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CPオペ、当面温存=オペ先選んで使わない、とか?
 日銀は21日、CP(コマーシャル・ペーパー)オペの対象先見直しを発表した。オペ先は原則として毎年一回見直されており、今回の発表は事務的な連絡に過ぎない。ただ、CPオペは今年前半は廃止論が強まっており、事情は良く分からないが、当面は温存されることになった。まさか、新たなオペ先を選んだ上で使わない、ということはないだろう。
 日銀は今年の「調節年報」で、CPオペ廃止に向けた意思をかすかに滲ませていた(チラリズムor微弱電波なので、よく読まないと分からない)。そのころは、「廃止は時間の問題」との声が複数聞かれており、オペ先の見直しをせずに廃止に持ち込むという段取りがイメージされていたように思われる。そうはならずに当面温存となった背景としては以下の要因が考えられる。
①人が変わったから(俗人的要因)
②何が起きるか分からないからオペ手段は削らないことにした
③利上げに集中するため余計なさざ波は立てないことにした
④政策委がピンとこなかったから(理解が得られなかったor趣旨が理解されなかった)
⑤面倒くさいかったから
 なお、発表文には連絡先として担当者二人の名前が記載されているが、あくまでも事務的な対応を行うだけなので背景は知らない(はず)。

 日銀が「金融の正常化」に本気かどうかは、実は金融政策だけではなく、担保政策やオペ手段でも問われている、と私は思う。むしろ後者の方で本気度が試されているだろう。従って、廃止論が下火になったのはそれなりの「判断」があるからではないかと推測される。上記に挙げた理由としては②である。
 CPオペは日銀が昔から止めたかった供給手段だが、目くらましとしては便利なツールである。再び量的緩和をやろうと思えば、供給手段は多い方がいいし、CPオペに限ればその積極活用は企業金融の支援っぽいことをやっているイメージを与えられる。
 日銀は景気がシナリオ通りなら利上げする構えだが、何が起きるかは分からない。失敗するリスクは当然ある。金融政策も担保政策もオペ手段も一斉に正常化路線を追求するにしても、景気が腰折れると一斉に後退を余儀なくされる。CPオペの温存は、万が一の利上げ失敗に備えたヘッジではないかとも思われる。だとすると、前回のゼロ金利解除失敗の教訓は生きているのかもしれない(最高のヘッジは利上げ見送りですが・笑)。
 CPオペの温存は政策運営のリスク管理の一環として受け止めたい(違いますか?)。
by bank.of.japan | 2006-12-25 21:56 | 日銀 | Comments(10)
Commented at 2006-12-26 03:01 x
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Commented by H251YYY at 2006-12-26 10:01 x
国債買現先の存続の方はどうでしょうか。共通担保資金供給がかなり機能しているような気がするのですが。
Commented by bank.of.japan at 2006-12-26 12:53
上の上さん、どうもです。「盲腸ようなもの」は言い得て妙ですね。
H251YYYさん、どうもです。さすがにそこまで廃止するとの議論は聞かれません。理屈の上では共通担保に収れん可能で、正常化路線のピュアな追求としては国債買い現の廃止は美しい、と思いますが…。
Commented at 2006-12-26 18:46 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2006-12-26 22:50
↑さん、どうもです。参考にさせてもらいます。
Commented by 情報 at 2006-12-27 07:39 x
不動産投融資の過熱警戒・金融庁、リスク管理徹底要請へ

銀行による不動産ファンド向けの融資が急増、金融庁が警戒している。同庁は26日、大手11行による9月末現在の融資が前年同期に比べて3割増えたと発表した。ファンドが保有する不動産残高も15兆円近くに達する。不動産向け投融資の過熱を警戒し、同庁は年明けから、これまで以上にリスク管理の徹底を銀行に求めていく方針を明らかにした。

不動産投融資の実態調査によると、大手11行による不動産ファンド向けのノンリコースローン(非そ及型融資)は9月末で6.6兆円に上り、1年前の5兆円から約3割の増加となった。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20061227AT2C2603Y26122006.html
Commented at 2006-12-28 00:53 x
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Commented by bank.of.japan at 2006-12-29 00:54
↑さん、どうもです。CPオペは、これを扱うディーラーからは「ゴミ箱」とも揶揄される存在なので、やや長い目でみれば廃止だと思います。例のセミナー、ちょっと不安ですが、よろしくです。
Commented by on_the_G at 2008-12-03 13:15 x
>CPオペは日銀が昔から止めたかった供給手段だが、目くらましとしては便利なツールである。再び量的緩和をやろうと思えば、供給手段は多い方がいいし、CPオペに限ればその積極活用は企業金融の支援っぽいことをやっているイメージを与えられる。

2年後の日銀の措置、本石町さんのおっしゃるとおりですね。
Commented by bank.of.japan at 2008-12-03 19:58
古いエントリーへのコメント多謝です。まあ、日銀が目指す方向への逆張りがまた当たってしまったかと。こういう予想が当たるのは、世の中&私の生活も厳しくなるので、困ります(苦笑)。
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