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みんなのけぞったレポ金利先物!?=TIFFEさん、コールがいいと思うよ
 20日の日経新聞夕刊が伝えた「翌日物金利先物、上場へ=市場の利上げ予想反映-東京金融先物取引所」との記事。忙しい日銀マンらは見出ししか見ていなかったようで、ある中堅幹部にこの件をぶつけると「やっと日本でもFF金利先物のようにコールが上場するんだね」と感慨深げ。しめしめと思った私は「ちゃんと読んだ方がよろしいのでは」と助言。彼は「どれどれ」と読み始め、数十秒後に「えーーーーーーっ、レポなの!!」と絶叫。反応が面白かったので、日銀の何人かに試した。各人各様、絶句も含めてとても楽しいのけぞり反応であった。
 私が取材で知る限りのインタバンク関係者(都銀、証券、短資会社etc)に聞いたところ、「筋が違う」というものだった。これはレポ市場に歪みがあるうえに、そもそも「市場の利上げ予想を反映させる」のであれば、日銀の誘導金利である『無担保コール翌日物』を上場させたほうが理にかなっているためだ。記事では「無担保コールとレポ金利は基本的に連動している」と書かれてあるが、だったらなおさらコール翌日物の方を上場させた方がいい、となる。
 レポ市場の歪みとは①参加者が資金の取り手と出し手に分断している②しかも、出し手であるメガバンクの金利形成への影響力が大き過ぎる③客観的なデータがない(日銀が集計レートを出しているが、これとてヒアリングベースなので正確かどうか不透明)-という問題点がある。従って、清算値が恣意的に操作される余地があり、プレーヤーであるはずのメガバンクはやろうと思えば胴元的な存在になれるのである。
 知り合いのメガバンク関係者もそのリスクは認めており、「困った話だ」との感想であった。メガバンクに操作意図はなくても、疑われるケースはあるためだ。例えば、取り手がレポ金利上昇をヘッジするため、先物を売る(金利上昇方向)。このとき、メガバンクが買いに回る(金利低下方向)としよう。その後、メガバンクがたまたま大目に資金を放出すると、レポ金利は下がる。この結果、売った向きは踏まれ、買った側は利食うことが可能だ。
 無担保コール翌日物は、金融市場局が調節方針を守るために必死こいて誘導目標を維持している。第三者が影響力を行使しようとしても、日銀は誘導目標を死守する。また、金融政策運営の「第一の柱」は、市場が織り込む政策金利の経路を前提としており、無担保コール翌日物を上場させた方が、政策経路はマスコミも含めてより分かりやすくなり、政策運営の透明性は高まる。TIFFE広報によると、「何も決まっていない」という。であるなら、まだ見直しは可能なのだろう。翌日物金利を上場するなら、日銀も含めた参加者らが「普通の判断」と思っているように「コール」の方がいいと思う。
 なお、この件では、関係者(含む日銀)と思われる方々の口が激しく重い。一体背後にどんな事情があるのだろう。私はむしろ意思決定の過程で何が起きているのかに興味がある。
by bank.of.japan | 2006-11-21 20:12 | マーケット | Comments(14)
Commented by 俊彦。 at 2006-11-22 11:40 x
せっかくなので、レポ金利先物とO/Nコール先物を両方とも上場したら良いのでは?スプレッド取引が出来て面白いと思います
Commented by bank.of.japan at 2006-11-22 12:09
俊彦。さん、どうもです。そのアイデア、実は私も考えました(笑)。もしからしたら両商品とも繁栄するかもしれません。TIFFEにしても、上場が空振りになるリスクの軽減になるような。
Commented by すがり通り at 2006-11-22 12:18 x
両方上場、というのは一見よさそうなアイデアに思えるのですが、基本的に連動するの両商品のスプレッド取引の機会は、モノの需給要因がほとんどで、そのインパクトもあまり大きくなさそうな気がします。
TIFFEにとってみれば、両方上場する理由付けも難しそうですし。
・・・なんてすみません、批判的な意見で。やっぱりコールの方がいいですよね。レポ金利では考えられる不都合があっても、コールでは不都合ないように思われますので。
