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GDPの焦点→「日銀がヘッドラインに飛び付いてはしゃぐリスク」
なのだろうと思った。本業でも書いたネタだが、こちらでも改めて触れたい。まず、マイナスになるとも懸念されたが、結果は年率2%のプラスとなり、ポジティブサプライズをもたらした。金融市場の反応は、株高・債券安であった。ヘッドラインがそのまま消化された格好である。
 ただし、GDPの内容はぱっとしない。外需主導、消費低迷が鮮明で、プラス寄与した在庫増も“意図せざる”ものだとすれば、外需オンリーに設備投資がくっついたようにしか見えない。日銀のシナリオである「息の長い景気回復」は、景気のけん引役が設備投資から個人消費にバトンタッチすることが前提だが、GDP上はまだそうなっていない。つまり、GDPの金融政策運営への影響は「中立」であろう。
 日銀は、物価・経済統計を丹念に点検し、金利水準の調整をゆっくり進めていく、との考えを何度も繰り返している。GDPを丹念に点検すれば、シナリオ通りの内容になっていないので、追加利上げの地均しめいたことは言わない、と思う。言ったら? それは数字の良いとこ取りして利上げに向けてはしゃいでいる、ということだろう。日銀がヘッドラインに飛びついてはしゃぐリスクが実現してしまうわけだ。
 本業の記事は「GDPで占う日銀の冷静度」との見出しにしたが、マネーマーケットの知り合いは「違う。成熟度だ」と言っていた。GDPではしゃぐのは「未熟さの証明」なのだそうだ。景気が成熟化するのを待てずに地均しするのは確かに未熟ではある。

理想的な対話は、「今後の政策運営はオープンである」との言い方を繰り返すことであろう。地均しめいたことは言わない。沈黙は金なり、である。そして各種経済統計の好転、金融市場の織り込みを静かに待つ。果報(利上げ)は寝て待てばいい。私は日銀はそうすると思っているのだが…。過大評価ですかね。
 
by bank.of.japan | 2006-11-14 19:16 | 日銀 | Comments(12)
Commented by 壱万円札 at 2006-11-14 20:46 x
新聞の「GDP2.0%」という一面トップ記事に「どこの国のこと?」「0.2%の間違い?」と思ったが、今は「偽装数値」じゃないかと思ってます。タウンミーティングでの偽装質問も内閣府が推進していたのだから「GDP数値偽装」もありえない話じゃあないと思う。来年の予算作成でGDPは高い方が都合が良いのかも知れない。
Commented by 通りすがり at 2006-11-14 23:38 x
GDPみたいな2次統計は当然のこと、1次統計だって結構「アート」なところがあるので、どうしても「予想外」なことは起こってしまいますね(汗)
かつて景気予測を仕事にしていたとき、そんなことを上司に叩き込まれたことを思い出します。
とはいえ「偽造」はないでしょう(笑) というか、そこまで疑い出したら切りがない。CPIだって疑えちゃうし(激汗)
日銀の大人な対応は当然bank.of.japanさんが仰る通り「沈黙は金」でしょう。バーナンキ同様「オープンだから」と言っておくのが市場に対しても一倍優しい気がします。
Commented by bank.of.japan at 2006-11-15 00:21
壱万円札さん、どうもです。数字の高い方が政府も日銀もハッピーであるのは確かです。ただ、GDPは振れの大きい統計ですので、まあ均して見ないといけないのでしょう。もっとも、均してもなおぱっとしないんですが(笑)。
通りすがりさん、どうもです。経験に基づく解説、多謝です。統計の出方が強弱入り混じってよく分からないときは「オープン」との言い方がいいと思われます。妙にポジション取ると後でイグジットが大変になるリスクもありますので。日銀の大人の対応、私はそうするんじゃないかと期待しているのでけど。甘いですかね(笑)。
Commented by ECO at 2006-11-15 09:17 x
こんにちは。偽造はないにしてもミスはあるかも・・・。というのは半分だけ冗談ですが、今回の結果を受けて市場自体も前のめりになっているように思えます。昨日、某情報端末で、今回の結果に対するエコノミストやストラテジストのコメントを見ていると「年内で決まり!」というような感じで驚きました。・・・大丈夫かなぁ?
Commented by bank.of.japan at 2006-11-15 10:55 x
ECOさん、どうもです。GDPでいきなり金融政策の予想を変えたアナリストがいたのには驚きました(笑)。短観次第ですが、年内はない、と思っているのですが。
Commented by 俊彦。 at 2006-11-15 10:58 x
「年内決まり」との見通しの下、長期金利が低位安定していることを考えれば、利上げした際の市場に対するインパクトはそれほど無いのでは…
Commented by ECO at 2006-11-15 11:09 x
どうもです。仰る通り、「年内の利上げ予想が増えている」という新聞記事には首をかしげているところです。12月の決定会合前に短観が出ますが、短観には個人消費の持ち直しを直接的に示すデータはないので、短観が良くても年内利上げは難しいと思うのですが・・・。でも俊彦。さんが仰る通り、市場が受け入れつつあるとすれば、このまま「やっちゃう」可能性は出てきますね。
Commented by bank.of.japan at 2006-11-15 13:49 x
俊彦さん、どうもです。まあ、長期金利はインフレ期待が台頭しているわけでもないので、利上げしても、その後は当分は金利動かずとの見方が強いのだと思われます。ベアフラット化の追加利上げが正しいのかどうかが問われそうですね。
ECOさん、どうもです。その後ちょっと調べたのですが、明確に年内利上げに予想を変えたのは一人だけではないかとの印象です。もっぱら市場織り込みを理由にやるのは、キンサキミラーマン的で「おいおい」という感じですが…。やりますかね。
Commented by 素人 at 2006-11-15 22:46 x
ゲートに入る前から今か今かと前のめりになっている馬のように思えますが。再利上げして → 景気減速になったら → 利下げ   なる金利操作をやりたくて仕方がないのでは。 (現状の景気減速では、ゼロ金利に戻すしかないので、ほんの少しのバッファーが欲しいのでは???)
Commented by bank.of.japan at 2006-11-15 23:48 x
素人さん、どうもです。そう見えるようであっては動いてはいけないときなのですが。のりしろを使うリスクがあるなら、今から利下げして景気をしっかり支えるのが、フォワードルッキングのあるべき姿なんですけどね。
Commented by EURO SELLER at 2006-11-16 03:14 x
ずばり,日銀は,今年利上げして,来年下げるBOEのような往復運動をしたいのではないですかな。そのほうが存在感はあるのですが,正しい金融政策とは思えないのですが。
Commented by bank.of.japan at 2006-11-16 11:02 x
EURO SELLERさん、どうもです。往復運動は、正しい金融政策ではないですね(笑)。
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