒いでいた人がいたけど、「円安になって景気回復じゃん」とあっさり返されていた。キャピタルフライトの言いだしっぺが元日銀の中の人というのが面白いです。こういう人たちがテレビに出て騒いでいるから、日銀の意図を深読みしたくなってしまうのでしょうね。 でも、政治的には利上げしやすい状況なんだよなぁ。嫌だ嫌だ。
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dell
at 2007-02-17 22:49
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キング総裁の発言はまさに正論中の正論でしょう。
一方で、「景気は良くなる、物価も上がる」と宣言して利上げしては景気を後退させデフレを長期化させてきたのが90年以降の日銀の金融政策なわけで、いいかげん同じ失敗を繰り返すのはやめてほしいものです。
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PK
at 2007-02-17 23:06
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日本の苦悩と米国の困惑というのは、敗戦国が経済的には覇権国の状態になってしまっていることで、80~90年代はその現実の受容のプロセスであり、結局、日本が国内の資産市場を開放しあるいは米国債を買い、米国が徐々に安全保障能力を敗戦国から限りなく属国に近い普通の国レベルまで戻す過程に入って安定し始めたということでしょう。
日本政府に求められるのは、そのシナリオに整合した発言を続けることですね。久間のようなのは駄目です。従軍慰安婦問題を未だに扱うアメリカの民主党がどう考えているか知りませんが。
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bank.of.japan at 2007-02-18 22:33
為替政策さん、どうもです。短期市場はやや利上げ警戒ムードですね。どうなることやら。固唾を呑んで見守るしか手はないです(笑)。
通行人さん、どうもです。確かに日銀出身でキャピタルフライト論を唱えた方がいらっしゃいましたね。もっとも大半の日銀マンは戸惑っていましたが。 dellさん、どうもです。こういう正論はもっと国内で聞かれるべきでしょう。日銀は失敗したくないので、追加利上げ見送ったのかもしれません。それが本物かどうかは来週分かると思います。 PKさん、どうもです。日本は債権大国ではありますが、それだけ米国に影響力を持っているかと言えば、否であると思います。むしろ、米国の都合に左右されている感が拭えません。為替は政治的な影響力に敏感ですから、今は奇妙な安定期ですね。
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通行人
at 2007-02-18 23:19
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世のトンデモ系エコノミストの一部にしっかりと日銀系という系統が存在するのですが、それについては日銀の中の人はどうお考えなんでしょうか。興味あるなぁ。
あと、執行部を補佐したり政策決定会合に出るような方と、現場で汗水垂らしている方とは、何かとスタンスが違ったりするのでしょうかね。僕には政策決定会合が政治の場に見えて仕方が無いのですよ。
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加熱する不動産投資
at 2007-02-19 15:45
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企業の土地投資、再び増勢・06年度1割増見込み
土地投資を増やす企業が増えている。日銀の企業短期経済観測調査(短観)によると、昨年12月時点での2006年度の土地投資計画は前年度実績比で約1割増の見込み。不動産業や小売業などが前向きになっている。バブル崩壊以降の「持たざる経営」が転機を迎え、都市部の地価上昇にもつながった形だが、収益性を見極めない投資が広がると、過熱感が強まる懸念もある。 日銀の短観によると、民間企業(資本金2000万円以上)の06年度の土地投資計画は06年12月調査で3兆3280億円。前年度実績に比べ10.9%増えた。12月時点で前年度実績比プラスとなるのは土地投資に関する調査を始めた03年度以来となる。 日経
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bank.of.japan
at 2007-02-19 16:08
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通行人さん、どうもです。日銀出身のエコノミストは日銀スポークスマン的にみられがちですが、日銀自身は彼らの存在を特別意識していることはないように見えます。補佐する人(=企画)と現場(現場部局)ではやはり微妙にスタンスの違いはあります(人にもよりますが)。
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