Commented at 2006-11-22 12:29 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 裏ドラ at 2006-11-22 12:30 x
日銀公表のレポレートは、オペ先(GCだと確か国債現先オペと共通担保オペ)から毎日報告させたものを集計してると思います。まさにヒアリングベースの世界(だから「集計レポレート」なんでしょうね)。
皆さんご指摘のように、私も「O/Nコール先物」のほうが明らかに良さそうなのですが、ふと思ったのは、コール先物が上場商品になってしまうと、マネーブローカー経由のOIS取引がそっちに食われてしまうので「ご配慮」が働いたのではないかと・・・・・・
Commented by bank.of.japan at 2006-11-22 14:42
すがり通りさん、一瞬通りすがりさんかと思いました(笑)。やっぱりコールの方が「自然な判断」であろうと思います。日銀諸氏もそう思っているようですよ。なのになぜ? というのが最大の焦点ですね。
裏ドラさん、どうもです。確かにコール上場はOICとのバッティングが考えられます。一方、日銀内では共存共栄論もあるようです。まあ、上場してみないと何ともいえないですが。「ご配慮」は前世紀ならあり得たかもしれませんが、21世紀の今はどうなんでしょう。ないと信じたい…。
Commented by 元IB現PB at 2006-11-22 16:52 x
 先物の商品設計は、精算値段の透明性が重要なので、おっしゃるように、その意味でレポは不適格でしょう。でも、日本のコールが適格かというと・・・短期村の外部者から見ていると、とても信じる気にはならないのですが、それは僻目でしょうかね。
 市場操作の歯止めのために、債券先物のような現渡をベースに清算制度を作ったら・・・大変なことになりそうで面白そうですけど。買い手の○社、現受け確定で精算日に*兆円不足が予想される、とか?
Commented by bank.of.japan at 2006-11-22 17:33 x
元IB現PBさん、どうもです。確かにコールも外銀・邦銀間のスプレッドがあり、加重平均が本当に市場実勢かと言えば多少のずれはあるかもしれません。清算制度の件では短国入札の応札額が天文学的になっていたころ、応札義務課したら面白いなあ、と思ったりしました。何十兆円も札入れていましたから、デフォルトの嵐?
Commented by ゴム3号 at 2006-11-22 20:41 x
TIFFEは気温先物の上場も検討しているようですが、元々東京工業品取引所で上場したかったのを、斎藤次郎社長の政治力?だかでTIFFEに持ってきたような噂を聞いたことがあります。TOCOMで上場した方が中小企業などでは使いやすいと思い少し残念です。
Commented by bank.of.japan at 2006-11-22 22:42
ゴム3号さん、どうもです。気温物は派手に打ち上げられましたが、実需が不透明とあって、まだ様子見のようですね。TOCOMの方が使いやすいならそっちに持ってった方がいいかもしれませんね。レポも政治力?
Commented by システム5.1 at 2006-11-24 09:16 x
裏ドラさんがご指摘のように、(配慮というのが正確かどうかはともかく)「OISの存在」が理由の1つです。また、両方上場がありえないのは、すがり通りさんが挙げている点が当たりでしょう。
Commented by bank.of.japan at 2006-11-24 13:57
システム5.1さん、どうもです。やっぱり「OIS」なんですかねえ。上場物とOTC(店頭)物の共存共栄は難しいのでしょうか。
Commented by システム5.1 at 2006-11-24 14:29 x
こちらこそ、どうもです。実はこのエントリーで一番驚いたのは、この上場の話を日経が伝えるまで日銀幹部の方がご存じなかったということ。私は「短期村」の人間ではないですが、それに属する方々の多くは知っていた話題ですよね。
Commented by bank.of.japan at 2006-11-24 15:24
多少補足しますと、4階・7階の一部が把握していた程度ではないかと。私は実は「観測」として聞いたことありましたが、まさかそのまま通るはずはなく、途中で修正入ると思っていました。甘いすね。
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